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いろ
ふりがな文庫
“
情婦
(
いろ
)” の例文
「成る程、年上の
情婦
(
いろ
)
は耻を知らないから、扱ひにくさうだ、——丁度宜い、二人を此處へ呼び入れてくれ。見せたいものがある」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「例えば夫婦だとか、
兄弟
(
きょうだい
)
だとか、またはただの友達だとか、
情婦
(
いろ
)
だとかですね。いろいろな関係があるうちで何だと思いますか」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女は他の同類の女房か
情婦
(
いろ
)
にちがいない。必ず、逃げはぐれたこの女の為に、同類の男がなおそこらに潜伏しているものと見たのである。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なぜ、お前は気を長くして、早瀬が己ほどの者になるのを待たん、己でさえ芸者の
情婦
(
いろ
)
は持余しているんだ、世の中は面倒さな。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
申しお袖さん、おめえもまんざら知らぬこともあるまい、いっそおれの
情婦
(
いろ
)
になり女房になり、なってくれる気はないか
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
お
辰
(
たつ
)
を
愛
(
めで
)
しは修業の足しにとにはあらざれど、
之
(
これ
)
を妻に
妾
(
めかけ
)
に
情婦
(
いろ
)
になどせんと思いしにはあらず、
強
(
し
)
いて云わば
唯
(
ただ
)
何となく
愛
(
めで
)
し
勢
(
いきおい
)
に乗りて百両は
与
(
あたえ
)
しのみ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「何故と言って、君、これからは朝から晩まで
情婦
(
いろ
)
の
側
(
そば
)
にへばり付いている事が出来らアネ。アハアハアハ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
女房でもなし
情婦
(
いろ
)
でもない女を、子供ぐるみにあんなにムキになって世話する時さんの親切に対してだって、弱い気を出しちゃすまないよ。——そりゃ赤ン坊の物だね。
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
女は久しい前から、野口と言う坑夫の
情婦
(
いろ
)
になっていることを、彼は知っていたのであった。
恨なき殺人
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
「ま、いいやな。だがなあ、安、てめえの
情婦
(
いろ
)
のお蔦も、おれみてえな野暮天にかかっちゃあ災難よなあ。おらあこれから三味線堀へ出向いて、お蔦を挙げてくるつもりだ」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
射込んだおへやさまってえのは、こう見えてもあっしの昔の
情婦
(
いろ
)
なんでごぜえますよ
右門捕物帖:16 七化け役者
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
其の若旦那とかいうのが滅法に
美
(
い
)
い男なんで、他に
情婦
(
いろ
)
が有って、其の情婦が死んでしまって怨んで祟って何うとかして
化物
(
ばけもの
)
が出るとかいうので、此のお嬢さんと夫婦に成ってれば
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「こんな
女
(
ひと
)
を
情婦
(
いろ
)
にもっていれば、小遣に不自由するようなことはありませんな」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
今は
迚
(
とて
)
も大熱々の最中よ、フリのお客なんかテンデ寄せ付けないわ、貴方、一眼惚れ?——と突込んで参りますので、いや飛んでもない、よしんば惚れた所で
他人
(
ひと
)
の
情婦
(
いろ
)
じゃ始まらない
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
「いい度胸だな。おめえの
情婦
(
いろ
)
にゃあ過ぎ物だ」と、半七は苦笑いをした。
半七捕物帳:02 石灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「どう聞こうとおれの勝手だ」と新八は冷笑した、「てめえの
情婦
(
いろ
)
ののろけを、まじめな
面
(
つら
)
で聞けるかどうか、考えてみたらわかるだろう、おれにはまだそれほどの
洒落
(
しゃれ
)
っけはないんだから」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あらたかもクソもあるものですかい。あっしたちの手入れの先廻りをして、お尋ね者を連れ出して、かくまっている姐ごじゃアありませんか。よしんばそいつが親分の
情婦
(
いろ
)
にしたところで……」
