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慷慨
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こうがい
ふりがな文庫
“
慷慨
(
こうがい
)” の例文
世の中の事は概して江戸の敵を長崎で討つものなり。在野党の代議士今日議院に
慷慨
(
こうがい
)
激烈の演説をなして、盛んに政府を攻撃したもう。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そしてこれまでに接した志士や
慷慨
(
こうがい
)
家たちの言説や、竹隈で東湖から聞き得たことのなかから、彼は彼としての方向を掴んだのである。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かの幕末の志士等が作った非芸術的な
慷慨
(
こうがい
)
詩でも、やはり漢詩としての音律美をもち、それによって吾人をエピカルに陶酔させる。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
彼ら党人の論調の
粗笨
(
そほん
)
乱暴であることは往年の憲政擁護運動時代における
慷慨
(
こうがい
)
殺伐の
口吻
(
くちぶり
)
と比べて少しも進歩していないのに驚かれます。
選挙に対する婦人の希望
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
実に反動と申すものは恐ろしいもので、私はこの結婚後の二三年間において、いつとはなく、非常に女子の為に
慷慨
(
こうがい
)
する身となりました。
こわれ指環
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
▼ もっと見る
同じ逆境にしても、
慷慨
(
こうがい
)
の士には激しい痛烈な苦しみが、軟弱の
徒
(
と
)
には緩慢なじめじめした醜い苦しみが、というふうにである。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
漢文で、「
慷慨
(
こうがい
)
憂憤の士を
以
(
も
)
って狂人と為す、悲しからずや」としてある。墨の
痕
(
あと
)
も
淋漓
(
りんり
)
として、
死際
(
しにぎわ
)
に震えた手で書いたとは見えない。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と、歯をくいしばり、腕を
撫
(
ぶ
)
し、また、
慷慨
(
こうがい
)
の気を新たにして、式終るや、万歳の声しばし止まず、ために、天雲も
闢
(
ひら
)
けるばかりであった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此
(
これ
)
を
仮
(
か
)
り
来
(
きた
)
りて
以
(
もっ
)
て建文の位を
遜
(
ゆず
)
れるに涙を
堕
(
おと
)
し、
燕棣
(
えんてい
)
の国を奪えるに歯を
切
(
くいしば
)
り、
慷慨
(
こうがい
)
悲憤して以て回天の業を
為
(
な
)
さんとするの
女英雄
(
じょえいゆう
)
となす。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今の政治家がみんな人気商売の役者と違ったところはない——と京都にいる時、ある志士の
慷慨
(
こうがい
)
を兵馬は聞いたことがある。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なぜなら君はいつだったか、彼が我々国民の動乱を蒙らされたと云うことについて、ひどく
慷慨
(
こうがい
)
していたことのあったのを、僕は覚えてるから。
入院患者
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
太田錦城と云う漢学者は
慷慨
(
こうがい
)
の士だが、信忠がこんなときに逃げないのは無智の耻を耻じているので犬死だと云っている。
山崎合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
あるいはわが邦の将来を思い、これを思いこれを想うて禁ずるあたわず、
万籟寂々
(
ばんらいせきせき
)
天地眠るの
深宵
(
しんしょう
)
にひとり
慷慨
(
こうがい
)
の熱涙をふるうの愛国者もあらん。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
松崎は世間に対すると共にまた自分の生涯に対しても同じように
半
(
なかば
)
は
慷慨
(
こうがい
)
し半は
冷嘲
(
れいちょう
)
したいような沈痛な心持になる。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
満腔
(
まんこう
)
の
慷慨
(
こうがい
)
黙々に付するに忍びず、ただちにその血性を
攄
(
の
)
べ発して一篇の著書とはなりしなり。しかしてこの書初めて世に公布する客年十一月にあり。
将来の日本:01 三版序
(新字新仮名)
/
新島襄
(著)
種子
(
たね
)
だけを
播
(
ま
)
いて逝こう、「われは恨みを抱いて、
慷慨
(
こうがい
)
を抱いて地下に下らんとすれども、汝らわれの後に来る人々よ、折あらばわが思想を実行せよ」
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
余裕のある
逼
(
せま
)
らない
慷慨
(
こうがい
)
家です。あんな人間をかくともっと逼った窮屈なものが出来る。また碌さんのようなものをかくともっと軽薄な才子が出来る。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
