ちやう)” の例文
草刈鎌くさかりがまの一ちやうや二ちやうまへどうするもんぢやない、あつちへまはつてあしでもあらつてさあ」内儀かみさんのくちもとにはかすかなわらひがうかんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
權三の家の土間には一ちやうの辻駕籠が置いてある。二軒の下のかたに柳が一本立つてゐて、その奧に路地の入口があると知るべし。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
丁度下宿の前まで来ると、あたりをいましめる人足の声も聞えて、提灯ちやうちんの光に宵闇の道を照し乍ら、一ちやうの籠が舁がれて出るところであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
岡は柴田勘兵衛、石川彦兵衛に百目筒めづゝを一ちやうづゝ、脇勝太郎、米倉倬次郎よねくらたくじらうに三十目筒一挺宛を持たせて中川方へつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
付其外帳面ちやうめん書留かきとめるに米千八百五俵むぎ五百三十俵並に箪笥たんす長持ながもちさを村役人立合たちあひにて改め相濟あひすみ其夜寅半刻なゝつはんどき事濟に相成山駕籠やまかごちやうを申付て是へ文藏夫婦に下男吉平を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
老管理者はみちで金物屋に寄つて、金槌かなづちを一ちやう買つて帰つた。そして図書庫としよぐらに入ると、手垢てあか塵埃ほこりとにまみれた書物を一冊づつ取り出しては、いやといふ程叩きつけたものだ。
あかりがつけられると思つてネ、よろづやへボツ/\いつて蝋燭らふそくちやう買つてネ、ぐ帰らうとするとよろづやの五郎兵衛ゴロベイどんが、おとめさん久振ひさしぶりだ一服吸つていきなつて愛想するから
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
瓦斯ガスの火で𤍠くされた二ちやうこてかはがはる当てられる。こてをちよんちよんと音させたり、焼け過ぎたのをさます時にそのこての片脚を持つてきりきりと廻したりするのが面白さうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
駕籠かごを一ちやう駕籠屋かごやが四にんたふげ茶屋ちやややすんだのが、てく/\とかへつてた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私もお跡から参りまするとて日のうちには看護まもりの暇をうかがひて駆けいだすこと二度三度もあり、井戸にはふたを置き、きれ物とては鋏刀はさみちやう目にかからぬやうとの心配りも、あやふきは病ひのさする業かも
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
梯子一ちやう貸したら
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
おさへは大筒おほづゝちやうかせ、小筒持こづゝもち雑人ざふにん二十人を随へた瀬田で、そばに若党植松周次うゑまつしうじ、中間浅佶あさきちが附いてゐる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「へえわしもおつうにきあんした、かまちやうえねえもんだからどうしたつちつたら、お内儀かみさんいふからつたんだなんて、そんでもかまさゝなかりあんしたつけや」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
見んとて群集むれつどふ老若男女おしなべてあはれの者よ不便ふびんやと云ぬ者こそなかりけれかゝる所に向ふよりして早駕籠はやかごちやうワヤ/\と舁來かききたり人足どもは夫御早なり片寄々々かたよれ/\御用々々と聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
五両も六両もかりてるもんに一銭があになるべいと思つたが、よく/\思ひ直して、今夜つける油もねいから、よし/\これで蝋燭らふそくちやうかつてぢいさんとふたり暗闇くらやみで今夜泣くとこを、このおかげに
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
加番は各物頭ものがしら五人、徒目付かちめつけ六人、平士ひらざむらひ九人、かち六人、小頭こがしら七人、足軽あしがる二百二十四人をひきゐて入城する。其内に小筒こづゝ六十ちやう弓二十はりがある。又棒突足軽ぼうつきあしがるが三十五人ゐる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
出し桐棒駕籠きりぼうかごちやうには次右衞門三五郎打乘うちのり宿駕籠やどかご二挺には見知人甚左衞門善助の兩人打乘うちのり笈摺おひずる衣類いるゐ證據しようこに成べき品々は駕籠かごの上に付紀州和歌山を出立しゆつたつなし田丸越たまるごえをぞ急ぎける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
らがなんで三百ちやうぺんひいけたんだから、らがむしやらなこと大好だえすきのがんだから、いや本當ほんたうだよ、んで腹疫病はらやくびやうくつゝいたときだつて到頭たうとうねえつちやつたかんな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
間もなく騎馬武者五十人、徒歩かちの者六百餘人が鐵砲二百ちやうを持つて黒田邸を取り卷いた。寄手よせての引率者は兩夫人がをられるかと問うた。利安は兩人共たしかにをられると受け合つた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)