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会得
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えとく
ふりがな文庫
“
会得
(
えとく
)” の例文
旧字:
會得
「ほんとに、これでいいんですか」と自分も真似ながら頻りに不安がっている青年を私はどうやら
会得
(
えとく
)
させて、先へ室を出てしまった。
褐色の求道
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
わたしの持ち合わせている「おかる勘平」や「
権八小紫
(
ごんぱちこむらさき
)
」ぐらいの幼稚な予備知識では、とても
会得
(
えとく
)
することの出来ないものであった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これは実は、博士が修業によって
会得
(
えとく
)
して来た術であって、なにも聖者をわずらわさなくとも、博士ひとりで出来ることであった。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「はてさて、仏徒のまじわりもひろい。一院一寺をもあずかるおのおののことゆえ、それくらいなことは、ようご
会得
(
えとく
)
と存じていたが」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして会員達の家を訪問して、個人個人の会員と親しみ、その性質を
会得
(
えとく
)
して、種々の催しを計画するのが、井関さんのやり口でした。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
お松も、与八も、期せずして、その妙理を
会得
(
えとく
)
せんとするのは祝すべきことでありますが、一生の事は必ずしも、そう単純には参らない。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
見習うがいいと思う。平凡な人間も
貴女
(
きじょ
)
がたの作法に
会得
(
えとく
)
が行くと違ってくるものだからね。そんなつもりであちらへ行こうと思いますか
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尋常ならぬ時勢をとくと
会得
(
えとく
)
して今般の費用を
調
(
ととの
)
えるよう、よくよく各村民へ言い聞かせてもらいたいとの意味が書いてあった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この翻訳はなかなか
難
(
かた
)
い。原文を精確に
会得
(
えとく
)
しなければ翻訳はできない。また訳する言葉がわからなければ適切な翻訳ができぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
頭が良くなくても根気さえあれば人が一日に一時間ずつ費やして
会得
(
えとく
)
しまた仕遂げる事を、二時間三時間ずつかければ会得し遂行されよう。
雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「もうなにもない。ねだってもだめだよ」かれはこれを大きな声で言ったと同様、はっきりと
仲間
(
なかま
)
の犬たちに
会得
(
えとく
)
さしていた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
それが飾りもなにもないこうした町の生活の真実なんだということはいろいろなことを知ってみてはじめて吉田にも
会得
(
えとく
)
のゆくことなのだった。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
彼は到底一の「殉」字を
会得
(
えとく
)
したるもの、
而
(
しこう
)
して彼は到底一の殉字に
慚
(
は
)
じざるもの、略言すれば彼は天成の好男児なり、日本男児の好標本なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
いや、それは、まだ、あなたは
能
(
よ
)
く私の申し条を
会得
(
えとく
)
して下すっておらん。それでは、学校のことと、内のこととを別にしていられることになる。
幕末維新懐古談:65 学校へ奉職した前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
知らるるものと知るものと合一せるものの最も内面的なる
会得
(
えとく
)
をいうのである。われらの思惟の根底には明らかにこの知的真観が横たわっている。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
私は自分は絵を描くために生まれて来たのだというくらいの必然性が伴っていてこそ本当に制作というものが聞かずして
会得
(
えとく
)
出来るものと思います。
雷同性に富む現代女流画家
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
問い返された時分にはこっちの腹も、どうか、こうか、受け答の出来るくらいに眼前の
事況
(
じきょう
)
を
会得
(
えとく
)
するようになった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その反対に、これらの客観的形式は、個人的もしくは社会的意味体験としての「いき」の意味移入によって初めて生かされ、
会得
(
えとく
)
されるものである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
我々にとって重要なのはすでに与えられている良薬ではなくしてその飲み方である。しかるに在来の師は、自らもこの飲み方を
会得
(
えとく
)
していなかった。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
精神の鍛錬が出来ている者は法術を
会得
(
えとく
)
することもいと早い。私の持っている
大概
(
たいがい
)
の
法術
(
じゅつ
)
を彼はことごとく
会得
(
えとく
)
した。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
言わば余裕
頗
(
すこぶ
)
る
綽々
(
しゃくしゃく
)
としたそういう幸福な遭難者には、浅草で死んだ人たちの
最期
(
さいご
)
は話して聞かされても、はっきり
会得
(
えとく
)
することができない位である。
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
当時の滋幹には勿論それの大要だけでも
会得
(
えとく
)
出来よう筈はなかったので、彼が日記に書き留めているのは、父の語った言葉そのまゝではなくて、後年
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
正法には必ず
障礙
(
しょうげ
)
のあるもの、放屁を抑えようとして四苦八苦するのも未だ法を
会得
(
えとく
)
すること遠きがゆえであり
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
僕は
漸
(
ようや
)
く芭蕉や
一茶
(
いっさ
)
の句を理解し、その特殊な妙味や詩境に
会得
(
えとく
)
を持つようになったけれども、従来の僕にとって、芭蕉らの句は全く没交渉の存在であり
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
どうしても、も一度注射をしてくれといってきかないので、医者は
会得
(
えとく
)
のゆくように説明のかぎりをつくした。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そしてもりあがる狂喜を覚えながら、かれはこの一べつで、美そのものを、神の思想としての形態を、かの唯一の純粋なかんぺきを
会得
(
えとく
)
するように思った。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
やよ、佐助、既にして汝は鳥人の極意を余す所なく
会得
(
えとく
)
せり。これ以上の師弟の交りは、雲雨に似てあやし。
猿飛佐助
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
ひとつの国の言葉がわかるということは、実はその国の文明と人間の特質を
会得
(
えとく
)
するということなのだもの。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
こんなのが存分に化粧をして、
媚
(
こび
)
を強調する方法を
会得
(
えとく
)
したら、とんだ凄い美人になるかもわかりません。
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何しろ山霊感応あったか、蛇は見えなくなり暑さも
凌
(
しの
)
ぎよくなったので、気も
勇
(
いさ
)
み足も
捗取
(
はかど
)
ったが、ほどなく急に風が冷たくなった理由を
会得
(
えとく
)
することが出来た。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すなわち、同時に二枚紙を継いで判読せんことには、そのうちいずれの一枚を手にしたとて、とうてい水火の
鍛術
(
たんじゅつ
)
を満足に
会得
(
えとく
)
するわけには参らぬ仕組みになっておる
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
我欲の目当てが明らかに見えねば笑ひかけた口もとまで結んで見せる現金の様子まで、度々の経験に大方は
会得
(
えとく
)
のつきて、この
家
(
や
)
にあらんとには金づかひ奇麗に損をかけず
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
幻術などどうでもいいのだが、幻術を
能
(
よ
)
くするくらいなら
真人
(
しんじん
)
であろうし、真人なら宇宙の大道を
会得
(
えとく
)
していて、
渠
(
かれ
)
の病を
癒
(
いや
)
すべき
智慧
(
ちえ
)
をも知っていようと思われたからだ。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
... 思ふに必ず
由緒
(
よし
)
ある身ならん、その素性聞かまほし」トありしかば。黄金丸少しもつつまず、おのが素性来歴を語れば。朱目は聞いて膝を打ち。「それにてわれも
会得
(
えとく
)
したり。 ...
