水色みづいろ)” の例文
居て見、首筋が薄かつたとなほぞいひける、単衣ひとへ水色みづいろ友仙ゆふぜんの涼しげに、白茶しらちやきんらんの丸帯少し幅の狭いを結ばせて、庭石に下駄直すまで時は移りぬ。
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……田舍ゐなかづくりの、かご花活はないけに、づツぷりぬれし水色みづいろの、たつたをけしたのしさは、こゝろさもどこへやら……
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
子の上にかゝき夢より醒めさふらひしは二三時の頃にさふらひけん、月あか水色みづいろの船室をてらり申しさふらひき。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
水色みづいろ薔薇ばらの花、虹色にじいろ薔薇ばらの花、怪獸シメエルの眼に浮ぶあやしい色、水色の薔薇ばらの花、おまへのまぶたを少しおあげ、怪獸シメエルよ、おまへはめんと向つて、ぢつと眼と眼と合せるのがこはいのか、僞善ぎぜんの花よ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
小春時こはるどき一枚小袖いちまいこそであゐこん小辨慶こべんけい黒繻子くろじゆすおびに、また扱帶しごき……まげ水色みづいろしぼりの手絡てがらつやしづくのしたゝるびんに、ほんのりとしたみゝのあたり、頸許えりもとうつくしさ。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一寝入ひとねいりしたと思ふも無く寺寺てらでらの朝の鐘が遠近をちこちから水を渡つて響くので目が覚めた。窓の下が騒がしいのでリドウを揚げると運河には水色みづいろの霧が降つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
わたしは、先生せんせいなつ嘉例かれいとしてくだすつた、水色みづいろきぬべりをとつた、はい原製ばらせいすゞしい扇子あふぎを、ひざめて、むねしかつて車上しやじやう居直ゐなほつた。しかしてだいつて極暑ごくしよ一文いちぶんこゝろあんじた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
婀娜あだたるこゑ障子しやうじけてかほした、水色みづいろ唐縮緬たうちりめん引裂ひつさいたまゝのたすきたまのやうなかひなもあらはに、蜘蛛くもしぼつた浴衣ゆかたおびめず、細紐ほそひもなりすそ端折はしよつて、ぬの純白じゆんぱくなのを
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
われらしきが、一念發起いちねんほつきおよんだほどお小遣こづかひはたいて、うすものつまに、すツとながじゆばんの模樣もやうく、……水色みづいろの、色氣いろけは(たつた)で……なゝめすわらせたとしたところで、歌澤うたざはなんとかで、あのはにあるの
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
五日いつか六日むいか心持こゝろもちわづらはしければとて、きやくにもはず、二階にかい一室ひとまこもりツきり、で、寢起ねおきひまには、裏庭うらにはまつこずゑたかき、しろのもののやうなまどから、くも水色みづいろそらとをながら、徒然つれ/″\にさしまねいて
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)