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素肌
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すはだ
ふりがな文庫
“
素肌
(
すはだ
)” の例文
少し手を上げると、袖がまくれ落ちて、
肱
(
ひじ
)
の上まで
素肌
(
すはだ
)
だった。クリストフはそれを見て、見苦しいようなまた
猥
(
みだ
)
らなような気がした。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
段々
(
だんだん
)
の
襟
(
えり
)
のかかった筒袖を一枚
素肌
(
すはだ
)
に着たばかりで、
不死身
(
ふじみ
)
であるべく思わるる米友はまた、寒さの感覚にも欠けているべく見受けられます。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
素肌
(
すはだ
)
へ、
貴下
(
あなた
)
、
嬰児
(
あかんぼ
)
を
負
(
おぶ
)
うように、それ、脱いで置いたぼろ
半纏
(
ばんてん
)
で、しっかりくるんで、
背負上
(
しょいあ
)
げて、がくつく腰を、
鍬
(
くわ
)
を
杖
(
つえ
)
にどッこいなじゃ。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その結果、光秀と波多野秀治とは、まったく
素肌
(
すはだ
)
な心と心とをもって、話し合ってみようとなり、一日、
本目
(
ほんもく
)
の西蔵院で双方会見の約束が成り立った。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの都のまん中にある七つの
丘
(
おか
)
の一つに、
皇帝宮
(
こうていきゅう
)
の
廃墟
(
はいきょ
)
があります。野生のイチジクが
壁
(
かべ
)
の
裂目
(
さけめ
)
から生えでて、広い
灰緑色
(
かいりょくしょく
)
の葉で壁の
素肌
(
すはだ
)
をおおっています。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
お千代はこの店の女がいずれも着物を
素肌
(
すはだ
)
に着ている事を知らなかったので、何の事だかわけが分らない。すると洋装の女が、こっちの客の方へ廻って来て
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
自動車の音を聞いて、伯父は
素肌
(
すはだ
)
に
帷子
(
かたびら
)
の
袖無
(
そでな
)
しを一枚着たままでとび出して来た。三年ぶりなので、さすが白髪は目立っていたが、思ったよりも元気であった。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
とうてい
今人
(
こんじん
)
の想像の及ばぬところであるから、
素肌
(
すはだ
)
に麻を着て厳冬を過したとしても不思議はないが、これ以外に多分は獣皮なども取り添えられたことと思う。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
風呂場を出ると、ひやりと吹く秋風が、袖口からすうと這入って、
素肌
(
すはだ
)
を
臍
(
へそ
)
のあたりまで吹き抜けた。
出臍
(
でべそ
)
の圭さんは、はっくしょうと大きな
苦沙弥
(
くしゃみ
)
を無遠慮にやる。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それでも
合戦
(
かっせん
)
と云う日には、
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
と
大文字
(
だいもんじ
)
に書いた紙の
羽織
(
はおり
)
を
素肌
(
すはだ
)
に
纏
(
まと
)
い、枝つきの竹を
差
(
さ
)
し
物
(
もの
)
に代え、
右手
(
めて
)
に三尺五寸の
太刀
(
たち
)
を抜き、
左手
(
ゆんで
)
に赤紙の
扇
(
おうぎ
)
を開き
おしの
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夏向座敷へ出ます
姿
(
なり
)
は
絽
(
ろ
)
でも
縮緬
(
ちりめん
)
でも
繻袢
(
じゅばん
)
なしの
素肌
(
すはだ
)
へ着まして、汗でビショ
濡
(
ぬれ
)
になりますと、直ぐに脱ぎ、一度
切
(
ぎ
)
りで
後
(
あと
)
は着ないのが見えでございましたと申しますが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山間僻地
(
さんかんへきち
)
のここらにしてもちと
酷過
(
ひどす
)
ぎる
鍵裂
(
かぎざき
)
だらけの
古布子
(
ふるぬのこ
)
の、しかもお
坊
(
ぼう
)
さんご成人と云いたいように
裾短
(
すそみじか
)
で
裄短
(
ゆきみじか
)
で
汚
(
よご
)
れ
腐
(
くさ
)
ったのを
素肌
(
すはだ
)
に着て、何だか正体の知れぬ
丸木
(
まるき
)
の
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そしてまっぱだかになると、シャツ、
猿股
(
さるまた
)
、ワイシャツ、ネクタイ、ソフトカラアなど薄手のものばかり
選
(
よ
)
り出して一とまとめにし、再び
素肌
(
すはだ
)
に背広を着、オーバーをまとった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
