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飴色
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あめいろ
ふりがな文庫
“
飴色
(
あめいろ
)” の例文
甘ずっぱく立てこもった酒と
煙草
(
たばこ
)
の
余燻
(
よくん
)
の中に、すき間もる光線が、透明に輝く
飴色
(
あめいろ
)
の板となって縦に薄暗さの中を区切っていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
家の柱
縁側
(
えんがわ
)
なぞ時代つきて
飴色
(
あめいろ
)
に黒みて
輝
(
ひか
)
りたるに障子の紙のいと白く
糊
(
のり
)
の匂も失せざるほどに新しきは何となくよきものなり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
飴色
(
あめいろ
)
や
暗紫色
(
あんししよく
)
をした
肋骨
(
ろくこつ
)
と手足の骨とが左右に一
間
(
けん
)
程の高さでぎつしりと積まれ、
其
(
その
)
横へ幾列にか目鼻の
空
(
うつ
)
ろに成つた
髑髏
(
どくろ
)
が掛けられて
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
前日
(
ぜんじつ
)
、
子
(
ね
)
の
口
(
くち
)
の
朝
(
あさ
)
の
汀
(
みぎは
)
に
打
(
う
)
ち
群
(
む
)
るゝ
飴色
(
あめいろ
)
の
小蝦
(
こえび
)
の
下
(
した
)
を、ちよろ/\と
走
(
はし
)
つた——
真黒
(
まつくろ
)
な
蠑螈
(
ゐもり
)
に
似
(
に
)
て
双
(
ふたつ
)
ながら、こゝに
其
(
そ
)
の
丈
(
たけ
)
十
丈
(
ぢやう
)
に
余
(
あま
)
んぬる。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
パンで思い出すのは、
北京
(
ペキン
)
の北京飯店の朝のマアマレイド。これは誰が煮るのか、澄んだ
飴色
(
あめいろ
)
をしていて甘くなく酸っぱくなく実においしい。
朝御飯
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
飴色
(
あめいろ
)
網代
(
あじろ
)
の乗物へ乗った訳は?、とか、
紫地
(
むらさきじ
)
、
花葵
(
はなあおい
)
の
定紋幕
(
じょうもんまく
)
を打った訳は?、とか——それほどのことを、わざわざ聞くような越前ではない。
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
エンジェル・フィッシュに似た黒い派手な
竪縞
(
たてじま
)
のある魚と、さよりのような
飴色
(
あめいろ
)
の細い魚とが盛んに泳いでいるのを見下している中に、眠くなって来た。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
今度は、とのさまがえるは、だんだん色がさめて、
飴色
(
あめいろ
)
にすきとおって、そしてブルブルふるえて参りました。
カイロ団長
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
よく拭きこんだ
飴色
(
あめいろ
)
の、広い階段を登り、広い廊下を二た曲りして、その端の八帖の座敷へとおされた。
扇野
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
真赤な肉じゅばんを着た女が、
飴色
(
あめいろ
)
の馬上であきの
蜻蛉
(
とんぼ
)
のような焼けた色で、くるくる廻っていた。
ヒッポドロム
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「そうですか。じゃどうすれば好いんです」と
飴色
(
あめいろ
)
に塗った鉛筆を洋卓の上にはたりと
放
(
ほう
)
り出した。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仲居の持つ
手燭
(
てしょく
)
は、仲居の白い息を見せながら、
飴色
(
あめいろ
)
に
拭
(
ふ
)
き
艶
(
つや
)
のでている
面皮
(
めんかわ
)
の柱をいくつも曲がって、狭い廊下をこの
家
(
や
)
の奥へと
跫音
(
あしおと
)
もなく先へ歩いて行くのだった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実のところ今朝から客足が思わしく無く持荷の半分も
捌
(
さば
)
ける見当がつかず、いたずらに納屋で
飴色
(
あめいろ
)
の腹に段々鼠色の
斑
(
まだら
)
が浮いて出る沢山の鮎の姿を思い出すとうんざりした。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
わずかばかりの金を払って背負い
嚢
(
ぶくろ
)
に
天目
(
てんもく
)
の
土瓶
(
どびん
)
やら、
飴色
(
あめいろ
)
の「うるか」
壺
(
つぼ
)
やら、黄色の茶碗やら、緑釉の小壺などを入れて村と別れる。私には大事な宝物である。重くても軽い。
日田の皿山
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
線路に沿うたとある森影から青い洋服を着て、ミレーの種まく男の着ているような帽子をかぶった若者が、一匹の
飴色
(
あめいろ
)
の小牛を追うて出て来た。牛の毛色が燃えるように光って見えた。
写生紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
収穫前の田畑はいづれも豊かに、黄に、
褐色
(
かつしよく
)
に、
飴色
(
あめいろ
)
に色付いてゐた。あたりには、赤とんぼの群がちら/\と飛んでゐた。その或るものは、歩いてゐる青竹に、朱傘に、柩にとまつたりした。
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
低い天井板が
飴色
(
あめいろ
)
にすすけてところどころ
煤
(
すす
)
が垂れていた。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
飴色
(
あめいろ
)
をした屋根と屋根
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
召捕と
云
(
い
)
はるゝやと云せもあへず越前守大音に
飴色
(
あめいろ
)
網代
(
あじろ
)
蹴出
(
けだし
)
黒棒
(
くろぼう
)
は勿體なくも日本
廣
(
ひろ
)
しと雖も東叡山御門主に限るなり然程に官位の相違する天一坊が
宮樣
(
みやさま
)
に
齊
(
ひとし
)
き乘物に乘しは不屆なれば召捕と
云
(
いひ
)
しなり此の時山内から/\と打笑ひ越前守殿左樣に
