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不可
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いか
ふりがな文庫
“
不可
(
いか
)” の例文
或る夕方、夜警に出ていると、警官が四、五人足早に通り過ぎながら、今二人
伴
(
つ
)
れて来るから
殴
(
ぶ
)
っちゃア
不可
(
いか
)
んぞと呼ばわった。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかし何ぼ何でも、そんな引っこき詰めのグルグル巻の頭では
不可
(
いか
)
んぞ。伊豆の大島に岡沢の
親戚
(
しんるい
)
があるように思われては困るからの……
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして「汽車賃だけは上げるから、帰んなさい。帰って、家の手助けをせにゃ
不可
(
いか
)
ん。おまえは、おいくさんの長男ではないか」
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「貴娘内へ帰って、父様にこんな事を話しては
不可
(
いか
)
んですよ。貴娘の名誉を重んじて忠告をしただけですから、ね、
宜
(
い
)
いですかね、ね。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そうさ、俺達の友情はこの東京で育つに工合がいいんだ。お前ミサコさんに世間ありふれたお粗末な友情でおつきあいしては
不可
(
いか
)
んよ。」
女百貨店
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
▼ もっと見る
「
不可
(
いか
)
ん、
不可
(
いか
)
ん、
下劣
(
げれつ
)
の
極
(
きよく
)
だ」と先生が
忽
(
たちま
)
ち
苦
(
にが
)
い顔をした。その云ひ方が
如何
(
いか
)
にも下劣らしいので、三四郎と美禰子は一度に笑ひ
出
(
だ
)
した。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
世に処して成功しようと思うには女房に
惚
(
ほ
)
れなくては
不可
(
いか
)
んと言われたそうですが、誠に
味
(
あじわ
)
うべき言葉で、気に食わぬ点はなるべく寛大に見て
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
仲々さうは
不可
(
いか
)
ぬもので、どうも帽子を逆さに冠つたり、袴を逆にはいたりするやうな過失に陥り勝ちなものである。
些細なやうで重大な事
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
遊ぶのは
勿論
(
もちろん
)
ならんし、話をしても
不可
(
いか
)
ん。今後、この規則を破るものがあったら、発見次第それぞれの所属チイムの責任者によって、処分して
貰
(
もら
)
う。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「それは
不可
(
いか
)
ん。貴方は、名誉とか地位とか、そのようなものは、すべて捨ててしまいなさい。すべてを捨てなければ、洗礼を授けるわけにはゆかない」
ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
実際、酒は
不可
(
いか
)
んです。僕も酒は何によらず一滴も
飲
(
や
)
るまいとは思つて居るんですが、矢張り多少は遺伝ですね。
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「今度は
殊
(
こと
)
に
依
(
よ
)
ると
拳銃
(
ピストル
)
を使わなければならなくなるかも知れんぞ。だが撃つにしても足を狙い給えよ、決して足の
外
(
ほか
)
は撃っちゃ
不可
(
いか
)
んぜ、——来給え」
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あの
男
(
おとこ
)
はまことによい男だが、惜しいことには、宗教家であるため、弱くて
不可
(
いか
)
ぬ。あれにいっそう
骨
(
ほね
)
っぽいところがあれば、実に見上げた人間だのに」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そして脈を觸つたり、眼瞼を開いたりして見たが、最後に右手で輕く好い音を立てて、屍體の胸をはたと叩いて、其れと同時に、「もう
不可
(
いか
)
ん。」と言つた。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
「困ったもんだよ! 早速本署へ急報しなくちゃ
不可
(
いか
)
ん! 上原君、君一寸行って呉れんか——」
鋳物工場
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
「この期日の間違いには、銀行として応じるわけには
不可
(
いか
)
ないそうでありますが、あなたは日本の方ですから、特にこの
度
(
た
)
びは、規則を破ってお払いすると、云いました」
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
そんなことで
打込
(
ぶちこ
)
まれた人間も、隨分無いこともないんだから、君も注意せんと
不可
(
いか
)
んよ。
