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肌身
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はだみ
ふりがな文庫
“
肌身
(
はだみ
)” の例文
「これはたいせつにして、いつも
肌身
(
はだみ
)
はなさずもっていてくれ。またどんなことで、これがわたしたちの
役
(
やく
)
にたつかもしれぬからな。」
三枚のヘビの葉
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
鳶尾草
(
いちはつ
)
の花、
清淨
(
しやうじやう
)
無垢
(
むく
)
の
腕
(
かひな
)
の上に
透
(
す
)
いて見える
脈管
(
みやくくわん
)
の薄い水色、
肌身
(
はだみ
)
の
微笑
(
ほゝゑみ
)
、新しい
大空
(
おほぞら
)
の清らかさ、
朝空
(
あさぞら
)
のふと
映
(
うつ
)
つた
細流
(
いさゝがは
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
それは節子が日頃大切にして彼女の
肌身
(
はだみ
)
につけていた
半襟
(
はんえり
)
だ。岸本は
枝折
(
しおり
)
代りに書籍の中に
挾
(
はさ
)
んで置いたその女らしい贈物をも納ってしまった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
使 (耳にもかけずに)第二にあなたがたは
肌身
(
はだみ
)
さえ
任
(
まか
)
せば、どんなことでも出来ないことはない。(玉造の小町に)あなたはその手を使ったのです。
二人小町
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「私の腰でございます——飛んでもない。杉本樣がやかましく申しますので、
肌身
(
はだみ
)
を離したこともございません」
銭形平次捕物控:216 邪恋の償ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
これは
由緒
(
ゆいしょ
)
ある
御方
(
おかた
)
から
母
(
はは
)
が
拝領
(
はいりょう
)
の
懐剣
(
かいけん
)
であるが、そなたの一
生
(
しょう
)
の
慶事
(
よろこび
)
の
紀念
(
きねん
)
に、
守刀
(
まもりがたな
)
としてお
譲
(
ゆず
)
りします。
肌身
(
はだみ
)
離
(
はな
)
さず
大切
(
たいせつ
)
に
所持
(
しょじ
)
してもらいます……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「とんでもないこと! この刀は貸すどころか、ちょっとでも
肌身
(
はだみ
)
をはなすことのできないだいじな
品物
(
しなもの
)
だよ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母の涙の
紀念
(
かたみ
)
として
肌身
(
はだみ
)
離さず持っていたわずかの金を惜しげもなく
抛
(
な
)
げ出して入社した三崎町の苦学社を逃げ出して再び下谷の伯母の家に駆け込んだ時は
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
彼は
終
(
つひ
)
に心を許し
肌身
(
はだみ
)
を許せし
初恋
(
はつごひ
)
を
擲
(
なげう
)
ちて、絶痛絶苦の
悶々
(
もんもん
)
の
中
(
うち
)
に一生最も
楽
(
たのし
)
かるべき大礼を挙げ
畢
(
をは
)
んぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
これは出ないわけだ、お蔦が大事をとって使わないで、
肌身
(
はだみ
)
離さず胴へ巻いて持ちまわってるのだから。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
衞
(
まも
)
る者なくては叶はずと云ながら
彼
(
か
)
の友次郎が
脇指
(
わきざし
)
をお花に渡し此脇指を
肌身
(
はだみ
)
離
(
はな
)
さず何事も相談して
怪我
(
けが
)
なき樣に暮すべしと
懷中
(
くわいちう
)
より
二包
(
ふたつゝみ
)
の金子と藥の入し
印籠
(
いんろう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
津村は「
此
(
この
)
かみもかかさんとおりとのすきたる紙なりかならずかならずはだみはなさず大せつにおもうべし」とあるその巻紙を、ほんとうに
肌身
(
はだみ
)
につけて
押
(
お
)
し
戴
(
いただ
)
いた。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「うむ、そうだ、用心に
肌身
(
はだみ
)
をはなさず持っておいで、そのうちにはわかることがあるからな」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
御常の
肌身
(
はだみ
)
に着けているものは
悉
(
ことご
)
とく古びていた。
幾度
(
いくたび
)
水を
潜
(
くぐ
)
ったか分らないその着物なり
羽織
(
はおり
)
なりは、どこかに絹の光が残っているようで、また変にごつごつしていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
思案に尽きて
終
(
つい
)
に自分の書類、学校の帳簿などばかり
入
(
いれ
)
て置く
箪笥
(
たんす
)
の抽斗に入れてその上に書類を重ねそして
鍵
(
かぎ
)
は昼夜自分の
肌身
(
はだみ
