『一九三二年の春』
三月二十九日の朝、私は塩尻駅前の古風な宿屋で目をさました。雪が降っていた。この辺では、宿屋などは夜じゅう雨戸をしめず、炬燵のある部屋の障子をあけると、もういきなり雪がさかんに降っている内庭が眺められる。松の枝につもる雪を見ながら朝飯をしまっ …
著者 | 宮本百合子 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 記録 手記 ルポルタージュ |
初出 | 「改造」(はじめの約15枚分)1932(昭和7)年8月号、「プロレタリア文学」(残りを追加して再掲)1933(昭和8)年1~2月号 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約45分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約1時間14分(300文字/分) |