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野袴
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のばかま
ふりがな文庫
“
野袴
(
のばかま
)” の例文
とたんに
崖
(
がけ
)
の両側からバラバラと飛び下りて来た
野袴
(
のばかま
)
の武士、前をふさいで十人あまり、いずれも厳重な
草鞋
(
わらじ
)
がけ、
柄頭
(
つかがしら
)
をそろえて
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その平馬がいま
打割羽織
(
ぶっさきばおり
)
に
野袴
(
のばかま
)
、
手馴
(
てな
)
れの
業物
(
わざもの
)
を
閂
(
かんぬき
)
のように差し反らせて、鉄扇片手に春の野中の道をゆらりゆらりと歩いて行くのだ。
平馬と鶯
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
老爺
(
おやじ
)
は火縄の手を休めて腰を立てると、武士は肩にかけた振分けの荷物を縁台の上に投げ出して、
野袴
(
のばかま
)
の
裾
(
すそ
)
をハタハタと
叩
(
たた
)
き
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そう云うと手早く大小を
脱
(
と
)
ってそこへ置き、
野袴
(
のばかま
)
を脱ぎ帯を解きはじめた。このようすをみて傍にいた手下どもが驚いた。
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
地味ではあるが
緞子
(
どんす
)
の
野袴
(
のばかま
)
、金銀の飾目立たぬほどにこしらえた両刀など、さすがに尋常ならぬものがあります。
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
慌てる紋は
泡沫
(
あぶく
)
のよう。
野袴
(
のばかま
)
の
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
って、
灸
(
きゅう
)
のあとを出すのがある。おお、おかしい。(
微笑
(
ほほえ
)
む)
粟粒
(
あわつぶ
)
を一つ二つと
算
(
かぞ
)
えて拾う雀でも、
俄雨
(
にわかあめ
)
には
容子
(
ようす
)
が可い。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人が逃げにかゝる処を飛込んで
打倒
(
ぶちたお
)
し、一人が急いで林の中へ逃げ込みますから、跡を追って参ると、安田一角が
野袴
(
のばかま
)
を穿き、長い大小を差し、長髪に撫で附け
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
野袴
(
のばかま
)
を
穿
(
は
)
き、
編笠
(
あみがさ
)
をかむった、立派なみなりのお侍様五人が、半僧半俗といったような、
円
(
まる
)
めたお
頭
(
つむ
)
へ
頭巾
(
ずきん
)
をいただかれ、
羅織
(
うすもの
)
の
被風
(
ひふ
)
をお羽織りになられた、気高いお方を守り
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
次に
略
(
ほゞ
)
格之助と同じ支度の平八郎が、
黒羅紗
(
くろらしや
)
の羽織、
野袴
(
のばかま
)
で行く。
茨田
(
いばらた
)
と杉山とが
鑓
(
やり
)
を持つて左右に随ふ。
若党
(
わかたう
)
曾我
(
そが
)
と
中間
(
ちゆうげん
)
木八
(
きはち
)
、
吉助
(
きちすけ
)
とが
背後
(
うしろ
)
に附き添ふ。次に
相図
(
あひづ
)
の太鼓が行く。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その数二三十と思しき
捕吏
(
とりて
)
の面々、手に/\獲物を
携
(
たずさ
)
へたる中に、
彼
(
か
)
の海中に陥りし半面鬼相の雲井喜三郎、如何にしてか
蘇
(
よみがえ
)
りけむ、白鉢巻、小具足、陣羽織、
野袴
(
のばかま
)
の
扮装
(
いでたち
)
物々しく
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すべては、野のなかで行われる
饗宴
(
きょうえん
)
を飾るためであった。そして、彼らを率いて先頭に立つのが、白髪
赭顔
(
しゃがん
)
の隊長である相田清祐であった。陣羽織も
野袴
(
のばかま
)
も折目ただしく端然としていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
灯ともし頃の八王子の町を、下げ髪の美女が銀毛の駒に乗り、その供として
野袴
(
のばかま
)
の屈強な侍が付いて歩く奇観に、往来の目が
