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訊
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き
ふりがな文庫
“
訊
(
き
)” の例文
ドウいう人かと
訊
(
き
)
くと、それより数日前、突然
依田学海
(
よだがっかい
)
翁を尋ねて来た書生があって、小説を作ったから序文を書いてくれといった。
露伴の出世咄
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「變だとわかつたら、俺のところへ
訊
(
き
)
きに來る迄もあるめえ、——今日は滅法忙しいんだ。お前なんかをからかつちや居られねえよ」
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「Mの町の旅館……。なんという旅館ですか。」と、博士は何げないように
訊
(
き
)
いたが、その眼は少しく光っているようにも見られた。
怪獣
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「旦那はこれから旅へいらっしゃるんですか」主人の与平が
燗徳利
(
かんどくり
)
を出しながら
訊
(
き
)
いた。「それとも旅からお帰りになったんですか」
夜の蝶
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
時には赤い裏のきたない布団が、二階の
欄干
(
らんかん
)
にほしてあった。一緒に行った姉に
訊
(
き
)
いても、汚い家だといって教えてはくれなかった。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
▼ もっと見る
老僕が何やらぼそぼそ言うと、——「ええ?……
誰
(
だれ
)
か来たって?」と、
訊
(
き
)
き返して、「となりの
坊
(
ぼっ
)
ちゃんかい? じゃ、お通しおし」
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
津田の
挨拶
(
あいさつ
)
に軽い
会釈
(
えしゃく
)
をしたなり席に着いた細君はすぐこう
訊
(
き
)
いた。津田はちょっと苦笑した。何と返事をしていいか分らなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
車が迎えに来て、夫妻は
暇
(
いとま
)
を告げた。鼈四郎はこれからどちらへと
訊
(
き
)
くと、夫妻は
壬生寺
(
みぶでら
)
へお
詣
(
まい
)
りして、壬生狂言の見物にと答えた。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
開
(
あ
)
かないから悪いのよ。ほんとなら警察へ突き出されたってそれまででしょう。それを地道に
訊
(
き
)
こうというのに、シラを切るんだもの
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
髪結のおナツが、染奴の髪を結いながら、
訊
(
き
)
く。
博多
(
はかた
)
生まれ、四十年配の、勝気らしい、色の浅黒い、眉毛のつりあがった女である。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
事故などは少いでしょうと
訊
(
き
)
くと、いやこれで案外多いのです。往来を走っているのは割合い少いものですが、など車掌は言っていた。
路上
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
こういって小僧が
訊
(
き
)
くと、女はやはり無言でうなずいて、そこへ代価を置いて、酒の入った徳利を捧げるようにして帰って行った。
早耳三次捕物聞書:04 海へ帰る女
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こう思うと、わたしはその事情が
訊
(
き
)
いてみたくてなりませんでした。町田もちょうどわたしと同じような心持ちになったとみえて
メデューサの首
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
二階では良吉と勝代とが炬燵に当って、ひとしきり東京話を聞いたり
訊
(
き
)
かれたりしていたが、やがて別々の部屋に別れて
寝支度
(
ねじたく
)
をした。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
さほどに懇意でない人は必ず私の母をば姉であろうと
訊
(
き
)
いた位でした。江戸の生れで大の芝居好き、
長唄
(
ながうた
)
が上手で
琴
(
こと
)
もよく
弾
(
ひ
)
きました。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と、制服の外套の
襟
(
えり
)
で
頤
(
あご
)
を深く
埋
(
うず
)
めた四十男の消防手が
訊
(
き
)
いた。彼は帆村が下駄をはいて上ってきたのに、すこし
呆
(
あき
)
れている風だった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しいて
訊
(
き
)
こうとあそばすのに対しては絶対に口をつぐんでいる姫君が、そのほかのことでは美しい口ぶりで
