“慷慨:こうがい” の例文
“慷慨:こうがい”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治9
中里介山5
島崎藤村4
正岡子規3
永井荷風2
“慷慨:こうがい”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 社会科学 > 論文集・評論集・講演集16.7%
文学 > フランス文学 > 小説 物語3.8%
歴史 > 伝記 > 個人伝記2.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
太田錦城と云う漢学者は慷慨こうがいの士だが、信忠がこんなときに逃げないのは無智の耻を耻じているので犬死だと云っている。
山崎合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
今の政治家がみんな人気商売の役者と違ったところはない——と京都にいる時、ある志士の慷慨こうがいを兵馬は聞いたことがある。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ちょっとのぞきに来たつもりで、うかうかと立見たちみをしてしまった隣の宿屋の番頭も、つり込まれて慷慨こうがいてい
慷慨こうがいの気にとむ白皙はくせきの青年公卿くげがいさぎよい自害は、さすがに、そこへ駆け寄ってきた弦之丞の心をもうった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
改革者のような熱烈な口調で、かつて先生が慷慨こうがいしたり痛嘆したりした声は、皆な逆に先生の方へ戻って行った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かの幕末の志士等が作った非芸術的な慷慨こうがい詩でも、やはり漢詩としての音律美をもち、それによって吾人をエピカルに陶酔させる。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
これに答えるプルウストの慷慨こうがいを帯びた声の調子には、創作に生きる者の真情がいかに秘められているだろうか。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
同じ逆境にしても、慷慨こうがいの士には激しい痛烈な苦しみが、軟弱のには緩慢なじめじめした醜い苦しみが、というふうにである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
満腔まんこう慷慨こうがい黙々に付するに忍びず、ただちにその血性をべ発して一篇の著書とはなりしなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
満腔まんこう慷慨こうがい黙々に付するに忍びず、ただちにその血性をべ発して一篇の著書とはなりしなり。
将来の日本:01 三版序 (新字新仮名) / 新島襄(著)
人となり慷慨こうがいにして城府を設けず、自ら号して坦坦翁たんたんおうといえるにも、其の風格は推知すべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
へんに慷慨こうがいな歌だネエ。どんな人がかいたのかしらんが。歌はイイネ。実に高尚こうしょうないいものだ。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
先の見える者、軽薄な者、直言忠告がれられない慷慨こうがい者、などは、さッさとこの周囲から去って行く。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんな外国の侵入者がわが禁闕きんけつもとに至るのは許しがたいことだとして、攘夷の決行されないのを慷慨こうがいするものもある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼のうちにはなお慷慨こうがいのなごりがさめず、まさにアンジョーラに向かって三段論法の陣を展開せんとした。
実に反動と申すものは恐ろしいもので、私はこの結婚後の二三年間において、いつとはなく、非常に女子の為に慷慨こうがいする身となりました。
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
松崎は世間に対すると共にまた自分の生涯に対しても同じようになかば慷慨こうがいし半は冷嘲れいちょうしたいような沈痛な心持になる。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
慷慨こうがいえざるもののごとく、『君を力にてわが望みは必ず遂げん。』熱き涙一滴、青年がほおをつたいしも乙女おとめは知らず。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
すなわ祭弔さいちょう慷慨こうがいの詩、累篇るいへん積章せきしょうして甚だ多きを致す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
悲憤慷慨こうがいもよくその原因を知悉ちしつした上のことでありたいというので、特に歴史を学んだ。
天明の頃、肥後の医師に富田太鳳たいほうなるものあり、慷慨こうがいにして奇節あり、高山彦九と交驩こうかんし、つとに尊王賤覇の議を唱う。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
かへすがへす文学雑誌と売女との増加は慷慨こうがいの士にあらざるも誰かこれを見て寒心せざらんや。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そして支那しなの詩の多くのものが、沈痛無比な響を以て人生を慷慨こうがい悲憤していることぞ。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
