トップ
>
終夜
>
よもすがら
ふりがな文庫
“
終夜
(
よもすがら
)” の例文
終夜
(
よもすがら
)
供養
(
くやう
)
したてまつらばやと、御墓の前のたひらなる石の上に座をしめて、
経文
(
きやうもん
)
徐
(
しづ
)
かに
誦
(
ず
)
しつつも、かつ歌よみてたてまつる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
も
二名
(
にめい
)
の
水兵
(
すいへい
)
も
默
(
もく
)
して
一言
(
いちげん
)
なく、
稻妻
(
いなづま
)
は
終夜
(
よもすがら
)
吠
(
ほ
)
え
通
(
とう
)
しに
吠
(
ほ
)
えたので
餘程
(
よほど
)
疲
(
つか
)
れたと
見
(
み
)
え、
私
(
わたくし
)
の
傍
(
かたわら
)
に
横
(
よこたは
)
つて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其
(
そ
)
の
雲
(
くも
)
が
時雨
(
しぐ
)
れ/\て、
終日
(
ひねもす
)
終夜
(
よもすがら
)
降
(
ふ
)
り
續
(
つゞ
)
くこと
二日
(
ふつか
)
三日
(
みつか
)
、
山陰
(
やまかげ
)
に
小
(
ちひ
)
さな
青
(
あを
)
い
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
を
見
(
み
)
る
曉方
(
あけがた
)
、ぱら/\と
初霰
(
はつあられ
)
。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
終夜
(
よもすがら
)
思ひ煩ひて顏の色
徒
(
たゞ
)
ならず、肅然として佛壇に向ひ、眼を閉ぢて祈念の體、心細くも立ち上る一縷の香煙に身を包ませて、
爪繰
(
つまぐ
)
る珠數の音
冴
(
さ
)
えたり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
春先とはいえ、寒い寒い
霙
(
みぞれ
)
まじりの風が広い
武蔵野
(
むさしの
)
を荒れに荒れて
終夜
(
よもすがら
)
、
真
(
ま
)
っ
闇
(
くら
)
な
溝口
(
みぞのくち
)
の町の上をほえ狂った。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
なし夜は
終夜
(
よもすがら
)
糸繰
(
いとくり
)
などして藥の
代
(
しろ
)
より口に適ふ物等を
調
(
とゝの
)
へ二年餘りの其間を只一日の如く
看病
(
かんびやう
)
に手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いざや
終夜
(
よもすがら
)
供養したてまつらむと、
御墓
(
みしるし
)
より少し引きさがりたるところの
平
(
ひら
)
めなる石の上に
端然
(
たんねん
)
と坐をしめて、いと静かにぞ誦しいだす。
妙法蓮華経提婆達多品
(
めうほふれんげきやうだいばだつたぼん
)
第十二。
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
此女らの動かして見せる
筬
(
おさ
)
や
梭
(
ひ
)
の扱い方を、姫はすぐに会得した。機に上って日ねもす、時には
終夜
(
よもすがら
)
織って見るけれど、蓮の糸は、すぐに
円
(
つぶ
)
になったり、
断
(
き
)
れたりした。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
今
一言
(
ひとこと
)
……今一言の言葉の関を、
踰
(
こ
)
えれば先は
妹背山
(
いもせやま
)
、
蘆垣
(
あしがき
)
の間近き人を恋い
初
(
そ
)
めてより、昼は
終日
(
ひねもす
)
夜は
終夜
(
よもすがら
)
、唯その人の
面影
(
おもかげ
)
而已
(
のみ
)
常に
眼前
(
めさき
)
にちらついて、
砧
(
きぬた
)
に映る軒の月の
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
伏見の城を外に見て大和街道を進んだが、その夜は玉水の旅館に一泊、いぶせき
藁屋
(
わらや
)
の軒場も荒れた宿の
風情
(
ふぜい
)
に昨日までの栄華を思い、
終夜
(
よもすがら
)
うと/\といさよう月を枕にして
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
けれど村上義清は、わが邸にもどってからも、
終夜
(
よもすがら
)
謙信のことばを想い、その心事を
玩味
(
がんみ
)
してみた。そして何かしらここ十年来は忘れていたような快い安らかな眠りにひきこまれた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
墓石の周囲の赤黒い土は未だ去りやらぬ余寒の激しさに醜く脹れ上っていた。遙に谷を隔てた火葬場の煙突からは
