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白皙
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はくせき
ふりがな文庫
“
白皙
(
はくせき
)” の例文
しかも、我々を舁ぎ入れた黒奴らは、
白皙
(
はくせき
)
美人のそうした姿態にも、別段心を動かされる様子もなく、空轎を担って引き揚げてゆく。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
私もまごついたが、相手は、もっと
狼狽
(
ろうばい
)
したようであった。れいの秀才らしい生徒である。
白皙
(
はくせき
)
の顔を真赤にして、あははと笑い
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
アイヌは
白皙
(
はくせき
)
人種であろうか。だが、かの人種の皮膚は銅色がちの
鳶色
(
とびいろ
)
だとジョン・バチェラー氏はいった。私はそれを信じよう。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
彼女自身に云わせれば母親の方に
土耳古
(
トルコ
)
人の血が交っていると云うことで、その肌の色の
白皙
(
はくせき
)
でないのを隠そうためにしているのだが
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
白衣
(
びゃくえ
)
を着て、黒い
袈裟
(
けさ
)
をかけて、端麗で
白皙
(
はくせき
)
な青年は俗界の
塵
(
ちり
)
の何ものにもまだ染まっていなかった。処女のように、きれいであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
そんな気取ったことを言って、扉の隙間に半身を現わしたのは、四十五六の男、——長身
白皙
(
はくせき
)
のコールマン髭ではありませんか。
奇談クラブ〔戦後版〕:16 結婚ラプソディ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
電気学会長である帝大工学部長の川山博士の
白頭
(
はくとう
)
や、珍らしく背広を着用に及んでいる
白皙
(
はくせき
)
長身
(
ちょうしん
)
の海軍技術本部長の
蓑浦
(
みのうら
)
中将や
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
やや青みがかった
白皙
(
はくせき
)
の面にきりりと自信のほどを示すと、右門は長刀をかるくひざに敷いて、黙然と駕籠をあげさせました。
右門捕物帖:04 青眉の女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
応接室に通されておよそ十五分ばかりも待ってると、やがて軽い
靴
(
くつ
)
の音が聞えてスウッと
扉
(
ドア
)
を
排
(
ひら
)
いて現れたのは
白皙
(
はくせき
)
無髯
(
むぜん
)
の美少年であった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
伊兵衛はそう呼びかけながら、庇の下から出て行った……振返った道之進の
白皙
(
はくせき
)
の面が、積り始めた路上の雪明りを受けて青いように見えた。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
白皙
(
はくせき
)
な額と澄み切った眼とが深い学者的な感銘を与えずにおかないO氏が、白色の指揮棒を取って「讃美歌——番」と囁く。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
玄機は
出
(
いで
)
て李と相見た。今年はもう十八歳になっている。その容貌の美しさは、温の初て逢った時の比ではない。李もまた
白皙
(
はくせき
)
の
美丈夫
(
びじょうふ
)
である。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
あの
白皙
(
はくせき
)
人型の越後系のがっしりした、
均齊
(
きんせい
)
のよく取れた骨格で、性格にも
恪勤
(
かっきん
)
とか忍耐とか、どんな困難に遭遇しても
撓
(
たわ
)
まない
強靱
(
きょうじん
)
さがあり
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ブルジョア地主出身のいわばインテリで
白皙
(
はくせき
)
長身、満々たる覇気と女郎買いをしたことまで日記につける律気さがある。
新撰組
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
「
古
(
むか
)
し我先人が文明を買ひし
価
(
あたひ
)
は国を
亡
(
うしな
)
ふ程に高直なりき」と
白皙
(
はくせき
)
人種に駆使せられながら我子孫のツブヤカんことを。
英雄論:明治廿三年十一月十日静岡劇塲若竹座に於て演説草稿
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
丙午ノ春余大沼子寿ノ
許
(
もと
)
ニ飲ム。座ニ一人余ト年相
若
(
し
)
クモノヲ見ル。
白皙
(
はくせき
)
ニシテ長大、意気
倜然
(
てきぜん
)
トシテ顧譲スル所ナシ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
小男の岩城播磨守は
猪首
(
いくび
)
に口をへの字に曲げて、長身、
痩躯
(
そうく
)
、
白皙
(
はくせき
)
、
胡麻塩
(
ごましお
)
、
各人各様
(
かくじんかくよう
)
