そう)” の例文
旧字:
するととりりてたので、二十にんこなひきおとこは、そうががかりで、「ヨイショ、ヨイショ!」とぼうでもって石臼いしうすたかげました。
目をとじて、彼は心の隅々までを、そうざらいしていた。すると、忽然こつぜん彼自身かれじしんにすら驚かれるような本心が、大きく彼の意識にのぼった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうじて血のめぐりの好い生体せいたいは健全です。病はへんです。不仁が病です。脳貧血のわるいは、脳充血のわるいに劣りません。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ふつうの勢参りでは、まず神前にうやうやしく拝をしてのちに、帰りに一同がウヮーと高い声をあげる。これをときの声ともまたそうの声ともいった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そして鹿しかこししてくまむねみついて、みんなそうがかりでうんうんいって、金太郎きんたろうたおそうとしましたが、どうしてもたおすことができませんでした。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
この部落に住んでいる人間がそうがかりになった上に、その何十倍か何百倍のクーリーを使っても、豆の出盛でさかりには持て余すほど荷が後から後からと出てくる。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あしたは祭礼さいれいの日というので朝から家じゅうそうがかりで内外のりかたづけやらふるまいの用意にたてきってるさいに、びとを受けたのである。お政はほとんど胸中きょうちゅう転倒てんとうしている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そう駿すんえんのうの間に流行し、昨年中は西は京阪より山陽、南海、西国まで蔓延まんえんし、東はぼうそうじょうしんの諸州にも伝播でんぱし、当年に至りてはおう州に漸入するを見る。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
そうじて他人たにん艱難かんなんたいしては、事務上じむじょう職務上しょくむじょう関係かんけいをもっている人々ひとびとたとえば裁判官さいばんかん警官けいかん医師いし、とかとうものは、年月ねんげつ経過けいかするとともに、習慣しゅうかんってついにはその相手あいて被告ひこく
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
アール町の応援団おうえんだんそうだちになった。ぼうしを投げあげる気の早い者もある。
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
汽船では乗客を皆な別の船に移して、荷を軽くして船員そうがゝりで、長い竿棹さをを五本も六本も浅い州に突張つつぱつて居た。しかも汽船は容易に動かなかつた。煙突からは白い薄いけぶりいたづらに立つて居た。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
地獄も天堂もそうに踏み破り去らんといふやうな調子のものである。
非凡人と凡人の遺書 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
またたきもせで見詰めたりしが、にわかそうの身をふるはして
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しずたけそうくずれから、敵営てきえい秀吉方ひでよしがたの目をかすめて、やっと世をはなれた竹生島ちくぶしまに、旧知きゅうち菊村宮内きくむらくないをたよってきた——柴田しばた落武者おちむしゃ上部八風斎かんべはっぷうさいの鼻かけ卜斎ぼくさい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とうとうほかもんが一つ一つかたはしからうちやぶられ、やがてどっとそうくずれになりました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
子犬の生れた騒ぎに、猫のミイやが居ないことを午過ひるすぎまで気付きづかなかった。「おや、ミイは?」と細君さいくんが不安な顔をして見廻みまわした時は、午後の一時近かった。そうがかりで家中探がす。居ない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
奇麗に返えします。成る事なら利子をつけて返えします。返えさずに居れなくなりました。返えすが楽にさえ悦喜にさえなって来ました。目下整理中です。そうじて義務が道楽にならねば味がない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たて六尺あまりよこげんのいちめんにわたって、日本全土、群雄割拠ぐんゆうかっきょのありさまを、青、赤、白、黄などで、一もく瞭然りょうぜんにしめした大地図の壁絵。——さきごろ、絵所えどころ工匠こうしょうそうがかりでうつさせたものだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)