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
米櫃
(
こめびつ
)
に責められ、脱稿の目あても立たぬうちから校正が山を積み、君いくら苦労したって誰も君の作とは思っちゃ
呉
(
く
)
れんよと友人に笑われ、すらすら読めるから
不可
(
いか
)
んと叱られ
翻訳遅疑の説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
アー
僕
(
ぼく
)
はね
開成学校
(
かいせいがくこう
)
の
書生
(
しよせい
)
ぢやがね、
朋友
(
ほういう
)
共
(
ども
)
の
勧
(
すゝ
)
めに
依
(
よ
)
れば
何
(
ど
)
うも
君
(
きみ
)
は
世辞
(
せじ
)
が
無
(
な
)
うて
不可
(
いか
)
ぬ、
些
(
ち
)
と
世辞
(
せじ
)
を
買
(
か
)
うたら
宜
(
よ
)
からうちうから、ナニ
書生輩
(
しよせいはい
)
に
世辞
(
せじ
)
は
要
(
い
)
らぬ
事
(
こと
)
ではないかと
申
(
まう
)
したら
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
少しの間
船艙
(
せんそう
)
に隠れていて貰わにゃならんが、そこはだだっ広いから、君等は鱈腹食って飲んで
臥
(
ね
)
ころんでいてくれればいいので、その代り物音を立てたり、大声で
饒舌
(
しゃべ
)
ったりしては
不可
(
いか
)
んよ。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「まだまだ。そうあわてては
不可
(
いか
)
んよ。
暢気
(
のんき
)
にしていたまえ」
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「貴様は直ぐ
其様
(
そんな
)
卑猥
(
ひわい
)
なことを言ふから
不可
(
いか
)
んよ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「それは
不可
(
いか
)
んでしょう」と彼はどなった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「そうも
不可
(
いか
)
ンたい、相場があるけンな」
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
これぁ
不可
(
いか
)
ん。こうして
鳥料理
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
(美女に)
貴女
(
あなた
)
、おい、貴女、これを恐れては
不可
(
いか
)
ん、私はこれあるがために、強い。これあるがために力があり威がある。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お前は役人とか金持ちとかいうと、直ぐに白い眼で見る癖があるから
不可
(
いか
)
ん。……よしんば貴様の云うのが事実としても尚更の事じゃないか。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
五六
分
(
ぷん
)
して、代助は
兄
(
あに
)
と
共
(
とも
)
に自分の席に
返
(
かへ
)
つた。佐川の
娘
(
むすめ
)
を紹介される迄は、
兄
(
あに
)
の見え次第
逃
(
に
)
げる気であつたが、
今
(
いま
)
では
左様
(
さう
)
不可
(
いか
)
なくなつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『これで両三度見たぞ。いぶかしい奴、捕えてみい。……あっ
不可
(
いか
)
ん、こっちを振向いた。平助、はやく行け』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「黙って待つんだ、音をさせては
不可
(
いか
)
ん。亡霊は人のいる気配でも嫌うからな、——なるべく楽にして、僕が合図するまではどんな事があっても動かないように」
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「右の手に
算盤
(
そろばん
)
を持って、左の手に剣を
把
(
にぎ
)
り、
背
(
うし
)
ろの壁に東亜図を掛けて、
懐
(
ふとこ
)
ろには刑事人類学を入れて置く、これでなければ
不可
(
いか
)
ん、」などと
頻
(
しき
)
りに空想を談じていた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
文体は必ず
斯
(
こ
)
うだと限定出来ないネ、例え調子が
不可
(
いか
)
んと言ったって調子がつかなければ
何
(
ど
)
うにも出せない感じの場合もある、(中略)作品は一つ一つ各々違った文体を持つのが当然だネ
翻訳遅疑の説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
そりや君
不可
(
いか
)
んよ。都合して越して了ひ給へ。結局君の不利益ぢやないか。
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
「いや、入れちゃ
不可
(
いか
)
ん。癖になる。」
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
どちらとも
彼奴
(
あいつ
)
の返事をお聞き下さい。
