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御贔屓
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ごひいき
ふりがな文庫
“
御贔屓
(
ごひいき
)” の例文
前の座主マルクス・キンツス・マルチウスの経営中に劣らず
出精
(
しゅっせい
)
致しますれば、貴顕紳士は相替らず
御贔屓
(
ごひいき
)
御入来を願うと張り出した。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
先年北支那の
王魁石
(
おうかいせき
)
さんと秘密に上海でお会いになった時には、手前共の処を大層
御贔屓
(
ごひいき
)
下さいまして、ありがとう御座いました。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
長らく
御贔屓
(
ごひいき
)
を戴き先月御当家様で金子百両借用致して、其の証文
表
(
おもて
)
に金子滞る時は女房お村を妾に差上げると云うことが書いてあり
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いかものも、あのくらゐに
成
(
な
)
ると
珍物
(
ちんぶつ
)
だよ。」と、
言
(
い
)
つて、
紅葉先生
(
こうえふせんせい
)
はその
額
(
がく
)
が
御贔屓
(
ごひいき
)
だつた。——
屏風
(
びやうぶ
)
にかくれて
居
(
ゐ
)
たかも
知
(
し
)
れない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いいえ、
勿体
(
もったい
)
ないより、
済
(
す
)
まないのはあたしの
心
(
こころ
)
。
役者家業
(
やくしゃかぎょう
)
の
憂
(
う
)
さ
辛
(
つら
)
さは、どれ
程
(
ほど
)
いやだとおもっても、
御贔屓
(
ごひいき
)
からのお
迎
(
むか
)
えよ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
いずれにしても、不破氏は、この席へ入ると同時に、平身低頭して、出入り
御贔屓
(
ごひいき
)
の骨董屋たる腰の低いところを充分に表現いたしました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「……」彼はこれでも判らないかというような顔をしたのち「あれですよ、三原玲子さんのことです。貴方の
御贔屓
(
ごひいき
)
の……」
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
たのまれまして、どんなに遅くても今日中に届けて呉れと云われましたので、以前から
御贔屓
(
ごひいき
)
になっていますから止むを得ずお引受したのです
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
五重塔のある側に綺麗なお汁粉屋があって、そこのお
雑煮
(
ぞうに
)
のお澄ましが品のいい味だというので、お母様は
御贔屓
(
ごひいき
)
でした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「
誰
(
だれ
)
も私ほど坊ちゃんを知ってる者はありませんよ。私ゃね、これで坊ちゃんに大変
御贔屓
(
ごひいき
)
になってるんでさあ。どりゃひとつ
夜明
(
よあけ
)
の
唄
(
うた
)
を歌おう」
朝
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
「江戸表におりました頃、
度々
(
たびたび
)
、
御贔屓
(
ごひいき
)
になりましたお客筋で、芝居の方とは、何の
関
(
かか
)
わりもないお方でございます」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御贔屓
(
ごひいき
)
の御座敷や何かで、不時の
収入
(
みいり
)
がありますと、
内所
(
ないしょ
)
で処かまわず安い芸者を買い散らしたもんで御在ます。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何でも
御贔屓
(
ごひいき
)
がひに
劇
(
しばゐ
)
を見に来たのだが、
例
(
いつも
)
の気紛れで
貞奴
(
さだやつこ
)
でも
調弄
(
からか
)
はうと思つて楽屋口を
潜
(
くゞ
)
つたらしかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
此のお二た方は愚僧をたいそう
御贔屓
(
ごひいき
)
にして下されまして、辰一を呼べ、退屈ざましに何か聴かしてと、有難い仰せを戴いたことがたび/\でござりましたが
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
宿の主人や召使いもそこに来て、客人達に向って丁寧にお辞儀をし、別れを告げ、
御贔屓
(
ごひいき
)
を感謝していた。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
「なるほど」と外記は云った、「それで船岡どのに、一ノ関さまの
御贔屓
(
ごひいき
)
のかかっている理由がわかった」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
御贔屓
(
ごひいき
)
