“あせ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アセ
語句割合
33.0%
30.2%
焦心12.1%
6.1%
焦慮5.6%
焦燥4.6%
1.7%
焦躁1.5%
1.3%
0.7%
0.4%
0.4%
0.4%
熱汗0.4%
生汗0.4%
吾兄0.2%
0.2%
0.2%
焦立0.2%
褪色0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女等をんならみな少時しばし休憩時間きうけいじかんにもあせぬぐふにはかさをとつて地上ちじやうく。ひとつにはひもよごれるのをいとうて屹度きつとさかさにしてうらせるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大将は、栄誉ある位置におかれた最初の手柄をたてようとして、たいへんあせりぬいていたが、なかなか思わしい報告が入って来ない。
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
勝利は、焦心あせらずに、やたらに動かない人に降る榮冠である。不斷に學問してゐる人物の「現在」は、決して前進のない現在ではない。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
れいか、熱か、匕首ひしゅ、寸鉄にして、英吉のその舌の根を留めようとあせったが、咄嗟とっさに針を吐くあたわずして、主税は黙ってこぶしを握る。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは大変だと気がついて、根気に心を取り直そうとしたが、遅かった。踏み答えて見ようと百方に焦慮あせれば焦慮るほど厭になる。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もう痛いところは何処どこにもなくなってしまいました。旦那、私が、何とかして痛いところを見つけ出そうと焦燥あせった時の心持を御察し下さい。
按摩 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
線路レールの枕木を切り出す山林やまを見に、栗山くりやまの方へ、仲間と一緒に出向いて行った。大分つかい込みの出来た叔父は一層もうけ口を見脱みのがすまいとしてあせっていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
で——木村丈八も、ちょうど、江戸へもどって病床についたのを最後として、もう以前のような仕事に焦躁あせる事はしなかった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのまた女を追って火焔を上げた男が、女の火を叩き消そうとして狂気のようにあせっている。火の玉が三つどもえになって、互いに追っ駈け合っているのであった。
生不動 (新字新仮名) / 橘外男(著)
まわればまわられるものを、恐しさに度を失って、刺々とげとげの枝の中へ片足踏込ふんごんあせって藻掻もがいているところを、ヤッと一撃ひとうちに銃を叩落して、やたらづきに銃劔をグサと突刺つッさすと
だから、結婚を必要事件と、初手から断定して、何時かこれを成立させようとあせる努力を、不自然であり、不合理であり、かつあまりに俗臭を帯びたものと解釈した。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
益々ます/\あせつて
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とあきらめたやうにつたが、また其處そこどころではささうな、こゑあせつて
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まだ世馴れざる里の子の貴人きにんの前に出でしようにはじを含みてくれないし、額の皺の幾条いくすじみぞには沁出にじみ熱汗あせたたえ、鼻のさきにもたまを湧かせばわきの下には雨なるべし。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
私は見る見る血の気をうしなって行く自分自身を自覚した。タマラナイ興奮と、恐怖のために全身ビッショリと生汗あせを流しながら、身動き一つ出来ずにいた。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
尾津の埼なる 一つ松、吾兄あせ一〇
吾兄あせ三三を。 (歌謠番號一〇五)
さあ、源はあせらずにおられません。こうなると気をいらってやたらに鞭を加えたくなる。馬は怒の為に狂うばかりになって、出足がかえって固くなりました。にわかに「樺、樺」と呼ぶ声が起る。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あまり心があせり過ぎて、乗出さぬ先から手綱をもつ手が震えました。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お鯉さんのこれからの生活は、かなり色のあせた、熱のないものであろうとその時わたしは思った。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
美しいお鯉——わたしは手箱に秘めてあったものが、ほどへて開いて見たおりに、色もあせずにそのままあったように、安心と、悦びと、満足の軽い吐息が出るのを知った。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
正一の気は、焦立あせって、こうしていることが出来なくなった。
過ぎた春の記憶 (新字新仮名) / 小川未明(著)
流轉るてんうまはせては、ひめばれしこともけれど、面影おもかげみゆる長襦袢ながじゆばんぬひもよう、はゝ形見かたみ地赤ぢあかいろの、褪色あせのこるもあはれいたまし、ところ何方いづく
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)