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畢竟
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つまり
ふりがな文庫
“
畢竟
(
つまり
)” の例文
その時お持になつた色々の調度、箪笥、長持、總てで以て十四荷——一荷は擔ぎで、
畢竟
(
つまり
)
平たく言へば十四擔ぎあつたと申す事ぢや。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
が、
畢竟
(
つまり
)
は慾張りと
怠
(
なま
)
け者の熱心さで、氣狂ひ染みた
雷同性
(
らいどうせい
)
に引摺られて、春の夜の薄寒さも、
餓
(
うゑ
)
も
疲
(
つか
)
れも物の數ではありません。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
畢竟
(
つまり
)
祖父祖母が下女下男を多く使って居た時の習慣が遺って居たので、仏檀神棚なども、それでしたから家不相応に立派でした。
少年時代
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何か取りそうだなというような目付をされると、一つ取ってやろうかなという気になる。今日の
事等
(
ことなど
)
も
畢竟
(
つまり
)
料理人
(
コック
)
が悪いんだ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
畢竟
(
つまり
)
一緒に
事業
(
しごと
)
が出来ないといふは、時代が違ふからでせうか——新しい時代の人と、
吾儕
(
われ/\
)
とは、
其様
(
そんな
)
に
思想
(
かんがへ
)
が合はないものなんでせうか。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
さあ、たいへんです、
二人
(
ふたり
)
は、そこでつかみ
合
(
あ
)
いがはじまりました。
畢竟
(
つまり
)
、
年
(
とし
)
の
少
(
すく
)
ない
政
(
まさ
)
ちゃんは、かないませんでした。
政ちゃんと赤いりんご
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
畢竟
(
つまり
)
自由結婚をさせたくても
婦人
(
をんな
)
の交際する範囲には立派な理想の男子が入つて来ないから困ると、常/\仰せられた。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
で
私
(
わたし
)
も
狂人
(
きちがひ
)
にされて
了
(
しま
)
つたのです。
然
(
しか
)
しなあに
私
(
わたし
)
は
奈何
(
どう
)
でも
可
(
い
)
いので、からして
畢竟
(
つまり
)
何
(
なん
)
にでも
同意
(
どうい
)
を
致
(
いた
)
しませう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
けれど、膨れたとて、
機嫌
(
きげん
)
を取られれば、それだけ
畢竟
(
つまり
)
安目にされる道理。どうしても、こうしても、
敵
(
かな
)
わない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
第一取捕へて仕舞へば其奴が安つぽいものになつて仕舞つてそれに執着するなんて云ふ馬鹿は出來なくなるさ……
畢竟
(
つまり
)
僕なんざア斯う云ふ風に安住の地を求めて
半日
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
畢竟
(
つまり
)
売捌
(
うりさばき
)
の方法が
疎略
(
そりやく
)
であつた
為
(
ため
)
に、
勘定
(
かんじやう
)
合つて
銭
(
ぜに
)
足
(
た
)
らずで、
毎号
(
まいがう
)
屹々
(
きつ/\
)
と
印刷費
(
いんさつひ
)
を
払
(
はら
)
つて行つたのが、
段々
(
だん/\
)
不如意
(
ふによい
)
と
成
(
な
)
つて、
二号
(
にがう
)
おくれ三
号
(
がう
)
おくれと
逐
(
おは
)
れる
有様
(
ありさま
)
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
畢竟
(
つまり
)
、この甲府の牢屋の中にいるのだから我々には会えん、また先方も出て来られんのだ」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その生まれ落ちてから、死んでゆくまでの人間の一生、それは
畢竟
(
つまり
)
苦しみの一生ではないでしょうか。「人は生まれ、人は苦しみ、人は死す」なんという深刻なことばでしょう。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
……誇張してはいけない、一体どちらが悪者なのだ、世間では
汝
(
おまへ
)
の方が正直過ぎた、
畢竟
(
つまり
)
擬宝玉
(
にせだま
)
