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驕慢
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きょうまん
ふりがな文庫
“
驕慢
(
きょうまん
)” の例文
(再び怪体なる
驕慢
(
きょうまん
)
の微笑)その上にもう悪蛇は血の汁も出なくなって、皮ばかりにひしゃげた首をあすこの石の間に垂れているわ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
彼女の
驕慢
(
きょうまん
)
と愛情とはしみじみとそそられた。彼女は幼い初恋のうれしさに浸り込んだ。オリヴィエはその
田舎
(
いなか
)
紳士をきらいだった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
猿の
驕慢
(
きょうまん
)
はいよいよ募ってゆく、もとより軍律のない仲間なのでその狂態はあきれるばかりである。孔明は一日、高所から見物して
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父の秋山
伯耆守
(
ほうきのかみ
)
が侍大将として御しゅくん勝頼公の御寵愛人だったのとで、ほかの娘たちからは
驕慢
(
きょうまん
)
のようにみられていた。
石ころ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
メンデルスゾーンには、富裕に育った人のややもすれば陥り易い、
驕慢
(
きょうまん
)
と冷たさと、
上滑
(
うわすべ
)
りなところがなかったのである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
▼ もっと見る
私はこのホイットマンの言葉を
驕慢
(
きょうまん
)
な言葉とは思わない。この時エマソンはホイットマンに向かって恩恵の主たることを自負しうるものだろうか。
想片
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
多勢を
恃
(
たの
)
む猿どもはいよいよ
驕慢
(
きょうまん
)
でありました。けれど
怜悧
(
れいり
)
な彼等は、いつも相手の実力を見るのに鋭敏でありました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
前にあれほどアリョーシャを驚かした『誇りと
驕慢
(
きょうまん
)
』が、今はただ勇敢で高潔な精力と、何か明朗な力強い自信となって現われているのであった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
汝がわれを
唾罵
(
だば
)
する心は、これ
即
(
すなわち
)
驕慢
(
きょうまん
)
にして、七つの罪の第一よ。悪魔と人間の異らぬは、汝の実証を見て知るべし。
るしへる
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大将様はあんなに、
例
(
ためし
)
もないほど婿君として
帝
(
みかど
)
がお大事にあそばすために、御
驕慢
(
きょうまん
)
になってそんなふうなこともお言いになるのではありますまいか。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
もし人心の
帰趨
(
きすう
)
するところに流されるのを潔しとしないで、独り孤高の清節を徹そうとすれば、誇りかな心は逆にまた
驕慢
(
きょうまん
)
の罪を犯すこととなろう。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
それは少女らしい
驕慢
(
きょうまん
)
な論理だった。しかし、大抵の場合、少女は自分自身の感情はその計算の中に入れないものだ。そして絹子の場合もそうだった。
聖家族
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
天を仰げる鼻の
孔
(
あな
)
より火煙も
噴
(
ふ
)
くべき
驕慢
(
きょうまん
)
の怒りに意気
昂
(
たか
)
ぶりし為右衛門も、少しは
慚
(
は
)
じてや首をたれ
掌
(
て
)
を
揉
(
も
)
みながら、
自己
(
おのれ
)
が発頭人なるに是非なく
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
だからその優者の特権をできるだけ緊張させて、
主客
(
しゅかく
)
の
位地
(
いち
)
をあらかじめ作っておく方が、相手の
驕慢
(
きょうまん
)
を未前に防ぐ手段として、彼には得策であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あのお方は天下の政務を
掌
(
つかさど
)
る御身として、殿下のお留守を幸いに
驕慢
(
きょうまん
)
の沙汰が多く、日々狂おしい御乱行に
耽
(
ふけ
)
っていらっしゃるとのこと、委細の様子は
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その威年々盛んにして、あえて朝威を傾けんとす。これ尊王の大義を忘れ、人臣の礼を欠きたるもの。しかも
驕慢
(
きょうまん
)
四民を悩まし、
下
(
しも
)
苛政
(
かせい
)
を恨まざるなし。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
人の弱点を捕えて勝ち誇ったような
驕慢
(
きょうまん
)
な
獰悪
(
どうあく
)
な態度は醜い厭な感じしか傍観している私には与えなかった。
雑記(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
