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こづま
ふりがな文庫
“
小褄
(
こづま
)” の例文
お秋は
立上
(
たちあが
)
ると、小袖を取って投げかけるように着ました。キリキリと帯を締めると、
小褄
(
こづま
)
をとって、二つ三つ足踏みを
十字架観音
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は少してれたりした。継母はそれには平気で、
小褄
(
こづま
)
をからげて、はでな長襦袢の
蹴出
(
けだ
)
しを見せながら私の後からついた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
別に、
小褄
(
こづま
)
をからげるでもなく、そのまま奥庭のくらがりの、植込みの蔭につとより添って、
母家
(
おもや
)
の方をじっとみつめる。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
鬼怒川
(
きぬがは
)
を
徃復
(
わうふく
)
する
高瀬船
(
たかせぶね
)
の
船頭
(
せんどう
)
が
被
(
かぶ
)
る
編笠
(
あみがさ
)
を
戴
(
いたゞ
)
いて、
洗
(
あら
)
ひ
曝
(
ざら
)
しの
單衣
(
ひとへ
)
を
裾
(
すそ
)
は
左
(
ひだり
)
の
小褄
(
こづま
)
をとつて
帶
(
おび
)
へ
挾
(
はさ
)
んだ
丈
(
だけ
)
で、
飴
(
あめ
)
は
箱
(
はこ
)
へ
入
(
い
)
れて
肩
(
かた
)
から
掛
(
か
)
けてある。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それには、
空耳
(
からみみ
)
を装って、しどけない帯の結びや
小褄
(
こづま
)
の前を直し、顔にかかる乱れ髪を白い指先でかきあげながら——
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
懐炉を持ってお春が戻って来たのを見ると、妙子は口紅の
痕
(
あと
)
の着いた吸いかけを灰皿の縁に置いて、
小褄
(
こづま
)
を取った。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
座敷から見渡すと向うの河原の
芝生
(
しばふ
)
が真青に
萌
(
も
)
え
出
(
い
)
でて、そちらにも
小褄
(
こづま
)
などをとった美しい女たちが笑い興じている声が、花やかに聞えてきたりした。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
無法者が、足を
其方
(
そなた
)
に向けて、じりじりと寄るのを避けもしないで、かえって、膝掛を取って外すと、
小褄
(
こづま
)
も乱さず身を
軽
(
かろ
)
く、ひらりと下に下り立ったが。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きいた風な若旦那は
俳諧師
(
はいかいし
)
らしい
十徳
(
じっとく
)
姿の老人と連れ立ち、
角隠
(
つのかく
)
しに日傘を
翳
(
かざ
)
した
上
(
うわ
)
つ
方
(
かた
)
の御女中はちょこちょこ走りの
虚無僧下駄
(
こむそうげた
)
に
小褄
(
こづま
)
を取った芸者と
行交
(
ゆきちが
)
えば
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
話しながら
行
(
ゆき
)
ませうとてお関は
小褄
(
こづま
)
少し引あげて、ぬり下駄のおとこれも淋しげなり。
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
小褄
(
こづま
)
を取ると
嗜
(
たしなみ
)
の懐刀、
懐中
(
ふところ
)
へ入れるのも忙しく、後に続いて走り出た。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さしかざす
小傘
(
をがさ
)
に紅き揚羽蝶
小褄
(
こづま
)
とる手に雪散りかかる
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
浅けりゃ、ちょいと
小褄
(
こづま
)
をとって。
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
奥に細く灯っている
丸行燈
(
まるあんどん
)
の
燈芯
(
とうしん
)
をかき立て、それを左にさげながら、寝巻の
小褄
(
こづま
)
を取ってスルスルと出てきました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雪之丞、ぐっと、唇を噛むと、
小褄
(
こづま
)
をかかげて、息をととのえて、闇の中を、ひた走りに駈け出した。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
台所の
豪傑儕
(
ごうけつばら
)
