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浮彫
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うきぼり
ふりがな文庫
“
浮彫
(
うきぼり
)” の例文
この
壁柱
(
かべはしら
)
は
星座
(
せいざ
)
に
聳
(
そび
)
え、
白雲
(
はくうん
)
に
跨
(
また
)
がり、
藍水
(
らんすゐ
)
に
浸
(
ひた
)
つて、
露
(
つゆ
)
と
雫
(
しづく
)
を
鏤
(
ちりば
)
め、
下草
(
したくさ
)
の
葎
(
むぐら
)
おのづから、
花
(
はな
)
、
禽
(
きん
)
、
鳥
(
とり
)
、
虫
(
むし
)
を
浮彫
(
うきぼり
)
したる
氈
(
せん
)
を
敷
(
し
)
く。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
五分
月代
(
さかやき
)
の時代めいた頭が、
浮彫
(
うきぼり
)
のようにきりっとしていて、細身の大小を落し差しと来たところが、約束通りの浪人者であった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
Ⅲ
水滴
(
すいてき
)
。陶器。窯は恐らく瀬戸。寸法、縦二寸一分、横巾二寸九分、厚さ八分。模様は竹に
虎
(
とら
)
。
浮彫
(
うきぼり
)
。型。鉄砂入。日本民藝美術館蔵。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
樫か
胡桃
(
くるみ
)
で作つた櫃には、奇妙な
棕櫚
(
しゆろ
)
の枝と天童の頭の
浮彫
(
うきぼり
)
がしてあつて、ヘブライの經典ををさめた木箱のやうな形に見えた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
獅子
狩
(
がり
)
と、獅子狩の
浮彫
(
うきぼり
)
とを混同しているような所がこの問の中にある。博士はそれを感じたが、はっきり口で言えないので、次のように答えた。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
そしてその上には、うすく
浮彫
(
うきぼり
)
になって、横を向いた人の顔が
彫
(
ほ
)
りつけてあり、そのまわりには、
鎖
(
くさり
)
と
錨
(
いかり
)
がついていた。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
体操の選手は選手で、
贅肉
(
ぜいにく
)
のない
浮彫
(
うきぼり
)
のような体を、平行棒に、
海老
(
えび
)
上がりさせては、くるくる廻っています。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
まっ白な、あのさっきの北の
十字架
(
じゅうじか
)
のように光る鷺のからだが、十ばかり、少しひらべったくなって、黒い脚をちぢめて、
浮彫
(
うきぼり
)
のようにならんでいたのです。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
またそれ等の樹木に取り囲まれた中央の
葬龕
(
カタファルコ
)
は、ウムブリヤの
泣儒
(
なきおとこ
)
を
浮彫
(
うきぼり
)
にした
薬研石
(
やげんいし
)
の台座まではともかくとして、その上に載せられた白大理石の
棺蓋
(
かんおおい
)
になると
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
侯爵は座板に腰掛けずにそのまま入口の柱に
凭
(
もた
)
れた。背中が
羅紗
(
ラシャ
)
地を
距
(
へだ
)
ててニンフの
浮彫
(
うきぼり
)
にさはる。
雪
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
そう言う平次の胸には、恋女房お静の純情な
浄
(
きよ
)
らかさが、活き活きと
浮彫
(
うきぼり
)
されているのでした。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
形
(
かたち
)
に
現
(
あら
)
はされたもので、
最
(
もつと
)
も
古
(
ふる
)
いと
思
(
おも
)
はれるものは
山東省
(
さんとうしやう
)
の
武氏祠
(
ぶしし
)
の
浮彫
(
うきぼり
)
や
毛彫
(
けぼり
)
のやうな
繪
(
ゑ
)
で、
是
(
これ
)
は
後漢時代
(
ごかんじだい
)
のものであるが、
其
(
その
)
化物
(
ばけもの
)
は
何
(
いづ
)
れも
奇々怪々
(
きゝくわい/\
)
を
極
(
きは
)
めたものである。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
北へ折れると
生国魂
(
いくたま
)
神社、神社と仏閣を結ぶこの往来にはさすがに伝統の匂ひが
黴
(
かび
)
のやうに漂うて仏師の店の「作家」とのみ書いた
浮彫
(
うきぼり
)
の看板も
依怙地
(
いこぢ
)
なまでにここでは似合ひ
木の都
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
旋条がかなり磨滅し、撃鉄や安全環はニッケルが剥落して黒い
生地
(
きじ
)
を
露
(
あらわ
)
し、握りの処のエボナイトの
浮彫
(
うきぼり
)
