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炬火
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たいまつ
ふりがな文庫
“
炬火
(
たいまつ
)” の例文
ロミオ (炬火持に對ひ)
俺
(
おれ
)
に
炬火
(
たいまつ
)
を
與
(
く
)
れい。
俺
(
おれ
)
には
迚
(
とて
)
も
浮
(
う
)
かれた
眞似
(
まね
)
は
出來
(
でき
)
ぬ。
餘
(
あんま
)
り
氣
(
き
)
が
重
(
おも
)
いによって、
寧
(
いっ
)
そ
明
(
あかる
)
いものを
持
(
も
)
たう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
それをいくらかの金銭に代へて、何か肴と一合ばかりの泡盛を買って、女達はハブに咬まれないやうに
炬火
(
たいまつ
)
を
点
(
とぼ
)
して帰って来る。
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
地球より二百倍も大きい火星が
炬火
(
たいまつ
)
のようにまっかに輝いているのが見える。大空は黒く、星辰はひらめいている。驚くべき光景である。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
汝若しメレアグロの身が、
炬火
(
たいまつ
)
の燃え盡くるにつれて盡きたるさまを憶ひ出でなば、この事故にさとりがたきにあらざるべく 二二—二四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
サアお
出
(
いで
)
だというお
先布令
(
さきぶれ
)
があると、
昔堅気
(
むかしかたぎ
)
の百姓たちが一同に
炬火
(
たいまつ
)
をふり
輝
(
て
)
らして、
我先
(
われさき
)
と二里も三里も
出揃
(
でぞろ
)
って、お
待受
(
まちうけ
)
をするのです。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
▼ もっと見る
暗黒大陸の西半部をてらす一本の
炬火
(
たいまつ
)
にならうといふ決心で、西部の秘密境に突進し、壮烈なコンゴー河下りの大冒険をなすのであります。
アフリカのスタンレー
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そして寝しずまる頃を待ち、客舎のまわりに投げ
炬火
(
たいまつ
)
をたくさんに用意し、乾いた柴に
焔硝
(
えんしょう
)
を抱きあわせて、柵門の内外へはこびあつめた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ことにこの山中に生ずるサヤハタという木は、水中に在ってもよく燃えるので、その皮を
炬火
(
たいまつ
)
として
大雨中
(
だいうちゅう
)
でも振回して歩く事が出来るそうだ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
われわれは
炬火
(
たいまつ
)
を持ってひき返した。あのかわいい坊やが道に迷って、夜の湿気や露に濡れどおしだとおもうと、じっとしておれなかったからだ。
フランケンシュタイン:02 フランケンシュタイン
(新字新仮名)
/
メアリー・ウォルストンクラフト・シェリー
(著)
それを千本幟のように数ばかり多く、ちょうど千駄焚きが
炬火
(
たいまつ
)
にかわったごとく、めいめいべつべつに持つものにしたことが、すでに変遷であった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
梅原と内藤と三人で「
炬火
(
たいまつ
)
」を観たが、愛情の生活から思想の生活に
復
(
かへ
)
ると云ふ筋の全体は甘く出来た作だが、部分に少しづつ面白い所を見受けた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
軒の間から見える山の傾斜の道をたくさんの
炬火
(
たいまつ
)
が続いておりて来るのを見るために尼たちは縁の端へ出ていた。
源氏物語:56 夢の浮橋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
弓矢や
炬火
(
たいまつ
)
をかゝげて取り囲み、私がちょっとでも身動きしようものなら、すぐ取り押えようとしていました。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
曾
(
かつ
)
ての勃興当時、作者と読者とが熱狂して薪を投じ油を注いだ
炬火
(
たいまつ
)
は、今や冷めたい灰になりかかっている。
探偵小説の真使命
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
フランシスとその
伴侶
(
なかま
)
との礼拝所なるポルチウンクウラの
小龕
(
しょうがん
)
の
灯
(
ともしび
)
が遙か下の方に見え始める坂の突角に
炬火
(
たいまつ
)
を持った四人の教友がクララを待ち受けていた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
天狗は既に烏天狗の域を脱して凄い赤鼻と、
炬火
(
たいまつ
)
のような眼をもった大天狗だ。天狗は百姓を見て云った。
ブルジョア作家のファッショ化に就て
