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急
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せ
ふりがな文庫
“
急
(
せ
)” の例文
そして、判った以上、すぐに、命ぜられた役を、出来るだけ早く果したいと、気が、
急
(
せ
)
いてきた。それで、大きく、幾度もうなずいて
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
漸く驛遞の家に着いたので、あすの馬をあつらへ、そこから四五町さきの宿屋へ案内されるまでがまた一里も歩く樣に氣が
急
(
せ
)
かれた。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
図書 (
急
(
せ
)
きつつ)お
情
(
なさけ
)
余る、お言葉ながら、活きようとて、討手の
奴儕
(
やつばら
)
、決して活かしておきません。早くお手に掛け下さいまし。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
気が
急
(
せ
)
いておりましたせいか、ここの処に鯛の骨が刺さりまして、痛くてたまりませんので……実は先年、講習会へ参りました時に
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あるいは機先を制して、むこうから
逆寄
(
さかよ
)
せに押しかけて来るかもしれない。
下世話
(
げせわ
)
のことわざにもある通り、
急
(
せ
)
いては事を仕損ずる。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
何彼
(
なにか
)
につけて
急
(
せ
)
き立てられるような心持がするに相違ない。僕はお祖父さんお祖母さんを観察して、時には心細かろうと察している。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
気が
急
(
せ
)
くし、足は自由にならない。沼水はかなり深かった。介は膝まで濡れた足をもどして、半町ほど後ろから、堤へ這い上がった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は彼女に話しかけたかつたけれど、手は鐵のやうな握り方で、掴まれてゐた——私は
從
(
つ
)
いて行けないやうな大胯で
急
(
せ
)
き立てられた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そら来たなとおもって、わたしは耳の附根まで
赭
(
あか
)
くしてすっくと立上り、このうえ、彼に口を利かせないよう
急
(
せ
)
き込んで
怒鳴
(
どな
)
った。
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私の心持ちは仕事のことや、家のことやで
急
(
せ
)
き立っているけれど、からだはこの炬燵の中にどっしりと坐り込んでしまったようだ。
帰途
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
「おばあさんにつかい道のあるものというのは何だね?」と旅人はおばあさんの話が廻りくどいので、こう
急
(
せ
)
き立てて聞きました。
でたらめ経
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
なぜだだらなどと呼ばれるかというに、少し
急
(
せ
)
いてくると
吃
(
ども
)
る癖がある、ことに自分の姓名を云う段になると、どうしても舌が
縺
(
もつ
)
れて
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
小春日和
(
こはるびより
)
の暖かさに沿道の樹々の色も美しく輝いていましたが、木村さんは先へ心が
急
(
せ
)
くと見えて、あまり口をききませんでした。
暗夜の格闘
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「やあ、どうもこいつは弱った。……お願いというのはいったいどんなことけえ。……気が
急
(
せ
)
くからね、手ッ取り早くやってくだせい」
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
まごまごしている雇婆を
急
(
せ
)
き
立
(
た
)
てて、
冷
(
ひや
)
のままの酒を、ぐっと一息に
呷
(
あお
)
ると、歌麿の巨体は
海鼠
(
なまこ
)
のように夜具の中に縮まってしまった。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ゆめお
嗤
(
わら
)
い下さるまじく、いずれは再び七年後に、この山頂にて御面談仕るべく、まずは一筆、こころの
急
(
せ
)
くまましるし残し申候。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「オイどうしたの? お前どうしたの?」と
急
(
せ
)
きこんで問うたが、妻はその凄い眼で自分をじろりと見たばかりで一語も発しない。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「さあ、若いものは遅くなると危いで、
化粧
(
つくり
)
などはいい加減にして、早くおいでと言うに。」と、婆さんはやるせなく
急
(
せ
)
き立てた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼がすっかり得意になって、自然に
急
(
せ
)
きこんで音楽上の手柄話を始めると、頭から両親に怒鳴りつけられた。母は彼をひやかした。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
顔を洗っているとき、彼は下女に
俥
(
くるま
)
を二台云いつけるお延の声を、あたかも自分が
急
(
せ
)
き
立
(
た
)
てられでもするように
世話
(
せわ
)
しなく聞いた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
井谷がいつもの
急
(
せ
)
き込むような早口でしゃべるのを聞いていると、随分この人はと思うところもあったけれども、段々聞いて行くうちに
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「珍しくお
急
(
せ
)
きですね。もうひとっ走り——、参りました! 参りました! ちょうどいま柳橋ですが、これから先はどっちでござんす」
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
しからずば何となく気が
急
(
せ
)
いて、出て行けがしにされるような
僻
(
ひが
)
みが起って、どうしても長く腰を落ち付けている事は出来ない。
銀座界隈
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
とこの
眼
(
まなこ
)
から張り切りょうずる涙を押えて……おおおれは今泣いてはいぬぞ、忍藻……おれも
武士
(
もののふ
)
の妻あだに夫を励まし、
聟
(
むこ
)
を
急
(
せ
)
いたぞ。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
この混乱の場にあって、お怪我あっては一大事と、
梨本御門跡
(
なしのもとごもんぜき
)
様をお
急
(
せ
)
