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穢
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よご
ふりがな文庫
“
穢
(
よご
)” の例文
「お前達ァ黙っとれ、伍長ッ貴様アさっき避難民が入り込んで雲南府が
穢
(
よご
)
れたようなことを云ったが、映画館や
茶館
(
カフェー
)
が出来る位が何だッ」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
その
中
(
うち
)
に両手の
穢
(
よご
)
れを払いながら立上った二人の顔は、もう人間の
表情
(
かおつき
)
ではなかった。墓の下からこの世を呪いに出て来た
屍鬼
(
しにん
)
の形相であった。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ロミオ
此
(
この
)
賤
(
いや
)
しい
手
(
て
)
で
尊
(
たふと
)
い
御堂
(
みだう
)
を
汚
(
けが
)
したを
罪
(
つみ
)
とあらば、
面
(
かほ
)
を
赧
(
あか
)
うした
二人
(
ふたり
)
の
巡禮
(
じゅんれい
)
、
此
(
この
)
唇
(
くちびる
)
めの
接觸
(
キッス
)
を
以
(
もっ
)
て、
粗
(
あら
)
い
手
(
て
)
の
穢
(
よご
)
した
痕
(
あと
)
を
滑
(
なめら
)
かに
淨
(
きよ
)
めませう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
顔は
蒼褪
(
あおざ
)
め肉は落ち、衣裳は千切れ
且
(
か
)
つ
穢
(
よご
)
れて、土牢の内で永い間苦しめられた
辛苦
(
しんく
)
の
態
(
さま
)
がまざまざとして現われている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今さらのように自分の着ている小倉の洋服の
脂垢
(
あぶらあか
)
に見る影もなく
穢
(
よご
)
れたのが眼につく、私は今遠方シグナルの
信号燈
(
ランターン
)
をかけに行ってその
戻
(
もど
)
りである。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
▼ もっと見る
ボオイが大籠に入れて
穢
(
よご
)
れしタオルを持ち
来
(
きた
)
るを、目に見分けず
後
(
うしろ
)
へ手をやりてその一つを皆の取れば初めの笛鳴り
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
この二人の男の
風態
(
ふうてい
)
を見ると、二人ともに古編笠を
冠
(
かぶ
)
っていました。二人ともに目の細かい
籠
(
かご
)
を肩にかけて、
穢
(
よご
)
れた着物を着て、
草鞋
(
わらじ
)
を
穿
(
は
)
いていました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今日のごとく
穢
(
よご
)
されていなかった。人間の天職のうちでいちばん遠大な理想と、広い仁愛を奉行し得る職として、諸人は常にその職能に
景仰
(
けいこう
)
と信望をかけていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自動車
(
くるま
)
の中は藻抜けの
空
(
から
)
だ。けれどもやがて大月氏は、屈み込んで、操縦席の後のシートの肌から、血に
穢
(
よご
)
れて異様にからまった、長い、幾筋かの
白髪
(
しらが
)
を掴みあげた。
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
然し今はただ
一色
(
ひといろ
)
に
穢
(
よご
)
れはてた、肩揚のある綿入を着て、グル/\卷にした髮には、よく
七歳
(
なゝつ
)
八歳
(
やつつ
)
の女の子の用ゐる赤い塗櫛をチョイと揷して、
二十
(
はたち
)
の上を一つ二つ
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
定
(
さだ
)
めし
舊石器時代
(
きゆうせつきじだい
)
の
人類
(
じんるい
)
は、
湯
(
ゆ
)
で
身體
(
しんたい
)
をふくといふことはしなかつたので、
身體
(
しんたい
)
も
穢
(
よご
)
れて
不潔
(
ふけつ
)
だつたでせうが、
新石器時代
(
しんせつきじだい
)
に
至
(
いた
)
つては、よし
浴場
(
よくじよう
)
はなかつたとしても
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
天井を見上げると薄青いペンキ塗だが、何百人もの人間が汗と
膏
(
あぶら
)
とをこすりつけた頭の当る部分、背中でよりかかる高さのところだけ、ぐるっと
穢
(
よご
)
れて、黒くなっている。
一九三二年の春
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
此間も此處へ來て見ると、痛々しく取
逆上
(
のぼ
)
せた主人の六兵衞を、蔭になり
日向
(
ひなた
)
になり、慰めたり、いたわつたりして居たのはその娘だ。その娘の眼には、何んの罪も
穢
(
よご
)
れもなかつた
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
故に邪視を惧るる者、ことさらに悪衣を着、顔を
穢
(
よご
)
し
痣
(
あざ
)
を作りなどして、なるべく人に注視されぬようにし、あるいは男女の陰像を
佩
(
お
)
びて、まず前方の眼力をその方に注ぎ弱らしむ。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
背を丸くし、頬杖ついて、三十分くらい、じっとしていた。このまま坐って死んでゆきたいと、つくづく思った。新聞の一つ一つの活字が、あんなに
穢
(
よご
)
れて汚く思われたことがなかった。
狂言の神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
側にいた
年齢
(
としごろ
)
廿二三で
半合羽
(
はんがっぱ
)
を着ている
商人体
(
あきんどてい
)
の男が、草鞋の
穢
(
よご
)
れたのを
穿
(
は
)
いて
頬冠
(
ほうかむ
)
りをしながら、此の男も出に掛りますと、
突然
(
いきなり
)
傍にあった角右衞門の風呂敷包を
引攫
(
ひっさら
)
って
迯
(
に
)
げましたから
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは五寸ぐらいの高さに積み重ねてある原稿紙の
綴込
(
つづりこみ
)
で、かなり大勢の人が読んだものらしく、上の方の数枚は破れ
穢
(
よご
)
れてボロボロになりかけている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
