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ふりがな文庫
“
公達
(
きんだち
)” の例文
「ナニ、京師飛鳥井家の
公達
(
きんだち
)
、右京次郎と
宣
(
なの
)
っているとな? ふうむこいつは眉唾ものだな。……で、同勢は幾百人とか云ったな?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
参詣の帰りに岩田川を渡った時、嫡子維盛始め
公達
(
きんだち
)
が、折柄、夏の事で暑い盛りでもあったので、涼みがてら水遊びなどをした。
現代語訳 平家物語:03 第三巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
岩倉少将(
具定
(
ともさだ
)
)、同
八千丸
(
やちまる
)
(
具経
(
ともつね
)
)の
兄弟
(
きょうだい
)
の
公達
(
きんだち
)
が父の
名代
(
みょうだい
)
という格で、正副の総督として東山道方面に向かうこととなったのである。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人のうわさによると、戦ぎらいの
公達
(
きんだち
)
は、よく、
三井
(
みい
)
や、
叡山
(
えいざん
)
や、
根来
(
ねごろ
)
などの、学僧のあいだに、姿をかえて
匿
(
かく
)
れこむよしです。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時の御門を悩まし
奉
(
たてまつ
)
ろうとするとき、
公達
(
きんだち
)
藤原治世の征討を受け、
敵
(
かたき
)
と恋に落ちて、非望をなげうつという筋の、通し狂言——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
足利義尚の六角征伐のごときは、藤氏全盛時代の
公達
(
きんだち
)
には見られぬ現象であって、この見地からするも両時代の差を分明に示すものであろう。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
三代の
実朝
(
さねとも
)
時代になってもまだそんなふうだったから、この時代の鎌倉の千手の前が都会風の洗練された若い
公達
(
きんだち
)
に会って参ったのだろうし
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして
摘草
(
つみくさ
)
ほど
子供
(
こども
)
にとられたと
言
(
い
)
ふのを、
何
(
なん
)
だか
壇
(
だん
)
の
浦
(
うら
)
のつまり/\で、
平家
(
へいけ
)
の
公達
(
きんだち
)
が
組伏
(
くみふ
)
せられ
刺殺
(
さしころ
)
されるのを
聞
(
き
)
くやうで
可哀
(
あはれ
)
であつた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼らはおそらく平家の名ある人々の
公達
(
きんだち
)
で、みやこ育ちの優美な人柄であるのを幸いに、官女のすがたを仮りて落ちのびて来たものであろう。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
娘がおおぜいいると聞いて、ともかくも世間から
公達
(
きんだち
)
と思われている人なども結婚の申し込みに来るのがおおぜいあった。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それ故に或画に賛をする時にはその賛とその画と重複しては面白くない。例へば
狐
(
きつね
)
が
公達
(
きんだち
)
に化けて居る画が画いてある上に
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
横幅廣く結ひ下げて、
平塵
(
ひらぢり
)
の細鞘、
優
(
しとやか
)
に下げ、
摺皮
(
すりかは
)
の
踏皮
(
たび
)
に同じ色の
行纏
(
むかばき
)
穿ちしは、何れ
由緒
(
ゆゐしよ
)
ある人の
公達
(
きんだち
)
と思はれたり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
十八世紀の中葉には、身分の高い
公達
(
きんだち
)
らは公然と
妾
(
めかけ
)
をたくわえていたが、中流民らは妾を置いてもそれを隠していた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
御子左の家柄としては極位極官である。それにこの昇進の早さは、たしかに大臣家の
公達
(
きんだち
)
に互角であった。父定家はそれを見て世を去ったのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
「平家の
公達
(
きんだち
)
も、そこに落ちて、居ついているくらいですから、わたしなんぞも、住めないはずはないと思います」
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「早い話が、
何家
(
どこ
)
の大事な
公達
(
きんだち
)
だツて、要するに、親の淫行の收穫よ。ふゝゝゝ」と
危
(
あやふ
)
く快げに笑出さうとして
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
希臘
(
ギリシャ
)
か
羅馬
(
ローマ
)
か古代
埃及
(
エジプト
)
か? それはわからなかったが、いずれは由緒ある貴族の
公達
(
きんだち
)
か姫君なのであったろう。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この平家の