、
座敷方
(
ざしきがた
)
の
僭上
(
せんじょう
)
、
栄耀栄華
(
えようえいが
)
に
憤
(
いきどおり
)
を発し、しゃ討て、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
小褄
(
こづま
)
の前を
奪取
(
ばいと
)
れとて、
竈
(
かまど
)
将軍が
押取
(
おっと
)
った
柄杓
(
ひしゃく
)
の采配、火吹竹の貝を吹いて、鍋釜の鎧武者が
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
話
(
はな
)
しながら
行
(
ゆき
)
ませうとてお
關
(
せき
)
は
小褄
(
こづま
)
少
(
すこ
)
し
引
(
ひき
)
あげて、ぬり
下駄
(
げた
)
のおと
是
(
こ
)
れも
淋
(
さび
)
しげなり。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
持てとも言わず、角樽を柳の枝に預けると、
小褄
(
こづま
)
をぐい、と取った
緊
(
しま
)
った足の白いこと。——姿も
婀娜
(
あだ
)
に、
流
(
ながれ
)
へ張出しの板を踏むと、大川の水に箱造りの
生簀
(
いけす
)
がある。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木下蔭
(
このしたかげ
)
の暗がりで、
長裾
(
すそ
)
をぐっと引き上げ、
小褄
(
こづま
)
をからげ、お高祖頭巾をまぶかにして帯の間に手をやると、師匠が返してくれた一松斎譲りの銘刀が、体熱に熱くなって
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
小褄
(
こづま
)
を下ろした
襟掛
(
えりかけ
)
の
婀娜女
(
あだもの
)
はどこまでも少し笑いを含んで、夏なら涼んでいるという形だ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姉
(
あね
)
さま
唐茄子
(
とうなす
)
、
頬
(
ほう
)
かふり、
吉原
(
よしはら
)
かふりをするも
有
(
あ
)
り、
且那
(
だんな
)
さま
朝
(
あさ
)
よりお
留守
(
るす
)
にて、お
指圖
(
さしづ
)
し
給
(
たま
)
ふ
奧
(
おく
)
さまの
風
(
ふう
)
を
見
(
み
)
れば、
小褄
(
こづま
)
かた
手
(
て
)
に
友仙
(
ゆふぜん
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
下
(
した
)
に
長
(
なが
)
く、
赤
(
あか
)
き
鼻緒
(
はなを
)
の
麻裏
(
あさうら
)
を
召
(
めし
)
て、あれよ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
小褄
(
こづま
)
を取った手に、
黒繻子
(
くろじゅす
)
の襟が緩い。胸が少しはだかって、褄を引揚げたなりに乱れて、こぼれた
浅葱
(
あさぎ
)
が長く
絡
(
からま
)
った、ぼっとりものの中肉が、帯もないのに、
嬌娜
(
しなやか
)
である。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
珊瑚
(
さんご
)
の
六分珠
(
ろくぶだま
)
をおさえながら、思わず
膠
(
にかわ
)
についたように、足首からむずむずして、爪立ったなり
小褄
(
こづま
)
を取って上げたのは、謙斎の話の舌とともに、
蛞蝓
(
なめくじ
)
のあとを踏んだからで
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と例の
被
(
かずき
)
を
取除
(
とりの
)
くれば、この人形は左の手にて
小褄
(
こづま
)
を
掻取
(
かいど
)
り、右の手を上へ差伸べて被を支うるものにして、上げたる手にて
飜
(
ひるがえ
)
る、
綾羅
(
りょうら
)
の袖の
八口
(
やつくち
)
と、〆めたる
錦
(
にしき
)
の帯との間に
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なお一段と余情のあるのは、日が暮れると、竹の柄の
小提灯
(
こぢょうちん
)
で、松の中の
径
(
こみち
)
を送出すのだそうである。
小褄
(
こづま
)
の色が露に
辷
(
すべ
)
って、こぼれ松葉へ映るのは、どんなにか
媚
(
なまめ
)
かしかろうと思う。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
杜若の花を
小褄
(
こづま
)
に、
欠盥
(
かけだらい
)
で洗濯をしている、束ね髪で、
窶々
(
やつやつ
)
しいが
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
褄
漢検1級
部首:⾐
13画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父