きたて申し、従者ともども裏の門から、資朝はお帰し申し上げた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こう決定してからは一日も早く文学と終始した不愉快な日本の生活から
遁
(
のが
)
れるべく俄に
急
(
せ
)
き立って、入露の準備をするために
殆
(
ほと
)
んど毎日
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
えっ、その水棲人とはどこにいるって⁈ まあまあ、
急
(
せ
)
かせずにブラジル
焼酎
(
ピンガ
)
でも飲んでだね、リオの秋の四月から聴きたまえ
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
毎朝実枝にさんざん
急
(
せ
)
きたてられるまでクニ子はひと時花畑に入りこんでジキタリスの花の数をかぞえてみたり、
向日葵
(
ひまわり
)
と背比べをしたり
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
私よりも彼の方が
急
(
せ
)
きだした。私達はすぐに外へ出た。風のないうち晴れたいい日だった。私には凡てが喜びに躍ってるように感ぜられた。
未来の天才
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「いいとも。そうしようではないか。——だが、まあ、どんな奴だか早く見せてくれ」殿はいかにも好奇心をおさえ難そうに
急
(
せ
)
かせられた。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
平中は侍従を引き寄せながら、かうその耳に
囁
(
ささや
)
かうとした。が、いくら気は
急
(
せ
)
いても、舌は
上顋
(
うはあご
)
に引ついた儘、声らしいものは口へ出ない。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お届け下さりませ、届け先は……それはこの手紙の表に書いてありまする、こうしている間も心が
急
(
せ
)
く、それではお頼み申しましたぞえ……
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼らはイエスを揺り起こして「先生、私どもの亡ぶるを顧み給わぬか」と、
急
(
せ
)
き込んでなじり気味に訴えました(四の三八)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
……そんなわけどすよって、あんたはんももう好い時節の来るまであまり気を
急
(
せ
)
かんとおきやす。この話
急
(
せ
)
いたらあきまへん。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
『まあ、何うしませう、先生? こんなに暗くなつちやつた。』と、暫らくあつて松子は俄かに気が
急
(
せ
)
き出したやうに言つた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
イヤ、そんなに
急
(
せ
)
き立てることはない。カラクリ仕掛けなんぞないけれど、わしはここを出るのだ。ホラ見給え、これが探偵の七つ道具だ。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わたしはあなたを慰めてあげようと思って、大変気が
急
(
せ
)
いているんです。ほんのちょっとわたしにいい空気を吸わせて下さい。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
苛
(
じ
)
れったいというか、
苛立
(
いらだ
)
たしいというか、我々の方でも少し
急
(
せ
)
き込んだ傾きはあったが、どうにも
埒
(
らち
)
があかないのであった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その工場がこの不景気で危くなったときいて、あぶらやでは
急
(
せ
)
きはじめた。すぐ返済してくれ、さもなければ裁判にかけると威かしたという。
凍雲
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
『いいや、決して悪いことなんか』と、若者は
急
(
せ
)
き込んで答えると同時に、傷口からまた血が洩れたのでしょう、苦しそうに咳き込みました。
島原心中
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「それには、いい
考
(
かんが
)
えがあることです。はやくなさらないとだめですから……。」といって、
雲
(
くも
)
は、まりを
急
(
せ
)
きたてました。
あるまりの一生
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(しづ)(
急
(
せ
)
きこんで)鬼ですとも。鬼以上かも知れない。あなたには、あの人の真のおそろしさが、まだわかっていらっしゃらないのです。
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「いいや、今更やめることは出来ないぞ、」とノズドゥリョフは、
赫
(
か
)
っと
急
(
せ
)
きこんで言った。「勝負は始まったのだから!」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
しかしそれが鳴り止むと、今度はチッキンチッキンと
忙
(
せは
)
しい音が続く。逃げろ、逃げろ、とその音は
急
(
せ
)
かしてゐるやうだ。
童話
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
そうなると気が
急
(
せ
)
くので、わたしはひとまず我が家へ戻るやいなや、日ごろ自分が信用しているFという雇い人を呼んだ。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
と頼めど持來らず徳利などに入るゝに及ばず有合す
碗石
(
わんいし
)
五器
(
ごき
)
にも汲み來れと
急
(
せ
)
きてもいつかな持ち來らず四人爐を圍みて只風雅の骨髓に徹するを
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
金色
(
こんじき
)
に秋の日射の斜なし澄みとほる中、
蜩
(
かなかな
)
は啼きしきるなり、
急
(
せ
)
き
急
(
せ
)
きて啼き刻むなり、二つ啼き、一つ啼き、また、こもごもに啼き
速
(
はや
)
むなり。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
横になれたら、さぞいいだろうに、母親のペラゲーヤが、ならんで歩きながら、彼女を
急
(
せ
)
きたてる。ふたりは奉公口をみつけに、町へいそぐのだ。
ねむい
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
去年から親達は
急
(
せ
)
いてゐたが、肝腎の息子がゆつくりしてゐた。しかし此頃では彼もさうしてはゐられなくなつて來た。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
『そやよつて、もつと待ちまへうと言ひましたのやがな。あんたが
餘
(
あん
)
まり
急
(
せ
)
きなはるよつて、
罰
(
ばち
)
が當りましたのや。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
急
常用漢字
小3
部首:⼼
9画
“急”を含む語句
急遽
性急
急忙
急込
急須
危急
急激
大急
急足
急拵
早急
急流
急立
火急
急々
急歩
急使
急湍
急病
緩急
...