努力どりょく)” の例文
そして、こういたわると、としとったがんは、わかいものにみずからのちからおとろえと、弱気よわきせまいと努力どりょく努力どりょくをつづけてんでいました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
むしろ場合によりてはむべきで、消極的修養しょうきょくてきしゅうよう努力どりょくであると思う。元来がんらい普通の人はすべて幾分かの弱点じゃくてんを備うるものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
け死ぬか、のがれだせるか、人間最高の努力どりょくをふりしぼる瞬間しゅんかんには、かれもこれも、おそろしい無言むごんであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何くそとわたしはをつむって、何も考えないようにして歩きました。けれどもむだな努力どりょくでございました。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ヴィットシェーヴレのような部屋へやの百もあるおしろをきずくようになるまでには、長い間ずいぶん苦心もし、努力どりょくもしたものだということなどを話してきかせました。
するとかれはわたしのほっしていたありったけの同情どうじょうをわたしにそそいだ。かれはどうにかしてわたしをなぐさめようと努力どりょくした。そして失望しつぼうしてはいけないと言った。
そしてかれがえらい音楽家おんがくかになったのは、ゆたかな天分てんぶんくるしい努力どりょくとによるのですが、またおさなときにゴットフリートからけた教訓きょうくんは、ふかくこころにきざみこまれていて
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
大隅学士は懸命なる努力どりょくを払って、落し穴にも落ちないで、やっと立ち上った。彼は側にある洋杖を握ると、ドクトルの後を追って、室外に飛び出した。この間、僅か数秒のうち……。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ぼくらはあとにくるもののために、もっとも正しき人となり、もっともよき人となるべく努力どりょくしなければならん。左門先生の遺徳いとくを思うとともに、ぼくらもまた、第二の左門先生となりたいものだ
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
やがて、ふゆり、はるになろうとして、気流きりゅうあらそいました。みだれるくもあいだから、太陽たいよう下界げかいをのぞいて、たゆみなき人間にんげん努力どりょくをながめながら
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、またここで、人間が器具きぐ武器ぶき衣服いふくや家や家具かぐなどを考えだしてつくるのには、長いあいだ、たゆまず努力どりょくしたものだということを説明しはじめました。
ここでひとつ喝采かっさいをはくして見物けんぶつからぜにを投げてもらわなければ、ここまでの努力どりょくも水のあわだし、かえりに空腹すきばらをかかえてもどらなければならないと思うと、しぜんと勇気ゆうきづいて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老いてもなお青年の活気と理想とを持続せんには折々自己にかえりみるにくはない。かえりみて退歩せる点あらばさらに理想に向かって奮励ふんれい努力どりょく一番し、かくしてつねに若い心持ちで向上する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
小鳥が鳥もちからはなれようとするように、若者わかものは手足をばたばたやって努力どりょくした。そして満身に鉄のような力をこめて、やっと一足歩いたとき、若者はその影法師かげぼうしからはなれることができた。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
なんと並々なみなみならぬ心遣こころづかいと、努力どりょくが、そのかたむけられていることか。たとえば、雨風あめかぜかれても容易よういれそうもない、じょうぶなえだえらばれていました。
ある夏の日のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふたりのいのちも早やあきらめなければなるまい。きあがった業火ごうかはふたりの無益むえき努力どりょくをあざわらうもののごとく、ずッしりと黒くげたワラ山から小屋の羽目板はめいたをなめずりまわしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんなもので世の中でいわゆる勝負しょうぶはかる標準は、人の実力や努力どりょくの標準とはちがう。ゆえに俗界を離れて高い立場よりこの世の競争奮闘ふんとうのありさまを見れば、定めて可笑おかしきことがたくさんあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そのたびに、少年しょうねんは、自分じぶんわるくせあらためようと努力どりょくしました。よわ少年しょうねんには、なかなかそれができなかった。ついらずに、うそをいってしまうのでした。
その日から正直になった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いままで、運命うんめいといって、あきらめたことも、協同きょうどう努力どりょくで、征服せいふくすることができるんですね。」
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうだ。ぼくたちも、ちりぢり、ばらばらになってはいけない。ただしいこころこころがむすびついて、おたがいにきぬく努力どりょくをしなければ!」と、ぼくはおもったのでした。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
幸三こうぞうは、一まい鉄板てっぱんをあちらにはこぶのに、どれほど、努力どりょくしなければならなかったでしょう……。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、また、人間にんげんのほんとうの努力どりょくというものが、けっしてむなしくはならないように、しん芸術げいじゅつというものが、永久えいきゅうに、そのひかりみとめられないはずがないのであります。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれらのれからはなれて、一小鳥ことりそらんでいますと、いつしか、ひどいかぜになってきました。そして、小鳥ことりは、いくら努力どりょくをしましても、そのかぜのためにばされてしまいました。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしたちが、こうして安心あんしんしてくらせるのも、世間せけん道徳どうとくがあり、秩序ちつじょがあるからです。この一にち平和へいわおくれたら、かみさまに感謝かんしゃし、ただしく努力どりょくされたなか人々ひとびとに、感謝かんしゃしなければなりません。
夢のような昼と晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それも、自信じしん努力どりょくすることが、たいせつなんだって。
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)