悲憤
慷慨
(
こうがい
)
の
気焔
(
きえん
)
を吐く者が多いから、
云
(
い
)
わずと知れた加藤等もその
連中
(
れんじゅう
)
で、慶喜さんにお逢いを願う者に違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
かの
宋
(
そう
)
朝が絶対平和主義を持して北方の強たる
金
(
きん
)
及び
元
(
げん
)
に苦しめられ、
胡澹庵
(
こたんあん
)
をして
慷慨
(
こうがい
)
のあまり、
秦檜
(
しんかい
)
、
王倫
(
おうりん
)
斬るべしと絶叫せしめた上奏文を見ても
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
これに答えるプルウストの
慷慨
(
こうがい
)
を帯びた声の調子には、創作に生きる者の真情がいかに秘められているだろうか。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
中原
(
ちゅうげん
)
、また鹿を
逐
(
お
)
うて、筆を投げすてて
戎軒
(
じゅうけん
)
を事とす。縦横の
計
(
はかりごと
)
は
就
(
な
)
らざれども、
慷慨
(
こうがい
)
の志は
猶
(
な
)
お存せり。
策
(
つえ
)
を
仗
(
つ
)
いて天子に
謁
(
えっ
)
し、馬を駆って関門を
出
(
い
)
ず。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
『
鬚
(
ひげ
)
男』といふ作があるが、あれにも、ちよつとかうしたところがある。長篠の戦前に、夕日のてり映えた下で、甲州の老将達が、
慷慨
(
こうがい
)
悲憤するところがある。
或新年の小説評
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
蔭ではひとりびとりの生徒をつかまえて悲憤
慷慨
(
こうがい
)
したり、ひそひそとストライキの時期や方法などを話したりしているそうですが、そういうことをききますと
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
口角泡をとばして列強航空力の優劣を討議し、つねに正確に悲憤
慷慨
(
こうがい
)
におわる。
独逸
(
ドイツ
)
へ行かれるのだそうだが、いろいろ専門の機微に入った使命があるらしい。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
感情の激した悲憤
慷慨
(
こうがい
)
や、たいていの場合は自分の気に入ったことを言ってもらった時に「おもしろかった」とか、「善かった」とか言うのではありませんか。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
自分たちの左右には、昔、
島崎藤村
(
しまざきとうそん
)
が「もっと
頭
(
かしら
)
をあげて歩け」と
慷慨
(
こうがい
)
した、下級官吏らしい人々が、まだ
漂
(
ただよ
)
っている
黄昏
(
たそがれ
)
の光の中に、
蹌踉
(
そうろう
)
たる歩みを運んで行く。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
平和な
長閑
(
のどか
)
な様を歌ふにはなだらかなる長き調を用うべく、悲哀とか
慷慨
(
こうがい
)
とかにて情の迫りたる時、または天然にても人事にても、
景象
(
けいしょう
)
の活動甚しく変化の急なる時
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
へんに
慷慨
(
こうがい
)
な歌だネエ。どんな人がかいたのかしらんが。歌はイイネ。実に
高尚
(
こうしょう
)
ないいものだ。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
足利市在の
天狗山
(
てんぐやま
)
で、自ら生命を断ってしまったほど、バック・ボーンの太くとおった、いわゆる
慷慨
(
こうがい
)
の士であったけれど、詩人で、そして英文学者で、入社したばかりの私に
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もちろんカ氏も、こんな悲憤
慷慨
(
こうがい
)
の話を最初から始めるつもりでもなかったのであろう。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかして古より今に及ぶまで差異なきこと能はず。これ正に我儕の
慷慨
(
こうがい
)
悲憤する所以にしてこの新紙の設くる所以なり。けだし自由の物たる、これを草木に
譬
(
たと
)
ふればなほ
膏液
(
こうえき
)
の如し。
『東洋自由新聞』第一号社説
(新字旧仮名)
/
中江兆民
(著)
あるいはお医者さんから政治家が出たり、左官から
慷慨
(
こうがい
)
悲憤の志士が出たりした。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
酒を呑みたいなら、友人、先輩と
牛鍋
(
ぎゅうなべ
)
つつきながら悲憤
慷慨
(
こうがい
)
せよ。それも一週間に一度以上多くやっては、いけない。
侘
(
わ
)
びしさに堪えよ。三日堪えて、侘びしかったら、そいつは病気だ。
困惑の弁
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
宴の
発企
(
ほっき
)
者は岡山屈指の富豪野崎氏その他知名の諸氏にしてわれわれおよび父母親戚を招待せられ、席上諸氏の演説あり、また有名の楽師を招きて、「自由の歌」と題せる
