トップ
>
戯
>
ざ
ふりがな文庫
“
戯
(
ざ
)” の例文
旧字:
戲
そして
戯
(
ざ
)
れ言をかわしながらどっとそこで一つ笑うと、声もすがたも、たちまち
四明颪
(
しめいおろし
)
につつまれて暗い沢の果てへ去ってしまった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まず、窓際へゆっくり席をとって、
硝子窓
(
がらすまど
)
を思いッきり押しあける。と、こころよい五月の
微風
(
びふう
)
が、
戯
(
ざ
)
れかかるように流れこんで来た。
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
そうして今はほぼ忘れた人も多かろうが、このツビまたはスビというのが、じつはよっぽど
可咲
(
おか
)
しい
戯
(
ざ
)
れの名だったのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
芝生の花壇で
尾籠
(
びろう
)
なほど
生
(
なま
)
の色の赤い花、黄の花、紺の花、赭の花が花弁を犬の口のように開いて、
戯
(
ざ
)
れ、
噛
(
か
)
み合っている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
という
戯
(
ざ
)
れ
句
(
く
)
があるくらいですから、江戸八百八町に加えてもさしつかえはなかろうと思われるのに、大木戸を一歩外へ出るともう管轄違いです。
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
その時に「景清」の「松門謡」に擬した次のような
戯
(
ざ
)
れ
謡
(
うたい
)
が出来たといって、古い日記中から筆者に指摘して見せた。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
当時、
何
(
なん
)
ぴとの構へた
戯
(
ざ
)
れ事でございませうか、
天狗
(
てんぐ
)
の
落文
(
おとしぶみ
)
などいふ札を持歩く者もありまして、その中には「
徹書記
(
てっしょき
)
、
宗砌
(
そうぜい
)
、音阿弥、禅竺、近日
此方
(
こちら
)
ヘ
来
(
きた
)
ル
可
(
べ
)
シ」
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
ものの、化身の如き、
本家
(
ほんけ
)
の婦人の手すさびとは事かわり、口すぎの為とは申せ、見真似の
戯
(
ざ
)
れ仕事。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
戯
(
ざ
)
れ絵のように、儀礼的な刑事部屋で、あぐらをかいた白毛のまじった老警部が私に言った。
大阪万華鏡
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
どこでも、自由に散歩ができるし、おりには、艦長とも
戯
(
ざ
)
れ口を投げ合う。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
山鹿の死骸も、田母沢源助の
戯
(
ざ
)
れ
呆
(
ぼ
)
けて寝た体も、運び出す暇はなかった。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
天平後期の歌は
戯
(
ざ
)
れ
歌
(
うた
)
でないまでも一体にこの種の弛緩があった。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
父親は微笑しながら、
戯
(
ざ
)
れめく口調で言うのだった。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
戯
(
ざ
)
ればみを。
尾羽
(
をば
)
身
(
み
)
がろさのともすれば
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
戯
(
ざ
)
れ
画
(
え
)
か密書か?