公達
(
きんだち
)
のような美少年は早くから知っていたが、この人が眉山人であるとは少しも知らなかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
いま日本に於いて、多少ともウール・シュタンドに近き
文士
(
ぶんし
)
は、白樺派の
公達
(
きんだち
)
、
葛西
(
かさい
)
善蔵、佐藤春夫。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それにつけても
肥後守
(
ひごのかみ
)
は、——会津中将は、
葵
(
あおい
)
御一門切っての
天晴
(
あっぱ
)
れな
公達
(
きんだち
)
よ
喃
(
のう
)
! 御三家ですらもが薩長の鼻息
窺
(
うかご
)
うて、江戸追討軍の御先棒となるきのう今日じゃ。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
若君一人儲かったのだけれど、今は御正腹に、
綱政
(
つなまさ
)
、
政言
(
まさとき
)
、
輝録
(
てるとも
)
の三
公達
(
きんだち
)
さえあるのだから、それにも実は及ばぬ次第。近々御隠居ともならば、私田を御次男御三男にも御分譲。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「菊川に公卿衆泊りけり
天
(
あま
)
の
川
(
がは
)
」(
蕪村
(
ぶそん
)
)の光景は、川の面を冷いやりと吹きわたる無惨の秋風が、骨身に沁みるのをおぼえようではあるまいか、更にそのむかし、平家の
公達
(
きんだち
)
、
重衡
(
しげひら
)
朝臣
(
あそん
)
が
天竜川
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
秀次の
公達
(
きんだち
)
や妻妾共が三条河原で斬られた日、
鹿垣
(
しゝがき
)
の外でその有様を窺い、
阿鼻叫喚
(
あびきょうかん
)
のこえに断腸の思いを忍んでから後の順慶であって、彼が舊主三成の残虐を恨み、豊臣氏の天下を
呪
(
のろ
)
って
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「不忠者っ。御当代の
公達
(
きんだち
)
を呪う輩を、守って、それで、薩摩隼人かっ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
とにかく、綾小路らの
公達
(
きんだち
)
が途中から分かれて引き返してしまうのはよくよくです。これにはわれわれの知らない事情もありましょうよ。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
手もとへよせて、
怪力
(
かいりき
)
の
若僧
(
わかそう
)
が、また、虫でもつまむように引っとらえた時である。いつか、
六部
(
ろくぶ
)
のうしろまで進んできた
品
(
ひん
)
よき
公達
(
きんだち
)
が
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と主な家臣に言い遣わしたが、平家の
公達
(
きんだち
)
は何かと口実を設けたり、とやかく言って誰も辞退して引き受けぬ。能登守の所にも使者が来た。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
諏訪
因幡守
(
いなばのかみ
)
忠頼の嫡子、頼正君は二十一歳、冒険
敢為
(
かんい
)
の
気象
(
きしょう
)
を持った前途有望の
公達
(
きんだち
)
であったが、皆紅の扇を持ち、今
船首
(
へさき
)
に突っ立っている。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
曲のありふれたものでない楽が幾つか奏されて、舞い手にも特に選抜された
公達
(
きんだち
)
が出され、若い女に十分の満足を与えた。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
苟も身一門の末葉に
連
(
つらな
)
れば、公卿華胄の
公達
(
きんだち
)
も敢えて肩を竝ぶる者なく、
前代未聞
(
ぜんだいみもん
)
の榮華は、天下の耳目を驚かせり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
公達
(
きんだち
)
と兵馬とは、親しくその光景を見て、動物の有する相互扶助と、それから、無政府状態にして一糸乱れざる統制ぶりに、まず感心させられました。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
果せる
哉
(
かな
)
、礼之進が運動で、先生は早や平家の
公達
(
きんだち
)
を御存じ、と主税は、折柄も、我身も忘れて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
本庄采女……。どのような奴であったかのう。おお、思い出した。都落ちの平家の
公達
(
きんだち
)
を
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
行平どのは根が公卿育ちの芋の煮えたも御存じなきノホヽンだから今度は御自身毎日車に召して深草の
百夜
(
もゝよ
)
通ひも物かはと中々な御熱心であつた。何しろ身分は伯爵の
公達
(
きんだち
)
である。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「その七割は
俺
(
おれ
)
のものだ。」また、商人は倉庫に満す物貨を集め、長老は貴重な古い
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