も、手擦れで磨滅してしまっている。少くとも十年以上使用したものである。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かゝる骨には褐色の尖帽を
被
(
き
)
せて、腹に繩を結び、手には一卷の經文若くは枯れたる花束を持たせたり。
贄卓
(
にへづくゑ
)
、
花形
(
はながた
)
の燭臺、そのほかの飾をば
肩胛
(
かひがらぼね
)
、
脊椎
(
せのつちぼね
)
などにて細工したり。人骨の
浮彫
(
うきぼり
)
あり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
眼はぱっちりして
眉
(
まゆ
)
も濃く
生際
(
はえぎわ
)
もよいので顔立は
浮彫
(
うきぼり
)
したようにはっきりしている代り口のやや大きく
下腭
(
したあご
)
の少し張出している欠点も共に著しく目に立って
愛嬌
(
あいきょう
)
には至って乏しく
愁
(
うれい
)
もまずきかぬ顔立であった。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼らの断片語によって次第に
浮彫
(
うきぼり
)
にされて来た。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
飛騨の
名匠
(
たくみ
)
の
浮彫
(
うきぼり
)
の
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
波
(
なみ
)
の
珠玉
(
しゆぎよく
)
を
鏤
(
ちりば
)
め、
白銀
(
しろがね
)
の
雲
(
くも
)
の
浮彫
(
うきぼり
)
を
装
(
よそほ
)
ひ、
緑金
(
りよくきん
)
の
象嵌
(
ぞうがん
)
に
好木奇樹
(
かうぼくきじゆ
)
の
姿
(
すがた
)
を
凝
(
こ
)
らして、
粧壁彩巌
(
しやうへきさいがん
)
を
刻
(
きざ
)
んだのが、一
目
(
め
)
である。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
閃光が半ば沈みかけた
帆檣
(
ほばしら
)
を
浮彫
(
うきぼり
)
にし、その上には黒い大きな鵜が翼に飛沫を浴びつゝとまつてゐる。その
嘴
(
くちばし
)
には寶石を
鏤
(
ちりば
)
めた腕環を啣へてゐる。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
白木
(
しらき
)
のものを別として塗は拭漆のもの多く稀には
墨漆
(
すみうるし
)
や
朱漆
(
しゅうるし
)
。しばしば特殊な
衣裳
(
いしょう
)
をこらしてある。
透彫
(
すかしぼり
)
や
浮彫
(
うきぼり
)
や、また
線彫
(
せんぼり
)
や、模様もまた多種である。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
さう言ふ平次の胸には、戀女房お靜の純情な淨らかさが、
活々
(
いき/\
)
と
浮彫
(
うきぼり
)
されてゐるのでした。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小
鵯
(
ひよどり
)
も飛んで行つて
仕舞
(
しま
)
つた。日のあたたかみで
淡雪
(
あわゆき
)
の
上
(
うわ
)
つらがつぶやく音を立てながら溶け始めた。侯爵の背中にニンフの
浮彫
(
うきぼり
)
が喰ひ込み過ぎた。彼はそこではじめて腰板に腰を下す。
雪
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
眼が暗さに慣れるにつれ、中に散乱した
彫像
(
ちょうぞう
)
、器具の類や、周囲の
浮彫
(
うきぼり
)
、
壁画
(
へきが
)
などが、ぼうっと眼前に
浮上
(
うきあが
)
って来た。
棺
(
かん
)
は
蓋
(
ふた
)
を取られたまま投出され、
埴輪人形
(
ウシャブチ
)
の首が二つ三つ、傍にころがっている。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の
名匠
(
たくみ
)
の
浮彫
(
うきぼり
)
の
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
唯
(
と
)
、
階
(
きざはし
)
の前の
花片
(
はなびら
)
が、折からの冷い風に、はらはらと
誘
(
さそ
)
われて、さっと散って、この光堂の中を、
空
(
そら
)
ざまに、ひらりと紫に舞うかと思うと——
羽目
(
はめ
)
に
浮彫
(
うきぼり
)
した、
孔雀
(
くじゃく
)
の尾に玉を刻んで
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
石(
浮彫
(
うきぼり
)
)にはなかなかいいのがあるな。
台湾の民芸について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
二輪
(
にりん
)
、
空
(
そら
)
に
蒔絵
(
まきゑ
)
した
星
(
ほし
)
の
如
(
ごと
)
く、
浮彫
(
うきぼり
)
したやう
並
(
なら
)
べられた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
浮
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
彫
常用漢字
中学
部首:⼺
11画
“浮”で始まる語句
浮
浮世
浮標
浮々
浮雲
浮気
浮木
浮腫
浮上
浮子