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籠絡
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ろうらく
ふりがな文庫
“
籠絡
(
ろうらく
)” の例文
此処でもドーヴィル市長を始め賭博場の
重
(
おも
)
な役員、世界の諸国から賭博に来た金持男達まで殆どイベットに
籠絡
(
ろうらく
)
されて居る、と云う。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
高言壮語を以て一世を
籠絡
(
ろうらく
)
するを、男児の事業と心得るものは多し、静思黙考して人間の霊職を
崇
(
たか
)
うせんと企つる者は、いづくにある。
一種の攘夷思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
これすなわち学者をして随意に書を読ましめ、国典を犯すに非ざれば
咎
(
とが
)
めざるゆえんなり。また、文学をもって政治を
籠絡
(
ろうらく
)
すべからず。
学校の説:(一名、慶応義塾学校の説)
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
わが家の庭に立てる位の事なら差支えないがその男の
遣方
(
やりかた
)
はそれとなく生徒の父兄を説いて金を出させ地方の新聞記者を
籠絡
(
ろうらく
)
して
輿論
(
よろん
)
を
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一体、速水女史は事実君の妹でもなんでもない蛇使いのお八重という女を
籠絡
(
ろうらく
)
して、静枝と名乗らせ、この家へ乗り込ませた。
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
「あれが、マダムに
籠絡
(
ろうらく
)
されているんだから、世話はないの。私が圭子姉さんに頼まれて、だらしなく案内してしまったの。」
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
本家の夫婦に
籠絡
(
ろうらく
)
されてはならないと云う警戒心も強いのであったが、それでも夫婦から珍しくちやほやされたことが満更でもないらしく
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
単なるすき物の心をもって彼女を
籠絡
(
ろうらく
)
しようとしても、彼女は大酒不女所為のごときをもって巧みに身をかわしたのである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
社長はそのときおれを外へ伴れだして、たぶん
籠絡
(
ろうらく
)
するつもりだったんだろう、近くの横丁にある屋台の
珈琲店
(
コーヒーてん
)
でコーヒーを二杯おごってくれた。
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
民衆は人格や事業の偉大に
籠絡
(
ろうらく
)
されることを愛するものである。が、偉大に直面することは有史以来愛したことはない。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僧侶
籠絡
(
ろうらく
)
の手段 その上チベットでは最も勢力のあるのは坊主社会であるから、この僧侶を手に入れなくちゃあならん。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「えゝ
些
(
ち
)
と
物數奇
(
ものずき
)
過
(
す
)
ぎますね、
蒙古刀
(
もうこたう
)
は」と
答
(
こた
)
へた。「
所
(
ところ
)
が
弟
(
おとゝ
)
の
野郎
(
やらう
)
そんな
玩具
(
おもちや
)
を
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
ては、
兄貴
(
あにき
)
を
籠絡
(
ろうらく
)
する
積
(
つもり
)
だから
困
(
こま
)
りものぢやありませんか」
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
かつ満身の
覇気
(
はき
)
でもって世人を
籠絡
(
ろうらく
)
し全国に
夥
(
おびただ
)
しき門派の末流をもって居たところなども善く似て居るかと存候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
彼は
一剋
(
いつこく
)
に背水の陣を敷いての上で故郷に鬪ひを挑むからと其場限りの僞りの策略で言葉巧みに彼女を
籠絡
(
ろうらく
)
した。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
三人の
性行
(
せいこう
)
各々同じからざるは、彼らが水戸烈公に処したる措置を以て、その一斑を
卜
(
ぼく
)
すべし。水野は烈公を
籠絡
(
ろうらく
)
して、自家薬籠中のものとなさんとせり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
師の治郎右衛門の
住居
(
すまい
)
の方へ行ったにしろ——また、どんな
詭弁
(
きべん
)
を
弄
(
ろう
)
して自分たちの師を
籠絡
(
ろうらく
)
しようと考えているにしろ——堂々と対決して、彼の非を挙げ
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの美しい
女形
(
おやま
)
が、浪路に対して、どのような
籠絡
(
ろうらく
)
の
繊手
(
せんしゅ