下さるようになってからというもの、其方はまるで
腑
(
ふ
)
が抜けてでもしもうたように、
唄鳴物
(
うたなりもの
)
のお
浚
(
さら
)
えも怠りながら、毎夜々々の逢引ばかりが楽しみそうに
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
時々あの方が目立つ程
御贔屓
(
ごひいき
)
なさるのを見て、あなたの爲めに私は少し不安になることもあつて、あなたが御自分で用心なさるようにと思つたこともありました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「いかがでござりましょう! お殿様方に
御贔屓
(
ごひいき
)
願いますのも
烏滸
(
おこ
)
がましいようなむさくるしい宿でござりまするが、およろしくば御案内致しまするでござります」
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「はい、田宮の奥さんには長いこと
御贔屓
(
ごひいき
)
になっております。一年に二、三回、かならず一回はかかさずにお出でになります。まことにお静かな、よいお方で……。」
鰻に呪われた男
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
駄賃
(
だちん
)
なぞも
御贔屓
(
ごひいき
)
にあずかった、半蔵さまはもっとお出入りの牛をかわいがってくだすってもいい。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それじゃ
月賦
(
げっぷ
)
でいただきましょう、月賦も細く、長く、どうせこれから
御贔屓
(
ごひいき
)
になるんですから——いえ、ちっとも御遠慮には及びません。どうです月に十円くらいじゃ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
溺
(
おぼ
)
れたんですつてね。私も長いこと
御贔屓
(
ごひいき
)
を受けましたが、お葬ひにも伺へない有樣で」
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「して見ると、あなたの
御贔屓
(
ごひいき
)
のエルリングは、余りお世辞はないと見えますね。」
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
御贔屓
(
ごひいき
)
になる縁の初まりで、殿様が侯爵になってからも、邸内にM屋出張所を設け、毎日店員が
伺候
(
しこう
)
して新柄珍品を御覧に入れ、お料理して
奉
(
たてまつ
)
る玉子しか御承知のない、家附女房のお
姫様
(
ひいさま
)
に
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
施
(
ほどこ
)
されたり
珍
(
めづ
)
らしき
氣象
(
きしやう
)
の先生なれば
近郷近在
(
きんがうきんざい
)
にては
生神
(
いきがみ
)
先生々々
(
せんせい/\
)
と人々が
敬
(
うやま
)
ふ
位
(
くらゐ
)
なり夫に又我等の處は
格別
(
かくべつ
)
に
御贔屓
(
ごひいき
)
にて女房は
針
(
はり
)
仕事を能する故後家で居た時分には後藤先生の
浣
(
すゝ
)
ぎ
洗濯
(
せんだく
)
から衣類を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「私ですよ、矢田さんへ始終伺って、
御贔屓
(
ごひいき
)
に願っているのは」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「はいはいさようでございますよ、
御贔屓
(
ごひいき
)
にお願いいたします」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「兄さんはあなたが
御贔屓
(
ごひいき
)
なのねえ」
杉垣
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ここで己は
御贔屓
(
ごひいき
)
にあずかる
積
(
つもり
)
だ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「はい、そりゃァもう、あたしに
取
(
と
)
っては
勿体
(
もったい
)
ないくらいの
御贔屓
(
ごひいき
)
、いや
応
(
おう
)
いったら、
眼
(
め
)
がつぶれるかも
知
(
し
)
れませぬが。……」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
此の
度
(
たび
)
お聞きに入れまするは、業平文治漂流奇談と
名題
(
なだい
)
を置きました古いお
馴染
(
なじみ
)
のお話でございますが、
何卒
(
なにとぞ
)
相変らず
御贔屓
(
ごひいき
)
を願い上げます。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お気に召しまして有難う存じます、今日はまた新しいのを持って参りましたから、
御贔屓
(
ごひいき
)
をお願いいたしとうございます」
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
またよく御承知の方は恐ろしく
御贔屓
(
ごひいき
)
で、あの娘の
渾名
(
あだな
)
が通りました、千鳥の一曲、所望じゃなどとおっしゃりまする。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お屋敷の旦那方にゃあ、始終、
