“畸形:きけい” の例文
“畸形:きけい”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治7
岡本かの子4
ヴィクトル・ユゴー3
宮沢賢治2
柳宗悦2
“畸形:きけい”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 工芸 > 工芸25.0%
文学 > フランス文学 > 小説 物語9.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
その各段は、哲学の立脚し得る各段であって、そこには、あるいは聖なるあるいは畸形きけいなる種々の労働者がひとりずつおる。
彼の柔軟なたわみやすいはずれがちな病的な畸形きけいな思想は、背骨にまといつくがようにアンジョーラにまといついた。
問題の役人が手に取って示したのは、畸形きけい裸形らぎょうの男女を描いた、立川流の敷曼陀羅しきまんだらというのに似ている。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
で、あたかも老女たちの頭は、小長い無数の銀の線を、い合わせてできた畸形きけいな球が、四つかたまっているように見えた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
天才は、一種の畸形きけいであるというが、半兵衛重治も病弱だった。——青年の頃になると、その病骨は、なお、はっきり現われて来た。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乙彦は、すさんだ皮膚をして、そうして顔が、どこか畸形きけいの感じで、決して高須のような美男ではなかった。
火の鳥 (新字新仮名) / 太宰治(著)
非常に片寄った畸形きけいなものだけれど、そういう中からいいものを見つけ出して、それを棄てずに純粋にして大きくしなければならぬと思う。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
あの強いて加えたいびつや、でこぼこや、かかる畸形きけいは日本独特の醜悪な形であって、世界にも類例がない。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
子供は自分の畸形きけいな性質から、いずれは犯すであろうと予感した罪悪を、犯したような気がした。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それは蜂の女王が生殖機関たることに偏した結果、それ以外には畸形きけい的無能力者となったのにたとえても好いような状態に堕落してしまいました。
婦人改造の基礎的考察 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
六枚の写真は、毎年の季節風のため、満州のある地方の樹木が発達を阻止され、一定の法則をもって変化する。畸形きけいになる。その経過の研究なのであった。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
日本の分裂症時代、“南北朝”とよばれる畸形きけいな国家へ突入して行った年を、この春とすれば、以後、その大患はじつに、五十七年間もつづいたのである。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真如しんにょの実相とは、世にれられぬ畸形きけいの徒が、容れられぬうらみを、黒※郷裏こくてんきょうりに晴らすための妄想もうぞうである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この媚が無形の悪習慣というよりは、むしろ有形の畸形きけいのように己の体に附いている。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
屋根も異様に細長く、瘠せた鶏のあしみたいに、へんに骨ばって畸形きけいに見えた。
猫町:散文詩風な小説 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
湯の沸く間に、彼は彼の唯一の愛玩あいがん品の南蛮なんばん製の茶瓶ちゃびんひざに取上げて畸形きけいの両手で花にでも触れるやうに、そつとでた。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
そして、自分の畸形きけいを誇る役者のように、君らは君らの畸形で文学を作っている。
それが植物という概念と結びついて、畸形きけいな、変に不気味な印象を強めていた。
雪後 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
諸君のごと畸形きけいの信者は恐らく地下の釈迦も迷惑めいわくであろう。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
八弥は、畸形きけい爬虫類はちゅうるいのように、ひじ、膝、肩までを地にりつけたまま、眼だけを相手の筒口つつぐちに向けて、ジリジリと前へ迫り出した。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又、あの時にたった一度知ったとしても、その以後再び幼時の古い傷口を突っかれることがなかったならば、あゝ迄彼の性慾が畸形きけい的になりはしなかったであろう。
食慾だけ取立てられて人類の文化に寄与すべく運命付けられた畸形きけいな天才。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
必ず畸形きけいとなり廃物となりまたおそらくは怪物となるの運命を有している。
明子は畸形きけい的に早い年齢に或る中年の男と肉体的経験をつてゐた。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
ぶよぶよした貝の肉のようなものから、畸形きけいの獣めいたものが出て来る。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
