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山谷
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さんや
ふりがな文庫
“
山谷
(
さんや
)” の例文
おつねは長屋の人にたのんで、
山谷
(
さんや
)
あたりにいる
女衒
(
ぜげん
)
に話して貰って、よし原の女郎屋へ年季一杯五十両に売られることになりました。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雷門に向って右が
吾妻橋
(
あずまばし
)
、橋と門との間が花川戸、花川戸を通り抜けると
山
(
やま
)
の
宿
(
しゅく
)
で、それから
山谷
(
さんや
)
、例の山谷堀のある所です。
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
帝国ホテルも、
山谷
(
さんや
)
あたりのドヤ街の木賃宿も、上野公園のベンチでさえも、お茶の水
渓谷
(
けいこく
)
の
洞窟
(
どうくつ
)
でさえも、差別なくかれの住まいとなりえた。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おなかの家は浅草
山谷
(
さんや
)
にあり、毎月いちど、暇が出て父のみまいにいく、その日にうち合せをして逢い、田圃道を山谷の近くまで送るのであった。
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其附近の開懇土地に入り込んで居た
山谷
(
さんや
)
部屋の土工だった三十位の男に頼んだので、放ける三、四日前に頼みました。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
湯川
氏
(
うじ
)
が硫黄にこりだして、
山谷
(
さんや
)
を宿とし、幾年か帰らなくなってから、
老妻
(
おばあ
)
さんはハタと生活にさしせまった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「左様でございます。
山谷
(
さんや
)
の正伝寺に父親の墓があります。
讐
(
かたき
)
を討った弟は、そこへ行ったに相違ございません」
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
第三に見える浅草はつつましい
下町
(
したまち
)
の一部である。
花川戸
(
はなかはど
)
、
山谷
(
さんや
)
、
駒形
(
こまかた
)
、
蔵前
(
くらまへ
)
——その
外
(
ほか
)
何処
(
どこ
)
でも
差支
(
さしつか
)
へない。
野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
学校の帰り道には毎日のように
待乳山
(
まつちやま
)
の
境内
(
けいだい
)
で待合せて、人の知らない
山谷
(
さんや
)
の裏町から
吉原田圃
(
よしわらたんぼ
)
を歩いた……。ああ、お糸は
何故
(
なぜ
)
芸者なんぞになるんだろう。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
思えば久しく渡しぶねというものに乗ったことはなかったが子供の時分におぼえのある
山谷
(
さんや
)
、竹屋、
二子
(
ふたこ
)
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それで大森
山谷
(
さんや
)
の製造元まで行つて、十数種の鬘(張りボテに棕梠の皮を染めて、髪と見せたもの)
硯友社と文士劇
(新字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
村会議員の石山さんも、一銭
違
(
ちが
)
うと謂うて甲州街道の馬車にも烏山から乗らずに
山谷
(
さんや
)
から乗る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
駕籠
(
かご
)
は大変に費用がかかるので、今の
汐留
(
しおどめ
)
停車場のそばにその頃並んで居た船宿で、屋根船を雇って
霊岸島
(
れいがんじま
)
へ出て、それから墨田川を
山谷
(
さんや
)
堀までさかのぼって、猿若に達したのである。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
山谷
(
さんや
)
の
立場
(
たてば
)
で休んで
犬目
(
いぬめ
)
へ向けて歩ませた時分に、
傍道
(
わきみち
)
から不意に姿を現わした旅人がありました。お松は早くもその旅人ががんりきの百蔵であることに気がついて、ヒヤリとしました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その
馬鹿
(
イジオット
)
なところを、ちょいとお目にかけようと思って、こうしてここに突っ立っているのさ。……いやはや、
急々如律令
(
きゅうきゅうにょりつれい
)
……
山谷
(
さんや
)
を漕ぎだすと、いきなり、ドッと横ッ吹きの
大土砂降
(
おおどしゃぶ
)
り。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
瓢亭
(
ひょうてい
)
だの、
西石垣
(
さいせき
)
のちもとだのと、この
妓
(
ひと
)
が案内をしてくれたのに対しても、
山谷
(
さんや
)
、
浜町
(
はまちょう
)
、しかるべき料理屋へ、晩のご飯という
懐中
(
ふところ
)
はその時分なし、今もなし、は、は、は、笑ったって
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実際彼らは、為政者から普通民の七分の一しか価値がないと認められた時代もあったのである。安政六年に江戸
山谷
(
さんや
)
の
真崎
(
まっさき
)
稲荷の初午の折に、山谷の若者とエタと衝突して、エタが一人殺された。
エタに対する圧迫の沿革
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
