見附みつ)” の例文
一念天にとどいたか、ある大林のその中に、名さえも知らぬ木なれども、色もにおいもいと高き、十の木の実をお見附みつけなされたじゃ。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
……(下人に)やい、そちはヹローナぢゅう駈𢌞かけまはって(書附を渡し)こゝ名前なまへいてある人達ひとたち見附みつけて、今宵こよひわがやしきねんごろ御入來ごじゅらいをおまうすとへ。
そしてしばらく一しょに黙って歩いている内に、男の唇の上に、ゆるやかな、鈍い微笑ほほえみの浮かんだのを、女が見附みつけた。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
何日いつでもちよいとわつしをおびなさりやアあな見附みつけて一幕位まくぐらゐせてげらア、うもおほきに有難ありがたうがした。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかるに翌朝吉野十八ごう荘司しょうじ等が追撃して来て奮戦するうち、埋められた王の御首が雪中より血をき上げたために、たちまちそれを見附みつけ出して奪い返したと云う。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
埴輪はにわなどを見附みつけて一時間いちじかんとたたないうち千円せんえん千五百円分せんごひゃくえんぶんったことがあるそうです。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もっと優しい、可哀らしい、平易な題が欲しいのですが、見附みつかりませんでした。
うち吝嗇けちぢやから見附みつかるとしかられる、これ股引もゝひきはかまと一しよ戸棚とだなうへせていて、ひまさへあればちびり/\とんでたをとこが、庭掃除にはさうじをするといつて、くだんはちつけたつけ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
アヴニウ・ウツスの入口いりくち見附みつそこなつたので
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
私と慶次郎とはまるで電気にかかったようにかやをわけてあるきました。そして私はすぐ初蕈はつたけの三つならんでるところ見附みつけました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
下人 こゝに名前なまへいてある人達ひとたち見附みつけい! えゝと、靴屋くつやものさしかせげか、裁縫師したてや足型あしかたかせげ、漁夫れふしふでかせげ、畫工ゑかきあみかせげといてあるわい。
足袋たびなしでは仲見世なかみせ出掛でかにくい。押入おしいれでふと見附みつけた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
アヴニウ・ウツスの入口いりくち見附みつけるめに
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ところが私は、浜茄をとうとう見附みつけませんでした。もっとも私が見附けなかったからと云って、浜茄があすこにないというわけには行きません。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ロミオ さいはよるころもてゐる、見附みつけらるゝはずはない。とはいへそもじあいせられずば、立地たちどころ見附みつけられ、にくまれて、ころされたい、あいされぬくるしみをのばさうより。
わたし達はまだホテルが見附みつからない。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
その日私たちは完全かんぜんなくるみのも二つ見附みつけたのです。火山礫の層の上には前の水増みずましの時の水が、ぬまのようになって処々たまっていました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ああすぐみんな来た。カムパネルラのお父さんも来た。けれども見附みつからないんだ。ザネリはうちへ連れられてった。」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
一つのかべがまだそのままで見附みつけられ、そこには三人の天童子がえがかれ、ことにその一人はまるで生きたようだとみんなが評判ひょうばんしましたそうです。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それから、何の、走って、走って、とうとう向うの青くかすんだ野原のはてに、オツベルのやしきの黄いろな屋根を見附みつけると、象はいちどに噴火ふんかした。
オツベルと象 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
みんなは一生懸命そこらをさがしましたが、どうしても見附みつかりませんでした。それで仕方なく、めいめいすきな方へ向いて、いっしょにたかく叫びました。
狼森と笊森、盗森 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いつものようにたくさん見附みつかりましたから私はいつか長官のこともわすれてしきりにとっておりました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「さあ、見附みつけたぞ。この足跡あしあときた所には、きっとこいつがたおれたまま化石している。巨きな骨だぞ。まず背骨なら二十米はあるだろう。巨きなもんだぞ。」
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
誰かが岩の中にもれた小さな植物しょくぶつのまわりに、水酸化鉄の茶いろなが、何重なんじゅうもめぐっているのを見附みつけました。それははじめからあちこち沢山たくさんあったのです。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
うん探して来たよ、ぼくは一ぺん山へ出かけるともうどんなもんでも見附みつからんと云うことは断じてない、けだしすべての宝石はみな僕をしたってあつまって来るんだね。
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「あ、いかん、汽車がきた。たれかに見附みつかったら大へんだ。もう進軍をやめなくちゃいかん。」
月夜のでんしんばしら (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それからは洪積層こうせきそう旧天王キーデンノー安山集塊岩あんざんしゅうかいがんおかつづきのにもかぶさっているかがいちばんの疑問ぎもんだったけれどもぼくたちは集塊岩のいくつもの露頭ろとうを丘の頂部ちょうぶ近くで見附みつけた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
工芸こうげい学校の先生は、まずむかしの古い記録きろくをつけたのでした。そして図書館としょかんの二かいで、毎日黄いろに古びた写本しゃほんをしらべているうちに、ついにこういういいことを見附みつけました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
じつはね、おまえのとこに下男げなんがなかったもんだから今日きょう一人見附みつけて来てやったんだ。蟹にしておいたがね、ぴしぴし遠慮えんりょなく使つかうがいい。おい。きさまこのあなにはいって行け。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それからはんの木の実も見附みつかりました。小さな草の実もたくさん出て来ました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それからちゃんと見附みつかって、帰ろうとしてもなかなか足があがらない。
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いるかのむれが船の横を通っている。いちばんはじめに見附みつけたのは僕だ。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
するとある日いたちに見附みつかって食べられそうになったんですって。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ええ、火山弾かざんだん見附みつけました。ごく不完全です。」
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ところが先生は早くもそれを見附みつけたのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)