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拵
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こさ
ふりがな文庫
“
拵
(
こさ
)” の例文
「皆んなと一緒に晩飯をやつて居ました、——腹を
拵
(
こさ
)
へなきや、一と働きする力も出ません。何しろ半日怒鳴つて居る商賣ですから」
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ようし。おれも大三だ。そのすきとほったばらの実を、おれが
拵
(
こさ
)
へて見せよう。おい、みんなばらの実を十貫目ばかり取って
呉
(
く
)
れ。」
よく利く薬とえらい薬
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
飴屋の小父さんは、鶯が壊れたから、代りを
拵
(
こさ
)
えて、そして持って
行
(
ゆ
)
けッて云ったんですよ。………私、それどころじゃないんですもの。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの今の宮崎さんの先代はこの橋の袂で安倍川餅を売ってあれ丈けの身上を
拵
(
こさ
)
えたそうでがん。人間、俥を曳いて坂を上る如し。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
こんな事を言ひ/\、
樵夫
(
きこり
)
が
漸
(
やつ
)
と
枯木
(
かれき
)
を
伐
(
き
)
り倒すと、なかから土で
拵
(
こさ
)
へた
梟
(
ふくろ
)
の形をした物が、三つまでころころと転がり出した。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
助「そりゃア親方が丹誠をして
拵
(
こさ
)
えたのだから少しぐらいの事では毀れもしまいが、此の
才搥
(
さいづち
)
で
擲
(
なぐ
)
って毀れないとは
些
(
ちっ
)
と
高言
(
こうげん
)
が
過
(
すぎ
)
るようだ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
云いつけると、外交部から交付される筈の、外国へのパスポートまで、ちゃんと、印まで間違いのない印を
捺
(
お
)
して
拵
(
こさ
)
えてきた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
「
彼処
(
あそこ
)
へ避難所を
拵
(
こさ
)
いて置いて、
率
(
い
)
ざといえば直ぐ逃げ出す用意はしていた。アナーキストでも地震の威力には
協
(
かな
)
わない、」
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「それでは之でお別れです。」と立ち上りますと、少し待てと云つて、鍋の飯を握つて大きい
丸飯
(
ぐわんぱん
)
を九つ
拵
(
こさ
)
へて呉れました。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
然し村内に不幸があった場合には、必庭園の花を折って
弔儀
(
ちょうぎ
)
に行く。少し念を入れる場合には、
花環
(
はなわ
)
などを
拵
(
こさ
)
えて行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そら、いつか話したことがあるだろう。この四月に新しく
拵
(
こさ
)
えて、一度も手を通さねえで
蔵入
(
くらい
)
りにした奴さ。秋風が立っちゃあ遣り切れねえから、御用人を
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ああ、いいよ。僕、早く見付けて、伯父さんの
拵
(
こさ
)
えたこの電話機でネ、東京に住んでいる人と話をしたいの」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そんなこと云えばあたいがくしゃっとまいってさ、くらがえしてでも三〇〇ぐらいのお金は
拵
(
こさ
)
えるだろう、って見当つけて来たんさ、子供
騙
(
だま
)
しだよまったく」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
僕は成功したら、鷹の城山のてっぺんへ高い高い塔を
拵
(
こさ
)
えて、そこへ兄さんを入れてあげるつもりや
屋上の狂人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「爺さん? 五、六本ばかり熱くしてくれ。それから、みんなの分を何かご
馳走
(
ちそう
)
を
拵
(
こさ
)
えてくれよ」
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「ええ、俺は殆ど二十年も信心して来た。
耐
(
こら
)
えて来たんだ。縛られて生きて来た。バイブルに噛りついて来た。そして、気がついて見ると——
拵
(
こさ
)
え事だ! 拵えごとだよ」
マクシム・ゴーリキイの伝記:幼年時代・少年時代・青年時代
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「ほんとに」と、吉弥も笑って、「指輪に