知
(
しら
)
るゝなら尋ぬるには
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
椀の
蓋
(
ふた
)
を取ると、蓋に汗をかいてはゐるが、汁粉の色が
飴色
(
あめいろ
)
をしてゐた。団子の小さい塊りが二つ浮いてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
銀杏の葉ばかりの
鰈
(
かれい
)
が、黒い尾でぴちぴちと跳ねる。
車蝦
(
くるまえび
)
の小蝦は、
飴色
(
あめいろ
)
に
重
(
かさな
)
って
萌葱
(
もえぎ
)
の脚をぴんと跳ねる。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お日さまの光が木や草の緑を
飴色
(
あめいろ
)
にうきうきさせるまで歌ったり笑ったり
叫
(
さけ
)
んだりして仕事をしました。
カイロ団長
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
天秤棒は細手の、
飴色
(
あめいろ
)
に
磨
(
みが
)
きこんだ、特別製のようであり、手桶は
杉
(
すぎ
)
の
柾目
(
まさめ
)
で、
銅
(
あか
)
の
箍
(
たが
)
がかかっていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
折々
(
をり/\
)
恐
(
おそろ
)
しい音して
鼠
(
ねずみ
)
の走る
天井
(
てんじやう
)
からホヤの曇つた
六分心
(
ろくぶしん
)
のランプがところ/″\
宝丹
(
はうたん
)
の広告や
都新聞
(
みやこしんぶん
)
の新年
附録
(
ふろく
)
の美人画なぞで
破
(
やぶ
)
れ
目
(
め
)
をかくした
襖
(
ふすま
)
を始め、
飴色
(
あめいろ
)
に古びた
箪笥
(
たんす
)
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
動きの多い空の雲の
隙間
(
すきま
)
から
飴色
(
あめいろ
)
の春陽が、はだらはだらに
射
(
さ
)
し下ろす。その光の中に横えられたコンクリートの長橋。父が家霊に対して
畢生
(
ひっせい
)
の申訳に尽力して架した長橋である。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
柄
(
え
)
の長い
飴色
(
あめいろ
)
の大きな傘を、
童女
(
わらべ
)
はうしろから
翳
(
さ
)
しかけた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飴色
(
あめいろ
)
をした屋根と屋根
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その男はきれいな
手桶
(
ておけ
)
を二つ、
天秤棒
(
てんびんぼう
)
で担いでやって来た。天秤棒は細手の、
飴色
(
あめいろ
)
に磨きこんだ、特別製のようであり、手桶は杉の
柾目
(
まさめ
)
で、
銅
(
あか
)
の
箍
(
たが
)
がかかっていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
甘鯛、いとより鯛、
魴鮄
(
ほうぼう
)
の濡れて
艶々
(
つやつや
)
したのに、青い魚が入交って、
鱚
(
きす
)
も
飴色
(
あめいろ
)
が黄に目立つ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そしてみんなが
飴色
(
あめいろ
)
の夕日にまっ青にすきとおって泣いているのを見て
驚
(
おどろ
)
いてたずねました。
カイロ団長
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
折々恐しい音して
鼠
(
ねずみ
)
の走る天井からホヤの曇った
六分心
(
ろくぶしん
)
のランプがところどころ
宝丹
(
ほうたん
)
の広告や『
都新聞
(
みやこしんぶん
)
』の新年附録の美人画なぞで
破
(
やぶ
)
れ
目
(
め
)
をかくした
襖
(
ふすま
)
を始め、
飴色
(
あめいろ
)
に古びた
箪笥
(
たんす
)
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
四十年配のいちょうがえしの女が、寝床に坐ってバットを
美味
(
おい
)
しそうに吸っている。敷布もない木綿の敷蒲団が
垢光
(
あかびかり
)
に光っている。新聞紙を張った壁。
飴色
(
あめいろ
)
の坊主畳。天井はしみだらけ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
桟窓からさし込む陽に
飴色
(
あめいろ
)
の油虫が二三びき光った。
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
逞
(
たくま
)
しい
飴色
(
あめいろ
)
の若牛であった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飴色
(
あめいろ
)
になった仕事台の上の、ちょっと右寄りに、厚さ三インチばかりの板が立ててあり、豚の毛を入れた筒とか、ブラッシの台木、ごくぼその針金、にかわの鍋などの材料が
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
古くて
飴色
(
あめいろ
)
になった
樫材
(
かしざい
)
のがっちりしたもので、上の二段は戸納、下段は左右とも
抽出
(
ひきだし
)
になっている。もちろん薬がしまってあるのだろう、抽出の一つ一つに、薬品の名を書いた札が
貼
(
は
)
ってあった。
赤ひげ診療譚:01 狂女の話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
甲板にある船長の席はきれいに
整頓
(
せいとん
)
され、木工部や舵輪は
飴色
(
あめいろ
)
に拭きこまれており、機関部へ命令を伝える鐘や、それに付いている
打金紐
(
うちがねひも
)
までが、新品同様に保持されている、というぐあいであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
甲板にある船長の席はきれいに
整頓
(
せいとん
)
され、木工部や舵輪は
飴色
(
あめいろ
)
に
拭
(
ふ
)
きこまれており、機関部へ命令を伝える鐘や、それに付いている
打金紐
(
うちがねひも
)
までが、新品同様に保持されている、というぐあいであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
飴
漢検準1級
部首:⾷
13画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“飴”で始まる語句
飴
飴屋
飴売
飴玉
飴細工
飴煮
飴菓子
飴釉
飴皮
飴買錢