行処
(
ゆきどころ
)
のない身寄りだから逃げてゆかないという信状で、
驕慢
(
きょうまん
)
の頂上にいた花菊は無理我慢の出来るたけをしいた。無論他の者へも特別優しかったわけではない。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さては世間の妾を
視
(
み
)
ること、かくまでに誤れるにや、それとも心付かずしてあくまでも男子を
凌
(
しの
)
がんとする
驕慢
(
きょうまん
)
疎野
(
そや
)
の女よと
指弾
(
つまはじ
)
きせらるることの面目なさよ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
彼は婦人が一人でこんな所へ来て、
驕慢
(
きょうまん
)
らしく食事などして居るのを妙に憎らしく思う性分なのである。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
私の心にもなき
驕慢
(
きょうまん
)
の
擬態
(
ぎたい
)
もまた、射手への便宜を思っての振舞いであろう。(一行あき。)
自棄
(
やけ
)
の心からではない。私を葬り去ることは、すなわち、建設への一歩である。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
◯一節—十一節は、ヨブを
驕慢
(
きょうまん
)
者となして直接に向けたる批難の矢である。けだし第一回論戦におけるヨブの最後の答には、彼が
己
(
おのれ
)
を以て三友に優れりとなす自信が
漲
(
みなぎ
)
っている。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
長者の一行は
漸
(
ようや
)
く伊勢に着いて、
先
(
ま
)
ず
外宮
(
げぐう
)
に
参詣
(
さんけい
)
しました。
白木
(
しらき
)
の
宮柱
(
みやはしら
)
に
萱葺
(
かやぶき
)
の屋根をした素朴な
社
(
やしろ
)
でありました。一の
華表
(
とりい
)
を
潜
(
くぐ
)
ったところで、
驕慢
(
きょうまん
)
な長者は大きな声をだしました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「オホホホホホ」と未亡人が笑い出したと言いたいが、この
驕慢
(
きょうまん
)
な夫人は、男でも顔負けするくらいの、体格雄偉な大女であったから、その笑い声もオホアハと、男女混声に響いてくる。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
麹町通
(
こうじまちどお
)
りの
小間物屋
(
こまものや
)
には
今日
(
こんにち
)
うし
紅
(
べに
)
のビラが
懸
(
か
)
けられて、キルクの
草履
(
ぞうり
)
を
穿
(
は
)
いた山の手の女たちが
驕慢
(
きょうまん
)
な態度で店の前に突っ立ちます。ここらの女の
白粉
(
おしろい
)
は格別に濃いのが眼に着きます。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして、僕は屈辱と
驕慢
(
きょうまん
)
との弱気から僕の誠実さを守り通すことに努めて来た
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
藤波は、手酌でぐっとひっかけておいて、
驕慢
(
きょうまん
)
に
空嘯
(
うそぶ
)
くと
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
時経て、過去の夢となり、人間業のうたかたとなった後、それを振返ると、義仲的な
驕慢
(
きょうまん
)
にも
一抹
(
いちまつ
)
の稚気のあわれさは覚えさせられる。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
銀行家ジャンナンは、気が弱く信じやすく多少
驕慢
(
きょうまん
)
だった。彼はわざと真実を見ようとせず、「実際」と「外見」とを混合しがちだった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そういうかれらが
驕慢
(
きょうまん
)
そのもののようなかなえには、反感や悪意よりも、むしろ
畏敬
(
いけい
)
に似た態度を示すのはなぜだろうか。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それに比べると掛り人の喜八郎は、色の浅黒い四角な顔で、何んとなく遊び馴れた人によくある、狡さと、皮肉さと、人を喰った
驕慢
(
きょうまん
)
さがあります。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし男が葉子の目の前で弱味を見せた瞬間に、葉子は
驕慢
(
きょうまん
)
な女王のように、その捕虜から
面
(
おもて
)
をそむけて、その出来事を悪夢のように忌みきらった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
誰かをつかまえて、尋ねてみれば直ぐにわかることだが、この際の米友は、人間というやつをつかまえて教えを乞うには、かなり
驕慢
(
きょうまん
)
に出来ていました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかしどうした
機
(
はずみ
)
か立つときに
嫂
(
あによめ
)
の顔をちょっと見た。その時は何の気もつかなかったが、この平凡な所作がその後自分の胸には絶えず
驕慢
(
きょうまん
)
の発現として響いた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
