“角隠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つのかく66.7%
つのかくし33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
中には当夜の花嫁、浪人秋山佐仲の娘お喜美が、晴着の胸を紅に染めて、角隠つのかくしをした首をがっくりと、前にのめっているのも痛々しい姿でした。
きいた風な若旦那は俳諧師はいかいしらしい十徳じっとく姿の老人と連れ立ち、角隠つのかくしに日傘をかざしたうわかたの御女中はちょこちょこ走りの虚無僧下駄こむそうげた小褄こづまを取った芸者と行交ゆきちがえば
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
黒小袖の肩を円く、但し引緊ひきしめるばかり両袖で胸を抱いた、真白まっしろな襟を長く、のめるように俯向うつむいて、今時は珍らしい、朱鷺色ときいろ角隠つのかくし花笄はなこうがいくしばかりでもつむりは重そう。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
墨田堤を水神の森の方へ下りる坂みちのある処へきたときに、その坂を角隠つのかくしをつけた花嫁の連れが四、五人提灯ちょうちんをさげて登ってくるのに行き逢った。花嫁は母親らしい人に附添われて目を伏せていた。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)