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胸先
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むなさき
ふりがな文庫
“
胸先
(
むなさき
)” の例文
それまでは覚えていたが、そのうちに少し
胸先
(
むなさき
)
が楽になったと思ったら、いつの間にかうとうとと寝入ってしまった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
このごろ老人もようやく
忘
(
わす
)
れんとしつつありしをきょうは耳新しく、その
狂婦
(
きょうふ
)
もなくなったと
告
(
つ
)
げられ、
苦痛
(
くつう
)
の
記憶
(
きおく
)
をことごとく
胸先
(
むなさき
)
に
呼
(
よ
)
びおこして
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と
邪慳
(
じやけん
)
に、
胸先
(
むなさき
)
を
取
(
と
)
つて
片手
(
かたて
)
で
引立
(
ひつた
)
てざまに、
渠
(
かれ
)
は
棒立
(
ぼうだ
)
ちにぬつくり
立
(
た
)
つ。
可憐
(
あはれ
)
や
艶麗
(
あでやか
)
な
女
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
は、
背筋
(
せすぢ
)
を
弓形
(
ゆみなり
)
、
裳
(
もすそ
)
を
宙
(
ちう
)
に、
縊
(
くび
)
られた
如
(
ごと
)
くぶらりと
成
(
な
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
においも深き紅梅の枝を折るとて、庭さき近く
端居
(
はしい
)
して、あれこれとえらみ居しに、にわかに
胸先
(
むなさき
)
苦しく
頭
(
かしら
)
ふらふらとして、
紅
(
くれない
)
の
靄
(
もや
)
眼前
(
めさき
)
に渦まき、われ知らずあと叫びて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
昨日
(
きのふ
)
の
午後
(
ごゝ
)
より
谷中
(
やなか
)
の
母
(
かゝ
)
さんが
急病
(
きうびやう
)
、
癪氣
(
しやくけ
)
で
御座
(
ござ
)
んすさうな、つよく
胸先
(
むなさき
)
へさし
込
(
こ
)
みまして、一
時
(
じ
)
はとても
此世
(
このよ
)
の
物
(
もの
)
では
有
(
あ
)
るまいと
言
(
い
)
ふたれど、お
醫者
(
いしや
)
さまの
皮下注射
(
ひかちうしや
)
やら
何
(
なに
)
やらにて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
夜は針箱の底深く
蔵
(
おさ
)
めて
枕
(
まくら
)
近く
置
(
おき
)
ながら
幾度
(
いくたび
)
か又
開
(
あけ
)
て見て
漸
(
ようや
)
く
睡
(
ねむ
)
る事、何の為とは
妾
(
わたくし
)
も知らず、殊更其日
叔父
(
おじ
)
の
非道
(
ひどう
)
、
勿体
(
もったい
)
なき悪口
計
(
ばか
)
り、是も
妾
(
わたくし
)
め
故
(
ゆえ
)
思わぬ不快を耳に入れ玉うと
一一
(
いちいち
)
胸先
(
むなさき
)
に痛く
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
猛狒
(
ゴリラ
)
怒
(
いか
)
つて
刀身
(
たうしん
)
を
双手
(
もろて
)
に
握
(
にぎ
)
ると、
水兵
(
すいへい
)
は
焦
(
いらだ
)
つて
其
(
その
)
胸先
(
むなさき
)
を
蹴上
(
けあ
)
げる、
此
(
この
)
大奮鬪
(
だいふんとう
)
の
最中
(
さいちう
)
沈着
(
ちんちやく
)
なる
海軍士官
(
かいぐんしくわん
)
は
靜
(
しづ
)
かに
進
(
すゝ
)
み
寄
(
よ
)
つて、
二連銃
(
にれんじう
)
の
筒先
(
つゝさき
)
は
猛狒
(
ゴリラ
)
の
心臟
(
しんぞう
)
を
狙
(
ねら
)
ふよと
見
(
み
)
えしが、
忽
(
たちま
)
ち
聽
(
きこ
)
ゆる
一發
(
いつぱつ
)
の
銃聲
(
じうせい
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
宮は
胸先
(
むなさき
)
を
刃
(
やいば
)
の
透
(
とほ
)
るやうに
覚
(
おぼ
)
ゆるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と
思
(
おも
)
はず……
男
(
をとこ
)
は
驚駭
(
おどろき
)
の
目
(
め
)
を
睜
(
みは
)
つた。……と
其
(
そ
)
の
帶
(
おび
)
に
挾
(
はさ
)
んで、
胸先
(
むなさき
)
に
乳
(
ちゝ
)
をおさへた
美女
(
たをやめ
)
の
蕊
(
しべ
)
かと
見
(
み
)
える……
下〆
(
したじめ
)
のほのめく
中
(
なか
)
に、
状袋
(
じやうぶくろ
)
の
端
(
はし
)
が
見
(
み
)
えた、
手紙
(
てがみ
)
が一
通
(
つう
)
。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「じゃって、病気をすっがわるかじゃなっか」と幾たびか
陳弁
(
いいわけ
)
すれど、なお妙に
胸先
(
むなさき
)
に込みあげて来るものを、
自己
(
おのれ
)
は怒りと思いつつ、果てはまた大声あげて、お豊に当たり散らしぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
お
高
(
たか
)
が
胸先
(
むなさき
)
くつろげんとする
此時
(
このとき
)
はやし
間一髮
(
かんいつぱつ
)
、まち
給
(
たま
)
へとばかり
後
(
うしろ
)
の
藪垣
(
やぶがき
)
まろび
出
(
い
)
でゝ
利腕
(
きゝうで
)
しつかと
取
(
と
)
る
男
(
をとこ
)
誰
(
た
)
れぞ
放
(
はな
)
して
死
(
し
)
なしてと
脆弱
(
かよわ
)
き
身
(
み
)
にも
一心
(
いつしん
)
に
振切
(
ふりき
)
らんとするをいつかな
放
(
はな
)
さず
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
難関あるべしとは
期
(
ご
)
しながら思いしよりもはげしき抵抗に出会いし母は、例の
癇癖
(
かんぺき
)
のむらむらと
胸先
(
むなさき
)
にこみあげて、額のあたり筋立ち、こめかみ
顫
(
うご
)
き、煙管持つ手のわなわなと震わるるを
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
胸
常用漢字
小6
部首:⾁
10画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“胸”で始まる語句
胸
胸倉
胸襟
胸算用
胸毛
胸板
胸騒
胸算
胸高
胸乳