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
襖
(
ふすま
)
スウと
開
(
あ
)
いて顔を見せしは、——
女将
(
ぢよしやう
)
のお才「どうも松島さん、御気の毒様ですことねエ、
是
(
これ
)
も
流行妓
(
はやりつこ
)
を
情婦
(
いろ
)
にした
刑罰
(
むくい
)
ですヨ、——待つ身のつらさが
御解
(
おわかり
)
になりましたでせう、ホヽヽヽヽヽ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
何か
素敵
(
すてき
)
な大金儲けで。
彼奴
(
あいつ
)
が邪魔じゃと思うた一念。
狙
(
ねら
)
う相手が一人で歩るく。
情婦
(
いろ
)
の
棲家
(
すみか
)
か
賭博
(
ばくち
)
の打場か。又は秘密の相談場所だの。ソッと入込む息抜き場所に。近いあたりの道筋突き止め。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
彼女
(
あれ
)
がヴァンダの
情婦
(
いろ
)
だぜ、
滅法
(
めっぽう
)
窶
(
やつ
)
れやがったな」
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
あれは誰かの
情婦
(
いろ
)
でもなけりや
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と小宮山は友人の
情婦
(
いろ
)
ではあり、煩っているのが可哀そうでもあり、殊には血気
壮
(
さかん
)
なものの好奇心も手伝って、異議なく承知を致しました。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
稲荷町には、
通
(
かよ
)
った
情婦
(
いろ
)
もあるだろう。
何国
(
どこ
)
か知らないが
故郷
(
いなか
)
には息子の月の給料を待っている老父母があるかもしれない。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まアそんな事だらうよ。お前の
情婦
(
いろ
)
ならドタドタするし、叔母さんと來ると、少しよろ/\して居る」
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
御前の
前
(
めえ
)
で
素
(
す
)
のろけらしくなりやすが、ちっとばかり
粋筋
(
いきすじ
)
な
情婦
(
いろ
)
がごぜえやしてね、ぜひに顔を見てえとこんなことを吐かしがりやしたので、ちょっくら堪能させておいて
帰
(
けえ
)
ろうとしたら
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
私の死ぬのは私の心がらで仕方がないのだが、私の
亡
(
な
)
い
後
(
のち
)
にはお前さんは
情婦
(
いろ
)
も出来ようし、
良
(
い
)
いお
内儀
(
かみ
)
さんも持ちましょうけれども、私はどんな事をしたって思いを残す訳じゃアないが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
熊藏 これでなけりやあ
情婦
(
いろ
)
は出來ねえ。さあ、出かけた、出かけた。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「どうです、私を
情婦
(
いろ
)
にもってみちゃ」お島は笑いながら言った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
情婦
(
いろ
)
を忘れちゃ仕方がないよ」
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
情婦
(
いろ
)
が無くって、寂しくって、行方の知れない姉さんを尋ねるッてさ、坊主になんかならないように、私が姉さんになって上げましょう。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「白龍はてまえに首ッたけな
情婦
(
いろ
)
でおざる。そもそもの馴れそめは近江さまと於呂知よりは、ちと古いかもしれませんな」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そんな女は、女房や
情婦
(
いろ
)
には向かないぜ、惡いことを言はねえから、あんまり近寄らない方がいゝぜ」
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
友「宜しゅうございます、そう云う腹の腐った女でございますなら思いきりますから、
女房
(
にょうぼ
)
にでも
情婦
(
いろ
)
にでも
貴方
(
あなた
)
の御勝手になさい、
左程
(
さほど
)
執心
(
しゅうしん
)
のあるお村なら
長熨斗
(
ながのし
)
をつけて上げましょう」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
情婦
(
いろ
)
になってくれりゃあいいが、まだそこまでは運びが付かねえ」
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「じゃ、
情婦
(
いろ
)
めかしいやつをかぎ出してきたんだな」
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
