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けんぞく
ふりがな文庫
“
眷族
(
けんぞく
)” の例文
われわれどもの妻子
眷族
(
けんぞく
)
を人質にさし出しましょう。それを以て、われら宿老どもが、尼ヶ崎まで参ることをお見のがしねがいたい。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
森林の王鬼王丸が
眷族
(
けんぞく
)
を
率
(
ひき
)
いて出陣したと早くも聞き伝えた妖精どもが谷々峰々から数を尽くし味方しようと
馳
(
は
)
せ加わったのである。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そりゃ、親方悪い
了簡
(
りょうけん
)
だろうぜ。一体俺達が、妻子
眷族
(
けんぞく
)
を見捨てて、
此処
(
ここ
)
までお前さんに、
従
(
つ
)
いて来たのは、何の為だと思うのだ。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「まア聴こうじゃないか、どんな怪談が出たんだ。三つ目小僧か、傘のお化けとか、たいがい怪談話には筋も
眷族
(
けんぞく
)
もあるものだ」
銭形平次捕物控:349 笛吹兵二郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
途中が非常に不安だったけれど、ホテル住まいをつづけるよりは、早く自宅に帰って、一家
眷族
(
けんぞく
)
の中に落ちつきたかったからだ。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
唐
(
から
)
天竺日本にあらとあらゆる阿修羅の
眷族
(
けんぞく
)
を、一つところに封じ籠めて、夜な夜なかたきを呪うて居りまするぞ。やがてその
奇特
(
きどく
)
を……。
平家蟹
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは多分、弁信の前へ現われたピグミーと同一
眷族
(
けんぞく
)
のものに属するのでしょう。そうでなければ、全く同一物かも知れません。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
蜜蜂は二度
飼
(
か
)
って二度逃げられ、今は空箱だけ残って居る。
天井
(
てんじょう
)
の鼠、物置の
青大将
(
あおだいしょう
)
、其他無断同居のものも多いが、
此等
(
これら
)
は
眷族
(
けんぞく
)
の外である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
護送の役をする同心は、傍でそれを聞いて、罪人を出した親戚
眷族
(
けんぞく
)
の悲慘な境遇を細かに知ることが出來た。
高瀬舟
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その笑いに一家
眷族
(
けんぞく
)
みな出てきて盛大に笑いこけたり、そこへ、話しに聞いたばかりで未だ実物を見たことのない日本人が、しかも夫婦で来ているとあって
踊る地平線:04 虹を渡る日
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
人類も、またその数に洩れず、男女あって夫婦あり、夫婦あって親子あり、
而
(
しか
)
して兄弟姉妹あり、一家
眷族
(
けんぞく
)
あり、
而
(
しか
)
して
郷党
(
きょうとう
)
あり、社会あり、国家あるのである。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
今日
(
こんにち
)
の
餌食
(
えじき
)
ゆえです。
汝一人
(
おのれいちにん
)
ならどうにか中くらいにでも食えようが、詮ずる処、妻子
眷族
(
けんぞく
)
、つづいては一類一門のつながりに、稼がないではいられないからだよ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
切っても切れぬ同姓や
眷族
(
けんぞく
)
、多年恩顧の頼み頼まれた武士、又は新規召抱ではあるが、家来は主の義勇を慕い知遇を感じ、主は家来の器量骨柄を
愛
(
め
)
でいつくしめる者共
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
答『むろん
沢山
(
たくさん
)
の
眷族
(
けんぞく
)
がある。
人霊
(
じんれい
)
、
天狗
(
てんぐ
)
、
動物霊
(
どうぶつれい
)
……
必要
(
ひつよう
)
に
応
(
おう
)
じていろいろ
揃
(
そろ
)
えてある……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
サタンの
眷族
(
けんぞく
)
は天を追われて地に下り、人類の世界を乗り取ってここに己が国を建てていた。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
林町の連中も一家
眷族
(
けんぞく
)
で市電よ。これは私は大賛成です。特に太郎が大馬鹿三太郎と改名しないために、大賛成です。来年小学校。これも近所の小学に入ることになります。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
親子兄弟、親類
眷族
(
けんぞく
)
、
嬶
(
かかあ
)
も
妾
(
めかけ
)
ももちろん持たない。タッタ一人のスカラカチャンだよ。
氏
(
うじ
)
も
素性
(
すじょう
)
もスカラカ、チャカポコ。鞄一つが
身上
(
しんじょう