御贔屓
(
ごひいき
)
にあずかっていたんで、未だに
誰方
(
どなた
)
のことも時々思い出しているんで。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしに、江戸では、
主
(
おも
)
にどのような方々の
御贔屓
(
ごひいき
)
になっているか——なぞ、お尋ねでありますゆえ、ここぞとばかり、口幅ったくも、お名前を申し上げました。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
上海の戦争で亭主の行方がわからなくなりますし、
御贔屓
(
ごひいき
)
の旦那様からは見放されるしでね。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「そうかい。私のことだから、大したことはして上げられない。お前を
御贔屓
(
ごひいき
)
の御隠居様も亡くなって、相談する人もなし、私の心ばかりだけれど、毎月送って上げよう。」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「溺れたんですってね。私も長いこと
御贔屓
(
ごひいき
)
を受けましたが、お葬いにも
伺
(
うかが
)
えない有様で」
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一、牛方どものうち、
平生
(
へいぜい
)
心安き者は荷物もよく、また駄賃等も
御贔屓
(
ごひいき
)
あり。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
へへへへへ善く存じておりますだって。ほんとに馬鹿だよこの人あ。——金田だってえばさ。——なに?——毎度
御贔屓
(
ごひいき
)
にあずかりましてありがとうございます?——何がありがたいんだね。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なんでも松林さんを
御贔屓
(
ごひいき
)
になさる
伊丹
(
いたみ
)
なんとかいうお大名が、緑町の空き屋敷を買ってくれたのへ手入れをして、そっくり道場を移してお嬢さまも引き取り、なかなかお盛んにやっていますが
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
当時より既に諸大名の
御贔屓
(
ごひいき
)
にあずかり、政治的背景を持っていた一流の座頭であったから、座中に於いても権威を振っていた事情を察すべく、大方三成の邸などへも常に出入していたのであろう。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「それじゃああたしが困るんだからさ。按摩さんはほかにも大勢あるけれども、花魁はお前さんが
御贔屓
(
ごひいき
)
で、ほかの人じゃあいけないと云うんだから、素直に来てくれないと、あたしが全く困るんだよ」
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「たいへん
御贔屓
(
ごひいき
)
のようですね」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
買
(
かは
)
ねへと云ければ長八はハイとは云ど何の事やら一
向
(
かう
)
解
(
わか
)
らざれば私しは
屑
(
くづ
)
ばかりでござりますと云に
御前
(
おめえ
)
未
(
まだ
)
とう四郎江戸
馴
(
なれ
)
ねへと見えると笑ひしかば
然樣
(
さやう
)
で御座ります此間國から出て參りましたと云ふに
成程
(
なるほど
)
然
(
さう
)
であらう今度又屑が有たら
遣
(
やる
)
べし大きに
御苦勞
(
ごくらう
)
と云れ長八は
何卒
(
なにとぞ
)
御贔屓
(
ごひいき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
どうぞ、なにぶん
御贔屓
(
ごひいき
)
にお買上げを願いたいもんで……しがねえ
三下奴
(
さんしたやっこ
)
のために、路用のお恵みが願いたいんでげして。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
毎度また
彼
(
あれ
)
を
御贔屓
(
ごひいき
)
に遊ばして有難う存じます、宜くまア
此様
(
こん
)
な狭い汚ない所へ入らっしゃいました、何時も蔭でおうわさばかり致して居ますの
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
口
(
くち
)
が
裂
(
さ
)
けてもいうじゃァねえぞ。——
南御町奉行
(
みなみおまちぶぎょう
)
の、
信濃守様
(
しなののかみさま
)
の
妹御
(
いもうとご
)
のお
蓮様
(
れんさま
)
は、
浜村屋
(
はまむらや
)
の
日本
(
にほん
)
一の
御贔屓
(
ごひいき
)
なんだ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「
御贔屓
(
ごひいき
)
の民子ちゃんが、大江山に捕まえられていますから、助出しに行くんだわ。渡辺の綱次なのよ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
贔
漢検1級
部首:⾙
21画
屓
漢検1級
部首:⼫
10画
“御贔屓”で始まる語句
御贔屓筋
御贔屓下
御贔屓効
御贔屓振
御贔屓様