炭売
(
すみうり
)
のおのが妻こそ黒からめと。吟ぜし秀句ならなくに。黒き小袖に鉢巻や。其の助六がせりふに云う。遠くは八王寺の炭焼。
売炭
(
ばいたん
)
の
歯欠爺
(
はっかけじゝい
)
。近くは
山谷
(
さんや
)
の
梅干婆
(
うめぼしばゝ
)
に至る迄。いぬる天保の頃までは。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
竜泉寺
(
りゆうせんじ
)
、
山谷
(
さんや
)
、
今戸
(
いまど
)
のわたし
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
山谷
(
さんや
)
の堀はかなり前に渡った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
由兵衛は浅草の
山谷
(
さんや
)
に住んでいて、ことし五十の独り者。友蔵は卅一、幸吉は廿六で、本所の番場町、多田の薬師の近所の裏長屋に住んでいる。
虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうして麹町の家を出、本所の
業平
(
なりひら
)
というところから、浅草の
山谷
(
さんや
)
、
新鳥越
(
しんとりごえ
)
、また本所へ戻って清水町と移りあるいた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
学校の帰り道には毎日のやうに
待乳山
(
まつちやま
)
の
境内
(
けいだい
)
で
待合
(
まちあは
)
せて、人の知らない
山谷
(
さんや
)
の
裏町
(
うらまち
)
から
吉原田圃
(
よしはらたんぼ
)
を歩いた………。あゝ、お
糸
(
いと
)
は
何故
(
なぜ
)
芸者なんぞになるんだらう。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
已むを得ず
旧地
(
もとぢ
)
の新橋駅から、汽車で大森に行き、そこから二人乗の俥を傭つて、
山谷
(
さんや
)
まで出掛け、鬘製造元を訪ねた処が『何か、入れ物を持つて来ましたか』といふ。
硯友社と文士劇
(新字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
この男は今からすぐ、小林青年として、
山谷
(
さんや
)
の
旭屋
(
あさひや
)
という簡易旅館へ帰るのです。今は十二時ですから、自動車をとばしていけば、だいじょうぶ旅館はまだ起きています。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と、
平日
(
いつも
)
は
口重
(
くちおも
)
な、横浜生れではあるが、お母さんは
山谷
(
さんや
)
の
八百善
(
やおぜん
)
の娘であるところの、
箏
(
こと
)
の名手である友達は、小さな体に
目立
(
めだた
)
ない渋いつくりでつつましく、クックッと笑った。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
大学へ行く頃はもう、うまい物横町の中華とか、
山谷
(
さんや
)
の
八百善
(
やおぜん
)
とか、新橋の花月とか、百尺、一直、湖月、亀清、柳光亭といった一流二流の割烹屋に押し上り、やがて麻布の
興津庵
(
おきつあん
)
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
手々に
手廻
(
てまわ
)
りのものや、ランプを持って、新宿まで電車、それから初めて調布行きの馬車に乗って、甲州街道を一時間余ガタくり、
馭者
(
ぎょしゃ
)
に教えてもらって、
上高井戸
(
かみたかいど
)
の
山谷
(
さんや
)
で下りた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それを露柴はずっと前から、家業はほとんど人任せにしたなり、自分は
山谷
(
さんや
)
の
露路
(
ろじ
)
の奥に、句と書と
篆刻
(
てんこく
)
とを楽しんでいた。だから露柴には我々にない、どこかいなせな風格があった。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山谷
(
さんや
)
や袋町の行詰りとは違い、四通八達の小田原城下を、小路小路まで案内知った
常壇場
(
じょうだんば
)
のようなものだから、がんりきとしては、子供相手に鬼ごっこして楽しむようなものかも知れないが
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
昔の
永代
(
えいたい
)
橋の右岸の
袂
(
たもと
)
から、左の方の
河岸
(
かし
)
はどんな工合になって居たか、どうも
好
(
よ
)
く判らなかった。その外八丁堀、越前堀、
三味線堀
(
しゃみせんぼり
)
、
山谷
(
さんや
)
堀の
界隈
(
かいわい
)
には、まだまだ知らない所が沢山あるらしかった。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
来年の二月は
屹
(
きっ
)
と癒るから心配しずに
山谷
(
さんや
)
の別荘に往って
緩
(
ゆっく
)
り養生をするが
宜
(
い
)
い、若浪や(番新の名)詰らないものを食い合わして、身体に障るような事ではならないよ、
喰
(
た
)
べ物に気を附けて遣んな
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は浅草の
山谷
(
さんや
)
へ行って、近所で磯野小左衛門のうわさを聞いたが、別にこれぞという手がかりも探り出せなかった。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そは
甲寅
(
きのえとら
)
の年も早や秋立ち
初
(
そ
)
めし八月末の日なりけり。目出度き相談まとまりて金子翁を八重が仮の親元に
市川左団次
(
いちかわさだんじ
)
夫妻を
仲人
(
なこうど
)
にたのみ
山谷
(
さんや
)
の
