間道かんだう)” の例文
これでひるなやまされていたいのか、かゆいのか、それともくすぐつたいのかもいはれぬくるしみさへなかつたら、うれしさにひと飛騨山越ひだやまごえ間道かんだう
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
四人は翌二十日に河内かはちさかひつて、食を求める外には人家に立ち寄らぬやうに心掛け、平野川に沿うて、間道かんだうを東へ急いだ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それで三にん相談さうだんするやうかほをして、一端いつたん松林まつばやしまで退しりぞき、姿すがた彼等かれら視線しせんからかくれるやいなや、それツとばかり間道かんだう逃出にげだして、うらいけかたから、駒岡こまをかかた韋駄天走ゐだてんばしり。
自由に車を通ずるにかゝはらず、殊更ことさら岸に立つて渡船わたしぶねを待つ心は、丁度ちやうど表通おもてどほりに立派なアスフワルトじきの道路あるにかゝはらず、好んで横町や路地の間道かんだうを抜けて見る面白さとやゝ似たものであらう。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
魚沼郡堀内ほりのうちより十日町へ越る所七里あまり、村々はあれども山中の間道かんだうなり。
隣家となりまつ垣根かきねひて、水口みづぐちかたへと間道かんだうりぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とほければ木犀もくせいかをりたか横町よこちやうなり。これより白山はくさんうらでて、天外君てんぐわいくん竹垣たけがきまへいたるまでは我々われ/\これ間道かんだうとなへて、よるいぬゆる難處なんしよなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
魚沼郡堀内ほりのうちより十日町へ越る所七里あまり、村々はあれども山中の間道かんだうなり。
そして信貴越しぎごえの方角をこゝろざして、格之助と一しよに、又間道かんだうを歩き出した。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
画工ゑかきさんは立処たちどころにコバルトのいたし、博士はかせむらさきてふつて、小屋こやうらの間道かんだううらはやしはいつたので。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三岐みつまたしたにして、れい間道かんだうらしいのをけたとおもふが、横状よこざま無理むりがけをするりとすべつて、自動車じどうしや屋根やね踏跨ふみまたぐか、とドシンとりた。あせひとつかいてない。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處そこ遁路にげみちこしらく、間道かんだう穴兵糧あなびやうらうくだん貯蓄たくはへ留桶とめをけみづを、片手かたてにざぶ/\、とつては、ぶく/\、ざぶ/\とつては、ぶく/\、小兒こども爪尖つまさきひざから、またへそからむねかたから咽喉のど
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飛騨ひだから信州しんしうえる深山しんざん間道かんだうで、丁度ちやうど立休たちやすらはうといふ一本いつぽん樹立こだちい、みぎひだりやまばかりぢや、ばすととゞきさうなみねがあると、みねみねいたゞきかぶさつて、とりえず
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)