愛嬌
(
あいきょう
)
のある返辞などもして
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
仕立屋へ通っていたミチに
訊
(
き
)
いたが知らないという、カヤノ、フサエ、八重を呼んでただすとフサエが目を伏せて爪をかみだした。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
『それは
能
(
よ
)
く
解
(
わか
)
つてる、
大方
(
おほかた
)
蛙
(
かはづ
)
か
蟲
(
むし
)
ぐらゐのものだらう』と
云
(
い
)
つて
家鴨
(
あひる
)
は『しかし、
僕
(
ぼく
)
の
訊
(
き
)
くのは
大僧正
(
だいそうじよう
)
が
何
(
ど
)
うしたと
云
(
い
)
ふのだ?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
世話人は
種々
(
いろ/\
)
なことを
訊
(
き
)
かれた。しかしその不思議な僧の行為の中には、あやしいやうなことは少しもなかつた。すべて自然であつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「じゃ、私お姉さんに
訊
(
き
)
いてみるわ。もしそうだとすれば、お姉さん、あんまりヒド過ぎるんですもの。行って訊くわ。お姉さまに。」
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
こういうところを
詠
(
よ
)
むのかいなと、ぼんやり思ってみたりして、この家も自分のものか借家なのか、
訊
(
き
)
いてみたこともなかったけれど
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
で、
自然
(
しぜん
)
私達
(
わたくしたち
)
の
対話
(
はなし
)
は
死
(
し
)
んでから
後
(
のち
)
の
事柄
(
ことがら
)
に
限
(
かぎ
)
られることになりました。
私
(
わたくし
)
が
真先
(
まっさ
)
きに
訊
(
き
)
いたのは
良人
(
おっと
)
の
死後
(
しご
)
の
自覚
(
じかく
)
の
模様
(
もよう
)
でした。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「そんなこと僕に
訊
(
き
)
いたって、分りゃせんさ。それに、元来作家なんてものは、すべてこうしたことはいっさい関係しないものなんだよ」
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
「さア、それは大変なものらしいのですが、二三日したらお宅へ本人が伺うといってましたから、そのときでも
訊
(
き
)
いて下さい。」
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
私は馬から降りて、かの手紙を差し出すと、老人はそれを一度読み、また読み返して、疑うような眼をしながら私に
訊
(
き
)
きました。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「おい、お前は時計は
要
(
い
)
らないか。」丸太で建てたその象小屋の前に来て、オツベルは琥珀のパイプをくわえ、顔をしかめて斯う
訊
(
き
)
いた。
オツベルと象
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
だからきょうの客にも彼は一体何を僕に見てくれというのかと
訊
(
き
)
くと、客は言下に陶器を一つ見ていただきたいのですといった。
陶古の女人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「どうして洋画などへ入ったのだ?」と
訊
(
き
)
くので「洋画へ入って新しい知識も得るしデッサンなどもやってみたい。」と言うと
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
腎臓病の青膨れのまま
駈着
(
かけつ
)
けて来た父親の乙束区長がオロオロしているマユミを
捉
(
つかま
)
えて様子を
訊
(
き
)
いてみたが
薩張
(
さっぱ
)
り要領を得ない。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
例えば、この間、僕は思いきってあいつに、「君の云うそのあんなあなって云うのは一体何のことだい?」って
訊
(
き
)
いてみたんだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
後ろの窓際まで行ってその
閾
(
しきい
)
の上にそれを載せたが、また私の側に帰って来て、「この前の幕は何でしたか」と
馴々
(
なれなれ
)
しく
訊
(
き
)
いた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「フェアファックス孃さんには、今晩お目にかゝれますのでございませうか?」彼女のすゝめるものを食べてから、私は
訊
(
き
)
いた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「お前は何時までも俺のものかい」と彼の方で
