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砂礫
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されき
ふりがな文庫
“
砂礫
(
されき
)” の例文
富士はもう森林や
砂礫
(
されき
)
をかなぐり捨てて熔岩の滑らかな岩盤をむきだしにしている。どす黒い霧で、ゆく先も脚の下もよく解らない。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
暗い雨空をうつした上に、泥土や
砂礫
(
されき
)
を溶しこみ、くすぶった色でさまざまな流木を内部にかくしていた。舟はつきとばされるのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
道の上から掴みとった
砂礫
(
されき
)
を即座の眼つぶしに使ったのだ。秀之進は予期したことのように身を
跼
(
かが
)
め、さっと相手の腰へ打を入れた。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
くろい
大鷲
(
おおわし
)
は、伊那丸の頭上をはなれず廻っている。
砂礫
(
されき
)
をとばされ、その翼にあたって、のこる四人も
散々
(
さんざん
)
になって、気を
失
(
うしな
)
った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
川原は
砂礫
(
されき
)
多く草少なき故、老人の説通りわずかに春草ある処を馬の川原毛から名を移して称うるのかと思えど、死人に
質
(
ただ
)
し得ず。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
けもののようなうめきとともに
砂礫
(
されき
)
をつかんだかと思うと、そのまま——月のみいたずらに蒼白く死の這い迫る顔を照らした。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
最後に、「良き地」というのは土の深い、土壌の善く砕けた、
砂礫
(
されき
)
の混じらない土地であって、これは柔和・純粋なる「砕けたる霊魂」の譬です。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
『一ッ
車
(
くるま
)
、
何
(
なん
)
だらう?』とは
思
(
おも
)
つたものゝ
考
(
かんが
)
へてる
隙
(
ひま
)
もなく、
軈
(
やが
)
て
砂礫
(
されき
)
の
雨
(
あめ
)
が
窓
(
まど
)
に
降
(
ふ
)
りかゝると
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に、二三
人
(
にん
)
して
愛
(
あい
)
ちやんの
顏
(
かほ
)
を
打擲
(
ちやうちやく
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
こゝからは
岩石
(
がんせき
)
と
砂礫
(
されき
)
の
道
(
みち
)
を
一歩々々
(
いつぽ/\
)
踏
(
ふ
)
みすゝんで、つひに
海拔
(
かいばつ
)
一萬二千餘尺
(
いちまんにせんよしやく
)
の
絶頂
(
ぜつちよう
)
へたどりつくわけです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
白っぽい
砂礫
(
されき
)
を洗う水の浅緑色も一種特別なものであるが、何よりも河の中洲に生えた
化粧柳
(
けしょうやなぎ
)
の特異な相貌はこれだけでも一度は来て見る
甲斐
(
かい
)
があると思われた。
雨の上高地
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして生れながらにして、美を心に、姿に授けられたものは、
砂礫
(
されき
)
のなかのダイヤモンド、
生
(
いき
)
るにけわしき世の、命の源泉として、人生を幸福にするものといえる。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
無事を祝して
濺
(
そそ
)
ぎし酒のかびなり、岸辺に近き
砂礫
(
されき
)
の間、離別の涙
揮
(
ふる
)
いし跡には、青草いかに生い茂れるよ、行人は皆名残りの柳の根を削りてその希望を
誌
(
しる
)
して往けども
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
砂礫
(
されき
)
の原の中に、亀の甲のような模様ができ、その線の部分に、比較的大きい礫が集まる現象である。そして普通、線のところが少し凹み、六角の内部がもちあがっている。
白い月の世界
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
く
星
(
ほし
)
が、一つ、一つ、
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せるように、それはさびしいことでした。そして
砕
(
くだ
)
けた
作品
(
さくひん
)
は、
砂礫
(
されき
)
といっしょに、
溝
(
みぞ
)
や、
土
(
つち
)
の
上
(
うえ
)
に
捨
(
す
)
てられて、
目
(
め
)
から
去
(
さ
)
ってゆくのでした。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
第四紀新層の生成の順序が、ロームや石や砂や粘土や
砂礫
(
されき
)
の段々で面白いように判った。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
辰
(
たつ
)
より
未
(
ひつじ
)
に至って、両軍
互
(
たがい
)
に勝ち互に負く。
忽
(
たちまち
)
にして東北風
大
(
おおい
)
に起り、
砂礫
(
されき
)
面
(
おもて
)
を撃つ。南軍は風に
逆
(
さから
)
い、北軍は風に乗ず。燕軍
吶喊
(
とっかん
)
鉦鼓
(
しょうこ
)
の声地を
振
(
ふる
)
い、庸の軍当る
能
(
あた
)
わずして
大
(
おおい
)
に敗れ走る。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
船室の屋根の手欄につかまりながら
何故
(
なぜ
)
ともなしに上方を仰いだ彼の眼に、
夥
(
おびただ
)
しい星影がまるで
砂礫
(
されき
)
か何かのやうに無意味であつた。船の揺れはぢきに止つた。定は
屈
(
かが
)
み込んで船扉を引き上げた。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
白州の
砂礫
(
されき
)
にしみるほどな大粒の涙をぼろぼろとはふり落としました。
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その他もし、浮浪、兵学家、儒者の徒についてこれを尋ねば、革命の卵は、あたかも海浜の
砂礫
(
されき
)
の如くあらん。彼ら豈に
物徂徠
(
ぶつそらい
)
、
源白石
(
げんはくせき
)
、
中井竹山
(
なかいちくざん
)
の如く、実際の曲折に応じて、論理を作為せんや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
あとには残酷な
砂礫
(
されき
)
だの、雑草だの
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
昼夜
炬燎
(
きょりょう
)
、
砂礫
(
されき
)
如
二
霰者
(
あられ
)
一
。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
砂礫
(
されき
)
のごとき人生かな!
