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曖昧
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あいまい
ふりがな文庫
“
曖昧
(
あいまい
)” の例文
いくら聞かれても
曖昧
(
あいまい
)
な返事ばかりしていて、最後に
退
(
の
)
っ
引
(
ぴ
)
きならないところまで来てしまってから、強情を張り出した点であった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼女は身震いしてるらしかった——おそらく驚きのためだったろう? 彼女は口ごもりながら、そこにいたわけを
曖昧
(
あいまい
)
に述べたてた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
自分はぐずついてすこぶる
曖昧
(
あいまい
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
をした。その時
呑
(
の
)
み込んだ
麺麭
(
パン
)
の
一片
(
いっぺん
)
が、いかにも水気がないように、ぱさぱさと感ぜられた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この見かけ上のパラドックスは、実は「あたま」という言葉の内容に関する定義の
曖昧
(
あいまい
)
不鮮明から生まれることはもちろんである。
科学者とあたま
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「うんは。」その人は大へん
曖昧
(
あいまい
)
な調子で答へました。これが、私を、どうしても、もっと詳しく化物丁場の噂を聴きたくしたのです。
化物丁場
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
「ようだとは面妖だな、長い物なら長い物と云わなければ分らぬ。ようだなどと
曖昧
(
あいまい
)
なことを申すな、——長くてどんな色をしている」
松林蝙也
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
吉田はそれに対して「だいぶ南の方だ」と
曖昧
(
あいまい
)
に言って、それを相手に教える意志のないことをその女にわからそうとしたのであるが
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
ただたぶんこの事がらに関係がありそうに思わるるかなり
曖昧
(
あいまい
)
な手記が、司教の書き物のうちに見いだされた。次のような文句である。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
だが
極
(
きわ
)
めて浅薄であり、少しも象徴芸術の本質に触れていない。そして一層
滑稽
(
こっけい
)
なのは、象徴を以て
曖昧
(
あいまい
)
朦朧とさえ解釈している。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
するとまた三名は、
曖昧
(
あいまい
)
な笑顔を示しているだけで、口をつぐみこんでしまった。お互いに答えを譲り合っているらしいのである。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、何のために船へ乗ったか、不思議にもそれは覚えていない。つれがあるのか、一人なのか、その
辺
(
へん
)
も同じように
曖昧
(
あいまい
)
である。
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その現々たるや、意味のごとく
曖昧
(
あいまい
)
で、
虚気
(
うっかり
)
としていたのか、ぼうとなっていたのか、それともちょいと寝たのか、我ながら
覚束
(
おぼつか
)
ないが
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
社会科学という名は近ごろ我が国でもしばしば用いられるようになったが、その用いかたはいろいろであり、その意義は甚だ
曖昧
(
あいまい
)
である。
歴史の学に於ける「人」の回復
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
人道という字も戦争の口実としてしばしば聞くところであるが、列国間に用いる場合にはこの文字の意味はすこぶる
曖昧
(
あいまい
)
である。
戦争と平和
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
「面白うないこともない……。」辰男はやがて
曖昧
(
あいまい
)
な返事をしたが、自分自身でも面白いとも面白くないとも感じたことはないのだつた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
私はさような
曖昧
(
あいまい
)
な事は出来ません。目的を達するためにはどんな方法をも
執
(
と
)
るべしというお説には同意することが出来ません。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
しかしわたしとしては、幸徳君とは毎日毎晩、会えば必ず議論するというほどで、決して友情のために主義主張を
曖昧
(
あいまい
)
にしてはいなかった。
赤旗事件の回顧