少年の議論家は
素肌
(
すはだ
)
の上に
上衣
(
うわぎ
)
を羽織ッて、
仔細
(
しさい
)
らしく首を
傾
(
かし
)
げて、ふかし
甘薯
(
いも
)
の皮を
剥
(
む
)
いてい、お政は
囂々
(
ぎょうぎょう
)
しく針箱を前に控えて、
覚束
(
おぼつか
)
ない手振りでシャツの
綻
(
ほころび
)
を縫合わせていた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
水にぬれた紙のごとく、とんと手ごたえがなく、
頸
(
くび
)
も手も腰にも足にも、いささかだも力というものはない。父は冷えたわが子を
素肌
(
すはだ
)
に押し当て、聞き覚えのおぼつかなき人工呼吸を必死と試みた。
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ゆき子は素直に、加野のそばの椅子に腰をかけて、
素肌
(
すはだ
)
の脚を組んだ。金色の太陽の光線で、ゆき子の顔がぼおつと浮いてみえる。唇が血を吸つたやうに
紅
(
あか
)
く光つてゐる。日本的な香料の匂ひがした。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
など知らむ、
素肌
(
すはだ
)
に
汗
(
あせ
)
し
熔
(
とろ
)
けゆく
苦悩
(
くなう
)
の
思
(
おもひ
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
生身
(
なまみ
)
素肌
(
すはだ
)
の神の如
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
道庵がしゃれて
褄折笠
(
つまおりがさ
)
に
被布
(
ひふ
)
といういでたち。米友は竹の笠をかぶり、例の
素肌
(
すはだ
)
に
盲目縞
(
めくらじま
)
一枚で、足のところへ申しわけのように
脚絆
(
きゃはん
)
をくっつけたままです。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
湯屋へ来る時などは
素肌
(
すはだ
)
にきて、腰巻などは似もつかぬ粗末なものを取返えもせずに締めている。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
豆で一面に
腫
(
は
)
れ上がった両足を、うんと薄の根に踏ん張った碌さんは、
素肌
(
すはだ
)
を二百十日の雨に
曝
(
さら
)
したまま、
海老
(
えび
)
のように腰を曲げて、一生懸命に、傘の
柄
(
え
)
にかじりついている。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眩暈
(
めくるめ
)
き、
素肌
(
すはだ
)
に立てるわかうどが赤き
幻
(
まぼろし
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
中程にいた
黒羽二重
(
くろはぶたえ
)
、色が白くて唇が紅くて、黒目がち、
素肌
(
すはだ
)
を自慢にする若いのは、どこかで見たことのあるような侍ですが、間の山節を待ち兼ねて言葉に現われますと
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三四郎はついと立つて、
革鞄
(
かばん
)
の
中
(
なか
)
から、キヤラコの
襯衣
(
しやつ
)
と
洋袴下
(
づぼんした
)
を出して、それを
素肌
(
すはだ
)
へ着けて、其上から紺の
兵児帯
(
へこおび
)
を
締
(
し
)
めた。それから
西洋手拭
(
タウエル
)
を
二筋
(
ふたすぢ
)
持つた
儘
(
まゝ
)
蚊帳
(
かや
)
の
中
(
なか
)
へ這入つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
うらわかきわれの
素肌
(
すはだ
)
に
沁
(
し
)
みきたる
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
すると
初秋
(
はつあき
)
の風が
芭蕉
(
ばしょう
)
の葉を動かして、
素肌
(
すはだ
)
に
吹
(
ふ
)
きつけた帰りに、読みかけた手紙を庭の方へなびかしたから、しまいぎわには四尺あまりの半切れがさらりさらりと鳴って、手を放すと
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
われらが
素肌
(
すはだ
)
のさみしさよ
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
三四郎はついと立って、鞄の中から、キャラコのシャツとズボン下を出して、それを
素肌
(
すはだ
)
へ着けて、その上から
紺
(
こん
)
の
兵児帯
(
へこおび
)
を締めた。それから
西洋手拭
(
タウエル
)
を
二筋
(
ふたすじ
)
持ったまま蚊帳の中へはいった。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平岡は
絣
(
かすり
)
の
袷
(
あはせ
)
の
下
(
した
)
へ、ネルを
重
(
かさ
)
ねて、
素肌
(
すはだ
)
に
着
(
き
)
てゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
肌
常用漢字
中学
部首:⾁
6画
“素”で始まる語句
素人
素
素直
素性
素振
素気
素朴
素足
素姓
素破