氷島
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
茅
(
かや
)
ヶ岳などが見え、すぐ下には、かんば沢の、(それはすっかり崩壊して、
砂礫
(
されき
)
と土のむきだしになった、むざんなさまを呈していたが)
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「オオ!」と顔を寄せあうと、二人の間へ、ザア——と
箕
(
み
)
を
開
(
あ
)
けたような
砂礫
(
されき
)
が落ちてきた。それをかき落して、また穴口を作りながら、甲賀世阿弥。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
道もない
険岨
(
けんそ
)
な山を
掻
(
か
)
きわけて登り、水の音を聞いてこの谷に降りて来た。
藪
(
やぶ
)
と木の根を伝い、岩をとび越えまた水の中を押し渡り、
砂礫
(
されき
)
を踏みつけた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
位置が南に
偏
(
かたよ
)
り過ぎて、雪が早く融けるし、氷河は
小
(
ち
)
ッぽけな
塊
(
かたまり
)
に過ぎないし、富士山のように、新火山岩で、
砂礫
(
されき
)
や岩石が崩れ
易
(
やす
)
いので、高山植物は稀薄であるし
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
羽黒山の社の前後に
賽銭
(
さいせん
)
砂礫
(
されき
)
のごとく充満し、参詣人の
草履
(
ぞうり
)
に
著
(
つ
)
く故、下山に先だちことごとく払い落す。強慾な輩、そのまま家へ持ち帰れば皆馬糞に
化
(
な
)
るという(『東洋口碑大全』七六二頁)。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
大多分はまだ
叢林
(
そうりん
)
の
蔓
(
はびこ
)
るにまかせた荒地で、ことに平地の中央を流れる目黒川は年々ひどく
氾濫
(
はんらん
)
するため、両岸には
赭
(
あか
)
い
砂礫
(
されき
)
の層が広く露出していた。
内蔵允留守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
白浪天を
搏
(
う
)
ち、岸辺の
砂礫
(
されき
)
は飛んで面を打ち、陽もまだ高いうちなのに、天地も
晦
(
くら
)
くなってしまった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
箱根
火山彙
(
かざんい
)
を仰ぎ見て、
酒匂
(
さかわ
)
川の上流に沿い、火山灰や、
砂礫
(
されき
)
の堆積する駿河
小山
(
おやま
)
から、御殿場を通り越したとき、富士は、どんより曇った、重苦しい水蒸気に呑まれて
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
水はその
隙間
(
すきま
)
にこぼれ、低みをえらんで寄り集った。年々歳々のはてもない月日が、土を
穿
(
うが
)
ち岩をかみくだいてこの川筋を掘り下げたのであろう。地底の
砂礫
(
されき
)
も
抉
(
えぐ
)
られている。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
呉の大将馬忠は、そのとき馬を飛ばして、
砂礫
(
されき
)
とともに駈けおりて来た。それを知るや黄忠は
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
突風がするどく
咆
(
ほ
)
え、雨戸や羽目板へざッざッと雨を叩きつけた。まるで
砂礫
(
されき
)
を叩きつけるような音であった。家ぜんたいが悲鳴をあげて揺れ、階下で壁の崩れるらしい物音がした。
暴風雨の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
氷河は既に五月の始めに、新雪から解放せられ、底部から溶解して、空洞になり、激しい滝水で、氷河のトンネルが出来たのが、支持の力を失って、
崩落
(
ほうらく
)
を始め、岩石や
砂礫
(
されき
)
を押し流して
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
甲軍の前列から投げてくる
砂礫
(
されき
)
が馬にあたるので、馬が狂って仕方がないのだった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
梁軍
(
りょうぐん
)
七千の人と旗は黒い風に吹きちらされ、
揉
(
も
)
み舞わされ、冬の木の葉に異ならない。あれよあれよの、
叫喚
(
きょうかん
)
だった。ただ見る日輪だけが
赫
(
あか
)
く、
雹
(
ひょう
)
に
交
(
ま
)
じって
砂礫
(
されき
)
を吹きつける。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先鋒は、ゆるい
砂礫
(
されき
)
の丘を這って、もう鉄門峡のまぢかまで、攻め上っていた。
朱雋
(
しゅしゅん
)
軍も、張飛の蛇矛に斬り捨てられるよりはと、その後から、芋虫の群れが動くように這い上がった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
腥
(
なまぐ
)
さい
鼻風
(
びふう
)
は
砂礫
(
されき
)
を飛ばし、怒りは
金瞳
(
きんどう
)
に燃え、第三の跳躍をみせるやいな、武松のからだを、まッ赤な口と、四ツ脚の爪の下に、引ッ裂かんとしたが、これまた武松にかわされると
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
砂
常用漢字
小6
部首:⽯
9画
礫
漢検1級
部首:⽯
20画
“砂礫”で始まる語句
砂礫地