を買被り過ぎた、もつと薄情におひやらかして逃げて了へば何でも無かつたと云つてゐる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「智は
畢竟
(
つまり
)
狐で、
徒
(
いたづ
)
らに疑ひが多くて、
却
(
かへ
)
つて事業の妨げとなつたんである。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
畢竟
(
つまり
)
は一年の興行度数が少ないためであったらしい。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その時お持になつた色々の調度、箪笥、長持、総てで以て十四
荷
(
か
)
——一荷は
一担
(
ひとかつ
)
ぎで、
畢竟
(
つまり
)
平
(
ひら
)
たく言へば十四担ぎ有つたと申す事ぢや。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
まあ、金を
遺
(
のこ
)
すぢや無し、名を遺すぢや無し、一生苦労を為つゞけて、其苦労が誰の為かと言へば——
畢竟
(
つまり
)
、お前や俺の為だ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
乃公が死にそうな目に遇ったのは
畢竟
(
つまり
)
宿屋の
罪科
(
とが
)
だ。それをお父さんが、此は珍らしい魚だ、此辺でなければ
漁
(
と
)
れない名物だと言ったのも可なり悪い。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
腕
拱
(
こまぬ
)
きて茫然たる夫の顔をさし覗きて、吐息つく/″\お浪は歎じ、親方様は怒らする仕事は
畢竟
(
つまり
)
手に入らず
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
勢い極まって其処まで行ったんだが、……これが
畢竟
(
つまり
)
一転する動機となったんだ。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
犬公方
(
いぬくばう
)
と
下々
(
した/″\
)
の
仇口
(
あだくち
)
に呼ばれた位だから無法に我々同類に
御憐愍
(
ごれんみん
)
を給はつたものだ。公の
生類
(
せいるゐ
)
御憐愍を悪くいふ奴があるが、
畢竟
(
つまり
)
今の
欧羅巴
(
ヨウロツパ
)
で
喧
(
やか
)
ましくいふ動物保護で人道の大義に
協
(
かな
)
つてるものだ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
自然
(
しぜん
)
の
法則
(
はふそく
)
は
依然
(
いぜん
)
として
元
(
もと
)
の
儘
(
まゝ
)
です、
人々
(
ひと/″\
)
は
猶且
(
やはり
)
今日
(
こんにち
)
の
如
(
ごと
)
く
病
(
や
)
み、
老
(
お
)
い、
死
(
し
)
するのでせう、
甚麼立派
(
どんなりつぱ
)
な
生活
(
せいくわつ
)
の
曉
(
あかつき
)
が
顯
(
あら
)
はれたとしても、
畢竟
(
つまり
)
人間
(
にんげん
)
は
棺桶
(
くわんをけ
)
に
打込
(
うちこ
)
まれて、
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
に
投
(
とう
)
じられて
了
(
しま
)
ふのです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
……僕は苦しくつて
怺
(
たま
)
らなくなると何時でも田舎に逃出すんです。今度も然うです、
畢竟
(
つまり
)
、僕自身にもまだロマンチツクが
沢山
(
うんと
)
残つてます。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それを嗅ぐと、我知らず罪もないものの方へ引寄せられるような心地がした。この勢で押進んで行ったら、自分は
畢竟
(
つまり
)
どうなる……と彼は思って見た。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「けれどもねえ、伯父さん。あなたが吝嗇の方が
善
(
い
)
いんですってお母さんが申しましたよ。けちならけち程余計にお金を残すから、その方が
畢竟
(
つまり
)
善いんですって」
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
定基の方は大きな御世話で先日は
生才女
(
なまさいじょ
)
、今日は生学者が何を云って来居るのだ、それも
畢竟
(
つまり
)
は家の女めが何か彼か外へ漏らすより、と腹なりを悪くしたに違無い。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
斯う用心深く考へても見た。
畢竟
(
つまり
)
自分が二人の暗い秘密を聞知つたから、それで斯う気が
咎
(
とが
)
めるのであらう。
彼様
(
あゝ
)
して
私語
(
さゝや
)