の一癖ありげな面だましいだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
が、そう努めれば努めるほど、青年の言葉やその
白皙
(
はくせき
)
の面に浮ぶ微笑が、悩ましく耳に付いたり、眼についたりした。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼の眼は大きく碧くて、
鳶色
(
とびいろ
)
の
睫毛
(
まつげ
)
に被はれ、象牙にも
紛
(
まが
)
ふ
白皙
(
はくせき
)
の高い額には、心なしの金髮の捲毛がこぼれてゐる。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
渠等
(
かれら
)
が炎熱を冒して、流汗面に
被
(
こうむ
)
り、気息
奄々
(
えんえん
)
として労役せる頃、高楼の窓半ば開きて、へいげん
帷
(
とばり
)
を掲げて
白皙
(
はくせき
)
の
面
(
おもて
)
を
露
(
あらわ
)
し、微笑を含みて見物せり。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
明らかに
白皙
(
はくせき
)
人種の血が、この少年の血統に
交
(
まじ
)
っている事を推定させますので……しかも……そうとしますれば余程以前に、少なくとも一千数百年以前に
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鈍重な波のまにまに、破れた黒い帆が傾いてぎしぎし動き出した。
白皙
(
はくせき
)
明敏な中古代の勇士のような顔をしている
参木
(
さんき
)
は、街を廻ってバンドまで帰って来た。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その席で、
小柄
(
こがら
)
で
白皙
(
はくせき
)
で、詩吟の声の悲壮な、感情の熱烈なこの少壮従軍記者は始めて葉子を見たのだった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
白皙
(
はくせき
)
長身の子と、白髪まじりの不精鬚につつまれた
異相矮躯
(
いそうわいく
)
の父とは、まことに奇妙な対照である。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
十八の男童の様な体格の
宜
(
よ
)
い瞳の冴え冴えした少女がしゃんと胸を張って額に森の青葉の色の反映する
白皙
(
はくせき
)
の青年と寸分の隙もなく論談する——光景はそれだけで
沢山
(
たくさん
)
智慧に埋れて
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その頃の代言人(弁護士)は長髪の人が多かったが、高梨は
白皙
(
はくせき
)
美貌
(
びぼう
)
、長髪がよく似合った。
旧聞日本橋:16 最初の外国保険詐欺
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
欧州人は世界至る所に
跋扈
(
ばっこ
)
し、
白皙
(
はくせき
)
人の世界、白皙人の宗教道徳のみという観の有ったのは十九世紀の
半
(
なか
)
ばまでの大勢であって、回顧すれば、これは誠に東西に分派した文明が
日本の文明
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
六尺近い大男で、日本人には類のない
白皙
(
はくせき
)
の
面
(
おもて
)
にやや赤味を帯びた
口髭
(
くちひげ
)
をはやしていた。
大人の眼と子供の眼
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
黄色人と
白皙
(
はくせき
)
人というような差別を超えた所の無階級一律的の要求であると思います。
婦人改造の基礎的考察
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
白皙
(
はくせき
)
の顔に紅潮がさし、眼の色が少しく据わっている。しかし姿勢は崩れていない。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
白皙
(
はくせき
)
の青年は
頬
(
ほお
)
を紅潮させ、声を
嗄
(
か
)
らして
叱咤
(
しった
)
した。その女性的な高貴な風姿のどこに、あのような激しさが潜んでいるのか。悟浄は驚きながら、その燃えるような美しい
瞳
(
ひとみ
)
に見入った。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
先生は
白皙
(
はくせき
)
長身
(
ちょうしん
)
、一見して皆その
偉人
(
いじん
)
たるを知る。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
その浅黒い皮膚の色には今以て魅惑を感じながら、たとい人工的であっても矢張
白皙
(
はくせき
)
の肉体が
醸
(
かも
)
す幻想を破りたくないような気がして
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
青年の
白皙
(
はくせき
)
な、女にしたいほど目鼻だちの整った顔が現れたが、その
眉宇
(
びう
)
の間には、隠しきれない大きな心配ごとのあるのが物語られていた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
白皙
(
はくせき
)
の
癇
(
かん
)
の強そうな顔、大股にさっさと歩く身ごなしなど、いかにも
我儘
(
わがまま
)
な、
不羈
(
ふき
)
奔放そのものといった風格が感じられる。
足軽奉公
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
