しう)” の例文
立出たちいでしなりと始終の事とも物語り然るにしうおやのおばつにや途中とちうに於て惡漢どもに欺かれ既に一命もうしなはんとせし程の危難にあひたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
廿歳はたちといふもいまなるを、さかりすぎてははな甲斐かひなし、適當てきたう聟君むこぎみおむかへ申したきものと、一專心せんしんしうおもふほかなにもし、主人しゆじん大事だいじこゝろらべて世上せじやうひと浮薄ふはく浮佻ふてう
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
取らん事思ひもらず今云事のいつはりにもあるまじしうの爲の出來心にて盜みに來りしと正直しやうぢきに云ふ事の憫然あはれなれば此金を汝に與へん間主人しゆじん難儀なんぎすくひ妻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まさばかるべけれどそれすらひと見捨みすてゝはがたかるべしとてつく/″\と打歎うちなげけどひとすべきなみだならねばつく笑顏ゑがほ片頬かたほさびしく物案ものあんじのしうなぐさめながらみだるゝねぬなわこひはくるしきものなるにやるとはえて覺束おぼつかなきひと便たよりを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
取戻とりもどして消光度無くらしたくなくてはかなはぬ金子故しうの爲には親をもすてならひ後日に我が首をきらるゝ如きは容易おろかと思ひ道ならぬ事ながぬすみに參りしとありまゝに語りければ彼の男是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御恨おうらみ申はつみのほどもおそろしゝなにごとものこさずわすれておしうさまこそ二だい御恩ごおんなれ杉原すぎはららうといふおひと元來もとよりのお知人しるひとにもあらずましてやちぎりしことなにもなし昨日今日きのふけふあひしばかりかもおしうさまの戀人こひびと未練みれんのつながるはづはなし御縁ごゑん首尾しゆびよくとゝのへてむつましくくらたまふを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なにならんと小走こばしりしてすゝりつ一枝ひとえだ手折たをりて一りんしうりんれかざしてるも機嫌取きげんとりなりたがひこゝろぞしらず畔道あぜみちづたひ行返ゆきかへりてあそともなくくらとりかへゆふべのそら雲水くもみづそう一人ひとりたゝく月下げつかもん何方いづこ浦山うらやましのうへやと見送みをくればかへるかさのはづれ兩女ふたりひとしくヲヽとさけびぬ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)