たくし上げた裾から洩れて見えるのは、垢じみ
穢
(
よご
)
れ痩せながら、筋逞しく現われている、男のような足であった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
べつに、支度といって、何もございませんが、たくさんな
軽舸
(
はしけ
)
の中から、脚の
迅
(
はや
)
い、そして
穢
(
よご
)
れのないのを
選
(
よ
)
って、すっかり塩を
撒
(
ま
)
いて、船板まで洗って置きました。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何
(
な
)
にか思い出した様にポケットの中へ手を
突込
(
つきこ
)
んで、先程の広告マッチを取り出し、ハンカチで
穢
(
よご
)
れを
拭
(
ぬぐ
)
って
一寸
(
ちょっと
)
の
間
(
ま
)
レッテルに見入っていたが、間もなく元気で話を続けた。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
この間もここへ来てみると、痛々しく
取逆上
(
とりのぼ
)
せた主人の六兵衛を、蔭になり
日向
(
ひなた
)
になり、慰めたり、いたわったりしていたのはその娘だ。その娘の眼には、なんの罪も
穢
(
よご
)
れもなかった
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鷹揚で快活な斑もあるが、その犬のように、全体はっきりした白と黒とで
穢
(
よご
)
れたようなのは、陰気だ。その上、まるで面長な色白い人間の婆さんのような表情を、この犬は持っているのだ。
吠える
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
然し今はただ
一色
(
ひといろ
)
に
穢
(
よご
)
れはてた、肩揚のある綿入を着て、グル/\巻にした髪には、よく
七歳
(
ななつ
)
八歳
(
やつ
)
の女の児の用ゐる赤い塗櫛をチヨイと揷して、
二十
(
はたち
)
の上を一つ二つ、頸筋は垢で真黒だが
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
日本中の少年少女の人生観の中で、最も意義あり、力あり、光明ある部分は、こうして初めから
穢
(
よご
)
された。その向上心の大部分は
二葉
(
ふたば
)
の
中
(
うち
)
から病毒に感染させられた。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
乱れた白髪
穢
(
よご
)
れた
布衣
(
ほい
)
、永い
辛苦
(
しんく
)
を想わせるような深い
皺
(
しわ
)
と弱々しい眼、歩き方さえ力がない。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
喬介が笑いながら私の前へ差し出したのは、飛びッ
切
(
きり
)
上等の
飾
(
かざり
)
が付いた鋭利な一丁のジャックナイフだ。鉄屑の油や細かい粉で散々に
穢
(
よご
)
れているが、刃先の方には血痕らしい赤錆が浮いている。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
痩せこけた頬に
些
(
さ
)
の血色もない、
塵埃
(
ごみ
)
だらけの短い袷を著て、
穢
(
よご
)
れた白足袋を穿いて、色褪せた花染メリンスの女帶を締めて、赤い木綿の
截片
(
きれ
)
を頸に捲いて……、俯向いて足の
爪尖
(
つまさき
)
を瞠め乍ら
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
職業から来る、おもおもしいまた、幾分傲慢のようにも思われる弁護士の前に、息をつめて立っている庸之助の、煤煙や塵に
穢
(
よご
)
れ、不眠で疲れきり、青黒く
膏
(
あぶら
)
の浮いた顔は、非常に
憔悴
(
しょうすい
)
して見えた。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その他の器物や
硝子
(
ガラス
)
の破片が、足の踏場もなく散乱している中に、
脳漿
(
のうしょう
)
が飛散り、
碧
(
あお
)
い両眼を飛出さしたロスコー氏が、鮮血の網を
引被
(
ひっかぶ
)
ったまま
穢
(
よご
)
れたピストルをシッカリと握って
S岬西洋婦人絞殺事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
古び
穢
(
よご
)
れた
独木船
(
まるきぶね
)
が、水に引かれて濛気の方へ、ノロノロとたゆ気に流れていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
... で、早速取り出して
穢
(
よご
)
れを拭って見たのさ——』と喬介は先程のマッチを私の眼の前へ差し出しながら『見給え。「勘八」と言う店名の下に、小さく「ヨッカイチ会館隣り」としてあるだろう?』
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
痩せこけた頬に
些
(
さ
)
の血色もない、
塵埃
(
ごみ
)
だらけの短かい袷を着て、
穢
(
よご
)
れた白足袋を穿いて、色褪せた花染メリンスの女帯を締めて、赤い木綿の
截片
(
きれ
)
を頸に捲いて、……俯向いて足の爪尖を
瞠
(
みつ
)
め乍ら
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ボヘミヤン・ネクタイ、
合
(
あい
)
オーバ、(少し
穢
(
よご
)
れた流行
色
(
いろ
)
の薄茶)それから羅紗の合帽子(少し穢れた流行色の薄茶)手には
杖
(
ケン
)
、足には赤靴、栄養不良らしい蒼黒い顔、唇と来たら鉛色である。
奥さんの家出
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
われと
解
(
ほど
)
きし
赤縄
(
えにし
)
の糸の、罪に
穢
(
よご
)
れ、血にまみれつゝめぐり/\て又こゝに結ぼるゝこそ不思議なれ。御身は若衆姿。わが身は円頂黒衣。罪障、悪業に埋もれ果つれども二人の思ひに穢れはあらじ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
柄に少し
穢
(
よご
)
れめをつける、はな紙は利久であった。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
腕も胸も顔までも、獣の血で赤黒く
穢
(
よご
)
れていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
穢
漢検1級
部首:⽲
18画
“穢”を含む語句
汚穢
醜穢
穢物
薄穢
触穢
穢多
穢濁
垢穢
罪穢
穢土
口穢
濁穢
小穢
穢汚
穢虫
穢悪
汚穢屋
穢辱
浄穢
穢苦
...