振顧
(
ふりかえ
)
ります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
筒袖
(
つつそで
)
に
野袴
(
のばかま
)
をつけたのや、
籠手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
に小袴や、旅人風に
糸楯
(
いとだて
)
を負ったのや、百姓の
蓑笠
(
みのかさ
)
をつけたのや、
手創
(
てきず
)
を布で
捲
(
ま
)
いたのや、いずれも
劇
(
はげ
)
しい戦いと
餓
(
うえ
)
とにやつれた
物凄
(
ものすご
)
い一団の人でしたから
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
元来圖書は山三郎を
嚇
(
おど
)
す気だから、栗毛の馬に鞍を置き、
脊割羽織
(
せわりばおり
)
に
紺緞子
(
こんどんす
)
に
天鵞絨
(
びろうど
)
の
深縁
(
ふかべり
)
を取った
野袴
(
のばかま
)
に、旧金森の殿様から拝領の
備前盛景
(
びぜんもりかげ
)
に
国俊
(
くにとし
)
の短刀を
指添
(
さしぞえ
)
にしてとっ/\と駈けて来る。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
年はザット四十前後か、衣服大小も立派、ただちょっと
異
(
い
)
なことには、御府内だというのに、
緞子
(
どんす
)
の
野袴
(
のばかま
)
をはいている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、
小幡民部
(
こばたみんぶ
)
ひとりは、
深編笠
(
ふかあみがさ
)
をいただき、片手に
鉄扇
(
てっせん
)
、
野袴
(
のばかま
)
といういでたちで、京都から大阪もよりへと
伊那丸
(
いなまる
)
のゆくえをたずねもとめていく。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どこの田舎の
老
(
お
)
い
武士
(
ざむらい
)
。——一応はそうとしか見えない手織木綿のごつい羽織に
野袴
(
のばかま
)
という
旅拵
(
たびごしら
)
え。——けれど大小が図ぬけていい。立派な
差料
(
さしりょう
)
である。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あ、もしもし、戻るにも及びません。ちょうど
彼方
(
むこう
)
から、そのお侍様が、見えました。
野袴
(
のばかま
)
をはいて、にやにや笑いながら来るでしょう。あの人です」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
編笠
(
あみがさ
)
の侍は、
野袴
(
のばかま
)
の土をはらって後ろに立っていた。そして周馬が念入りにからげておいた駕の方を差し
覗
(
のぞ
)
いて
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鷹野に立っていた家康は、
野袴
(
のばかま
)
に、
草鞋
(
わらじ
)
ばきで、
田舎親爺
(
いなかおやじ
)
のような
頭巾
(
ずきん
)
をかぶり、追って来た二名の姿を見ると
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奥へはいって行ったかと思うと、やがて、裾べりの着いた
野袴
(
のばかま
)
に、
海老巻
(
えびまき
)
の
朱鞘
(
しゅざや
)
をぼっ込みながら戻って来て
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
立って奥へ入ろうとすると、ちょうど茶店の前をおびただしい数の
侍
(
さむらい
)
が、いずれも
野袴
(
のばかま
)
わらじがけで、シトシトとわき目もふらずに通り過ぎてゆくのを見た。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
栗色の衣類に
野袴
(
のばかま
)
をうがち、肩のあたりまでふッさりと総髪の毛先を垂れた中年
頑骨
(
がんこつ
)
の武士、これ、暗中にその声のみしていた、抜け買い派の頭領
先生金右衛門
(
せんじょうきんえもん
)
です。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若党の
縫殿介
(
ぬいのすけ
)
ひとり召連れて、茶地の麻の小袖に、夏も冬も同じ物かと思えるような
野袴
(
のばかま
)
をはき、汗だけは、人いちばい
汗性
(
あせしょう
)
らしい顔をした藩老の長岡佐渡であった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
法月弦之丞
(
のりづきげんのじょう
)
を
刺止
(
しと
)
めるまでの目的だろうに、わらじ、
