こゝの)” の例文
ヂュリ 乳母うばしてやったとき時計とけいこゝのつをってゐた。半時間はんじかんかへるといふ約束やくそくしやへなんだかもれぬ。いや/\、さうではい。
なんちふいはんす。わしきらひぢやな、コレイナアどうぢやいな。「エヽこんなわることあねえ、はやつをてばいゝ、もう何時なんどきだの。女「こゝのつでもあろかい。 ...
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へん陰氣いんき不氣味ぶきみばんでございました。ちやうどなすつたとき目白めじろこゝのつをきましたが、いつものつころほど寂寞ひつそりして、びゆう/\かぜばかりさ、おかみさん。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
民也たみやこゝのツ……十歳とをばかりのときに、はじめてつて、三十をすまでに、四度よたび五度いつたびたしかつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
元二げんじ前途ゆくて見渡みわたして、これから突張つゝぱつてして瓜井戸うりゐど宿やどはひるか、こゝのつをしたとつては、旅籠屋はたごやおこしてもめてはくれない、たしない路銀ろぎん江戸えどまでくのに
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「……あに、これからもをつけさつしやい、うちではむかしから年越としこしの今夜こんやがの。……」わすれてた、如何いかにもその節分せつぶんであつた。わたしむつつからこゝのつぐらゐのころだつたとおもふ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おくんな。」とつて、やぶしたをちよこ/\とた、こゝのツばかりのをとこ脊丈せたけより横幅よこはゞはうひろいほどな、提革鞄さげかばんふるいのを、幾處いくところ結目むすびめこしらへてかたからなゝめに脊負せおうてゐる。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
きやくわたしのほかに三人さんにんあつた。三人さんにんは、親子おやこづれで、こゝのツばかりの、かすり羽織はおりおな衣服きものおとなしらしいをとこ。——見習みならへ、やつこ、と背中せなかつゝいてりたいほどな、人柄ひとがらなもので。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……はゝぢやびとのをわざ穿いてたらしい、可愛かはい素足すあし三倍さんばいほどな、おほき塗下駄ぬりげたつけるやうに、トンと土間どまはひつてて、七輪しちりんよこつた、十一二だけれども、こゝのツぐらゐな、小造こづくりな
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、かれこゝのツかとをとしは、小學校せうがくかう友達ともだち二人ふたりた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)