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可成
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かなり
ふりがな文庫
“
可成
(
かなり
)” の例文
その人が校長だ。先生は三吉を見つけて、岡を下りて来た。先生の家では学校の小使を使って
可成
(
かなり
)
大きな百姓ほど野菜を作っていた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
福間先生は常人よりも
寧
(
むし
)
ろ
背
(
せい
)
は低かつたであらう。
何
(
なん
)
でも
金縁
(
きんぶち
)
の
近眼鏡
(
きんがんきやう
)
をかけ、
可成
(
かなり
)
長い
口髭
(
くちひげ
)
を
蓄
(
たくは
)
へてゐられたやうに覚えてゐる。
二人の友
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼の顔色は、さいぜんから、
手酌
(
てしゃく
)
で
可成
(
かなり
)
ビールを飲んで居ったにも拘らず、始め対座した時から見ると、見違える程蒼ざめていた。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
贔屓
(
ひいき
)
になし富澤町古着渡世甲州屋とて
身代
(
しんだい
)
も
可成
(
かなり
)
なる家へ
入夫
(
いりむこ
)
の世話致されたり其後吉兵衞夫婦の中に男子二人を儲け兄を吉之助と名付弟を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さっきの青いのは
可成
(
かなり
)
大きなはんの木でしたが、その梢からはたくさんのモールが張られてその葉まできらきらひかりながらゆれていました。
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
野村の行っている法律事務所は、父が面倒を見たいわばお弟子の経営で、彼は無給で見習いをしているのだから、
可成
(
かなり
)
勝手が出来るのだった。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
の
頼
(
たの
)
んだ
産婆
(
さんば
)
も
可成
(
かなり
)
年
(
とし
)
を
取
(
と
)
つてゐる
丈
(
だけ
)
に、
此
(
この
)
位
(
くらゐ
)
のことは
心得
(
こゝろえ
)
てゐた。
然
(
しか
)
し
胎兒
(
たいじ
)
の
頸
(
くび
)
を
絡
(
から
)
んでゐた
臍帶
(
さいたい
)
は、
時
(
とき
)
たまある
如
(
ごと
)
く
一重
(
ひとへ
)
ではなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして些と娘の方を見て、「ですから私等も、
一
(
ひ
)
とつ頃は
可成
(
かなり
)
に暮してゐたものなんですが、此う
落魄
(
おちぶれ
)
ちや
糞
(
くそ
)
ですね。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
天井の高い、ガランとした広い部屋の中の空気はヒヤ/\と
可成
(
かなり
)
冷たかつたが、彼は大きな
安楽椅子
(
あんらくいす
)
に身を深く埋めてゐたから、それも平気であつた。
夢
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
こうした山道が
凡
(
およ
)
そ三時間も続いたろうか。小山程の大きな巌の根を一廻りして、もう
可成
(
かなり
)
疲れた私達は、
其
(
そ
)
の時、林の中の一寸した空地に出て来た。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
三十分ばかり後、男は国枝さんの表玄関を内側からあけ、
可成
(
かなり
)
な重味の見える風呂敷包みを持って現われました。
おせっかい夫人
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
汲
(
く
)
み取り便所は
如何
(
いか
)
に改善すべきか?」という書物を買って来て本気に研究したこともあった。彼はその当時、従来の
人糞
(
じんぷん
)
の処置には
可成
(
かなり
)
まいっていた。
葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
明日
(
あす
)
の滞留を許さない身の上だから出来る事なら
是非
(
ぜひ
)
今日
(
けふ
)
観て
行
(
ゆ
)
きたいと云ふ様な事を
可成
(
かなり
)
𤍠心に主張した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
時は
可成
(
かなり
)
のろのろと、然し尊重に過ぎて行く。今朝、或は今日の午後、日附の上で、彼はもう何哩か私に近づき始めたのだ。幸福な海路を! 我が愛する者に。
日記:06 一九二〇年(大正九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
其処には
側師
(
がわし
)
の通行する立派な路がある。自分等は国境山脈を三時半に出発して六時に梓山へ着いた。其時は
可成
(
かなり
)
急いだのであるが、三時間あれば不足はあるまい。
笛吹川の上流(東沢と西沢)
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そして、女といふ女には皆好かれたがる。女の前に出ると、處嫌はず氣取つた身振をする。心は忽ち蕩けるが、それで、煙草の煙の吹き方まで