憚
(
はばか
)
んながらこう見えても、
余所行
(
よそゆ
)
きの
情婦
(
いろ
)
があるぜ。
待合
(
まちええ
)
へ来て見繕いで
拵
(
こしれ
)
えるような、べらぼうな
長生
(
ながいき
)
をするもんかい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なるほど、
開封
(
かいほう
)
ッ子の切れのいい
啖呵
(
たんか
)
でもある。知事の古い
情婦
(
いろ
)
だというのもこれでは嘘ではないだろう。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「広小路から橋を渡り切るまでに、昔の
情婦
(
いろ
)
に七人も逢ったって話なら、もう三度も聴いたよ」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ口先でだますのでは無く、相手の女に関係をつけて本当の
情婦
(
いろ
)
にしてしまうのです。こんにちではなんと云うか知りませんが、昔はそういう女を『
男女
(
おめ
)
』とか『男女さん』とか云っていました。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この筆法をもってすれば、
情婦
(
いろ
)
から来た
文殻
(
ふみがら
)
が
紛込
(
まぎれこ
)
んだというので、紙屑買を
追懸
(
おっか
)
けて、慌てて
盗賊
(
どろぼう
)
と怒鳴り兼ねまい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女といっても、わっしの
情婦
(
いろ
)
じゃございません、主人から預かってまいったお部屋様なんで——。どなたか、ご存じでしたら教えておくんなせえ、どうしても、そいつを
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「へツ、違げえねえ、こちとらは借金があつて、仕事があつて、
情婦
(
いろ
)
があつて、喧嘩氣がある」
銭形平次捕物控:261 弱い浪人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「大概分ってるさ、問題というのは神月が子爵家を去って、かの夫人に別れて、
谷中
(
やなか
)
の寺に
籠城
(
ろうじょう
)
して、そして
情婦
(
いろ
)
の処へ通うのを攻撃するんだろう。」
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宅助はなんだか、寝返りを打った自分の
情婦
(
いろ
)
から来た文でも見るような気がして、封を切った。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「へエ、それにしても大層なおめかしぢやありませんか、新
情婦
(
いろ
)
でも出來たんで?」
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「女に言え、女に、……
先方
(
さき
)
で切れればそれ迄よ。人に掛合われて、自分の
情婦
(
いろ
)
を、
退
(
の
)
くも引くもあるものか。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お銀は金五郎の
拵
(
こしら
)
へ物で、お舟は
庵
(
いほり
)
平太郎の
情婦
(
いろ
)
さ。お銀は唯の女だが、お舟は恐ろしい毒婦だ。伊三郎を見てゐるうちに庵平太郎が嫌になり、到頭その口を
塞
(
ふさ
)
ぐ氣になつたのだらう。
銭形平次捕物控:175 子守唄
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
劇中の
立女形
(
たておやま
)
に
扮
(
ふん
)
するものを、路之助として、
技
(
ぎ
)
の意見、相背き、
相衝
(
あいつ
)
いて反する時、「ふん、おれの
情婦
(
いろ
)
ともしらないで。……何、人情がわかるものか。」
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「新
情婦
(
いろ
)
のところですよ。へッ、へッ」
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小利口
(
こりこう
)
にきび/\と
立𢌞
(
たちま
)
はつて、
朝
(
あさ
)
は
六
(
む
)
つ
前
(
まへ
)
から
起
(
お
)
きて、
氣輕
(
きがる
)
身輕
(
みがる
)
は
足輕
(
あしがる
)
相應
(
さうおう
)
、くる/\とよく
働
(
はたら
)
く
上
(
うへ
)
、
早
(
はや
)
く
江戸
(
えど
)
の
水
(
みづ
)
に
染
(
し
)
みて、
早速
(
さつそく
)
情婦
(
いろ
)
を
一
(
ひと
)
つと
云
(
い
)
ふ
了簡
(
れうけん
)
から
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“情婦”の意味
《名詞》
情 婦(じょうふ)
妻以外の愛人。
(出典:Wiktionary)
情
常用漢字
小5
部首:⼼
11画
婦
常用漢字
小5
部首:⼥
11画
“情”で始まる語句
情
情夫
情人
情誼
情緒
情事
情合
情景
情死
情無