野袴
(
のばかま
)
、
編笠
(
あみがさ
)
という、本格の支度をしているのは天堂一角だけで、周馬は笠なし、お十夜は、笠もわらじも嫌いだといって
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あわててそこへ出た神主が、蚊ばしらの立ち迷う中に立った侍をみると、
面
(
おもて
)
は
眉深
(
まぶか
)
く
熊谷笠
(
くまがいがさ
)
につつみ、
野袴
(
のばかま
)
に朱色を刻んだ自来也鞘、いっこう見かけた覚えもない者であった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蜂須賀家
(
はちすかけ
)
のお
船手
(
ふなて
)
、
九鬼弥助
(
くきやすけ
)
、
森啓之助
(
もりけいのすけ
)
。ともう一人は、やや風采が異なって、
紺上布
(
こんじょうふ
)
に
野袴
(
のばかま
)
をつけ、
自来也鞘
(
じらいやざや
)
の大小を落した剣客肌の男——阿波本国の
原士天堂一角
(
はらしてんどういっかく
)
であった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
総髪
(
そうはつ
)
にして
野袴
(
のばかま
)
に草色の
革足袋
(
かわたび
)
をはき、汗をこすりこすり近づいてくる。浪宅は本所
中之郷
(
なかのごう
)
という事だから、そこからここまでは近い
道程
(
みちのり
)
ではない。かくしゃくとしているのだ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、慎吾が、
野袴
(
のばかま
)
のすそをからげて、筒へ口火を落した瞬間に、七の唇が不意に
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鎖
(
くさり
)
着込みは下に隠し、
浮織万字
(
うきおりまんじ
)
の黒羽二重に
緞子
(
どんす
)
の
野袴
(
のばかま
)
、
白鮫柄
(
しろさめづか
)
の脇差
金象嵌角鍔
(
きんぞうがんかくつば
)
の大小をぶッちがえに差し、曳き寄せた駒にひらりと
跨
(
またが
)
って、時刻を待つほどに目付奉行の伝令が来たので
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又、吉良家の家臣にしてはおかしい
扮装
(
いでたち
)
でもある。草鞋、
負包
(
おいづつ
)
み、埃っぽい
野袴
(
のばかま
)
など、どう眺めても、田舎武者だ。のみならず、十一名の一人一人、一歩一歩、怖ろしく力がある、隙がない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこにいたのは、
正
(
まさ
)
しくどこかの藩士に違いない。
野袴
(
のばかま
)
を
穿
(
は
)
いて、見事な大小をさし、
乗換馬
(
のりかえうま
)
を傍らの木につないで、今、弁当を食べ終えたらしく、小者の汲んで来た
白湯
(
さゆ
)
を
木陰
(
こかげ
)
で飲んでいた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なぜならば、小次郎の特徴であった髪や
服装
(
みなり
)
も、前とは、人違いするほど変っていて、あの前髪も刈り込み、これ見よがしな派手な
伊達
(
だて
)
羽織も、地味な
蝙蝠羽織
(
こうもりばおり
)
と
野袴
(
のばかま
)
とに変っているのである。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その朱門の中からワラワラとあふれだしたおびただしい
浪人武者
(
ろうにんむしゃ
)
!
黒装束
(
くろしょうぞく
)
へ
小具足
(
こぐそく
)
をつけたるもの、
鎖襦袢
(
くさりじゅばん
)
をガッシリと
着
(
き
)
こんだもの、わらじ
野袴
(
のばかま
)
に
朱鞘
(
しゅざや
)
のもの、
異風
(
いふう
)
さまざまないでたちで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後からそれをつけて行った者は
軽捷
(
けいしょう
)
な旅いでたちで、まず
服装
(
なり
)
のいい武芸者という風采、
野袴
(
のばかま
)
を短くはき、
熊谷笠
(
くまがいがさ
)
をかぶり、腰には長めな大小をさし、それは朱色の
自来也鞘
(
じらいやざや
)
であるように見られる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野袴
(
のばかま
)
のチリをはたいて、取次をたのむ。
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
袴
漢検準1級
部首:⾐
11画
“野”で始まる語句
野
野原
野暮
野分
野面
野郎
野良
野路
野菜
野茨