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
もっと
訊
(
き
)
き
質
(
ただ
)
したくもあり、黙って引き退るべきであるような
曖昧
(
あいまい
)
な気持になりながら、矢張り、も少し
詳
(
くわ
)
しく聞きたかった。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
速記のやや
曖昧
(
あいまい
)
なところは原本と対照して訂正した。そうして出来あがったのが此の一巻である。仮りに題して『支那怪奇小説集』という。
中国怪奇小説集:02 開会の辞
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、
曖昧
(
あいまい
)
に答へながら、
媚
(
こ
)
びるやうに私は兄の顔を
視戍
(
みまも
)
つてゐた。兄と一緒にさへ居られれば力強い気がされてゐたのだつた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
隣り同志だろう? まあ/\、その辺は
曖昧
(
あいまい
)
にぼかして結果丈け話そう。年甲斐もないなんて碁打連中から苦情が出ると困る。
小問題大問題
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
撞着
(
どうちゃく
)
が撞着のようにも考えられなかった。葉子への優先権というようなものをも、
曖昧
(
あいまい
)
な計算のなかへそれとなく入れてもいたのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お銀様はそれを
曖昧
(
あいまい
)
に済ますことができない
性質
(
たち
)
です。立って仏壇をあけて見ましたけれども、仏壇の中は暗くありました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芸術に関する事は素より、一般教養のこと、精神上の諸問題についても突きつめるだけつきつめて考えて、
曖昧
(
あいまい
)
をゆるさず、妥協を卑しんだ。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
頗
(
すこぶ
)
る
曖昧
(
あいまい
)
なる返答であるが、現在旅人が通るのを見ると行けるに相違ない。何にせよ行ける処まで行こうという事になった。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
何か言うのかと思うと、手を口のところへ持って行って、口びるを
撫
(
な
)
でた。言葉を
拭
(
ふ
)
き
脱
(
と
)
ったような具合だ。黙り込んで
曖昧
(
あいまい
)
なお
低頭
(
じぎ
)
をした。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
十六の年には、
賭博師
(
いかさまし
)
の
情夫
(
いろおとこ
)
を持って、男に
唆
(
そそのか
)
されてマルセーユに出奔して、
曖昧
(
あいまい
)
屋の前借りを踏み倒して訴えられている。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかるをにわかに今日になり、天晴れ設計図は作りながら、肝腎の
鉱石
(
かないし
)
が地の底に、あるかないか疑わしいなどと、
曖昧
(
あいまい
)
なことを仰せらるる。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
問題は、彼もおそらく活動家なのであろうが、それもきわめて
曖昧
(
あいまい
)
で、つかみどころのない活動家だというところにある。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
曖昧
(
あいまい
)
な立場にいて自身は苦労をし、人からは
嫉妬
(
しっと
)
をされなければならない自分であるらしいと玉鬘は
歎
(
なげ
)
かれるのであった。
源氏物語:30 藤袴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
監督は、「うん」と
曖昧
(
あいまい
)
な返事をしてなお考えている様子だったが、やがて考えがきまったと見えて、平吉にいいつけた。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
それから、目撃者が沢山あった様におっしゃいますが、墓場の場合にしても、その他の後姿を見たとか何とかいうのは、皆
曖昧
(
あいまい
)
な所があります。
二癈人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
なんと
挨拶
(
あいさつ
)
していいか、うまい言葉が見つからず、私は
曖昧
(
あいまい
)
な微笑を浮べながら、寝間着の上に着た着物の前を合わせていた。すると、朝野が
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
(元禄時代にいはゆる不易流行なる語はややこの意に近しといへども、
彼
(
かの
)
時代には推理的の頭脳を欠きし故
曖昧
(
あいまい
)
を免れず)
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
曖昧
(
あいまい
)
なるは理想の賊なり、難解の語は詩人の賊なり。今の純文学を以て自ら任ずる者、漫に高壮、美大を称して、而して其言雲煙の漠たるが如し。