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
などと
揶揄
(
からか
)
ったりしていたが、やがて、その人々の
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
も、裏垣根の門から駈け込んで来た一人の男のことばに、冗談口を
塞
(
ふさ
)
がれて
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
トボケルと今ならば
謂
(
い
)
うところで、古くはシレル・シレモノと謂い、それから移ってジラコクまたはジラなどともなり、
戯
(
ざ
)
れという語も是とよほど近かった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
当時、
何
(
なん
)
ぴとの構えた
戯
(
ざ
)
れ事でございましょうか、
天狗
(
てんぐ
)
の
落文
(
おとしぶみ
)
などいう札を持歩く者もありまして、その中には「
徹書記
(
てっしょき
)
、
宗砌
(
そうぜい
)
、音阿弥、禅竺、近日
此方
(
こちら
)
ヘ
来
(
きた
)
ル
可
(
べ
)
シ」
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
まこと旗本ならばあのような
戯
(
ざ
)
れ看板せずともよい筈、喧嘩口論白刄くぐりが何のかのと、無頼がましゅう
飄
(
ひょう
)
げた事書いて張ったは、隠密の素姓かくす
手段
(
てだて
)
であったろうがッ。
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そして、落首や
戯
(
ざ
)
れ絵で小さな反逆の中に遊びながら、犬を、犬と呼び捨てにせず、「お犬さま」と敬称するのを忘れなかった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊勢
(
いせ
)
の
荒木田守武
(
あらきだもりたけ
)
のように、徹頭徹尾
戯
(
ざ
)
れの句ばかりを続けた人も無いではないが、本来は長ったらしい連歌の間へ、時々
頓狂
(
とんきょう
)
な俗な句や言葉を挟むのが興味であったことは
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
当国三河で下々の者共が申す
戯
(
ざ
)
れ
語
(
ご
)
でな、つまりはお茶の濃い薄いじゃ、
飴
(
あめ
)
のごとくにどろどろと致した濃い奴を所望致す
砌
(
みぎ
)
りに、ねじ切って腰にさすがごとき奴と、このように申すのでな
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
決して、ただ
悪
(
あ
)
しざまに申したり、
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
を
弄
(
もてあそ
)
んだ次第ではありませぬ。どうぞ、
烏滸
(
おこ
)
がましい女の取越し苦労と、お聞き流し下さいませ
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただし黄金三合という
戯
(
ざ
)
れの誇張に対して、米の三合を
撒
(
ま
)
こうというのはただ空想でなく、或いはもとこの踊の
所作
(
しょさ
)
に
伴
(
とも
)
のうて、何かそういう行事があったのかと思われるふしがある。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
傾城
(
けいせい
)
の
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
ならば咎めるまでもないが、なにか心得があっていうことならば、これも聞き捨てにならないことと彼は思う。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眼をふさぐと、帝の
寵妃
(
ちょうひ
)
廉子
(
やすこ
)
が浮かぶ。また、大酔した帝と佐々木道誉とのふしぎな
戯
(
ざ
)
れ
言
(
ごと
)
があたまの中を通って行く。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、酔うた振りして謝りぬく秀吉の唇へ、むりにそれを押しつけたりして、さながら
狆
(
ちん
)
と狆のように
戯
(
ざ
)
れ
合
(
あ
)
っていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、半ば不安に駆られていながら、しかも虚勢を失わず、彼らの通有性である
戯
(
ざ
)
れ
言
(
ごと
)
や
揶揄
(
やゆ
)
を露骨な態度に示したまま、黒々と人波をゆるがしていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、ほんものの神主にしては、すこしおかしい。誰かの、酒興だろう。何か、
戯
(
ざ
)
れ事を、始めるつもりだろう」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう聞くと、若者たちは、みな具足の着込みであったが、一斉に坐り直して、もう
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
もひそめてしまった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前日の
戯
(
ざ
)
れ
言
(
ごと
)
もあることだし、彼女がはっと、きびしい居ずまいを示したのも、無意識にせよ無理ではない。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、それが御不満でございましたのか。じつは余りに
戯
(
ざ
)
れ
言
(
ごと
)
めいた答弁なので、わざと、そこだけ申し控えておいたまでで、べつな存意ではございませぬ」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
苦患があればこそ、世も面白うござるものを、などと
戯
(
ざ
)
れ
交
(
ま
)
じり、お慰めを申したわけでございました
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おもしろい。まさしゅう、ここでは釜は鍋に先を越されたわ。だが、