くのは何でも無いのであらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
切迫塞つた苦しい、意識を刺戟する
感想
(
かんじ
)
でなくて、余裕のある、
叙情的
(
リリカル
)
な
調子
(
トーン
)
のある……
畢竟
(
つまり
)
周囲
(
あたり
)
の空気がロマンチツクだから、矢張夢の様な感想ですね。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
御上人様やら十兵衞への義理をかねて酷く叱るか出入りを
禁
(
と
)
むるか何とかするでござりませうが、元はといへば清吉が自分の意恨で仕たではなし、
畢竟
(
つまり
)
は此方の事のため
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
廃
(
や
)
めて、学校の教員に成ってみたところが、その生涯がどうなる……
畢竟
(
つまり
)
心に休息の無いのは同じことです
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
矢張
(
やつぱり
)
何ですかね、新しい文明はまだ行き渡つてゐないんで、一歩都会を離れると、世界にはまだ/\ロマンチツクが残つてるんですね。
畢竟
(
つまり
)
夢が残つてるんですね。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
幸福不幸福といふものも風の順逆と同樣に、
畢竟
(
つまり
)
は主觀の判斷によるのであるから、定體は無い。併し先づ大概は世人の幸福とし不幸とするものも定まつて一致して居るのである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
畢竟
(
つまり
)
、楽むように生れて来た人なんですネ。橋本のような旧い家に、ああいう人が出来たんですネ」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それで
畢竟
(
つまり
)
は種市助役の代理になつて、今俺ア飛んで來たどごろす。解つたすか?
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
時の拍子の出来事ながら
畢竟
(
つまり
)
は我が口より出し
過失
(
あやまち
)
、兎せん角せん何とすべきと、火鉢の縁に
凭
(
もた
)
する肘のついがつくりと滑るまで、我を忘れて思案に思案凝らせしが、思ひ定めて、応左様ぢやと
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
西は
話頭
(
はなし
)
を変えようとした。で、こんな風に言ってみた。「男が働くというのも、考えてみれば馬鹿々々しいサ。
畢竟
(
つまり
)
、自然の要求というものは繁殖に過ぎないのだ」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何
(
いづ
)
れ二三日中には村長も帰るし、七日には村会も開かれるのだから、兎も角もそれまでは是非待つて貰ひたいと言ふのでなす、それで
畢竟
(
つまり
)
は種市助役の代理になつて、今俺ア飛んで来たどころす。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この一般の気風というものも
畢竟
(
つまり
)
地勢の然らしめるところで、小諸のような砂地の傾斜に石垣を築いてその上に骨の折れる生活を営む人達は、勢い質素に成らざるを得ない。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
聞けばこの奥様の前に、永いこと連添った御方も有たとやら、無理やりの御離縁も
畢竟
(
つまり
)
は今の奥様
故
(
ゆえ
)
で、それから御本宅と新宅の
交情
(
なか
)
が自然氷のように成ったということでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
高瀬も
佇立
(
たちどま
)
って、「
畢竟
(
つまり
)
、よく働くから、それでこう女の気象が
勇健
(
つよ
)
いんでしょう」
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
二番目の弟の口の悪いのも
畢竟
(
つまり
)
姉を思ってくれるからではあったろうが、しまいにはおげんの方でも
耐
(
こら
)
えきれなくなって、「そう後家、後家と言って貰うまいぞや」と言い返して見せたのも
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
畢竟
(
つまり
)
、これは俺の性分から出たことだ」と
復
(
ま
)
た兄は弟の方を見た。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“畢竟”の意味
《名詞》
(仏教)究極。最終。絶対。
《形容動詞》
結局。つまるところ。
(出典:Wiktionary)
畢
漢検準1級
部首:⽥
11画
竟
漢検1級
部首:⽴
11画
“畢竟”で始まる語句
畢竟浄
畢竟落寞
畢竟誇大妄想病者