待構まちかま)” の例文
刹那! 待構まちかまえていた連中が手に手に瓦斯がす弾を持って、その穴の中へ叩込たたきこんだ。——ばあん、ばあん、ばあん‼ 瓦斯がす弾の破裂する音が、大きく聞えた。
流血船西へ行く (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「をかしなやつ一人ひとり此方側こちらがは土塀どべいまへに、砂利じやりうへしやがみましてね、とほるものを待構まちかまへてるんです。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
されば後藤半四郎は明日こそ是非々々それがし同道すべし待構まちかまへたりさて又長八は何にしても大橋文右衞門樣の御事を跡廻あとまはしにはならぬと云を長兵衞久五郎の兩人今其事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
即ち昨夜ゆうべとおなじ刻限になったから、おのれ妖怪変化ざんなれ、今夜こそはの正体を見とどけて、あわくば引捉ひっとらえてばけの皮をいでれようと、手ぐすね引いて待構まちかまえていると
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
病院びやうゐんでは外來患者ぐわいらいくわんじやがもう診察しんさつ待構まちかまへて、せま廊下らうか多人數たにんず詰掛つめかけてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
一つはYを四角四面の謹厳一方の青年と信じ切らないまでも恩人の顔に泥を塗る不義な人間とも思わなかったのが裏切られたイマイマしさから思うさま油をしぼってやろうとYの来るのを待構まちかまえていた。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
伯爵夫妻が待構まちかまえていた様に、彼をしょうれたのも道理である。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それを待構まちかまへて彼方此方かなたこなたから見物人が声をかけた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
待構まちかまえたる夫の喜悦よろこびたとうる方なし
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
……鷹揚おうやうに、しか手馴てなれて、迅速じんそく結束けつそくてた紳士しんしは、ためむなしく待構まちかまへてたらしい兩手りやうてにづかりと左右ひだりみぎ二人ふたりをんなの、頸上えりがみおもふあたりを無手むずつかんで引立ひつたてる、と
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
云いつつしずかに衾をめくると、待構まちかまえたる重太郎は全身の力をめてえいやとね返したので、不意をくらった忠一は衾を掴んだまま仰向けに倒れた。重太郎は洋刃ないふを閃かして矗然すっくった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
病院びょういんでは外来患者がいらいかんじゃがもう診察しんさつ待構まちかまえて、せま廊下ろうか多人数たにんず詰掛つめかけている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
抱還いだきかへれば、待構まちかまへたるをつと喜悦よろこびたと
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今か今かと待構まちかまえていた。
赤い部屋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いま大塚おほつか樹立こだちはうからさつ光線くわうせん射越いこして、つゆ煌々きら/\する路傍ろばうくさへ、ちひさな片足かたあしれて、うへからりてものみちひらいて待構まちかまへると、まへとはちがひ、ゆるう、のさ/\とあらはれたは
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
二日ふつか——正午しやうごのころ、麹町かうぢまち一度いちどえた。立派りつぱ消口けしぐちつたのを見屆みとゞけたひとがあつて、もう大丈夫だいぢやうぶはしに、待構まちかまへたのがみな歸支度かへりじたくをする。家内かない風呂敷包ふろしきづつみげてもどつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「さ、さ。」と老人はひざを刻んで、あたかも此の問を待構まちかまへたやうに
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「えゝ、をかしなやつが、——待構まちかまへて——あのをんなをですか。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
口を張開はりひらいて胸毛をふわふわとして待構まちかまえる。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)