慷慨
(
こうがい
)
悲壮の新体詩をば
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
けれどもマリユスは、再び思想を少し建て直して、自分を敗北した者とは思わなかった。彼のうちにはなお
慷慨
(
こうがい
)
のなごりがさめず、まさにアンジョーラに向かって三段論法の陣を展開せんとした。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
慷慨
(
こうがい
)
に
堪
(
た
)
えざるもののごとく、『君を力にてわが望みは必ず遂げん。』熱き涙一滴、青年が
頬
(
ほお
)
をつたいしも
乙女
(
おとめ
)
は知らず。ハンケチを口にくわえて歯をくいしばりぬ。しばし二人は言葉なく立てり。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
言語道断な振舞をするから、
慷慨
(
こうがい
)
の余りに山へ入ったのじゃ、わしは応永初年の生れであるから、山へ入ったときは四十あまりであった、初めは富士山へ登って、富士山の神仙について、数百年の間
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「また
慷慨
(
こうがい
)
か、こんな山の中へ来て慷慨したって始まらないさ。それより早く
阿蘇
(
あそ
)
へ登って噴火口から、赤い岩が飛び出すところでも見るさ。——しかし飛び込んじゃ困るぜ。——何だか少し心配だな」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あれは悲憤
慷慨
(
こうがい
)
派だな」
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
慷慨
(
こうがい
)
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
彼は能弁ではあったが、要領を
把
(
つか
)
む術に欠けていた。むやみに埴谷図書助の非を述べ、
慷慨
(
こうがい
)
し、そして
笙子
(
しょうこ
)
という令嬢を警戒せよと云った。
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
井伊大老は
夷狄
(
いてき
)
を恐怖する心から
慷慨
(
こうがい
)
忠直の義士を憎み、おのれの威力を示そうがために
奸謀
(
かんぼう
)
をめぐらし、天朝をも侮る神州の罪人である
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その
叱咤
(
しった
)
を、後ろ耳で聞きながら、先へゆく法師はまだ足も早めず、大きな声に
抑揚
(
よくよう
)
をつけて
慷慨
(
こうがい
)
の語気を詩のように呶鳴りつづけていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天明の頃、肥後の医師に富田
太鳳
(
たいほう
)
なるものあり、
慷慨
(
こうがい
)
にして奇節あり、高山彦九と
交驩
(
こうかん
)
し、
夙
(
つと
)
に尊王賤覇の議を唱う。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
しかし
信夫恕軒
(
しのぶじょけん
)
のつくった伝を見るに「先生勝海舟ヲ訪ヒ大ニ時事ヲ論ズ
慷慨
(
こうがい
)
激昂
(
げっこう
)
忌憚
(
きたん
)
スル所ナシ。」としてある。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
時に年七十三。当時
汪叡
(
おうえい
)
、
朱善
(
しゅぜん
)
と
与
(
とも
)
に、
世
(
よ
)
称して三
老
(
ろう
)
と
為
(
な
)
す。人となり
慷慨
(
こうがい
)
にして城府を設けず、自ら号して
坦坦翁
(
たんたんおう
)
といえるにも、其の風格は推知すべし。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ちょっと
覗
(
のぞ
)
きに来たつもりで、うかうかと
立見
(
たちみ
)
をしてしまった隣の宿屋の番頭も、つり込まれて
慷慨
(
こうがい
)
の
体
(
てい
)
。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平和な
長閑
(
のどか
)
な
様
(
さま
)
を歌うにはなだらかなる長き調を用うべく、悲哀とか
慷慨
(
こうがい
)
とかにて情の迫りたる時
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
そして
支那
(
しな
)
の詩の多くのものが、沈痛無比な響を以て人生を
慷慨
(
こうがい
)
悲憤していることぞ。そしてまたその故に、この種の詩ほど真の意味で情緒的で、感傷の深いものがどこにあろうか。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
まち
高袴
(
たかばかま
)
をはいたり。何か口で生いきな
慷慨
(
こうがい
)
なことをいって。誠にわるい風だそうでしたが。このごろ大分直ってきたと思うと。また西洋では女をたっとぶとか何とかいうことをきいて。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
慷
漢検1級
部首:⼼
14画
慨
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
“慷慨”で始まる語句
慷慨家
慷慨淋漓
慷慨悲憤
慷慨悲歌
慷慨激越
慷慨心
慷慨癖
慷慨的
慷慨惆悵