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こゝの
民也は
九ツ……
十歳ばかりの
時に、はじめて
知つて、三十を
越すまでに、
四度か
五度は
確に
逢つた。
元二は
前途を
見渡して、
此から
突張つて
野を
越して
瓜井戸の
宿へ
入るか、
九つを
越したと
成つては、
旅籠屋を
起しても
泊めてはくれない、たしない
路銀で
江戸まで
行くのに
「……
兄、これからも
氣をつけさつしやい、
内では
昔から
年越しの
今夜がの。……」
忘れて
居た、
如何にもその
夜は
節分であつた。
私が
六つから
九つぐらゐの
頃だつたと
思ふ。