なかなか名文である。荘重なる慷慨こうがいの気と、憂国の文字は、読む者を打たずにおかなかった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、歯をくいしばり、腕をし、また、慷慨こうがいの気を新たにして、式終るや、万歳の声しばし止まず、ために、天雲もひらけるばかりであった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もちろんカ氏も、こんな悲憤慷慨こうがいの話を最初から始めるつもりでもなかったのであろう。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
紅蘭が無月の洒落しゃれをいっても、奥で、笑いもせずにいる霊芝れいしみたいな人間は、むろん慷慨こうがい詩家、梁川星巌やながわせいがんなのである。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼ら党人の論調の粗笨そほん乱暴であることは往年の憲政擁護運動時代における慷慨こうがい殺伐の口吻くちぶりと比べて少しも進歩していないのに驚かれます。
選挙に対する婦人の希望 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
その天資、慷慨こうがいにして愛国の至情に富む、何ぞその相たるのはなはだしき。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
在野党の代議士今日議院に慷慨こうがい激烈の演説をなして、盛んに政府を攻撃したもう。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
あるいはお医者さんから政治家が出たり、左官から慷慨こうがい悲憤の志士が出たりした。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
漢文で、「慷慨こうがい憂憤の士をって狂人と為す、悲しからずや」としてある。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
口角泡をとばして列強航空力の優劣を討議し、つねに正確に悲憤慷慨こうがいにおわる。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
酒を呑みたいなら、友人、先輩と牛鍋ぎゅうなべつつきながら悲憤慷慨こうがいせよ。
困惑の弁 (新字新仮名) / 太宰治(著)
岸本の心は慷慨こうがいな口調を帯びた僧侶の説教の方へ行き、王冠の形した古めかしい説教台の方へ行き、その説教台と相対した位置にある耶蘇やその架像の方へ行った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「そうです。今、戸外おもてを通るに、さかんな声をして、慷慨こうがいの歌を吟ずる声がしました。察するに必ず先生ならんと——われを忘れてこれへはいって来たわけですが」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいはわが邦の将来を思い、これを思いこれを想うて禁ずるあたわず、万籟寂々ばんらいせきせき天地眠るの深宵しんしょうにひとり慷慨こうがいの熱涙をふるうの愛国者もあらん。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
井村はがらにもない慷慨こうがいをして、ハハと笑い、
しかも、これに加うるに中国一流の華麗豪壮な調ちょうと、哀婉あいえん切々の情、悲歌慷慨こうがいの辞句と、誇張幽幻な趣と、拍案はくあんたんの熱とを以て縷述るじゅつされてあるので
三国志:01 序 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
南条力は、慷慨こうがいの意気を色に現わしました。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼も今は往年の白面慷慨こうがいの一青年ではない。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何か口で生いきな慷慨こうがいなことをいって。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
余裕のあるせまらない慷慨こうがい家です。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
悲嘆や慷慨こうがいは、もう遠い過去のことだ。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「また慷慨こうがいか、こんな山の中へ来て慷慨したって始まらないさ。それより早く阿蘇あそへ登って噴火口から、赤い岩が飛び出すところでも見るさ。——しかし飛び込んじゃ困るぜ。——何だか少し心配だな」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
曙覧は擬古の歌も詠み、新様しんようの歌も詠み、慷慨こうがい激烈の歌も詠み、和暢平遠わちょうへいえんの歌も詠み、家屋の内をも歌に詠み、広野の外をも歌に詠み、高山彦九郎たかやまひこくろうをも詠み
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ここおいテ項王すなわチ悲歌慷慨こうがいシ自ラ詩ヲつくリテいわク「力山ヲ抜キ気世ヲおおフ、時利アラズ騅カズ、騅逝カズ奈何いかんスベキ、虞ヤ虞ヤなんじ奈何いかニセン」ト。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
自分たちの左右には、昔、島崎藤村しまざきとうそんが「もっとかしらをあげて歩け」と慷慨こうがいした、下級官吏らしい人々が、まだただよっている黄昏たそがれの光の中に、蹌踉そうろうたる歩みを運んで行く。
毛利先生 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