われ/\は富貴と権勢と美貌と若さとに恵まれた
驕慢
(
きょうまん
)
な貴公子を、直ちに眼前に描くことが出来る。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
女に対して
驕慢
(
きょうまん
)
な心にもついなりそうな境遇にいる源氏ではあるが、末々の恋人にまで誠意を忘れず持ってくれることに、それらの人々は慰められて年月を送っていた。
源氏物語:23 初音
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
我儘
(
わがまま
)
で、勝気で、売れっ児で通して来た
驕慢
(
きょうまん
)
な女が、お酒のたちの悪い上に、ヒステリックになっていた時、心がけのよくない
厭味
(
いやみ
)
な箱屋に、出過ぎた失礼なことをされては
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この本は目次の第何章かに「恐しい四つの敵、——疑惑、恐怖、
驕慢
(
きょうまん
)
、官能的欲望」
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
必ず夫婦にしていただく条件で、私は兄に女を手渡す事にした。手渡す
驕慢
(
きょうまん
)
の弟より、受け取る兄のほうが、数層倍苦しかったに違いない。手渡すその前夜、私は、はじめて女を抱いた。
東京八景:(苦難の或人に贈る)
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼の
歓
(
よろこ
)
び知るべきである。かく神を事実上に見てその全能を悟るや、自己の無力
汚穢
(
おわい
)
は何よりも痛切に感ぜらるるに至り、
驕慢
(
きょうまん
)
にして自己に頼りし既往の
浅墓
(
あさはか
)
さは
懺悔
(
ざんげ
)
の種とのみなった。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
一日
(
いちじつ
)
東角門
(
とうかくもん
)
に坐して、
侍読
(
じどく
)
の
太常卿
(
たいじょうけい
)
黄子澄
(
こうしちょう
)
というものに、諸王
驕慢
(
きょうまん
)
の状を告げ、
諸
(
しょ
)
叔父
(
しゅくふ
)
各大封
重兵
(
ちょうへい
)
を擁し、叔父の尊きを
負
(
たの
)
みて
傲然
(
ごうぜん
)
として予に臨む、
行末
(
ゆくすえ
)
の事も
如何
(
いかが
)
あるべきや、これに処し
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この質問は、
驕慢
(
きょうまん
)
な貴婦人の気持を、よほど傷つけたと見えて
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「あいや、先生。お言葉中にはござりますが、決して、われわれとても、そのような
驕慢
(
きょうまん
)
怠惰
(
たいだ
)
にのみ日を暮しているわけでは——」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし彼は相手の眼の中に、満足してる
驕慢
(
きょうまん
)
心の炎以外に、なんらの炎をも認めなかった。無意識的な一つの力がその重い肉塊を動かしていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
よくもこうぬけぬけ弁解が出来ると思うよりも、
驕慢
(
きょうまん
)
で才子肌で、人に頭などを下げた事のない丹之丞が、よくよく折れたのが気の毒でもあったのです。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
やや
驕慢
(
きょうまん
)
な、抑揚の強い声などに家老の娘という、育ちの良さよりも、
放恣
(
ほうし
)
に馴れた無遠慮な感じが眼立った。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その瞬間
燕返
(
つばめがえ
)
しに、見も知りもせぬ路傍の人に与えるような、冷刻な
驕慢
(
きょうまん
)
な光をそのひとみから
射出
(
いだ
)
したので、木部の微笑は哀れにも枝を離れた枯れ葉のように
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
春琴女は
甘
(
あま
)
やかされて育ったために
驕慢
(
きょうまん
)
なところはあったけれども言語動作が
愛嬌
(
あいきょう
)
に富み目下の者への思いやりが深く加うるに至って花やかな陽気な性質であったから
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いったい、陪臣を以て人間とは見ない当時の江戸の旗本、ましてその
驕慢
(
きょうまん
)
そのものに生きていると言ってよろしいほどの神尾主膳の眼から見ても、心憎いところのすまし方だ。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なんらの
見栄
(
みえ
)
も気どりも知らぬ少年少女の時に知った恋の今日まで続いて来た年月を数えてみては、夫人が強い
驕慢
(
きょうまん
)
な妻になっているのに無理でないところがあるとも思われた。
源氏物語:37 横笛
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
“驕慢”の意味
《名詞》
驕慢(きょうまん)
えらぶって人を侮ること。
(出典:Wiktionary)
驕
漢検1級
部首:⾺
22画
慢
常用漢字
中学
部首:⼼
14画
“驕慢”で始まる語句
驕慢児
驕慢星