云々うんぬん)” の例文
建築術のなかった昔にも神道はあった、樹を植えて神をまつったのがすなわち神社である——この故に三輪の神杉には神霊が宿る云々うんぬん
ボクはもう他人に向って好き、嫌いを云々うんぬんしますまい。好きだから好きと、云ったのに、嫌いになったら、嫌いになったと云えない。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
坊さんがその点でKを満足させたかどうかは疑問ですが、彼は寺の境内けいだいを出ると、しきりに私に向って日蓮の事を云々うんぬんし出しました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして「預言者イザヤの書に云々うんぬん」と旧約の預言を引用して、バプテスマのヨハネの洗礼のことを述べだしているのでありますが
これ勝伯の当時においてもっとも憂慮ゆうりょしたる点にして、吾人はこれを当時の記録きろくちょうしてじつにその憂慮のしかるべき道理どうりを見るなり云々うんぬん
また曰、およそ人民たるものは、ただに責罰のために敬服するのみならず、ことに良心のために敬服すべし、と云々うんぬん。〈三百二十五葉〉
云々うんぬんは島原農民の代弁で、四郎が天人として遊説していたときにはまだ島原農民との交渉はなく、一途いちずに信徒の獲得の遊説であった。
安吾史譚:01 天草四郎 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
若シ本書ニ説述シタ吾ガ田内整形手術ガ全世界ニ普及セラレタルあかつきニハ、世界中ニ只一人ノ醜イ人間モ存在シナクナルデアロウ云々うんぬん
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
昨夜某の二十頭、けさ某の四十頭を撲殺云々うんぬんと通じてくるのである。某の七十頭、某の九十頭など、その惨状は目に見えるようである。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
一人の偉大な信仰家をも、一人の偉大な無信仰家をも、見たことがないのだ。また民衆のことについては、云々うんぬんするのをよしたがいい。
云々うんぬん……だが、今まであなたに貸してあげた百五十ルーブリに対して、借用証書を一本入れてもらえますまいか、とこうなんです。
家へは僕から折返し言ってやったから、君も安心して至急取計らってくれ給え。御両親には無論もう打ち明けてあるんだろう? 云々うんぬん
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
いずれにしても天平精神の昏迷こんめいを示すものといえよう。万葉後期の諸歌人がこの間に処して、言霊ことだま云々うんぬんしたのも大きな戦いであった。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
しかし国会論の種は維新の時からまいてあって、明治の初年にも民選議院云々うんぬんの説もあり、その後とても毎度同様の主義を唱えた人も多い。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかし「委細いさい拝眉はいびの上」とあるきりで、はっきりしたことは何も書いてなかった。ただ「次郎の行末とも、自然関係ある儀に付、云々うんぬん
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それに倫理の講堂では、一旦緩急あらば、義勇公に奉じ云々うんぬんと毎々聞いている。それで彼らが、これは陸上におったて詰らない。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
此処ここは言わば首陽山しゅようざんで御座るぞ。木の実を拾い、鳥獣を狩して暮す拙者に、幕府の鼻息を覗う領主の恩を云々うんぬんされるのは片腹痛い——」
当時道家には中気真術と云うものを行うならいがあった。毎月朔望さくぼうの二度、予め三日のものいみをして、所謂いわゆる四目四鼻孔云々うんぬんの法を修するのである。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
向岸むこうぎし晩香坡バンクーバから突然だしぬけに大至急云々うんぬんの電報が来て、二十四時間以内の出帆しゅっぱんという事になったので、その忙がしさといったら話にならない。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼等にはさう婦人の貞操を云々うんぬんと云へる資格のある人はない筈である。彼等はその事を全で当然のことのやうな顔をしてゐる。
貞操に就いての雑感 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
曰く、「矢筈草俗に現の証拠といふこの草をとりみそ汁にて食する時は痢病りびょうはなはだ妙なり又瘧病おこり及び疫病等えきびょうなどにも甚こうあり云々うんぬん」。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
『もし彼女が殺害されたものとしても、云々うんぬん』で始まる一節は、『レトワール紙』に印刷されたところではどう見えようとも
第三句の字余りは、人麿の歌にも、「さきくあれど」等があるが、後世の第三句の字余りとは趣がちがうので破綻云々うんぬんと云った。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
僕は勿論「橋本」の料理を云々うんぬんする程の通人ではない。のみならず「橋本」へ来たことさえあるかないかわからない位である。
本所両国 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
悪い男云々うんぬんを聴きとがめて蝶子は、何はともあれ、扇子せんすをパチパチさせてっ立っている柳吉を「この人わての何や」と紹介しょうかいした。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
土人の惨めさ、等々。しかし、此の公開状は、冷笑を以てむくいられたに過ぎなかった。大小説家の驚くべき政治的無知、云々うんぬん
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