なにかしら畸形きけいな、丸々とした、非常に美しい桃色の生きものであった。
黒蜥蜴 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
どうして日本はややもすれば畸形きけい跛行はこう文化に走るのだろう。
文化の日 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狂猛な怒濤どとうの跡はその畸形きけいな堆積の上に印せられていた。
半創成の畸形きけいな金魚と逸話いつわだけが飼育家仲間に遺った。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
即ち、明治の末期より、大正、そして現在へかけての自然主義文学の輸入、跋扈ばっこ、従って極端なる、異常事件の軽蔑、興味の否定、そのために、日本の文芸は畸形きけい的発達を遂げた。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
家庭が畸形きけいになりそうな気もするのが、われながら恐い。
髪は、禿げ上がり、顔は赤黒い無気味な照りを持って、れた唇のわきには、紫いろの斑痕ぶちが出来ていて、人の二倍もあるかのように全体が畸形きけいに大きくふくれているのだ。
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この畸形きけいな三角関係が平和に続けられる筈がない。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
人間の畸形きけいにも不具と出来過ぎとが確かにある。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
卓の向こう側に城主がいた。牀几しょうぎに腰をかけていた。鉛色の仮面の横顔と、纐纈布で作られた、深紅の陣羽織の肩の上で、テラテラ灯火に光っているのが、畸形きけいな彫刻でも見るようであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
だがそれは畸形きけいではない、粗悪ではない。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
二年ほど前から肥り気味になって、胴の長い脚の短い生れつきの体が、よけい畸形きけいに見えて来ているが、黄金の太刀や、高貴な織物の小袖ばかまは、お館の尊厳をつつんで褄先つまさきも余さなかった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
畸形きけいで、男と寝たがる意地ぎたなさ
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
けれどもそれはまったく、作者に未知みちえざる驚異きょういあたいする世界自身じしん発展はってんであって、けっして畸形きけいねあげられた煤色すすいろのユートピアではない。
だがそれは畸形きけいではない。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
特に強い印象は、重錘揚じゅうすいあげ選手みたいに畸形きけい的な発達をした上体と、不気味なくらい大きな顔と四ひらで、肩の廻りには団々たる肉塊が、駱駝らくだ背瘤せこぶのように幾つも盛り上っていた。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
常に正しいことだけを形式的に言う人、絶対に非難の余地のないような説教を垂れる人、所謂いわゆる指導者なるものが現われたが、これは特定の個人というよりは、強制された精神の畸形きけい的なすがたであったと言った方がよい。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
御覽の通り、この子は、まだ若い、姿、形も普通の子供である。神樣は、御寛大にも、我々すべてに與へ給うたと同樣の形をこの子供にも與へられた。特に異常な性質を持つてゐるといふしるしになる畸形きけいな點があるわけでもない。
かように化物共がわれもわれもとてらしんきそって、ついにはつばめの尾にかたどった畸形きけいまで出現したが、退いてその由来を案ずると、何も無理矢理に、出鱈目でたらめに、偶然に、漫然に持ち上がった事実では決してない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今日のビジテリアンは実に印度インドいにしえの聖者たちよりも食物のある点について厳格である。されどこれ畢竟不具である畸形きけいである、食物のみ厳格なるも釈迦の制定したる他の律法に一も従っていない。特にビジテリアン諸氏よくこれを銘記めいきせよ。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
左はやなぎ稚松わかまつと雑木の緑とうつした青とで野趣やしゅそのままであるが、遊園地側の白い道路は直立した細い赤松の並木が続いて、一、二の氷店こおりみせや西洋料理亭の煩雑はんざつな色彩が畸形きけいな三角の旅館と白い大鉄橋風景の右たもとに仕切られる。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ことにこの小説の末尾には、毛をむしられた鶴のばさばさした羽ばたきの音を描写しているのであるが、作者は或いはこの描写に依って、読者に完璧かんぺきの印象を与え、傑作の眩惑げんわくを感じさせようとしたらしいが、私たちは、ただ、この畸形きけい的な鶴の醜さに顔をそむけるばかりである。
猿面冠者 (新字新仮名) / 太宰治(著)
当代のごとく俳諧の乏しく、もしくは畸形きけいに発育してしまった世の中に、生まれ合わせて来た我々は、殊に是を改善整頓して、人間の最も埋没まいぼつしやすい生活、いわゆる片隅かたすみの喜怒哀楽、ありふれたる民衆の幸福と不幸とのために、大きな記念碑を建てようとした先賢の事業を、尊敬せずにはおられないのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)