気絶きぜつ)” の例文
旧字:氣絶
味方を見た朝月は、いきなり気絶きぜつした清兵衛のよろいどうをくわえ、明兵みんぺいをけちらして、まっしぐらに、しろの門へとかけこんでいった。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
といったまま、モンクスは、目をひきつらして、ほんとうに気絶きぜつしてしまったのだ。見物人も気絶したように、だまってしまった。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
けれども六部ろくぶは、あまりはたらいていきれて、気絶きぜつしただけでしたから、みんながこして介抱かいほうすると、たちまちいきかえしました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかし困ったことに、それは生きてはいたが、まるで気絶きぜつしている人間同様に、意識というものがなかった。それでは困る。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かれくるしさにむねあたりむしり、病院服びょういんふくも、シャツも、ぴりぴりと引裂ひきさくのであったが、やがてそのまま気絶きぜつして寐台ねだいうえたおれてしまった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おめえ、めくらのくせにかんがわるいな。アアにわか盲だから、声まで見えなくなったのか。じゃアいって聞かしてやろう。びっくりして気絶きぜつするなよ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まるでしやうのものをるやうにはらわたながく、あをそれからんだので、あまりこと気絶きぜつしたんだ、とのちひます。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いちばん小さな子はもうあおむけになって気絶きぜつしたようです。きつねははがみをしました。ホモイも思わず
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
をくいしばってがまんしたが、うめき声はひとりでに高くなり、ついにぼくは気絶きぜつしてしまったんだ
すぐつぎのえきで、自分はこしから下に火傷やけどをして、気絶きぜつしているところをたすけられた。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
そのばん、このみなみうみめんしたがけにもしもりたほど、さむかったのです。あくるあさはなをさましますと、うつくしかったこちょうは、きずついたままつめたくなってうえ気絶きぜつをしていたのです。
小さな赤い花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、えぐっていたが、さきほどよりの激戦げきせんに、力つきた清兵衛は、敵がたおれたと知って、そのまま、おりかさなって気絶きぜつしてしまった。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
玉太郎は、その場の光景に気絶きぜつしそうになり、自分でもどうしてそんな声が出たかと思うほどのすごい金切かなきり声を発した。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
正気しょうきにかえって、ポカンとあたりを見まわしたのは、ゆうべ、今宮神社いまみやじんじゃ境内けいだいで、馬にけられてヘドをいて、あのまま気絶きぜつしていた泣き虫の蛾次郎がじろう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
皮膚ひふはもえるようにあつくなり、からだじゅうが、かっかっとほてって、その苦しさときたら、いまにも気絶きぜつして、それっきり死んでしまうかと、たびたび思ったほどだった。
手掴てづかみべたこともあつたさうだし、ひら/\とあをいなかからあかきれのこぼれてる、うつくしいとりたもと引張ひつぱつて、はるかにえるやまゆびさして気絶きぜつさしたこともあつたさうなり
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そのころ地球は、ずっと形が小さくなり、小山ぐらいの大きさとなったので、恐ろしさがった。もうあれを見て発狂したり、気絶きぜつする者もなかろう。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
気絶きぜつしたがために、さいわいとあの毒水どくみずまなかった竹童ちくどうは、多少のきずいたみはあったが、やがて真心まごころ介抱かいほうをうけて、かなりしっかりと気がついた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真個まつたく安心あんしんあま気絶きぜつしたんだと断念あきらめて、ゆるしてくれ。たんぢやない。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たいていの者なら、ひと目みただけで気絶きぜつしてしまうところだ。
あっちでもこっちでも、警官がちゅうねとばされています。壁へ叩きつけられて気絶きぜつをするもの、ガックリと伸びるものなどあって、形勢は不利です。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
船長はもうすこしで気絶きぜつするところだった。彼は見た。はっきり見た。おそろしい大怪物が、メインマストの上でくわっと口を開き、こっちをねめつけているのを。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
博士のからだは嵐の中の紙片かみきれのように吹きとばされ、はてはどすんと何物かに突きあたり、そのときに頭のうしろをうちつけ、うんと一声発して、気絶きぜつしてしまった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
気絶きぜつさせたばかりではなく、無電機のこわし方といったら、めちゃめちゃになっていまして、大人だってちょっと出ないくらいの力をもっているんですよ、あの正太という子供は!
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「はははは。きみは、見かけに似合にあわず臆病おくびょうだね。そんなことでは、これからきみに見せたいと思っていたものも、見せられはしない。見ている最中さいちゅう気絶きぜつなんかされると、やっかいだからね」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
隆夫の母は、おどろきとよろこびで、気絶きぜつしそうになったくらいだ。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
クーパーは苦しそうな一声をのこして、ついに気絶きぜつしてしまった。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ほくが気絶きぜつしているに、本当の針目博士を殺し、そして博士の頭を切り開いて、じぶんがその中へはいりこみ、あとをたくみに電気縫合器でんきぬいあわせきかなにかで縫いつけ、ぼくが気がついたときにはすっかり
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それを見ると、蜂矢は気絶きぜつしそうになった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
八木少年は「うん」とうなって、気絶きぜつした。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)