訊
(
き
)
いた時に、「ええ何時までも」と答えた通り、彼女はすでにすでに岸本のものであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
或日私がそれをそれとなく殿にお
訊
(
き
)
きすると、「そう、そんな事もあったかも知れんな」と殿はいかにも冷淡そうに
仰
(
おっし
)
ゃられたぎりだった。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
だからドイツへ往くなら、そういう方にいろいろ注意すべきことを
訊
(
き
)
いてゆくがよかろうというので、いろいろ御話を伺った。
回顧と展望
(新字新仮名)
/
高木貞治
(著)
其新聞には野口雨情君も行くのだと小国君が言ふ。「
甚麽
(
どんな
)
人だい。」と
訊
(
き
)
くと、「一二度逢つたが、至極
穏和
(
おとなし
)
い丁寧な人だ。」
悲しき思出:(野口雨情君の北海道時代)
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
男優A そいつを
訊
(
き
)
いとくのを忘れた。僕は、あんまり、女の名前なんかに興味はないんでね。貞子さん……それとも、操さん……違ふね。
職業(教訓劇)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
統計のなかにも、二十歳未満の少女に強盗と云うのが一人ありました。わたしは吃驚して、どんな風な少女なのでしょうと
訊
(
き
)
いてみました。
新生の門:――栃木の女囚刑務所を訪ねて
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
と
訊
(
き
)
きました。訊く方はむろん冗談だったのですが、当人のかっちゃんは、旧悪が露見したような気がしてはっとしたのです。
誰が・何時・何処で・何をした
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
と
訊
(
き
)
かれたんでございます。抜き打ちの御質問でびっくりした私が、声も出せずに黙ってうなずきますと、その若い利巧そうなお医者様は
幽霊妻
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
教誨師が
仔細
(
しさい
)
らしくうなずいて帰ったあとで、
掃除夫
(
そうじふ
)
の仕事をここでやっている、同じ病人の三十番が太田に
訊
(
き
)
くのであった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
「昨日出たきり
帰
(
けえ
)
らねえので……停車場で
訊
(
き
)
いたら、上野までの切符、七、八枚も売れだのだぢがら、見当が付かねえもね。」
駈落
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
私は笠原に簡単に事情を話して、
何処
(
どこ
)
か家が無いかと
訊
(
き
)
いた。
然
(
しか
)
し今迄彼女はもう
殆
(
ほと
)
んど知っている家は、私のために使ってしまっていた。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
じつはあたし、あなたにちょっと、お
訊
(
き
)
きしたいことがあるんですけれど、どうも具合が悪くって、言い出しにくいんですの。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
船に帰って、ピンポンをしていると、M氏が来て「坂本君、コダックは」と
訊
(
き
)
きます。
愕然
(
がくぜん
)
、ぼくは脳天を
金槌
(
かなづち
)
でなぐられた気がしました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「
今更
(
いまさら
)
あらためて、こんなことを
訊
(
き
)
くのも
野暮
(
やぼ
)
の
沙汰
(
さた
)
だが、おこのさんといいなさるのは、
確
(
たしか
)
にお
前
(
まえ
)
さんの
御内儀
(
ごないぎ
)
だろうのう」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
やがて、かう
訊
(
き
)
いたのだ。が、併し、兄はそれには答へなかつた。私は一寸てれて机の上の置時計を見た。七時半であつた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
しばらくして女は他の方にいこうとした。柳が襪を齧んでいたためによろよろとして倒れた。一段高い所に坐っている者がその
理由
(
わけ
)
を
訊
(
き
)
いた。
織成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「何だい? 大変な執念じゃないか。」手燭を置くと、法水の眼がふたたび屍体の両腕に引かれて行くので、検事は
訊
(
き
)
かざるを得なくなった。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
訊
漢検準1級
部首:⾔
10画
“訊”を含む語句
訊問
問訊
御訊
訊糺
訊問者
訊尋
聞訊
訊入
訊返
訊斷
訊問室
訊合
訊出
不審訊問
神訊
相訊
旅客訊問
御訊問
対質訊問
十字火訊問