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終
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おお
ふりがな文庫
“
終
(
おお
)” の例文
「そんな筈はないお父さまの生涯をその為に潰してもきっと捜し当てて見せる。それでもお前はどこかに隠れ
終
(
おお
)
せるだろうかね。」
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
と次のページへ
認
(
したた
)
めたが、これでは自分の感じを云い
終
(
おお
)
せない、もう少し
工夫
(
くふう
)
のありそうなものだと、鉛筆の先を見詰めながら考えた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
常盤座
(
ときわざ
)
の前へ来た時、突き当たりの写真屋の玄関の大鏡へ、ぞろぞろ雑沓する群集の中に交って、立派に女と化け
終
(
おお
)
せた私の姿が映って居た。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その男が巧みにも真の万吉郎そっくりに化け
終
(
おお
)
せているのではないかと、もう一歩鋭い観察に全身の精魂を使いはたさなければ気がすまなかった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
しかしそれも
遂行
(
すいこう
)
し
終
(
おお
)
せたわけではない。今からでも花田を射殺する決心になれば、そして何食わぬ顔をして原隊に戻れば、誰も知るものはない。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
▼ もっと見る
まだ午後三時の真昼間、場所は東京駅前の雑沓、掏摸はよぼよぼに近い老人、到底、逃げ
終
(
おお
)
せることは不可能である。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
ああ哀れ気の毒千万なる男よ! 母の為め
妹
(
いもと
)
の為めに
可
(
よ
)
くないと思った下宿の件も遂には止め
終
(
おお
)
せなかったも当然。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そうして今度は前よりもウンと彼奴の金を使ってやるんだ。事によると彼奴めが俺に
仇
(
あだ
)
を討ち
終
(
おお
)
せた時が身代限りをしている時かも知れぬから見ておれ
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
で、彼女はこの苦しい事実をなるべく
匿
(
かく
)
し
終
(
おお
)
そうとしていました。ですから先生は、セエラに何か問われて、ぼろを出してはならないと思ったのでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
彼らは死者の
穢
(
けが
)
れを
厭
(
いと
)
うあまりに、この解説を仏者に
委
(
ゆだ
)
ね去り、清い霊魂の問題に対してまで、時代に相応するだけの研究をし
終
(
おお
)
せなかったように思う。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
私は自分の心を
沙漠
(
さばく
)
の砂の中に眼だけを埋めて、猟人から己れの姿を隠し
終
(
おお
)
せたと信ずる
駝鳥
(
だちょう
)
のようにも思う。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
二十五、六の青年が三十八歳のユアンの顔に……ユアンの声に、なんと巧みに化け
終
(
おお
)
せていたことであろうか。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかし老人が睨んでいるので、どうしたって戸口まで逃げられそうもない。駆けだしたら老人が声を立てるだろう。そうすると、どうせ逃げ
終
(
おお
)
せるわけにゆかぬ。
空家
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
彼
(
かれ
)
は
極
(
きわ
)
めて
頑
(
かたくな
)
で、
何
(
なに
)
よりも
秩序
(
ちつじょ
)
と
云
(
い
)
うことを
大切
(
たいせつ
)
に
思
(
おも
)
っていて、
自分
(
じぶん
)
の
職務
(
しょくむ
)
を
遣
(
や
)
り
終
(
おお
)
せるには、
何
(
なん
)
でもその
鉄拳
(
てっけん
)
を
以
(
もっ
)
て、
相手
(
あいて
)
の
顔
(
かお
)
だろうが、
頭
(
あたま
)
だろうが、
胸
(
むね
)
だろうが
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
床下を全部コンクリートにして湿気を避け
終
(
おお
)
せたりと安心していると、
焉
(
いずくん
)
ぞ知らん、湿気が全部上へあがって床板や畳がじくじくになってしまうのと、全く
軌
(
き
)
を
一
(
いつ
)
にする失敗である。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
真日中
(
まひなか
)
に天下の往来を通る時も、人が来れば路を避ける。
出会
(
いであ
)
えば
傍
(
わき
)
へ外れ、
遣過
(
やりす
)
ごして
背後
(
うしろ
)
を参る。が、しばしば見返る者あれば、煩わしさに隠れ
終
(
おお
)
せぬ、見て驚くは
其奴
(
そやつ
)
の罪じゃ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
生徒達は今日の遠泳会を一度も船へ上って休まず、コースを
首尾好
(
しゅびよ
)
く泳ぎ
終
(
おお
)
せれば一級ずつ昇級するのである。彼
等
(
ら
)
は勇んで「ホイヨー」「ホイヨー」と、掛声を挙げながら、ついて来る。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
敗戦の痛手というものは、そう簡単に
糊塗
(
こと
)
し
終
(
おお
)
せるものではないらしい。
硝子を破る者
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
ここに、こんな切な恋がある。これをどう云いあらわしたらば、云い
終
(
おお
)
せるかとの試問に応じて出来上った答案と見なければなりません。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
憎むに足る不可解な行動をした五郎ではあったが、金五郎は、やはり、彼が無事に逃げ
終
(
おお
)
せることの方を願っていた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
と、そう
云
(
い
)
って、ナオミは私を欺し
終
(
おお
)
せた気になっている。私は自分を間抜け者にして、欺された
体
(
てい
)
を
装
(
よそお
)
ってやる。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
山の中に逃げ込むとしても、幅の薄い山なみで逃げ
終
(
おお
)
せそうにもない。ことに、此処は水上特攻基地だから、震洋艇か回天が再び
還
(
かえ
)
らぬ出発をした後は、もはや任務は無い筈であった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