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
四辺
(
あたり
)
は
滔々
(
とうとう
)
たる濁流であります。高い所には
高張
(
たかはり
)
や
炬火
(
たいまつ
)
が星のように散って、人の怒号が耳を貫きます。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
うねうねとつづく
山車
(
だし
)
の列は、笛、太鼓の
囃子
(
はやし
)
に調子を揃えて山門から霊屋の前まで、
炬火
(
たいまつ
)
の光りを先登に、あとからあとからと、夜あけがたまでつづいていた。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
その火鉢へ、二人が
炬火
(
たいまつ
)
をさし込みましたわ。一ふさり
臥
(
ふさ
)
って、柱のように根を持って、
赫
(
かっ
)
と燃えます。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一般に保守的なものと考へるのはどうかと思ふな。早い話が、オリムピックの
炬火
(
たいまつ
)
リレーだつて……
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
ふりかざした彼の
炬火
(
たいまつ
)
が海の方になびいて、そのながい炎に照しだされた彼らが闇のなかに浮んだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
シンフォニイの最後の拍子に連れて、
序曲
(
プロロオグ
)
を唱う者登場する。そのうしろに
炬火
(
たいまつ
)
を
秉
(
と
)
る
小厮
(
こもの
)
たち。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
もう一辺庭先に出て見ると、もう大方花見の行列も出尽してしまつて、遥かの田甫道を煉つて行く
炬火
(
たいまつ
)
や提灯の火が、海の上の漁火のやうに揺れながら遠のいて行つた。
南風譜
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
官舎の畳の上に住み、食卓の前に坐って「白米」を食べるのである。夜のランプは兄の家の
炬火
(
たいまつ
)
に較べると、なんと明るく溢れるように、胸のなかを
照
(
てら
)
すことであろう。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
炬火
(
たいまつ
)
を皆手にして三面谷の隅々を探し廻ったが、娘小露ばかりでなく、直芳の姿も見えなかった。
壁の眼の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
僕の作はスペインのセヴィリヤを舞台にとって、神の栄光のために日ごとに国内に
炬火
(
たいまつ
)
が燃えて
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
黒い羽毛の
兀鷹
(
はげたか
)
などのように、予らの舟はゆっくりと嘆きの橋の方へ漂い下っていたが、その時、数知れぬ
炬火
(
たいまつ
)
が大公の宮殿の窓から燃え上り、またその階段を走り下り
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そして、この言葉は「アーメン」を口にする人の数を、今でははるかに、抜いているのだ。そこには、新しい感激に燃える真理が、
炬火
(
たいまつ
)
のごとくに、
輝
(
ひか
)
っているのだ。——
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
身をささげて
尽瘁
(
じんすい
)
し、みずから自分の身を
疲憊
(
ひはい
)
さし、四方から自分自身を焼きつくし、樹脂の
炬火
(
たいまつ
)
のようにしばらくのうちに燃えつくしているが、彼の友もその一人だった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
炬火
(
たいまつ
)
が積み重ねられた。上から枯れ木が加えられた。焚き火は闇の中に高く
焔先
(
ほさき
)
を上げた。人々は、がやがやとそのまわりを囲んだ。犬は遠くからいつまでも吠え止まなかった。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「
炬火
(
たいまつ
)
は
如何
(
どう
)
だな。おゝ、
久
(
ひさ
)
さんが来た。久さん/\、済まねえが炬火を
拵
(
こさ
)
えてくんな」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
芸術とは、人生のあらゆるおそろしい深みへも、恥と悲しみとにみちたあらゆる淵の中へも、慈悲深く光を射し入れる神聖な
炬火
(
たいまつ
)
です。芸術とは、この世に点ぜられた神々しい火です。
神の剣
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
二三本の
炬火
(
たいまつ
)
を
点
(
つ
)
けて供を
伴
(
つ
)
れた牛車が来た。元振は邪神が来たと思ったので室の中へ入って待っていた。入口に
数多
(
たくさん
)
な跫音がして、
扉
(
と
)
を開けて紫の
衣服
(
きもの
)
を着た怪しい者が入ってきた。
殺神記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