)
より離さないことに
決定
(
きめ
)
て
漸
(
や
)
っと安心した。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「そなたが
肌身
(
はだみ
)
離さず持っていてくれることは、母上にもきっと御本望でござろう。」
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
わッ——としわがれた
咽
(
むせ
)
び声が起った。死者の老いた妻がつっ伏したのであった。
黒羽二重
(
くろはぶたえ
)
の彼女の盛装がかなしかった。日に焼け潮に吹かれたその
肌身
(
はだみ
)
は、百姓か漁夫に近かった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
それとともに
肌身
(
はだみ
)
に寒さも加わって来た。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
蛇
(
へび
)
の如きわが
無益
(
むやく
)
なる
肌身
(
はだみ
)
を
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
妻の
肌身
(
はだみ
)
につけた形見の着物を
寝衣
(
ねまき
)
になりとして着て見るような心持でもって、沈黙の形でよくあらわれた夫婦の間の苦しい争いを思出したかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
忠義な家来は、
死
(
し
)
んだわかい王さまをすくいあげますと、
肌身
(
はだみ
)
はなさずもっていた、あの三
枚
(
まい
)
のヘビの葉を、わかい王さまの両方の目と口の上にのせました。
三枚のヘビの葉
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
盜つたんだらう。お六婆アが
肌身
(
はだみ
)
離さず持つてゐる名題の
大財布
(
おほざいふ
)
も無いし、手文庫には證文だけ。火鉢の引出しの小錢まで無くなつてゐる。恐しく行屆いた奴だ
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
泗水
(
しすい
)
の流れはまだ凍るほどにも至らないが、草木は枯れつくし、満目
蕭条
(
しょうじょう
)
として、
寒烈
(
かんれつ
)
肌身
(
はだみ
)
に
沁
(
し
)
みてくる。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの女の一時の気まぐれは、気まぐれとして、許しているらしい。が、自分は、そういかない。自分にとっては、沙金が
肌身
(
はだみ
)
を
汚
(
けが
)
す事は、同時に沙金が心を汚す事だ。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それに就けても、貴方のその美い心掛、立派な心掛、どうかその宝は一生
肌身
(
はだみ
)
に附けて、どんな事が有らうとも、決して失はんやうに為て下さい!——可う御座いますか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
右
(
みぎ
)
の
御神剣
(
ごしんけん
)
と
申
(
もう
)
すのは、あれは
前年
(
ぜんねん
)
わざわざ
伊勢
(
いせ
)
へ
参
(
まい
)
られた
時
(
とき
)
に、
姨君
(
おばぎみ
)
から
授
(
さず
)
けられた
世
(
よ
)
にも
尊
(
とうと
)
い
御神宝
(
ごしんぽう
)
で、
命
(
みこと
)
はいつもそれを
錦
(
にしき
)
の
袋
(
ふくろ
)
に
納
(
おさ
)
めて、
御自身
(
ごじしん
)
の
肌身
(
はだみ
)
につけて
居
(
お
)
られました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そのおり小そでのしたにたたんで入れてありました
友禅
(
ゆうぜん
)
の長じゅばんをとり出しましてわたくしの前にさし出しながらこれはお遊さまが
肌身
(
はだみ
)
につけていたものだがこのちりめんの重いことを
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人は
旅
(
たび
)
にある時も、町を
歩
(
あゆ
)
むにも、家に
寝
(
ね
)
ている間にも刀を
肌身
(
はだみ
)
にはなせない世の中だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたくし
)
は一
生涯
(
しょうがい
)
その
懐剣
(
かいけん
)
を
自分
(
じぶん
)
の
魂
(
たましい
)
と
思
(
おも
)
って
肌身
(
はだみ
)
に
附
(
つ
)
けて
居
(
い
)
たのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
一
度
(
ど
)
でも
肌身
(
はだみ
)
を
汚
(
けが
)
したとなれば、
夫
(
をつと
)
との
仲
(
なか
)
も
折
(
お
)
り
合
(
あ
)
ふまい。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なかで、なにかカチャリといったので、さぐってみると
肌身
(
はだみ
)
はなさない
秘蔵
(
ひぞう
)
の
水独楽
(
みずごま
)
だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肌
常用漢字
中学
部首:⾁
6画
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
“肌身”で始まる語句
肌身放