八百屋
(
やおや
)
にて
形
(
かた
)
ばかりの
盃事
(
さかずきごと
)
いたしけり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
山谷
(
さんや
)
のお寿と、馬道のお政は、その中でも有名で、どららも若く、どちらも美しく、
芸妓
(
げいしゃ
)
、
素人
(
しろうと
)
の隔てなく、男弟子も、女弟子も取って、多勢の
狼連
(
おおかみれん
)
と、少数の有力な
旦那衆
(
パトロン
)
に取巻かれ
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし、それに着手するまえに、ひとつご相談があるのですが、まずこの男を早く
山谷
(
さんや
)
の簡易旅館へやらなければいけません。きみ、それでは、すぐに出発してくれたまえ。ぬかりなくやるんだよ。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これが小塚原を繰出すと、ゆくゆく
箕輪
(
みのわ
)
、
山谷
(
さんや
)
、
金杉
(
かなすぎ
)
あたりから聞き伝えた物好き連が、面白半分に
潮
(
うしお
)
の如く集まって来て踊りました。その唄と踊りの千差万別なることは名状すべくもありません。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それに、
山谷
(
さんや
)
の
八百善
(
やおぜん
)
は妹の
家
(
うち
)
ですから——
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
嫁の名はお節といい、浅草の
山谷
(
さんや
)
の露路の奥に十人ばかりの子供をあつめて、細々ながら手習い師匠として世を送っている磯野小左衛門という浪人の娘であった。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
隅田川は云ふに及ばず神田のお茶の水
本所
(
ほんじよ
)
の
竪川
(
たてかは
)
を始め
市中
(
しちゆう
)
の水流は、
最早
(
もは
)
や現代の吾々には昔の人が船宿の桟橋から
猪牙船
(
ちよきぶね
)
に乗つて
山谷
(
さんや
)
に通ひ
柳島
(
やなぎしま
)
に遊び
深川
(
ふかがは
)
に戯れたやうな風流を許さず
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
平次と八五郎は、
山谷
(
さんや
)
の駄菓子屋に、菱屋の娘のお茂を訪ねました。
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうして、連れ込んだ先は
山谷
(
さんや
)
の勝次郎という奴の家です。勝次郎はよし原の
妓夫
(
ぎゅう
)
で、夜は家にいない。六十幾つになる半聾のおふくろ一人が留守番をしている。
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それ故大正改元のころには、
山谷
(
さんや
)
の
八百善
(
やおぜん
)
、吉原の兼子、
下谷
(
したや
)
の伊予紋、
星
(
ほし
)
ヶ
岡
(
おか
)
の
茶寮
(
さりょう
)
などいう会席茶屋では食後に果物を出すようなことはなかったが、いつともなく古式を棄てるようになった。
葛飾土産
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それから三日目、
山谷
(
さんや
)
の春徳寺に、思わぬ事件が起りました。
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのむかしは御用木として
日本堤
(
にほんづつみ
)
に多く
栽
(
う
)
えられて、
山谷
(
さんや
)
がよいの若い男を
忌
(
いや
)
がらせたという
漆
(
うるし
)
の木の
香
(
にお
)
いがここにも微かに残って、そこらには漆のまばらな森があった。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
隅田川はいうに及ばず神田のお茶の水
本所
(
ほんじょ
)
の
竪川
(
たてかわ
)
を始め
市中
(
しちゅう
)
の水流は、
最早
(
もは
)
や現代のわれわれには昔の人が
船宿
(
ふなやど
)
の
桟橋
(
さんばし
)
から
猪牙船
(
ちょきぶね
)
に乗って
山谷
(
さんや
)
に通い
柳島
(
やなぎしま
)
に遊び
深川
(
ふかがわ
)
に
戯
(
たわむ
)
れたような風流を許さず
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
山谷
(
さんや
)
の駄菓子屋で、後家のお妻の家と訊けば判りますよ」
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小左衛門も
山谷
(
さんや
)
を逃げ出して来て、暫く一緒に忍んでいるうちに、お節の
容貌
(
きりょう
)
が眼について豪家の嫁に貰われることになって、まず当分は都合よく暮らしていたんですが
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
平次はそこを切り上げて、
山谷
(
さんや
)
の方へ向いました。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼はすぐに向きを変えて、寺の多い町から
山谷
(
さんや
)
へぬけて、まっすぐに廓へ急いで行った。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“山谷”の意味
《名詞》
山 谷(さんこく)
山と谷。
山中にある谷。
《固有名詞》
地名に多く用いられる漢字列。
(出典:Wiktionary)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
谷
常用漢字
小2
部首:⾕
7画
“山谷”で始まる語句
山谷堀
山谷通
山谷戸
山谷橋
山谷等
山谷間
山谷風
山谷険難
山谷勘兵衛