)
を伸ばしつつあるかをさえ耳にしているのである。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「このごろスメルジャコフは、食事のたんびに出しゃばりおるが、よっぽどおまえが珍しいのだとみえる、いったいおまえはどうしてあいつを
籠絡
(
ろうらく
)
したんだい?」
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
評判の
色悪
(
いろあく
)
の
公卿
(
くげ
)
さんに
籠絡
(
ろうらく
)
されてしまって、今はそのお
妾
(
めかけ
)
さん同様に暮らしているとか、聞きたがらない当人の耳へ、わざとするように苦々しいものがひっかかる。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お園と伊兵衛とはその以前から特別の関係が成立っていて、かれらは共謀して甚吉を
籠絡
(
ろうらく
)
し、その懐ろの銭を搾り取って、蔭では舌を出して笑っているというのである。
真鬼偽鬼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
娘の時の樣な羞恥と身だしなみ——
寧
(
むし
)
ろ、男子の心を
籠絡
(
ろうらく
)
牽制して置く手段と云ふ方がよからう——を怠り、『わたしはあなたの物です、どうとも勝手におしなさい!』
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
幾多国政の権位に
就
(
つ
)
く人々を
籠絡
(
ろうらく
)
し、大戦にあたっては、
雲霞
(
うんか
)
のごとき大軍をすら、彼女の策謀一つで、
瞬
(
またた
)
く間に墓場に追い
遣
(
や
)
っている——というと、このマタ・アリは
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
朝鮮の君臣がもし
寛仁大度
(
かんじんたいど
)
なる天皇陛下の聖意に背いて、土地を奪われるなどいう誤解から陰謀をやって敵に通ずる、あるいは野心ある国に
籠絡
(
ろうらく
)
されるということがあれば
東亜の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
たましいを持たぬだけに、いや、おゆうどのはじめ、女という女を
籠絡
(
ろうらく
)
したものであったよ。わははは、かの寛十郎、おなごにかけては、特別の力を備えた達人でありました
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
世間の女はいろいろな
手練手管
(
てれんてくだ
)
を使って男を
籠絡
(
ろうらく
)
するということは聞いている。
オパール色の手紙:――ある女の日記――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
三五 人を
籠絡
(
ろうらく
)
して陰に事を謀る者は、好し其事を成し得る共、
慧眼
(
けいがん
)
より之を見れば、醜状著るしきぞ。人に推すに公平至誠を以てせよ。公平ならざれば英雄の心は決して
攬
(
と
)
られぬもの也。
遺訓
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
ようやくのことで日本人の心を
籠絡
(
ろうらく
)
して、それからはすこぶる自由に自分の望むところを尋ね、かつて世界の秘密とされたこの島国に隠された事をも遺憾なく知ることができたと言ってある。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そしてそのために不幸なる彼の女はついに蛸博士に
籠絡
(
ろうらく
)
せられたのである。
風博士
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
こいつ何か奸策あってのことだろうと、典膳は、最初は相手にしなかったが、田舎に珍しいお浦の美貌と、手に入った
籠絡
(
ろうらく
)
の
手管
(
てくだ
)
とに
誘惑
(
そその
)
かされ、つい
府中
(
しゅく
)
の料理屋へ上がった。酒を飲まされた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
人心
(
じんしん
)
を
籠絡
(
ろうらく
)
してその
激昂
(
げきこう
)
を
鎮撫
(
ちんぶ
)
するに
足
(
た
)
るの
口実
(
こうじつ
)
なかるべからず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
坂本君が煙草をのみながら
籠絡
(
ろうらく
)
に努める。
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
民衆は人格や事業の偉大に
籠絡
(
ろうらく
)
されることを愛するものである。が、偉大に直面することは有史以来愛したことはない。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その時に
旨
(
うま
)
く私を
籠絡
(
ろうらく
)
して
生捕
(
いけど
)
って
仕舞
(
しま
)
えば
譜代
(
ふだい
)
の家来同様に使えるのに、
却
(
かえっ
)
てヤッカミ出したとは馬鹿らしい。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
かつ満身の
覇気
(
はき
)
でもつて世人を
籠絡
(
ろうらく
)
し、全国に
夥
(
おびただ
)
しき門派の末流をもつてゐた処なども善く似てをるかと存候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