近頃の文章にはよく「世間というやつとかく云々うんぬん」というような文字が見えるが罪のない世間にまで奴呼やつよばわりをしないでもよさそうなものだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
井戸ゐどのふちに茶碗ちやわんゆゑ、けんのんなるべし。(かしや、かなざもの、しんたてまつる云々うんぬん)これは北海道ほくかいだう僻地へきち俚謠りえうなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これ以上愚図々々しておられて大事になるようなことがあっても当医院は責めを負わない云々うんぬん、と云うようなことで自分の越度おちどたなに上げて
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
云々うんぬんというお告げがあったので、その翌朝すぐに掘ってみると、果たして大銀杏の下から三尺あまりの石地蔵があらわれ出たというわけで……。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
料理はもともとことわりはかると書く通り、美味うま不味まずいを云々うんぬんするなら、美味の理について、もっと深く心致さねばなるまい。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
ねえ先生、やはりあの鬼畜ひとでなしは、わっしだったのですよ。そして、座頭おやじが云った風云々うんぬんという言葉は、暗に私たちの関係をせせら笑ったものなんです
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
(「高砂の尾上をのへに立てる白玉椿しらたまつばき、それもがと、ましもがと、今朝けさ咲いたる初花にはましものを云々うんぬん」という歌詞である)
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
照子が、遺書を書いたのは事実らしいが、井戸へ身を投げた云々うんぬんは、銖之丞が、らしめのため、あの場合の庄次郎をおどかした誇張に過ぎない。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
地理を述べる時、「日本は朝鮮のような半島ではなく島国である」と記しましたら、朝鮮云々うんぬんの数語は抹殺されました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
法王をたおせ!(そのころ万事が皆ローマと乖離かいりしていたのである。)余はただ皇帝のためにのみ尽さんとするなり。云々うんぬん
うまかった。ツグミ云々うんぬんとあるのは漱石氏が胃潰癰いかいようを再発して死を早めたのはツグミの焼鳥を食ったためだとかいう話があったのによるのであろう。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
もちろん棚田さんの人格については云々うんぬんしませんさ! しかし僕はあの人は道を誤られたんじゃないかと思うのですよ。
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
峰丹波殿と拙者源三郎と、明朝を期し、白刃の間にあいまみえ、いずれがこの道場の主人あるじとなるか、力をもって、即刻決定いたしたき所存……云々うんぬん
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ほかにもっとよい言葉がないから仕方がない、それにフレークという言葉はそれほど悪くはない、『ウェブスター辞典』によれば云々うんぬんというのである。
雪雑記 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
何一つ真面目まじめには読まず、なんにもせずに、ただ口先で科学を云々うんぬんするばかり、芸術だってろくにわかっちゃいない。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「明治四十三年十月二十日、黒羽くろばね万盛楼まんせいろう娼妓しょうぎ小万こまん、男と共に逃亡、この山奥に逃込みしはず、捜索のため云々うんぬん——」
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
我輩の実験からいうと、整然たる理窟の立った生活を云々うんぬんするより、真面目に努力する生活の方に力があると思う。
しかしてまた布告書等に奉勅ほうちょく云々うんぬんの語を付し、おそれ多くも 天皇陛下に罪状を附せんとするは、そもまた何事ぞや。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
つい今し方、魔法の様にこの席へ現われた、午後三時云々うんぬんの紙切れだって、その通りじゃ。お前さんでなくて、誰があんないたずらをするものがある。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
『ソラここを読んで見ろ』と僕の眼前めさきに突き出したのが例の君、臣をること犬馬けんばのごとくんばすなわち臣の君を見ること国人こくじんのごとし云々うんぬんの句である。
初恋 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ポーロはその書翰しょかんの中に愛は「惜みなく与え」云々うんぬんといった、それは愛の外面的表現を遺憾なくいい現わした言葉だ。愛する者とは与える者の事である。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
もし三種の神器を返し奉らんという気があれば、特に重衡の命は許し、再び屋島に帰すことも可能である、云々うんぬん
人間も性悪しとてむやみに鞭撻を加へて教育すればますますその性をそこのふて悪くするに相違なしと思ふ。云々うんぬん
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
けれどもその政府は人民に対し仏教を云々うんぬんしなければ人民を心服せしむる事が出来んものですから、政府のやることはむしろ仏教を害するのですけれども
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)