拵
(
こさ
)
えてやろうと思ってたら、取り返されてしまった」
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「お上さんは莫迦に鉄火な女だっていうから、
外套
(
がいとう
)
を一つ
拵
(
こさ
)
えてもらおうと思うんだが……」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「このごろ大阪の相撲どもが、
毛唐
(
けとう
)
の足払いと名づけて
拵
(
こさ
)
えよる、それを一本貰うて来た」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『こんな広い不便なものを
拵
(
こさ
)
えてどうする積りであろう。』などという
呟
(
つぶや
)
きをきいたものだ。それが今はどうであろう。急行の出る前などは旅客が一杯で身動きがならぬ有様である。
丸の内
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
今の話のようなすげえところを
拵
(
こさ
)
えといて、その物欲しそうな
面
(
つら
)
の外国の金持ちを集めてしこたまふんだくって一晩引っ張り廻そう——てのが、つまり、これあわたしの、
長
(
なげ
)
えあいだの、ま
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「ああ、たべっちゃった。お父さんにだけ少し
拵
(
こさ
)
えてあげますべい」
新万葉物語
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「僕、如何しても
拵
(
こさ
)
えたい、直ぐにでも。」
鱗雲
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「いやに沢山結び玉を
拵
(
こさ
)
えやがったな」
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
第一そんな重いものを穴の上に持上げるのは、一人や二人の力では出来ない。それに、あの仕掛けはツイ五日か三日前に
拵
(
こさ
)
えたものだ
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お客様何でがすか、お前様、子守唄
拵
(
こさ
)
えさっしゃるかね。袋戸棚の障子へ、書いたもの
貼
(
は
)
っとかっしゃるのは、もの、それかね。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
羽織は最初に見捨てた女が
拵
(
こさ
)
へてくれたので、
地
(
ぢ
)
は薄かつたが、女の心よりは長持もしたし、値段も幾らか張つてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「そうだ。おら去年烏瓜の
燈火
(
あかし
)
拵
(
こさ
)
えた。そして
縁側
(
えんがわ
)
へ
吊
(
つる
)
して置いたら風吹いて落ちた。」と耕一が言いました。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
今日は
最
(
も
)
う仕事は出来はすまい、ムヽ仕事と云えば
私
(
わし
)
も一つ煙草盆を
拵
(
こさ
)
えてもらいたいが、何ういうのが
宜
(
え
)
いかな……これは
前住
(
せんじゅう
)
が持って居ったのじゃが
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
快くなったら姉の嫁した家へ遊びに行くと云って、彼女は晴衣を
拵
(
こさ
)
えてもらって喜んで居たが、到頭其れを着る機会もなかった。棺の上には銘仙の
袷
(
あわせ
)
が
覆
(
おお
)
うてあった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「代りなど
拵
(
こさ
)
えてやらないがいいや、あんな面白くもない家に」と、吉弥は起きあがった。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「高尚な翫具を
拵
(
こさ
)
えて、一儲けしようってんですがね……この
小
(
ちいさ
)
いのが
水雷艇
(
すいらいてい
)
です」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
二年三年はおろか、たとい五年が十年でもわたしはきっと待っている。わたしの心に変りはない。お前も江戸の若い
女子
(
おなご
)
に馴染などを
拵
(
こさ
)
えて、わたしという者のあることを忘れてくれるな。
心中浪華の春雨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「一刻ばかりまえですが」と治兵衛が話しだした、「うちの
嬶
(
かかあ
)
に
粥
(
かゆ
)
を持たせてよこすと、ええ、昨日の
午
(
ひる
)
から寝ていたんで、粥を
拵
(
こさ
)
えて持って来させると、そこの仕事場で倒れていたんだそうです」
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「姉さん……姉さん、田雀を