或
(
あるい
)
は、自分、妙を欲しいではないが、
他
(
ほか
)
なら知らず河野へは
嫁
(
や
)
っちゃ
不可
(
いか
)
ん、と云えば、私もお
断
(
ことわり
)
だ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まだ
引
(
ひ
)
かない。
其内
(
そのうち
)
電気にする
積
(
つもり
)
ださうだ。
洋燈
(
ランプ
)
は
暗
(
くら
)
くて
不可
(
いか
)
んね」と
答
(
こた
)
へてゐると、急に、
洋燈
(
ランプ
)
の事は忘れたと見えて
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
来たら出来るだけ身軽にしとかんと
不可
(
いか
)
んと思いまして、慣れた者の飴売りの身支度をして待っておりますと……ヘエ。ツイ一時間ばかり前の事で御座います。
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『これ、そこの職人、おまえの鑿は、ぞんざいで
不可
(
いか
)
ぬ。
数寄屋普請
(
すきやぶしん
)
をしたことがないのか、
面皮
(
めんかわ
)
の柱に、そんな安普請のような雑な仕事をしてくれては困る』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そりゃ
不可
(
いか
)
ん。転地したらどうだい、神経衰弱なら転地が一番だ、」というと
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「まだ九時前だね。
宜
(
よろ
)
しい、——君はお家へ電話をかけて、妹さんは
此方
(
こっち
)
へ泊ることになったと知らせてあげるんだ。お母さんに心配をかけると
不可
(
いか
)
んからな、それが済んだら
暢
(
ゆっ
)
くり寝て宜しい」
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「そいつあ
不可
(
いか
)
んよ君。……」
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
親爺
(
おやぢ
)
は戦争に
出
(
で
)
たのを頗る自慢にする。
稍
(
やゝ
)
もすると、御
前
(
まへ
)
抔はまだ戦争をした事がないから、度胸が
据
(
すわ
)
らなくつて
不可
(
いか
)
んと一概にけなして仕舞ふ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
いや、貴女でなくては
不可
(
いか
)
んのです。ですから途方に暮れます。その者は、それにもう死にかかった病人で、
翌日
(
あす
)
も待たないという容体なんです。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巡査の握り
拳
(
こぶし
)
の上に芸者のお尻がノシかかって来る。
仲居
(
なかい
)
の股倉が有志の肩に馬乗りになる。「降りちゃ
不可
(
いか
)
ん降りちゃ不可ん」と下から怒鳴っているんだから
堪
(
たま
)
らない。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして、結論は、いつも、「閥族政治は、
不可
(
いか
)
ん」——である。それから、また
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫から日本にも来てゐるが、
矮狗
(
ちん
)
位な大きさで頭の毛が長く幾
条
(
すぢ
)
となく
前額
(
ひたひ
)
に垂れて目を
覆
(
かく
)
してゐる「スカイ、テリヤー」といふ奴、
彼奴
(
あいつ
)
はどうも
汚臭
(
ぢゞむさ
)
くて、人間なら貧乏書生染みて
不可
(
いか
)
んな。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「そいつあ
不可
(
いか
)
んよ君。……」
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
親爺は戦争に出たのを
頗
(
すこぶ
)
る自慢にする。
稍
(
やや
)
もすると、御前などはまだ戦争をした事がないから、度胸が据らなくって
不可
(
いか
)
んと一概にけなしてしまう。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
良
(
い
)
い医者にかけなけりゃ
不可
(
いか
)
んよ。どんな病気だ、ここいらは田舎だから、」とつい
通
(
とおり
)
の人のただ口さきを合せる一応の挨拶のごときものではない。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「本気で、本気で投げんと
不可
(
いか
)
ん。投げんと殺されるぞ。力一パイ。肩を
外
(
はず
)
いて。そうそう」
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
“不可”の意味
《名詞》
不 可(ふか)
いけないこと、よくないこと、可と認めないこと。
試験の成績で、不合格。四段階評価で、優、良、可に次ぐもの。
(出典:Wiktionary)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
“不可”で始まる語句
不可思議
不可能
不可解
不可得
不可侵
不可致
不可抗
不可侵境
不可抗力
不可然