凡下
(
ぼんげ
)
どもの
戯
(
ざ
)
れ
言
(
ごと
)
は、吉兆だぞ。高氏にはありがたい声だ。天が人を以ていわしめるものか」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
栂尾
(
とがのお
)
の山も、そろそろ寒うなったので、わしも、鳥羽の庵にうつり、冬じゅうは、
戯
(
ざ
)
れ
絵
(
え
)
など描いて、
籠
(
こも
)
り
居
(
い
)
してあるほどに、まれには、遊びにわたられいとな。……
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この辺に、
夜鷹
(
よたか
)
が出るということや、夜鷹の相場や、夜の女の様々の
戯
(
ざ
)
れ話は、いつも部屋の者が話すのを聞かない振りをしつつ、ある好奇心が熱心に覚えさせていた。
醤油仏
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう骨のない
頸筋
(
くびすじ
)
の持主みたいに「ついつい、つまらぬ
戯
(
ざ
)
れ
言
(
ごと
)
を口にしますので、村人からも、あれは半気狂いじゃ、ほら吹きよと、とかく嫌われておりまする私なので」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むしろ逆に、非情ななぶり
言
(
ごと
)
を吐いて、運命に疲れた不運な者をおもちゃにする路傍の
戯
(
ざ
)
れ
言
(
ごと
)
並みにもそれは受け取られて、つい、くやしげな涙につき上げられた風でもある。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水仕部屋の障子の内で、お
下婢
(
はした
)
のひとりが言った。けれど、野狐かむささびの
悪戯
(
わるさ
)
ぐらいに思われたことなのだろう。また、にぶい明りと
戯
(
ざ
)
れ声を元のように、閉じこめている。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人中の——しかも十三、四歳から水茶屋にもいて、苦労にもまれ、
戯
(
ざ
)
れ男たちに
揉
(
も
)
まれてきたお袖と、型どおりな、やしき育ちのお縫とでは、ほとんど、
太刀打
(
たちう
)
ちにならないのである。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お腹立ちでもございましょうが、どうぞ堪忍してあげて下さい。この人は、誰に
対
(
むか
)
ってもこんな口をきくのです。決してあなた様ばかりへ、こういう
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
をいうのではございません」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして何か
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
おもしろ気に、この日盛りの汗を拭きあっているものらしい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又、いつぞやの晩の源五右衛門の
戯
(
ざ
)
れ言も、戯れ言ではなかったかと思い当る。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
たたくな。ここは先帝のご幽室に近いぞ。道誉もまた、重任の身だ」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するとおとといの
辻猿楽
(
つじさるがく
)
で、仲間の役の一人が、
楮幣
(
ちょへい
)
に引ッかけて、楮幣もじりの
戯
(
ざ
)
れ
舞
(
ま
)
いを
演
(
や
)
ッたところ、お客には大受けに受けたものの、そのあとは、たいへんな事になってしまってね
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「誤っているかどうか。それが今こそはっきりしよう。これまではまあ男と男の
戯
(
ざ
)
れ
事
(
ごと
)
に似たようなもの。したがここは土壇場の対決だ。高氏にしろ彼にしろ、生涯の勝負のきめどころよ」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時は、
宿世
(
すくせ
)
のふかい縁などとは元より思いもしなかったが、時経て、まして黒衣に身をつつんで後は、そうした
戯
(
ざ
)
れ
事
(
ごと
)
に似たことも、戯れ事とはなし
限
(
き
)
れない、罪業を胸に詫びていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また責任のない居候どのが、口に
年貢
(
ねんぐ
)
のいらぬ
戯
(
ざ
)
れ
言
(
ごと
)
をいうな、とその時は、啓之助も笑っていたが、これをみると、竹屋三位卿、ほんとに、剣山の迷信へ、
槇葉
(
まきば
)
の
鏃
(
やじり
)
をうちこんでしまった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紅梅ノ
辻子
(
つじ
)
、そのほか方々の
妓家
(
ちゃや
)
からよび集められた一流の遊君たちが、ここをうずめていたばかりでなく、
脂粉
(
しふん
)
の
園
(
その
)
は
狼藉
(
ろうぜき
)
をきわめ、酒に飽き、
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
に飽き、芸づくしに飽き、やがては
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よけいな
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
。うぬ。城太といい合せて、わしを
揶揄
(
からか
)
いに来おったの」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戯
常用漢字
中学
部首:⼽
15画
“戯”を含む語句
悪戯
戯言
調戯
遊戯
戯談
戯謔
串戯
惡戯
児戯
冗戯
戯曲
悪戯盛
悪戯気
戯作
戯弄
戯場
博戯
悪戯児
演戯
悪戯好
...