拵
(
こさ
)
えてくっだい、姉さんてば」
新万葉物語
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「ほんじゃ、ゆっくり休ませえ。薬も
拵
(
こさ
)
えで置ぎしから。」
山茶花
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
申上げます、——皆んなブチまけてしまひますだよ、——この仕掛は亡くなつた主人の申付けで、この私が
拵
(
こさ
)
へたに違ひありません。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『
猪
(
ゐのしゝ
)
の
牙
(
きば
)
で
拵
(
こさ
)
へました、ほんに
佳
(
い
)
い
采
(
さい
)
でござります、
御覧
(
ごらう
)
じまし。』と
莞爾々々
(
にこ/\
)
しながら、
掌
(
てのひら
)
を
反
(
そ
)
らして
載
(
の
)
せた
処
(
ところ
)
を、
二人
(
ふたり
)
で
一個
(
ひとつ
)
づゝ
取
(
と
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
姑
(
しゅうと
)
が腹を立って追出すくらいでございますから、何一つもくれませぬ、それ故少しは
身形
(
みなり
)
も
拵
(
こさ
)
えたり、江戸へ
行
(
ゆ
)
くには土産でも持って
行
(
ゆ
)
かなければなりませぬ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「俺は俺、忰は忰さ。忰が一人酒を飲んだところで、俺が禁酒会員を二人
拵
(
こさ
)
へたら
填合
(
うめあは
)
せはつく筈だ。」
飲酒家
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
炬火
(
たいまつ
)
は
如何
(
どう
)
だな。おゝ、
久
(
ひさ
)
さんが来た。久さん/\、済まねえが炬火を
拵
(
こさ
)
えてくんな」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
(この餅
拵
(
こさ
)
えるのは
仙台領
(
せんだいりょう
)
ばかりだもな。)嘉吉はもうそっちを考えるのをやめて話しかけた。(はあ。)おみちはけれども気の
無
(
な
)
さそうに
返事
(
へんじ
)
してまだおもての音を気にしていた。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そのうち解けたような、また
一物
(
いちもつ
)
あるような腹がまえと、しゃべるたびごとに
歪
(
ゆが
)
む口つきとが、僕にはどうも気になって、吉弥はあんな母親の
拵
(
こさ
)
えた子かと、またまた厭気がさした。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「いつ旅行するの。私着物を
拵
(
こさ
)
えて待っていたのに。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
離屋の壁の中に隱した小判は、極印がなくて使へないので、番頭の善七は
鏨
(
たがね
)
の極印を
拵
(
こさ
)
へて、その小判に打つつもりだつたんだらう。
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
はじめは、
不思議
(
ふしぎ
)
な
機関
(
からくり
)
を
藩主様
(
とのさま
)
御前
(
ごぜん
)
で
見
(
み
)
せい
言
(
い
)
ふて、お
城
(
しろ
)
へ
召
(
め
)
されさしけえの、
其時
(
そのとき
)
拵
(
こさ
)
へたのが、
五位鷺
(
ごゐさぎ
)
の
船頭
(
せんどう
)
ぢや。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「俺は俺、
忰
(
せがれ
)
は忰さ。忰が一人酒を飲んだところで、俺が禁酒会員を二人
拵
(
こさ
)
へたら
填合
(
うめあは
)
せはつく筈だ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
邪魔になるといっても、富五郎の手に負いない、所が幸い安田一角がお前に惚れているから、一角をおいやって弘行寺の裏林で殺させて置いて、顔に傷を
拵
(
こさ
)
えて
家
(
うち
)
へ駈込んだが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「それも許さん、金を
拵
(
こさ
)
へて來い! 金を拵へて來い!」
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「どうして
拵
(
こさ
)
へたんだい。野葡萄を絞ってそれから?」
柳沢
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
拵
漢検1級
部首:⼿
9画
“拵”を含む語句
足拵
身拵
急拵
下拵
荷拵
膳拵
腹拵
拵事
取拵
御拵
手拵
別拵
言拵
拵附
菜拵
俄拵
副食物拵
旅拵
銀拵
鉄拵
...