裸にしても
堂上人
(
どうじょうびと
)
らしく
白皙
(
はくせき
)
の美男であるから、実際の年はもっとよけいかも分らない。眉は濃く、唇は
朱
(
あか
)
く、才気煥発なところが
眸
(
ひとみ
)
に出ている。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
客の武家は輕く
頤
(
あご
)
をしやくりました。申す迄もなく御簾中樣用人島五六郎、長身
白皙
(
はくせき
)
で、鼻の高い、唇の赤い美男子。
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
御所解模様
(
ごしょどきもよう
)
を胸高に総縫にした黒
縮緬
(
ちりめん
)
の振袖が、そのスラリとした
白皙
(
はくせき
)
の
身体
(
からだ
)
に、しっくりと似合っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
前刻
(
さっき
)
の
蓮根市
(
はすいち
)
の影法師が、旅装で、
白皙
(
はくせき
)
の紳士になり、且つ
指環
(
ゆびわ
)
を、
竈
(
かまど
)
の火に彩られて
顕
(
あら
)
われた。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
油できれいに分けた濃い黒髪は、西洋人の金髪にはまた見られぬような趣のある対照をその
白皙
(
はくせき
)
の皮膚に与えて、カラーとネクタイの関係にも人に気のつかぬ凝りかたを見せていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
白皙
(
はくせき
)
、黒髪、長身で、おとなしやかな坊ちゃん育ちも、彼の
覇気
(
はき
)
は、かなり自由に伸びて、雑誌『
都
(
みやこ
)
の花』主幹として、日本橋区本町の
金港堂
(
きんこうどう
)
書店から十分な月給をとっていたうえに
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
白皙
(
はくせき
)
紅顔の美青年栄三郎は、このごろはべに絵売りの
扮装
(
いでたち
)
も板についてきて、毎日、はでなつくりに木箱を背負っては江戸の町々を
徘徊
(
はいかい
)
し、乾雲の眼を避けながらその動静を探っている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
驚くべきは顔色であって、
白皙
(
はくせき
)
に赤味を加えている、二十歳時代の、青年の顔の色そっくりというべきであった。鉄色の羽織を着ていたが、それは高価な
鶉織
(
うずらおり
)
らしく、その定紋は
抱茗荷
(
だきみょうが
)
である。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
萌黄
(
もえぎ
)
色の軍服……高い深緑の
天鵞絨
(
ビロード
)
の
襟
(
えり
)
、肩章に飾帯をお着けになって、
丁抹
(
デンマーク
)
龍騎兵大尉の通常軍服を召された
面長
(
おもなが
)
なお顔! 深海の底を思わせる澄んだ
碧
(
あお
)
い
瞳
(
ひとみ
)
……
白皙
(
はくせき
)
の
額
(
ひたい
)
にやや垂れ加減の
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それはまことに
白皙
(
はくせき
)
の、髪も眉も
眶毛
(
まつげ
)
も、その太い鼻も、頬の額の深皺も雪のような、何か品のよい老婆が、壁際の白いベッドに白いクッションを高く、下半身に白い薄手の毛布を引きあげて
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
その妄想は次第次第に消滅して、
耶蘇
(
ヤソ
)
教国以外、
白皙
(
はくせき
)
人種以外に、日本の進歩はいわゆるこの正理の上から世界の正理の助けを受けて、ついに同等の地位を保つということに至ったのであります。
外交の方針
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
が、そうは云うものの、
白皙
(
はくせき
)
人種の婦人に接近し得ることは、私に取って一つの喜び、———いや、喜び以上の光栄でした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
腕時計の
硝子蓋
(
ガラスぶた
)
を、白い実験着の
袖
(
そで
)
で、ちょいと丸く
拭
(
ぬぐ
)
いをかけて、そう皮肉ったのは
白皙
(
はくせき
)
長身の理学士
星宮羊吾
(
ほしみやようご
)
だった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし彼は叔父勝家のようなあばたの
瓶
(
かめ
)
わり
面
(
づら
)
とちがい、
白皙
(
はくせき
)
の美丈夫にして、見るからに
虎眉豹身
(
こびひょうしん
)
の気にみちている。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
憂いのある
白皙
(
はくせき
)
の顔に、乱れかかる髪の二筋三筋が、どうかすると
艶
(
なま
)
めかしいほども美しい印象だった。
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“白皙”の意味
《名詞》
白皙(はくせき)
皮膚の色が白いこと。
(出典:Wiktionary)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
皙
漢検1級
部首:⽩
13画
“白皙”で始まる語句
白皙人
白皙明眉
白皙明眸
白皙柳眉
白皙無髯
白皙痩身
白皙秀眉
白皙端麗
白皙紅唇
白皙美髯