都を
遁
(
のが
)
れ出ましてから指折り数えると、もはや五月あまりにもなりましょうか。土に置く霜は白く、風に鋭い刃の冷たさを感ずる頃には、わたくしもどうやら一人前の女乞食に成り
終
(
おお
)
せました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
両方共手落なく見張り
終
(
おお
)
せる
手際
(
てぎわ
)
を要求するのは、どれほど自分の敏腕を高く見積りたい今の敬太郎にも絶対の不可能であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
巧
(
うま
)
く逃げ
終
(
おお
)
せたのか、流されたのか、砂の下にでも埋まっているのか、屋上には一人の人影もなかった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
実は無知な余を
詐
(
いつ
)
わり
終
(
おお
)
せた死は、いつの間にか余の血管に
潜
(
もぐ
)
り込んで、
乏
(
とも
)
しい血を追い廻しつつ流れていたのだそうである。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして生活の時間をただその方面にばかり使ったものだから、完全な人間をますます遠ざかって、実に突飛なものになり
終
(
おお
)
せてしまいました。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さらにその若い女が自分の探す人を、自分よりも倍以上の自信と忍耐をもって、待ち
終
(
おお
)
せたのを幸運の一つに数えた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
千四百四十九年にバーガンデの私生子と称する豪のものがラ・ベル・ジャルダンと云える路を首尾よく三十日間守り
終
(
おお
)
せたるは今に人の口碑に存する逸話である。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どうかして隠そうと
力
(
つと
)
めたが、何しろ第一の少女の方で少しもやめてくれないで、むやみに伸びて見せたり、縮んで見せたりするもんだから、隠し
終
(
おお
)
せる段じゃない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は兄さんのこの態度で
辟易
(
へきえき
)
するほどに臆病ではありませんでした。また思う事を云い
終
(
おお
)
せずに引込むほど
疎
(
うと
)
い
間柄
(
あいだがら
)
でもありませんでした。私は一歩前へ進みました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女はまた充分それをやり
終
(
おお
)
せるだけの活きた
眼力
(
がんりき
)
を自分に具えているものとして継子に対した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
なん
)
でもかでも彼を物質上の犠牲者にし
終
(
おお
)
せた上で、
後
(
あと
)
からざまを見ろ、とうとう降参したじゃないかという態度に出られるのは、彼にとって忍ぶべからざる侮辱であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は生きているうちに、何かし
終
(
おお
)
せる、またし
終
(
おお
)
せなければならないと考える男であった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その不思議のうちには、自分の周囲と能く闘い
終
(
おお
)
せたものだという誇りも
大分
(
だいぶ
)
交
(
まじ
)
っていた。そうしてまだ出来上らないものを、既に出来上ったように見る得意も無論含まれていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただこれらの広告が
判然
(
はっきり
)
と自分の頭に映って、そうしてそれを一々読み
終
(
おお
)
せた時間のあった事と、それをことごとく理解し得たと云う心の
余裕
(
よゆう
)
が、宗助には少なからぬ満足を与えた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は
今日
(
こんにち
)
まで何一つ自分の力で、先へ突き抜けたという自覚を
有
(
も
)
っていなかった。勉強だろうが、運動だろうが、その他何事に限らず本気にやりかけて、
貫
(
つら
)
ぬき
終
(
おお
)
せた
試
(
ためし
)
がなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
浮世の日が
烈
(
はげ
)
し過ぎて困る自分には——東京にも
田舎
(
いなか
)
にもおり
終
(
おお
)
せない自分には——
煩悶
(
はんもん
)
の
解熱剤
(
げねつざい
)
を
頓服
(
とんぷく
)
しなければならない自分には——神経繊維の
端
(
はじ
)
の端まで寄って来た過度の刺激を
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
首尾よく講義をきき
終
(
おお
)
せて、もう大丈夫と云うところでもって、いよいよ産婆を開業した。ところが、奥さん
流行
(
はや
)
りましたね。あちらでもおぎゃあと生れるこちらでもおぎゃあと生れる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先生は規律をただすため、
秩序
(
ちつじょ
)
を保つために与えられた権利を十分に使うでしょう。その代りその権利と引き離す事のできない義務も
尽
(
つく
)
さなければ、教師の職を勤め
終
(
おお
)
せる訳に行きますまい。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人を
欺
(
だま
)
し
終
(
おお
)
せて知らん顔をしているのは
善
(
よ
)
くない事だから、ここで全く
懺悔
(
ざんげ
)
してしまうが、実を云うと、その時は胃がしくしく痛んで、言葉に抑揚をつけようにも、声に張りを見せようにも
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ一種の曲解せられたる意味をもって坂の上から坂の下まで辛うじて乗り
終
(
おお
)
せる男なり、遠乗の二字を承って心安からず思いしが、
掛直
(
かけね
)
を云うことが第二の天性とまで進化せる二十世紀の今日
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
うまく
媾和
(
こうわ
)
の役目をやり
終
(
おお
)
せて帰るよりも
遥
(
はる
)
かに重大な
用向
(
ようむき
)
であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夢ならぬを夢と思いて、思い
終
(
おお
)
せぬ時は、無理ながら事実とあきらめる事もある。去れどその事実を事実と証する程の出来事が
驀地
(
ばくち
)
に現前せぬうちは、夢と思うてその日を過すが人の世の習いである。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
終
常用漢字
小3
部首:⽷
11画
“終”を含む語句
始終
終夜
終日
臨終
終局
最終
終焉
終始
終了
始中終
終末
終宵
終幕
命終
末始終
終生
初中終
終身
終極
一部始終
...