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ひょうろう
ふりがな文庫
“
兵糧
(
ひょうろう
)” の例文
すなわち魏の
孫礼
(
そんれい
)
は、
兵糧
(
ひょうろう
)
を満載したように見せかけた車輛を何千となく連れて、
祁山
(
きざん
)
の西にあたる山岳地帯を
蜿蜒
(
えんえん
)
と行軍していた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
七月
大府
(
おおふ
)
に向い、翌永禄元年二月には、義元に叛き信長に通じた寺部城主鈴木
重教
(
しげのり
)
を攻め、同じく四月には
兵糧
(
ひょうろう
)
を大高城に入れた。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
おやさしかった多門兵衛様には、すでに矢折れ
兵糧
(
ひょうろう
)
つき、この城保ちがたしとご覚悟なされ、ご自害あそばされましてござります。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「もう一度行きますよ、親分。明日は姿を変えて平内様のお堂の前に頑張って、三日分ばかり
兵糧
(
ひょうろう
)
を背負ってつけたらどんなもので——」
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
天正十年のこと、織田信長がこの国に侵入して、
法華寺
(
ほっけでら
)
というので
兵糧
(
ひょうろう
)
を使っているところへ、色々の小袖を着た女房が一人入って来ました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
兵糧
(
ひょうろう
)
が尽きて
焼芋
(
やきいも
)
や
馬鈴薯
(
じゃがいも
)
で間に合せていたこともあります。もっともこれは僕だけです。叔母は極めて感じの悪い女です。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
孵化後の雛も一両日間は肛門の内に黄身を
納
(
い
)
れあるなり。これ雛が自由に食物を摂取し得るまでの
兵糧
(
ひょうろう
)
と知るべし。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その
戦
(
いくさ
)
は九
年
(
ねん
)
もつづいて、その
間
(
あいだ
)
にはずいぶんはげしい
大雪
(
おおゆき
)
に
悩
(
なや
)
んだり、
兵糧
(
ひょうろう
)
がなくなって
危
(
あや
)
うく
餓
(
う
)
え
死
(
じ
)
にをしかけたり、一
時
(
じ
)
は
敵
(
てき
)
の
勢
(
いきお
)
いがたいそう
強
(
つよ
)
くって
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
旅行中用意の品々失策又失策日本出発
前
(
ぜん
)
に外国は何でも食物が不自由だからと
云
(
い
)
うので、白米を箱に詰めて何百箱の
兵糧
(
ひょうろう
)
を貯え、又旅中
止宿
(
ししゅく
)
の用意と云うので
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
半四郎は
飯櫃
(
おはち
)
と重箱とほかに水道の水を大きな牛乳
鑵
(
かん
)
二本に入れたのを次ぎ次ぎと運んでくれる。今夕の分と明朝の分と二回だけの
兵糧
(
ひょうろう
)
を運んでくれたのである。
水籠
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ここには土居を築き土俵を積んで胸壁を起こすものがある。
下諏訪
(
しもすわ
)
から運ぶ
兵糧
(
ひょうろう
)
では間に合わないとあって、樋橋には役所も設けられ、
炊
(
た
)
き出しもそこで始まった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
否
(
いいえ
)
、
飯
(
めし
)
は持つてます、
何
(
ど
)
うせ、
人里
(
ひとざと
)
のないを承知だつたから、
竹包
(
たけづつみ
)
にして
兵糧
(
ひょうろう
)
は持参ですが、お
菜
(
さい
)
にするものがないんです、何か
些
(
ちっ
)
と分けて
貰
(
もら
)
ひたいと思ふんだがね。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
のみならず途中の
兵糧
(
ひょうろう
)
には、これも桃太郎の
註文
(
ちゅうもん
)
通り、
黍団子
(
きびだんご
)
さえこしらえてやったのである。
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兵糧
(
ひょうろう
)
係のかれはぬけめなく、
水筒
(
すいとう
)
にいっぱいつめこんだ。ぼくらも思い思いに顔をあらった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
清兵衛
(
せいべえ
)
はがんばった。そして、日に一度ぐらい
渡
(
わた
)
されるにぎりめしを自分は食わずに馬に食わせたり、また、戦場にころがった
明兵
(
みんぺい
)
の腰から、
兵糧
(
ひょうろう
)
をさぐって
朝月
(
あさづき
)
にあたえた。
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
まあ、まア、そう急ぐことはない。これから府中までは七里半の道。じゅうぶんに
兵糧
(
ひょうろう
)
を
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
