“晩酌:ばんしゃく” の例文
“晩酌:ばんしゃく”を含む作品の著者(上位)作品数
芥川竜之介3
吉川英治3
谷崎潤一郎2
寺田寅彦2
江戸川乱歩2
“晩酌:ばんしゃく”を含む作品のジャンル比率
自然科学 > 自然科学 > 科学理論 科学哲学3.0%
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 風俗史・民俗誌・民族誌2.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
例の晩酌ばんしゃくの時と言うとはじまって、貴下あなたことほか弱らせられたね。あれを一つりやしょう。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やがて、さけの焼いたので貧しい膳立ぜんだてをした父親が、それ丈けが楽しみの晩酌ばんしゃくにと取りかかるのである。
夢遊病者の死 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
わずかな晩酌ばんしゃくに昼間の疲労を存分に発して、目をとろんこにした君の父上が、まず囲炉裏のそばに床をとらして横になる。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
大島先生は一合の晩酌ばんしゃくに真赤になって、教育上の経験やら若い者のためになるような話やらを得意になってして聞かせた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「君が帰ると晩酌ばんしゃくの口実がなくなっていけない。女や子供ばかりを相手にしないで、たまには僕にもつき合ってゆくさ。」
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
覚平は元来金持ちと役人はきらいであった、かれは朝から晩まで働いて、ただ楽しむところは晩酌ばんしゃくの一合であった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
これもその頃の話である。晩酌ばんしゃくぜんに向った父は六兵衛ろくべえさかずきを手にしたまま、何かの拍子にこう云った。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
うち晩酌ばんしゃくに飲み、村の集会で飲み、有権者だけに衆議院議員の選挙せんきょ振舞ぶるまいで飲み
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しかし子供心に私の知っている父は、とても陽気な男で晩酌ばんしゃくの機嫌なぞで唄の一つもやる男でした。
抱茗荷の説 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
で、父がいよいよ晩酌ばんしゃくをはじめた頃に、わざと足音を立てて庭をうろつき出していたのである。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
晩酌ばんしゃくの膳についてからも、牧野はまだ忌々いまいましそうに、じろじろ犬を眺めていた。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
だが、どうせ歩く道はひとつなので、その晩は須原の駅にとまりをとって、同じ部屋にくつろぐと、晩酌ばんしゃくの話にまた源内流の旅行要心談がでる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「奴、晩酌ばんしゃくをたのしむくせがありますから、酒のの廻ったころを見計って襲うのも手でござりまするが、——もう少し容子ようすを見まするか」
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
どうかして、晩酌ばんしゃくへやに、子や孫たちを集めて、微酔びすいのことばでたわむれなどする折、戯れのうちにも、石舟斎はおしえていた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ほんとにね」お妻が同意して云った。「あなた、この頃、ちと晩酌ばんしゃくが過ぎますよ」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「岡田君はいつもこうやって晩酌ばんしゃくをやるんですか」と自分はお兼さんに聞いた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
義兄に当たる春田居士しゅんでんこじが夕涼みの縁台で晩酌ばんしゃくに親しみながらおおぜいの子供らを相手にいろいろの笑談をして聞かせるのを楽しみとしていた。
思い出草 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
夜になって、銀子は風呂ふろに入り、土地の習慣なりに、家へ着替えに行くと、主人夫婦もちょうど奥で晩酌ばんしゃくを始めたところで、顔を直している銀子に声をかけた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そのうち晩酌ばんしゃくを欠かした事のない酒好きではあったけれど、極めて律義者で、十何年というながの月日を、恐らく一日も欠勤せずに通した様な男であった。
毒草 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
今日のいわゆる晩酌ばんしゃくの起原も、是と同じであったことは疑いがない。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あるじの茶わん屋捨次郎は、美しいお内儀かみと、息子の於福おふくをそばにおいて、火鉢と晩酌ばんしゃくの膳をそばに、よいごきげんでみんなに話をして聞かせている。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして気がついてみると父も鯔は喰べないけれども、この鯔の臓器は好きで、しまに拵えさしたのを膳の上に並べ、これを酒の肴に晩酌ばんしゃくさかずきを傾けておりました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
晩酌ばんしゃくも二合を越えず、女房にょうぼうと連添うて十九年、ほかの女にお酌をさせた経験も無く、道楽といえば、たまに下職したしょくを相手に将棋をさすくらいのもので
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
大盃を引きつけて、造酒、晩酌ばんしゃくが今までつづいているのだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
貞之助も、いずれもいっぱしの晩酌ばんしゃく党であるところから
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
八五郎は晩酌ばんしゃくにつき合いながら、平次の解説をせがみます。
青年は老いた父の眼に、晩酌ばんしゃくよいを感じていた。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
鰐口は晩酌ばんしゃくの最中で、うるさいと思ったが、いやにしつこくいどんで来るので着物を脱いで庭先に飛び降り、突きかかって来る才兵衛の巨躯きょくを右に泳がせ左に泳がせ、自由自在にあやつれば
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「まあ、晩酌ばんしゃくに五勺ばかりやって見たところでまるで、すずめが水を浴びるようなものさ。なかなか節酒ということが行なわれるもんじゃない。飲むなら飲む、飲まないなら全く飲まない——この二つだ。」
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
アハハ、それも銃猟じゅうりょうに行って兎一羽を撃つ費用から比べたら何でもありますまい。随分今の銃猟紳士は兎猟に行って旅店やどやへ泊って晩酌ばんしゃくにビールや葡萄酒ぶどうしゅの一本位傾ける事も毎度ありましょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
郷里の家の長屋に重兵衛じゅうべえさんという老人がいて、毎晩晩酌ばんしゃくさかなに近所の子供らをぜんの向かいにすわらせて、なまのにんにくをぼりぼりかじりながらうまそうに熱い杯をなめては数限りもない化け物の話をして聞かせた。
化け物の進化 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
まって晩酌ばんしゃくを取るというのでもなく、もとより謹直きんちょく倹約けんやくの主人であり、自分も夫に酒を飲まれるようなことはきらいなのではあるが、それでも少し飲むとにぎやかに機嫌好くなって、罪も無く興じる主人である。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それは殆ど毎日のよう、父には晩酌ばんしゃく囲碁のお相手、私には其頃出来た鉄道馬車の絵なぞをかき、母には又、海老蔵えびぞう田之助たのすけの話をして、更渡ふけわたるまでの長尻ながしりに下女を泣かした父が役所の下役、内證ないしょう金貸かねかしをもして居る属官ぞっかんである。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼女が小柄だったことは前に書いたが体は着痩きやせのする方で裸体らたいの時は肉づきが思いのほか豊かに色がけるほど白く幾つになってもはだに若々しいつやがあった平素魚鳥の料理を好み分けてもたいの造りが好物で当時の婦人としてはおどろくべき美食家であり酒も少々はたしなんで晩酌ばんしゃくに一合は欠かさなかったと云うからそんなことが関係していたかも知れない〔盲人が物を食う時はさもしそうに見え気の毒な感じをもよおすものであるまして妙齢みょうれいの美女の盲人においてをや春琴はそれを知ってか知らずか佐助以外の者に飲食の態を見られるのをきらった客に招かれた時なぞはほんの形式にはしを取るのみであったから至ってお上品のように思われたけれども内実は食べ物にぜいつくしたもっとも大食というのではない飯は軽く二杯たべおかずもと箸ずついろいろの皿へ手をつけるので品数が多くなり給仕に手数のかかることは大抵でなかったまるで佐助を困らせるのが目的のように思えるほどだった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)