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
郎女が奈良の御館からとり寄せた
高機
(
たかはた
)
を
設
(
た
)
てたからである。機織りに長けた女も一人や二人は、若人の中に居た。此女らが動かして見せる
筬
(
をさ
)
や
梭
(
ひ
)
の扱ひ方を、姫はすぐに
会得
(
えとく
)
した。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「さあ、
会得
(
えとく
)
したら、
彼方
(
あちら
)
の
室
(
へや
)
にて、そなた持参の銘酒の
酒盃
(
さかずき
)
を上げよう。まいれ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
エピホードフ
僕
(
ぼく
)
は進歩した人間で、いろんな立派な本を読んでいるが、それでいてどうしても
会得
(
えとく
)
できんのは、結局ぼくが何を
欲
(
ほっ
)
するか、つまりその傾向なんですよ——生くべきか
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
精のいった真意のほどもほぼ
会得
(
えとく
)
されて、その言をふかく信ずる気になった。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
あわれと思うもののすべてを
会得
(
えとく
)
したのみか、さらに同じ技巧を借りて自身の内にあるものを、いろどり形づくり説き現わすことを得たのは、当代においてもなお異数と称すべき
慧敏
(
けいびん
)
である。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかし僧侶や道士というものに対しては、なぜということもなく尊敬の念を持っている。自分の
会得
(
えとく
)
せぬものに対する、盲目の尊敬とでも言おうか。そこで坊主と聞いて逢おうと言ったのである。
寒山拾得
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お
蔭
(
かげ
)
で
私
(
わたくし
)
の
守護霊
(
しゅごれい
)
の
素性
(
すじょう
)
はもとより、
人間
(
にんげん
)
と
守護霊
(
しゅごれい
)
の
関係
(
かんけい
)
、その
他
(
た
)
に
就
(
つ
)
きて
大凡
(
おおよそ
)
の
事
(
こと
)
が
漸
(
ようや
)
く
会得
(
えとく
)
されるようになりました。——あの、それを
残
(
のこ
)
らず
爰
(
ここ
)
で
物語
(
ものがた
)
れと
仰
(
お
)
っしゃるか……
宜
(
よろ
)
しうございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
主人夫婦も始めて
会得
(
えとく
)
し
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ドイツの学者のアルバイテンという言葉の意味がここに一年半通って同学者のやり方を見聞している間に自ずから
会得
(
えとく
)
出来たような気がした。
ベルリン大学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
こういう風情は現代の若い人たちには十分に
会得
(
えとく
)
されまいと思う。それから歳の暮になると、絵双紙屋の店にはいろいろの
双六
(
すごろく
)
がかけられる。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
明智流のやり方を
会得
(
えとく
)
した子どもといえば、ほかにはない。明智の少年助手の小林芳雄とかいったっけな。ハハハ……、どうだ、あたったろう。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これを判り
易
(
やす
)
く
飜訳
(
ほんやく
)
して老師は宗右衛門に
会得
(
えとく
)
させた。その具体的な手段として宗右衛門の居室は寺の花畑から不具の娘達の直ぐ傍に移された。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
米友はその常例によって、旅に来た浪人から「
淡路流
(
あわじりゅう
)
」の槍の一手を教えられたが、三日教えられると直ぐにその
秘伝
(
こつ
)
を
会得
(
えとく
)
してしまいました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それと同じく、小さなる感情を
挾
(
さしはさ
)
む人には、いかに善きことも、いかに
大
(
だい
)
なることも、けっして真の性質を
会得
(
えとく
)
しえない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「なるほど」と、人々ははじめて
会得
(
えとく
)
した。また数次の苦戦を重ねながらも、地の利に惑ったり、地を変えてみたりしない孔明の信念に心服した。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は自分で学校生活をしているにもかかわらず、兄の日曜が、いかに兄にとって
貴
(
たっ
)
といかを
会得
(
えとく
)
できなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“会得”の意味
《名詞》
会 得(えとく)
あることの意味や内容を理解し、自分のものとすること。
(出典:Wiktionary)
会
常用漢字
小2
部首:⼈
6画
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
“会”で始まる語句
会釈
会
会津
会話
会社
会稽
会式
会心
会合
会下山