政治世界の経済世界より
籠絡
(
ろうらく
)
せらるることを知らば、兵もまた富より籠絡せらるることを知らざるべからず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「ええちと
物数奇
(
ものずき
)
過ぎますね、蒙古刀は」と答えた。「ところが
弟
(
おとと
)
の野郎そんな
玩具
(
おもちゃ
)
を持って来ては、兄貴を
籠絡
(
ろうらく
)
するつもりだから困りものじゃありませんか」
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人を
籠絡
(
ろうらく
)
し
瞞着
(
まんちゃく
)
してこられた、だが私はもう
騙
(
だま
)
されはせぬ、盲人は顔色音声によって真偽を
眩
(
くら
)
まされることはない、貴方がいつかここへ来られることもわかっていたし
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
沢庵は政治に
嘴
(
くちばし
)
を入れるから、あれは野心を抱いているとか、或は、徳川家に
籠絡
(
ろうらく
)
されて、大坂方の情報を時折
齎
(
もたら
)
す黒衣の隠密であるとか、いろいろな沙汰が陰ではあった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこでこういう国に対して外交政略を施そうという外の国は、この弱点につっこんでその大臣等をうまく
籠絡
(
ろうらく
)
すれば、ほぼ外交上の事が成り立つような具合になって居るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
楽屋のものをうまく
籠絡
(
ろうらく
)
して、茂太郎を
拉
(
らっ
)
して行ったもののように思われてならない。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
巧
(
たく
)
みなる手段によって
籠絡
(
ろうらく
)
すると、その力を借りて、猫又とお化け鞄とを盗み出させ、それから
細紐
(
ほそひも
)
で自分の手首をしばって、猫又を入れたお化け鞄に結びつけ、鞄の把柄を下へ押し下げた。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、もしその時、おまえのほかに、人間の良心を支配する者が出現した暁には、——おお、その時こそは、おまえのパンを捨てても、人間は自分の良心を
籠絡
(
ろうらく
)
する者について行くに違いない。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
雪之丞の父親を
籠絡
(
ろうらく
)
して、不義の富を重ねていた頃、最高級の長崎奉行の重職を占め、本地の他に、役高千石、役料四千四百俵、役金三千両という高い給料を幕府から受けながら、
猶且
(
なおかつ
)
慊
(
あきた
)
らず
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
母がなんで彼の
籠絡
(
ろうらく
)
に骨を折らずに置きましょうぞ。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
且満身の覇気でもつて世人を
籠絡
(
ろうらく
)
し全国に
夥
(
おびただ
)
しき門派の末流をもつて居た処なども善く似て居るかと存候。
再び歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
一時の
豪気
(
ごうき
)
は以て
懦夫
(
だふ
)
の
胆
(
たん
)
を
驚
(
おどろ
)
かすに足り、一場の
詭言
(
きげん
)
は以て少年輩の心を
籠絡
(
ろうらく
)
するに足るといえども、
具眼卓識
(
ぐがんたくしき
)
の
君子
(
くんし
)
は
終
(
つい
)
に
欺
(
あざむ
)
くべからず
惘
(
し
)
うべからざるなり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
飄忽変化
(
ひょうこつへんげ
)
もって放言高論を逞しゅうし、もって愚妄無識の人民を
籠絡
(
ろうらく
)
せんとするがごときものあり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
対立する両者がなにを考えたか云うまでもあるまい、両者はそれぞれの立場から、保馬を
籠絡
(
ろうらく
)
し、宮津へ来た理由を知ろうとした。保馬のほうはいっさい無抵抗であった。
いしが奢る
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その政府のおもなる者を
籠絡
(
ろうらく
)
して幾分かチベットを動揺する力は今日確かにロシアに在る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
(世人の所謂「徳望」などは少くとも、彼等を
御
(
ぎよ
)
する上に何の役に立つものではない。)しかし又彼の世渡り上手も、——或は彼の英雄的手腕も巧みに彼等を
籠絡
(
ろうらく
)
した筈である。
続芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“籠絡”の意味
《名詞》
人をうまく言いくるめて自由に使うこと。
(出典:Wiktionary)
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
絡
常用漢字
中学
部首:⽷
12画
“籠”で始まる語句
籠
籠手
籠城
籠居
籠中
籠抜
籠堂
籠屋
籠行燈
籠洋燈