終夜
(
よもすがら
)
死人を焼いた余煙であろう、微に黄ぽい重そうな煙を上げていた。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
○秋山の人はすべて冬も
着
(
きの
)
るまゝにて
臥
(
ふ
)
す、
嘗
(
かつ
)
て
夜具
(
やぐ
)
といふものなし。冬は
終夜
(
よもすがら
)
炉中
(
ろちゆう
)
に大火をたき、その
傍
(
かたはら
)
に
眠
(
ねふ
)
る。甚寒にいたれば他所より
稿
(
わら
)
をもとめて作りおきたる
褁
(
かます
)
に入りて眠る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
終夜
(
よもすがら
)
秋風聞くや裏の山
曾良
(
そら
)
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
同じ
生命
(
いのち
)
を、我に与えよ、と
鼻頭
(
はなづら
)
を撫でて牛に言い含め、
終夜
(
よもすがら
)
芝を刈りためたを、その牛の背に山に積んで、石を合せて火を放つと、
鞭
(
むち
)
を当てるまでもない。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思ひ煩へる事さへも心自ら知らず、例へば夢の中に
伏床
(
ふしど
)
を拔け出でて
終夜
(
よもすがら
)
山
(
やま
)
の
巓
(
いたゞき
)
、水の
涯
(
ほとり
)
を迷ひつくしたらん人こそ、さながら瀧口が今の有樣に似たりとも見るべけれ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
能考へ置と云ばお節は
彌々
(
いよ/\
)
打喜び
實
(
まこと
)
に何から何まで厚い御世話有難う御座りますと言けるが
終夜
(
よもすがら
)
寢
(
ね
)
も遣らず心
急
(
せく
)
儘
(
まゝ
)
一番
鳥
(
どり
)
の
鳴
(
なく
)
や否や起出つゝ支度調へ藤八
諸共
(
もろとも
)
曉
(
あけ
)
寅刻比
(
なゝつごろ
)
より宿屋を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
人々
詩
(
し
)
を
賦
(
ふ
)
し哥をよみ、俳句の
吟興
(
ぎんきやう
)
もありてやゝ時をうつしたるに、寒気次第に
烈
(
はげ
)
しく、用意の綿入にもしのぎかねて
終夜
(
よもすがら
)
焼火にあたりて
夢
(
ゆめ
)
もむすばず、しのゝめのそらまちわびしに
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
朝鳥
(
あさとり
)
の
音
(
こゑ
)
おもしろく鳴きわたれば、かさねて
一三七
金剛経
(
こんがうきやう
)
一
巻
(
くわん
)
を
供養
(
くやう
)
したてまつり、山をくだりて
庵
(
いほり
)
に帰り、
閑
(
しづ
)
かに
終夜
(
よもすがら
)
のことどもを思ひ出づるに、平治の乱よりはじめて、人々の消息
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
機に上つて日ねもす、時には
終夜
(
よもすがら
)
織つて見るけれど、蓮の絲は、すぐに
円
(
つぶ
)
になつたり、
断
(
き
)
れたりした。其でも倦まずさへ織つて居れば、何時か織れるものと信じてゐる様に、脇目からは見えた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
西八條の花見の宴に時頼も
連
(
つらな
)
りけり。其夜
更闌
(
かうた
)
けて家に歸り、其の翌朝は常に似ず朝日影
窓
(
まど
)
に差込む頃やうやく
臥床
(
ふしど
)
を出でしが、顏の色少しく
蒼味
(
あをみ
)
を帶びたり、
終夜
(
よもすがら
)
眠らでありしにや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
人々
詩
(
し
)
を
賦
(
ふ
)
し哥をよみ、俳句の
吟興
(
ぎんきやう
)
もありてやゝ時をうつしたるに、寒気次第に
烈
(
はげ
)
しく、用意の綿入にもしのぎかねて
終夜
(
よもすがら
)
焼火にあたりて
夢
(
ゆめ
)
もむすばず、しのゝめのそらまちわびしに
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
“終夜”の意味
《名詞, 形容動詞》
終 夜 (しゅうや, よすがら, よもすがら)
夜のあいだずっと。日没から夜明けまで。
(出典:Wiktionary)
終
常用漢字
小3
部首:⽷
11画
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
“終”で始まる語句
終
終日
終焉
終局
終熄
終始
終生
終末
終曲
終了