可成
(
かなり
)
眞面目腐つてやる。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
沙漠の砂の一つ一つに充ちている寂しみを舞台の上に漲らせることは
可成
(
かなり
)
の難事ではあるまいか。
ダンセニーの脚本及短篇
(新字新仮名)
/
片山広子
(著)
脂肪それ自らによって肉付きが冷たくなっているのと
二
(
ふ
)
た通りあるが、かの女はその後者であって、いつも、くっきりした蒼白さは
可成
(
かなり
)
な冷たさをもっていたのである。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
私のやうな少年の目には
可成
(
かなり
)
のお婆さん(大へん美し過ぎるお婆さんではあつたが)に見えたけれど、やつと四十位だつたのではなからうか。或はもつと若かつたのかもしれない。
大正東京錦絵
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
「
若
(
も
)
し主人が、亡くなった時は、長年家で働いてくれましたので、五千円程の退職金をやろうと思っていました」と証言しているし、又別に最近望月は、素行の点で
可成
(
かなり
)
手ひどく
雪
(新字新仮名)
/
楠田匡介
(著)
可成
(
かなり
)
逞
(
たく
)
ましい赤黒い腕が、たくし上げた縞のシャツの袖口からくゝられたやうに出て見えた。人々は何をするのかと思つてその赤い腕とその上に載せられた白い大根とを見比べた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
紙屋でも苦い面をするようだったが、こっちはそれに気がつかなかった、そうしてあちらの店で一〆買い、こちらの店で一〆買って、
可成
(
かなり
)
質の違わぬものを買い集めたものであったが
生前身後の事
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その仲間と云うのは、洋画家で
可成
(
かなり
)
天才があり、絵の評判も好く、容貌も悪い方ではなかったが、どうしても
細君
(
さいくん
)
になる女が見つからなかった。その見つからないにはすこし
理
(
わけ
)
があった。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
可成
(
かなり
)
な分量を手に提げて電車にのれるだけはいくらでも買物をする事が出來る。
買ひものをする女
(新字旧仮名)
/
三宅やす子
(著)
靴で
幾度
(
いくたび
)
か探って見ると、これは
突出
(
とっしゅつ
)
した岩の角で、岩は
可成
(
かなり
)
に広いらしい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三年も見なかった間に
可成
(
かなり
)
な幹になった庭の
銀杏
(
いちょう
)
へも、縁先に茂って来た
満天星
(
どうだん
)
の葉へも、やがて東京の夏らしい雨がふりそそいだ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これは、余事ですが、実際奈良島をさがして歩く私たちの心もちは、この猿を追ひかけた時の心もちと、
可成
(
かなり
)
よく似てゐました。
猿
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は医学生であり、私は実業学校の生徒であった頃から、この私に対して、
可成
(
かなり
)
真剣な同性の恋愛を感じているらしいのである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼の
住
(
すま
)
ツてゐる
家
(
うち
)
は、
可成
(
かなり
)
廣いが、極めて陰氣な淋しい家で、何時の頃か
首縊
(
くびくゝり
)
があツたといふ
嫌
(
いや
)
な噂のある家だ。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
母が死んでから、もう、元気がないようでしたが、それから、すこし、まあ遊びはじめたのでしょうね、店は
可成
(
かなり
)
大きかったのですが、衰運の一途でした。
新樹の言葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と同時に彼はふと
可成
(
かなり
)
重大な事に気がついた。それは彼が二川家から重明の自殺の報知を受けない事だった。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
それよりはやっぱり水を
渉
(
わた
)
って向ふへ行くんだ。向ふの河原は
可成
(
かなり
)
広いし滝までずうっと続いてゐる。
台川
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
私、どうしても嫌いな男や、私に何も呉れ無かった男にはいくら最後でも何にも遣る気はしないけど、あなたは
可成
(
かなり
)
、私の望みにかなって下さったわね。ムッシュウ・小田島。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
従って学校の成績は次第に悪くなるばかりで、予科入学当時は、今の
芳賀
(
はが
)
矢一氏などと同じ位のところで、
可成
(
かなり
)
一所
(
いっしょ
)
にいた者であるが、私の方は不勉強の為め、下へ下へと下ってゆく
許
(
ばか
)
り。