)
一つじゃ。親は木の股キラクな風の。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
飛行機乗り飛行機より落るや新聞紙必号外を出し
世
(
よ
)
挙
(
こぞ
)
って之を悲しむ。死者の
眷族
(
けんぞく
)
悲嘆するは当然の事なり。世挙って此を悲しみ此を壮とするに至っては疑なきを得ざるなり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
眷族
(
けんぞく
)
や仲間が百名ちかく集っての盛大な酒宴が開かれ、盃は新郎新婦へ矢のようにとんだ。
奇賊悲願:烏啼天駆シリーズ・3
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ホウ、こりゃなんとしたな。一家
眷族
(
けんぞく
)
が、残らず一堂に揃って、鉛色の顔をしておるが」
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
空の上で雷の
眷族
(
けんぞく
)
が大騒ぎをしているような音がし、夏雲の中からプラチナの針金がきらめくような光のマスがあらわれたと思うと、間もなくそれが飛行機のかたちになった。
だいこん
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
凡そアテネの法律は、いやしくもアテネ人にして、これに対して不満を抱く者あらば、その妻子
眷族
(
けんぞく
)
を伴うて、どこへなりともその意に任せて立去ることを許しているではないか。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
その
稚子
(
ちし
)
また
眷族
(
けんぞく
)
なる件の諸魚が半竜半馬の相を具うるので照々たりといわん。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その時、あの傘張の翁の家は、運悪う風下にあつたに由つて、見る見る焔に包れたが、さて親子
眷族
(
けんぞく
)
、慌てふためいて、逃げ
出
(
いだ
)
いて見れば、娘が産んだ女の子の姿が見えぬと云ふ始末ぢや。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
つい
一昨年
(
おととし
)
まで他人の住まいだった屋敷に、こけ猿の財産が埋ずめてあるなんてエのは、どう考えてもうなずけない話だから、藩士一同、それこそ、お稲荷さまの
眷族
(
けんぞく
)
に化かされたような形。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
なぜなら彼らは、老後において妻子
眷族
(
けんぞく
)
にかしずかれ、五枚
蒲団
(
ぶとん
)
の上に坐って何の心身の苦労もなく、
悠々
(
ゆうゆう
)
自適の
楽隠居
(
らくいんきょ
)
をすることができるからだ。反対に西洋人は、老年になってからみじめである。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「一匹か。それとも、
眷族
(
けんぞく
)
がとぐろでも巻いてるか!」
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
日本
(
につぽん
)
の
地
(
ち
)
に
罷在
(
まかりあ
)
る
眷族
(
けんぞく
)
の
蛇類
(
へびども
)
、かの
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
眷族
(
けんぞく
)
に信子、千代子を加ふ。
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
檜の
木片
(
こつぱ
)
は私の
眷族
(
けんぞく
)
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
ただ三日目に、柴進の
眷族
(
けんぞく
)
十数人が、発見された。思いがけない林の中で、急造らしい板屋
葺
(
ぶき
)
の監房に押しこめられていたのである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
犬というものは、通常、善良なる畜類であって、決して悪魔の
眷族
(
けんぞく
)
とはいえないが、ただその餓えたる時のみは正真の悪魔です。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……『
真鍮
(
しんちゅう
)
の城の
眷族
(
けんぞく
)
ども』に迫害されるという事も、こういう意味から云う時は、肉身刑罰の一つとして
甘受
(
かんじゅ
)
すべきものかもしれません
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
で、女の
児
(
こ
)
は生長するのを待って結婚する、男の
児
(
こ
)
は自分達の
眷族
(
けんぞく
)
にして
了
(
しま
)
う。
勿論
(
もちろん
)
、同族結婚などを
頓着
(
とんちゃく
)
しているのでは無い。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そういうあわれなモオリーが、「親父の幽霊」の
眷族
(
けんぞく
)
ともいうべきこのおれに、
沙港
(
シヤトル
)
からアラスカまでつきまとわれなければならなかったというのは、たしかにひとつの不幸であった。
南部の鼻曲り
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一体、俺たちが妻子
眷族
(
けんぞく
)