詩人論
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
以上のごとく人類の教師の伝記は、いずれもはなはだ
曖昧
(
あいまい
)
なものであって、どれだけが歴史的真実性を持つか、容易に言い難いものばかりである。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
八五郎の物を信じ易い心にも、
四方
(
あたり
)
の贅沢な空気と対照して、主人の言葉の
曖昧
(
あいまい
)
さが、大きな謎の
塊
(
かたま
)
りになるのでした。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
下郎の話は至極
曖昧
(
あいまい
)
ではあったが、忠清にも源氏の勢が相当の大軍であることは推察できた。二十万、もし話半分としても容易ならぬ兵力である。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「それとこれとは、お前、全然……」私は何となく
曖昧
(
あいまい
)
な調子でそう云いかけているうちに、急にいまのお前のこだわったようなものの問い方で
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
晦渋
(
くわいじふ
)
曖昧
(
あいまい
)
な陰鬱さの正反対で、男性的に朗々としてゐるし、形骸的な固さでない、みづみづとした印象に富んでゐる。
秋艸道人の書について
(新字旧仮名)
/
吉野秀雄
(著)
初めには裁いたものをも
赦
(
ゆる
)
し、
斥
(
しりぞ
)
けたものをも
摂
(
と
)
り、
曖昧
(
あいまい
)
なる内容は明確となり、しだいに深く、大きく、かつ高くなり、その終わりに近きものは
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
……その頃になると、高子と順一の長い間の
葛藤
(
かっとう
)
は結局、
曖昧
(
あいまい
)
になり、思いがけぬ方角へ解決されてゆくのであった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
いずれともつかぬ
曖昧
(
あいまい
)
な態度を取るに
若
(
し
)
くはない。とそう考えたのは、鶴子の身になってもやはり同じことであった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
曖昧
(
あいまい
)
に答えた。父は
蒲団
(
ふとん
)
の左角にひきつけてある懐中道具の中から、重そうな金時計を取りあげて、眼を細めながら遠くに離して時間を読もうとした。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
何しろ混雑の折柄のことですから、皆の行動の立証方法の甚だ
曖昧
(
あいまい
)
であったのも
已
(
や
)
むを得なかったことでしょう。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その返事は
曖昧
(
あいまい
)
で、ことによると、二人は別々に家の金を盗んで出たのかもしれないということになりました。
頭蓋骨の秘密
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
但し、その表現はいつもの通り度を越して
間
(
ま
)
の抜けたものであり、その発声は
曖昧
(
あいまい
)
で緩慢で、かつ何度も同じ事を繰返すのだから、解りにくいこと
夥
(
おびただ
)
しい。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「花吉の
凄腕
(
せいわん
)
真に驚くべしだ」「
露西亜
(
ロシヤ
)
に対する日本の態度の
曖昧
(
あいまい
)
なのも、君の為めだと云ふ
噂
(
うはさ
)
だぞ」「松島君に忠告して早く
戦争
(
いくさ
)
する様にして呉れ給へ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
戯言
(
ぎげん
)
とも附かず
罵詈
(
ばり
)
とも附かぬ
曖昧
(
あいまい
)
なお
饒舌
(
しゃべり
)
に暫らく時刻を移していると、
忽
(
たちま
)
ち梯子段の下にお勢の声がして
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それは何の横にあるのかまた田地が横に長いというのか分らぬ。つまり主たる語を二字とか三字とか合わせただけであるために多少
曖昧
(
あいまい
)
な地名が多くなった。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“曖昧”の解説
曖昧(あいまい, en: ambiguity)または曖昧性(あいまいせい)は、狭義には、物事が二通り以上に決められ得ること、一意に決められないことを指す。
単語や文章が二通り以上の意味で解釈されうること(多義性)を主に指す。言語学や文学批評など、様々な分野で扱われる。
ただし日本語では、不明瞭なこと・はっきりしないこと全般を指し、広義に用いられることが多い。
(出典:Wikipedia)
曖
常用漢字
中学
部首:⽇
17画
昧
常用漢字
中学
部首:⽇
9画
“曖昧”で始まる語句
曖昧糢糊
曖昧模糊
曖昧宿
曖昧屋
曖昧朦朧
曖昧千万
曖昧茫漠
曖昧雑駁