慷慨こうがいの気節もあり、縦横の奇才もないではないが、何をいうにも小藩の、小禄の家に生れたものだから、その生活の足し前として絵画を習い出したので、もとより好きな道でもあるが……この点は、三州の渡辺崋山にも似ている。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「やりたまえじゃいけない。君もやらなくっちゃあ。——ただ、馬車へ乗ったり、別荘を建てたりするだけならいいが、むやみに人を圧逼あっぱくするぜ、ああ云う豆腐屋は。自分が豆腐屋の癖に」と圭さんはそろそろ慷慨こうがいし始める。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「真の勇者は慷慨こうがいせずといいます。また、大事はありの穴より漏るというたとえもある。ゆるゆるはなすとしましょう。しかし、足下そっかが偽ものでないことはよく認めました。偉丈夫の心事を一時でも疑った罪はゆるして下さい」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慷慨こうがい
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
彼らから見れば、井伊大老は夷狄いてきを恐怖する心から慷慨こうがい忠直の義士を憎み、おのれの威力を示そうがために奸謀かんぼうをめぐらし、天朝をも侮る神州の罪人である、そういう奸臣を倒したなら自然と幕府においても悔いる心ができて
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
吾々臣子の分として義を知るの王臣となって生けるは恩を知るの忠臣となって死するにかずなんて、種々しゅじゅ様々の奇策妙案を献じ、悲憤慷慨こうがい気焔きえんを吐く者が多いから、わずと知れた加藤等もその連中れんじゅう
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
宴の発企ほっき者は岡山屈指の富豪野崎氏その他知名の諸氏にしてわれわれおよび父母親戚を招待せられ、席上諸氏の演説あり、また有名の楽師を招きて、「自由の歌」と題せる慷慨こうがい悲壮の新体詩をば、二面の洋琴ようきんに和して歌わしむ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
われわれがこの世の中で実行することができないからして、種子たねだけをいて逝こう、「われは恨みを抱いて、慷慨こうがいを抱いて地下に下らんとすれども、汝らわれの後に来る人々よ、折あらばわが思想を実行せよ」と後世へ言い遺すのである。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
平和な長閑のどかさまを歌うにはなだらかなる長き調を用うべく、悲哀とか慷慨こうがいとかにて情の迫りたる時、または天然にても人事にても景象の活動はなはだしく変化の急なる時これを歌うには迫りたる短き調を用うべきは論ずるまでもなく候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
平和な長閑のどかな様を歌ふにはなだらかなる長き調を用うべく、悲哀とか慷慨こうがいとかにて情の迫りたる時、または天然にても人事にても、景象けいしょうの活動甚しく変化の急なる時、これを歌ふには迫りたる短き調を用うべきは論ずるまでもなく候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
酒に酔うと元気が出るという、常にはあんな威勢がないという、……われわれはこうして月に一回この塾へ集り、国史の勉強から始めて、現在では幕府政治の検覈けんかくにまではいって来ている、こうして集っているときは慷慨こうがいの気に燃え、大義顕彰の情熱に駆られるが
菊屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
高田氏は、敗戦を憤慨して、足利市在の天狗山てんぐやまで、自ら生命を断ってしまったほど、バック・ボーンの太くとおった、いわゆる慷慨こうがいの士であったけれど、詩人で、そして英文学者で、入社したばかりの私に、いろんな原書を持ってきて、「読め、読め」といった。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
言語道断な振舞をするから、慷慨こうがいの余りに山へ入ったのじゃ、わしは応永初年の生れであるから、山へ入ったときは四十あまりであった、初めは富士山へ登って、富士山の神仙について、数百年の間、みちを学びしんを修めたから、その功が満ちぎょうって
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
或時あるときに家老の隠居があって、大層政治論の好きな人で、私が家老の家にいったらば、その隠居が、ドウも公武こうぶあいだはなはだ穏かでない、全体どうも近衛様このえさまうも有りそうもない事だとか、或は江戸の御老中がつまらないとか云うような慷慨こうがい談を頻りに云て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
——君はビーチャーの生涯におきたいろいろな出来事を思い起していたに違いないんだ。僕には、君が、ビーチャーがあの革命戦争の時、北方の利益のために企てた使命のことを考えていたと云うことが、確かに分かってるんだよ。なぜなら君はいつだったか、彼が我々国民の動乱を蒙らされたと云うことについて、ひどく慷慨こうがいしていたことのあったのを、僕は覚えてるから。
入院患者 (新字新仮名) / アーサー・コナン・ドイル(著)
せがれが毎日学校で生徒の動きを見て来ての話によりますと、急先鋒の生徒たちは表立った会合の席ではあくまでストライキに反対をとなえながら、蔭ではひとりびとりの生徒をつかまえて悲憤慷慨こうがいしたり、ひそひそとストライキの時期や方法などを話したりしているそうですが、そういうことをききますと、いよいよ私の想像があたっているように思えてならないのです。とにかく、今度の問題は私の見るところでは、決して単純な性質のものではありません。
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)