平日の
薪採
(
たきぎと
)
りが十分で、事あらば駈け登るべき
嶮岨
(
けんそ
)
の要害山にも近く、さらに家人郎従を養うだけの田園があって、籠城の
兵糧
(
ひょうろう
)
も集めやすく遠見と掛引きとに都合の好い山城は
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「だって、
兵糧
(
ひょうろう
)
をつめないことには、いくらあっしだって、いくさはできませんよ」
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
やがて
正午
(
ひる
)
近くなって、人も馬もとある
樫
(
かし
)
の樹の森に這入って、
兵糧
(
ひょうろう
)
を
遣
(
つか
)
いながら一休みしてからは、夕方ここで又会う約束で、四十人が四組にわかれて、四方の山や谷を残る処無く探した。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「我々は敵にかこまれている、しかしこの砦はかたい、
兵糧
(
ひょうろう
)
も弾薬もたくさんある、そして一日二日のあいだには三百人の後援隊が来るんだぞ、それよりおくれることは絶対にない、一日か二日だ、そのあいだがんばってくれ、わかったか」
梟谷物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『甚だ恐れ入るが、これは昨夜、
兵糧
(
ひょうろう
)
に持参いたした
穢
(
むさ
)
い物でござる。もはや不用になりました故、どこぞお取捨てくだされい』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
働き盛りの
壮丁
(
わかもの
)
は国を
挙
(
こぞ
)
って召し上げられ廩米は
兵糧
(
ひょうろう
)
につけ出されて、我々女や老人の口へはそれこそ一粒もはいりはせぬ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「よし十人二十人の討手が向うたからとて、かくの如く
兵糧
(
ひょうろう
)
さえ充分なら、何の怖るることはない」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「まさか、蚊に喰殺されたという話もない。そんな事より、恐るべきは
兵糧
(
ひょうろう
)
でしたな。」
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
郷里
(
くに
)
の方からでも、すこし
兵糧
(
ひょうろう
)
を取寄せたら可いじゃ有りませんか」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一、一夜陣の儀に候条、
乗衆
(
のりしゅう
)
の
兵糧
(
ひょうろう
)
つみ申すまじく候事。
厳島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
昨夜おそく、清洲にはいった諜報によれば、三河の松平元康は、大高の孤城へ
兵糧
(
ひょうろう
)
を送り入れよとの命をうけて、駿府表より立ったとある。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一軍はここで
暫時
(
しばらく
)
停まり悠々と
兵糧
(
ひょうろう
)
を使いながら追手のかかるを待ち構えた。しかし追手はかからなかった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
構はず
兵糧
(
ひょうろう
)
を使ひつゝ
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これをも打ち叩かずに、何で、長篠の包囲を解き、むなしくここの陣を
退
(
ひ
)
けよう。——長篠の孤城はすでに
兵糧
(
ひょうろう
)
も尽き、兵はみな生色もない。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すわこそお家の一大事と、館中の武士も女達も、この注進を聞くと共に、武者振るいして立ち上がり、武器の手入れや
兵糧
(
ひょうろう
)
の仕込みに寝食を忘れて働き出した。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
やっと、夜が明けてから、
仮屋
(
かりや
)
のすみで、すこし眠ったが、朝の
兵糧
(
ひょうろう
)
を分けてもらうと、逃げることに、心をきめた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに
兵
(
へい
)
倦
(
う
)
み、
兵糧
(
ひょうろう
)
もとぼしく、もとより
譜代
(
ふだい
)
の臣でもない
野武士
(
のぶし
)
の部下は、日のたつほどひとり去りふたりにげ、この陣地をすて去るにちがいない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「御家老さま。お風呂をお召しなさいませぬか。お
士
(
さむらい
)
衆、足軽衆まで、はや
夕餉
(
ゆうげ
)
の
兵糧
(
ひょうろう
)
もおすみになりましたが」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その姿を見つけた稲葉山城の兵たちも、味方とばかり思って、附近の
薪倉
(
まきぐら
)
だの、
籾蔵
(
もみぐら
)
などの棟の下で、
屯
(
たむろ
)
しながら、朝の
兵糧
(
ひょうろう
)
を喰って、雑談などしていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
途中、
洲股
(
すのまた
)