を
漁
(
あさ
)
り、
公達
(
きんだち
)
は緑したたる森のぐるりに早速縄を張り廻らし、そこを己れの楽しい狩猟と
逢引
(
あいびき
)
の場所とした。
心の王者
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
公達
(
きんだち
)
に
狐
(
きつね
)
ばけたり宵の春
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
しかし学内でも、卒業後も、貴族の
公達
(
きんだち
)
と、
地下人
(
ちげびと
)
の息子とは、学科から待遇にまで、差別があった。当然、ふたつのものは、水と油だった。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
香炉を持って仏事の席を練っていた
公達
(
きんだち
)
がそれを取り次いで仏前へ供えた。紫の女王の手紙は子息の源中将が持って来た。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
綾小路
(
あやのこうじ
)
らの
公達
(
きんだち
)
を奉じて出かけたものもあるが、勅命によってお差し向けになったものではないとまで断わってある。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
前髪黒く顔白く、眼に張りあって
愛嬌
(
あいきょう
)
あふれ、唇
紅
(
あか
)
く鼻高く、堂上方の
公達
(
きんだち
)
か大管領の若者かと思われるようなその気高さ、
莞爾
(
かんじ
)
と笑って座についたが
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
君ならでは人にして人に非ずと
唱
(
うた
)
はれし一門の
公達
(
きんだち
)
、
宗徒
(
むねと
)
の人々は言ふも
更
(
さら
)
なり、
華冑攝籙
(
くわちゆうせつろく
)
の
子弟
(
してい
)
の、苟も武門の蔭を覆ひに當世の榮華に誇らんずる
輩
(
やから
)
は
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
赤地の錦の
直垂
(
ひたたれ
)
を着て、髪は平紐で後ろへたれ、目のさめるほどの
公達
(
きんだち
)
ぶりで座をかまえておりましたが、やがて、その周囲へ集まったこの屋敷の頭株が
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
開かれ其後自身に
戰場
(
せんぢやう
)
へ向はれし事なく
木曽義仲公
(
きそよしなかこう
)
追討
(
つゐたう
)
の
刻
(
きざみ
)
は御舍弟範頼義經兩
公達
(
きんだち
)
に命ぜられ宇治瀬田の二道より進で一戰に木曽氏を
討亡
(
うちほろ
)
ぼし續いて兩御舍弟を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
批評も小説も新躰詩も何でも
巧者
(
じやうず
)
で某新聞に文芸欄を担任する
荒尾
(
あらを
)
角也
(
かくなり
)
、
耶蘇教
(
やそけう
)
の坊さんだとかいふアーメン臭い
神野
(
かみの
)
霜兵衛
(
しもべゑ
)
、京都の公卿伯爵の
公達
(
きんだち
)
鍋小路
(
なべこうぢ
)
行平
(
ゆきひら
)
——斯ういふ人達だよ
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「無論さ。」と、忠一は
首肯
(
うなず
)
いて、「五個の庄の住民は
何
(
いず
)
れも平家に
由縁
(
ゆかり
)
の者で、彼等は久しく都の空気を呼吸していた。平家の
公達
(
きんだち
)
や
殿原
(
とのばら
)
は
其
(
その
)
当時に
於
(
おけ
)
る最高等の文明人種であったのだ。 ...
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
公達
(
きんだち
)
に狐ばけたり宵の春
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
御簾
(
みす
)
の中から和琴を差し出されたが、二人の
公達
(
きんだち
)
は譲り合って手を触れないでいると、夫人は末の子の侍従を使いにして
源氏物語:46 竹河
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
秀吉は
愍
(
あわ
)
れみつつ胸にえがいた。典型的な名門の
公達
(
きんだち
)
がそこには思い出されるのだった。救いがたき性情の持主を感ぜずにいられないのである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうして、かつては
九重
(
ここのえ
)
の奥深く、顔さえみることもできなかった平家の
公達
(
きんだち
)
の首が、都大路を幾万という観衆に見世物にされて渡されることになったのであった。
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
かの高村卿と呼ばれた
公達
(
きんだち
)
と、宇津木兵馬とは、この時、右の屋敷に居合わさなかったのは確実です。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“公達”の解説
公達(きんだち)は、本来は諸王のことを指したが、後代には臣籍にある諸王の子弟や、摂家・清華家などの子弟・子女に対する呼称として用いられた語である。
公達家は清華家の異称である。
(出典:Wikipedia)
公
常用漢字
小2
部首:⼋
4画
達
常用漢字
小4
部首:⾡
12画
“公達”で始まる語句
公達輩
公達袴