を捨ててここまでお前さんについて来たのは何のためだと思うんだ。みんな、お前さんの身の上を気づかって、お前さんの落着く所を見届けたい一心からじゃねえか。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
問『
各神社
(
かくじんじゃ
)
には
竜神様
(
りゅうじんさま
)
の
外
(
ほか
)
にもいろいろ
眷族
(
けんぞく
)
があるのでございますか?』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
妻子
眷族
(
けんぞく
)
に取捲かれてシンミリした余生を送るどころか、その研究が世に出る時は、自分の一生涯の破滅の時だ。飛んでもない野郎だというので、踏んで蹴られて、
唾液
(
つば
)
を吐きかけられる時だ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「王子が近いから、いずれ
装束稲荷
(
しょうぞくいなり
)
の
眷族
(
けんぞく
)
が、千住あたりの同類へ嫁入するんだろうてえことでその晩は済んだが、驚いたことにそれから三日目の晩、また雨のショボショボ降る日、こんどは先のよりでっかい狐の嫁入があったんです」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
日本の地に
罷在
(
まかりあ
)
る
眷族
(
けんぞく
)
の
蛇類
(
へびども
)
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それまでの関羽は、さながら天魔の
眷族
(
けんぞく
)
を率いる
阿修羅王
(
あしゅらおう
)
のようだったが、はッと、偃月刀を後ろに引いて、駒の手綱を締めると
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これで何百年来この山国を
閙
(
さわが
)
した𤢖の
眷族
(
けんぞく
)
も、
果
(
はた
)
して全滅したであろうか。
或
(
あるい
)
は
猶
(
なお
)
其余類
(
そのよるい
)
が山奥に
潜
(
ひそ
)
んでいるであろうか。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうしてそこには蛇使いの恐い恐いお婆さんが、沢山の
眷族
(
けんぞく
)
を引き連れて、住んでいるそうでございます。壺神様のご神体は
剣
(
つるぎ
)
だそうでございます。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
手持の船に一家
眷族
(
けんぞく
)
を乗せてツーランに入津し、フェイフォに落着きたい意嚮らしかったが、海賊の
嫌疑
(
けんぎ
)
があるので、大年寄がいい返事をしなかったら腹を立てて
暹羅
(
シャム
)
のアユチャに行き
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それほどでございますから、月卿雲客、名将勇士たち、みなわたくしたちに取入って、入道殿の御前をつくろわんと致しました。わたくしたちの一家
眷族
(
けんぞく
)
の末までも多分の恩賞がございました。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その
酷
(
むご
)
たらしい光景を額面の向って右の方から、黄金色の
輿
(
こし
)
に乗った貴族らしい夫婦が、美々しく装うた
眷族
(
けんぞく
)
や、臣下らしいものに取巻かれつつも
如何
(
いか
)
にも興味深そうに悠然と眺めているのであるが
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
これ
等
(
ら
)
の
神々
(
かみがみ
)
の
外
(
ほか
)
に、この
国
(
くに
)
には
観音様
(
かんのんさま
)
とか、
不動様
(
ふどうさま
)
とか、その
他
(
ほか
)
さまざまのものがございますが、
私
(
わたくし
)
がこちらで
実地
(
じっち
)
に
査
(
しら
)
べたところでは、それはただ
途中
(
とちゅう
)
の
相違
(
そうい
)
……つまり
幽界
(
ゆうかい
)
の
下層
(
かそう
)
に
居
(
お
)
る
眷族
(
けんぞく
)
が
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
蒲生賢秀
(
がもうかたひで
)
以下の留守居衆が、信長の妻子
眷族
(
けんぞく
)
をつれて
悉
(
ことごと
)
く日野の城へ退いていた後だし、町の家々にも、
暖簾
(
のれん
)
も見えず商品の影もない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おそらく
彼
(
か
)
の小女郎狐の
眷族
(
けんぞく
)
であって、その復讐のために彼等もまた松葉いぶしのむごたらしい死を遂げたのであろう。
半七捕物帳:24 小女郎狐
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「気に入ったな、ひどく気に入った、地獄の頭は面白い、だが閻魔になったからには、赤鬼青鬼の
眷族
(
けんぞく
)
がなけりゃあ、ちょっとニラミが利かねえなあ」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“眷族”の意味
《名詞》
眷族(けんぞく)
「眷属」の異綴。
(出典:Wiktionary)
眷
漢検1級
部首:⽬
11画
族
常用漢字
小3
部首:⽅
11画
“眷”で始まる語句
眷属
眷顧
眷屬
眷恋
眷々
眷遇
眷
眷愛
眷慕
眷願