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
余り沢山読んでいないので分らないけれども、一寸した短篇ながら、“The Juryman”の主人公の心持は、
可成
(
かなり
)
作者自身の生活に対する頷きを現わしているものではないだろうか。
最近悦ばれているものから
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
以前の住居に比べると、そこには
可成
(
かなり
)
間数もあった。岸本は節子に伴われながら、静かな日のあたって来ている北向の部屋を歩いて見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
取調べには
可成
(
かなり
)
の時間を
費
(
ついや
)
したけれど、被害者鶴子の母親が提出した一通の封書の
外
(
ほか
)
には、別段これという手掛りもなかった。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すぐ下の谷間にちょっと見ると
椎蕈
(
しひたけ
)
乾燥場のやうな形の
可成
(
かなり
)
大きな小屋がたって煙突もあったのだ。
税務署長の冒険
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
これなら、ちよいと
磔
(
くるす
)
を爪でこすつて、
金
(
きん
)
にすれば、それでも
可成
(
かなり
)
、誘惑が出来さうである。
煙草と悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お金の件、お願いに
背
(
そむ
)
いて申し訳ないが、とても急には出来ない。実は昨年、県会議員選挙に立候補してお蔭で借金へ毎月
可成
(
かなり
)
とられるので閉口。選挙のとき小泉邦録君から五十円送って貰った。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
かの子 一面から
云
(
い
)
えば非常にもの
分
(
わか
)
りのいい新鮮らしい女性が多い様に見えるけれど、それは近代の女性に許されている
可成
(
かなり
)
の自由と、女性そのものの普遍化された新味から来る
自負心
(
じふしん
)
とであって
新時代女性問答
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
見上げるような大きい太い銀杏は墓場を仕切っている
土塀
(
どべい
)
の傍に突立っていた。土塀は大方崩れかかっていた。墓場から少し離れた所に本堂があった。本堂は
可成
(
かなり
)
大きくて、廻りがずっと空いていた。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
この木犀は
可成
(
かなり
)
の古い幹で、細長い枝が四方へ延びていた。それを境に、
疎
(
まばら
)
な竹の垣を
繞
(
めぐ
)
らして、三吉の家の庭が形ばかりに区別してある。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
可成
(
かなり
)
の知識を持っていたものですから、癲癇による死というものが、如何に
不確
(
ふたしか
)
で、生埋めの危険を伴うものだかを、よく心得ていたのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
先生の信ずる所によると、日本の文明は、最近五十年間に、物質的方面では、
可成
(
かなり
)
顕著な進歩を示してゐる。が、精神的には、
殆
(
ほとんど
)
、これと云ふ程の進歩も認める事が出来ない。
手巾
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
凝灰岩
(
ぎょうかいがん
)
が青じろく崖と
波
(
なみ
)
との間に四、五
寸
(
すん
)
続
(
つづ
)
いてはいるけれどもとてもあすこは
伝
(
つた
)
って行けない。それよりはやっぱり水を
渉
(
わた
)
って
向
(
むこ
)
うへ行くんだ。向うの河原は
可成
(
かなり
)
広いし
滝
(
たき
)
までずうっと続いている。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「橋本さん」と言えば、
可成
(
かなり
)
顔が売れたものだ。「しばらく来ないな——」と正太は
呟
(
つぶや
)
きながら、いくらか勾配のある道を河口の方へ下りた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その人数の中に、名探偵と聞えた捜査課の恒川警部が混っているのを見ると、当局が、引続いて起った、畑柳家の怪事を、
可成
(
かなり
)
重大に考えていることが分った。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
同一の作家にした所が、前のと全然異つた作品を書かないものとは限りません。現にストリントベリイなどは自然主義時代とその以後とに
可成
(
かなり
)
かけ離れた作品を書いてゐます。
文芸鑑賞講座
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
右隊登場、
総
(
すべ
)
て始めのごとし。
可成
(
かなり
)
疲
(
つか
)
れたり。
饑餓陣営:一幕
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
成
常用漢字
小4
部首:⼽
6画
“可成”で始まる語句
可成的