川を南へ
渉
(
わた
)
ると、一城が眼についた。木下藤吉郎の洲股城である。その一軍は、船を降りると、城内の味方から、湯茶
兵糧
(
ひょうろう
)
などの接待をうけた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おお、ついて来い。佐吉は、うしろにいて働け。うしろの
兵糧
(
ひょうろう
)
方や大荷駄のやり繰りなど、しかとやれよ」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仰
(
おお
)
せながら、ひとたび軍旅を遠くはせて、
木
(
き
)
ノ
芽
(
め
)
峠
(
とうげ
)
や
賤
(
しず
)
ヶ
岳
(
たけ
)
の
険路
(
けんろ
)
を、
吹雪
(
ふぶき
)
にとじこめられるときは、それこそ
腹背
(
ふくはい
)
の
難儀
(
なんぎ
)
、軍馬はこごえ、
兵糧
(
ひょうろう
)
はつづかず
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——勝吉が参れぬとあれば、余人もまた、城を出るを、
潔
(
いさぎよ
)
しとすまい。……というて、むなしく援軍の来るのを待つもどうか。わずか四、五日しかない
兵糧
(
ひょうろう
)
を喰って」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕がたの
兵糧
(
ひょうろう
)
の
炊
(
かし
)
ぎに、城外の陣場は、どこも煙っていた。
馬糞
(
まぐそ
)
や汗のにおいに、人馬ともごった返している中を、かの女は、おそれげもなく、物見組と一しょに通った。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、敵の夜襲に備えて、夕方、
兵糧
(
ひょうろう
)
をつかった後は、身じろぎもせず、弓をにぎり、太刀をつかみ、一刻一刻、息をこらして、更けゆく富士川の水を睨んでいるのだった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「城中
兵糧
(
ひょうろう
)
は、もういくらもないぞ。いたずらに、力攻めして兵を損傷するには当らん」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また
傷負
(
てお
)
いを
扶
(
たす
)
けたり、
兵糧
(
ひょうろう
)
の
炊
(
かし
)
ぎに働いたり、どこもかしこも混乱沸くが如き騒ぎを呈しておりながら、しかも誰が命じるでもなく、
一
(
ひと
)
すじの秩序はその中にきちんと立っていて
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小屋の
側
(
わき
)
手に積んである
兵糧
(
ひょうろう
)
だの陣具だの濡らしてならない品を囲んである中に、
紺糸縅
(
こんいとおど
)
しの
鎧
(
よろい
)
に、黒革の具足をつけた武士が、幕を引っ
被
(
かつ
)
いで眠っていたが、むっくりと起きあがって
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
急に真夏を思わせて
陽
(
ひ
)
はかんかんと照りつけ、行儀のわるい
荷駄
(
にだ
)
人夫が物売り店にたかって盛んに喰ったり
喚
(
わめ
)
いたりしているかと思えば、
兵糧
(
ひょうろう
)
を載せた牛車を
挟
(
はさ
)
んで足軽同士の口喧嘩だ。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例の
棒
(
ぼう
)
切れを刀のように腰へさして、
稗
(
ひえ
)
と草の
芽
(
め
)
を
団子
(
だんご
)
にした
兵糧
(
ひょうろう
)
をブラさげて、ヒラリと鷲の背にとびつくが早いか、鷲は地上の木の葉をワラワラとまきあげて、青空たかく飛びあがった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
放ち
物見
(
ものみ
)
、大物見を先に、四段に備え立て、中軍をまん中に、鉄砲隊、弓隊、槍隊、武者隊とつづき、
兵糧
(
ひょうろう
)
、軍需の物を積んでゆく荷駄隊は、最後方から汗をふりしぼってそれに
従
(
つ
)
いて行った。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど、以上の急迫を告げているほかに、孤立の城内には、
兵糧
(
ひょうろう
)
も乏しく、松杉の木の皮を餅にして喰べ、合戦の日だけは、米の
汁
(
しる
)
を兵に飲ませているなどという窮状の一端などが
認
(
したた
)
めてあった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「船がありません。
兵糧
(
ひょうろう
)
もつづきかねます。兵力も不足で——」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は一たん兵を平野へ下げて
兵糧
(
ひょうろう
)
をとり、再度山へ攻め登った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“兵糧”の解説
兵糧(ひょうろう、兵粮、軍糧とも)とは、戦争時における軍隊の食糧のこと。日本においては主食である米について論じられる事が多く、兵糧米(ひょうろうまい・兵粮米)などとも呼ばれている。米の他にも、塩や大豆(馬の食糧(馬糧)としても重要視された)などが含まれている。
(出典:Wikipedia)
兵
常用漢字
小4
部首:⼋
7画
糧
常用漢字
中学
部首:⽶
18画
“兵糧”で始まる語句
兵糧方
兵糧係
兵糧倉
兵糧米
兵糧丸
兵糧時
兵糧炊
兵糧長
兵糧陣
兵糧搬入