藁束の
炬火
(
たいまつ
)
で焔の工合いを調節し、それを脚の下や、耳の中に入れたりなどする。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
みんなは懐中電気やら、
炬火
(
たいまつ
)
やら、
蝋燭
(
らふそく
)
やらを壁だの天井だのにさしつけて、秘密の出入口でもありはしないかと、しきりにさがしましたけれど、一向それらしいものが見当りません。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
炬火
(
たいまつ
)
と竹槍とを用意しとげ。ええか。後から、一揆の統領が回って来るけにな。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
プドーフキンは爆発の光景を現わすのに本物のダイナマイトの爆発を
撮
(
と
)
ってみたがいっこうにすごみも何もないので、試みにひどく黒煙を出す
炬火
(
たいまつ
)
やら、マグネシウムの
閃光
(
せんこう
)
やを取り交ぜ
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それはひとたびゆいてかえらぬ生命の
炬火
(
たいまつ
)
の美しさだった。ああ、何という悦び! 愛するものを獲たのではないか! 和歌子と深井を獲たのではないか! 彼は靴音高く家へ帰って来たのである。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
女子の学士を
出
(
い
)
だし、更に女子の博士をも出そうとしている日本に、聡慧篤実な新進女子の次第に殖えて行くべきことは予見されますが、それらの女子の先駆として大きな
炬火
(
たいまつ
)
を執る一群の星の中に
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「エンマは、
炬火
(
たいまつ
)
の光で、眞夜中に嫁入りしたいと思つた。」
道化の華
(旧字旧仮名)
/
太宰治
(著)
炬火
(
たいまつ
)
を持ちて疫を逐い端門より出す云々とある。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
炬火
(
たいまつ
)
の焔、沈として、平安は
復
(
もど
)
り來りぬ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
炬火
(
たいまつ
)
を翳して眞夜中を走せ
佐藤春夫詩集
(旧字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
各寝室の
鉄格子
(
てつごうし
)
の窓には灯火が上下し、新館の上層には一本の
炬火
(
たいまつ
)
が走り動き、
傍
(
かたわら
)
の
屯所
(
とんしょ
)
にいる消防夫らは呼び集められていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
喊
(
とき
)
の声と共に、各所から花火のような火が噴いた。流星の如く
炬火
(
たいまつ
)
が飛ぶ。蛮陣の内は上を下への大混乱を起している。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
マーキュ はて、
斯
(
か
)
う
愚圖
(
ぐず
)
ついてゐるのは、
晝間
(
ひるま
)
炬火
(
たいまつ
)
を
燃
(
つ
)
けてゐるも
同然
(
どうぜん
)
と
言
(
い
)
ふのぢゃ。これ、
善
(
よ
)
い
意味
(
いみ
)
に
取
(
と
)
りゃれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
いと高しといふにあらねど一の山の
聳
(
そび
)
ゆるあり、かつて一の
炬火
(
たいまつ
)
こゝより下りていたくこの地方を荒しき 二八—三〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
文芸院学士
(
アカデミシヤン
)
アンリイ・バタイユの新作「
炬火
(
たいまつ
)
」を演じると云ふので
巴里
(
パリイ
)
初冬
(
しよとう
)
の劇壇は
其
(
その
)
方へ
一寸
(
ちよつと
)
人気を集めて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
カーテンの僅な隙間から、一本の震える細い金線のような光線が薄暗い部屋に射しこみ、化粧台の上の白粉壺に、小さい燃える
炬火
(
たいまつ
)
のような閃きをつくっている。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
雲
(
くも
)
暗
(
くら
)
し、
雲
(
くも
)
暗
(
くら
)
し、
曠野
(
あらの
)
を
徜徉
(
さまよ
)
ふ
狩
(
かり
)
の
公子
(
こうし
)
が、
獸
(
けもの
)
を
照
(
てら
)
す
炬火
(
たいまつ
)
は、
末枯
(
うらがれ
)
の
尾花
(
をばな
)
に
落葉
(
おちば
)
の
紅
(
べに
)
の
燃
(
も
)
ゆるにこそ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“炬火”の意味
《名詞》
炬火(きょか、こか)
松明。かがり火。
(出典:Wiktionary)
炬
漢検1級
部首:⽕
9画
火
常用漢字
小1
部首:⽕
4画
“炬火”で始まる語句
炬火持