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密
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みつ
ふりがな文庫
“
密
(
みつ
)” の例文
が、或る日、
閲武坊
(
えつぶぼう
)
の辻で、ひょっこり
魯智深
(
ろちしん
)
と行き会った。彼とは、あれからも数回飲みあって、いよいよ交友
密
(
みつ
)
なるものがあったが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此あたりは山近く林
密
(
みつ
)
にして、
立田
(
たつた
)
の姫が織り成せる木々の錦、二月の花よりも
紅
(
くれなゐ
)
にして、匂あらましかばと
惜
(
を
)
しまるゝ美しさ、得も言はれず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
春星
(
しゆんせい
)
影
(
かげ
)
よりも
微
(
かすか
)
に空を
綴
(
つゞ
)
る。
微茫月色
(
びばうげつしよく
)
、花に
映
(
えい
)
じて、
密
(
みつ
)
なる枝は月を
鎖
(
とざ
)
してほの
闇
(
くら
)
く、
疎
(
そ
)
なる
一枝
(
いつし
)
は月にさし出でゝほの白く、
風情
(
ふぜい
)
言ひ
尽
(
つく
)
し
難
(
がた
)
し。
花月の夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
死ぬのはこれほどいやな者かなと始めて
覚
(
さと
)
ったように思う。雨はだんだん
密
(
みつ
)
になるので
外套
(
がいとう
)
が水を含んで
触
(
さわ
)
ると、濡れた
海綿
(
かいめん
)
を
圧
(
お
)
すようにじくじくする。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若
(
も
)
し
之
(
これ
)
に
説
(
と
)
くに
厚利
(
こうり
)
を
以
(
もつ
)
てせば、
則
(
すなは
)
ち
陰
(
ひそか
)
に
其言
(
そのげん
)
を
用
(
もち
)
ひて
顯
(
あらは
)
に
其身
(
そのみ
)
を
棄
(
す
)
てん。
此
(
これ
)
を
之
(
こ
)
れ
知
(
し
)
らざる
可
(
べ
)
からざるなり。
夫
(
そ
)
れ
事
(
こと
)
は
密
(
みつ
)
を
以
(
もつ
)
て
成
(
な
)
り、
語
(
ご
)
は
泄
(
も
)
るるを
以
(
もつ
)
て
敗
(
やぶ
)
る。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
▼ もっと見る
然
(
しか
)
しただ一人久保田さんが
纎細
(
せんさい
)
緻
密
(
みつ
)
な
作品
(
さくひん
)
を書く人でありながら
球突
(
たまつき
)
ではひどく
不器用
(
ぶきよう
)
なのを
除
(
のぞ
)
けばそれぞれに
球突
(
たまつき
)
の中にも
作品
(
さくひん
)
の
感
(
かん
)
じが
現
(
あらは
)
れてくるから
面
(
おも
)
白い。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
琅玕
(
らうかん
)
もて
削
(
けづ
)
り成せるが如し。これに登らんと欲すれば、巖扉
密
(
みつ
)
に鎖して進むべからず。
推
(
すゐ
)
するに、こは天堂に到る
階級
(
きざはし
)
にして、其門扉は我が爲めに開かざるならん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
這麼
(
こんな
)
風
(
ふう
)
で
中坂
(
なかさか
)
に
社
(
しや
)
を
設
(
まう
)
けてからは、
石橋
(
いしばし
)
と
私
(
わたし
)
とが
一切
(
いつさい
)
を
処理
(
しより
)
して、
山田
(
やまだ
)
は
毎号
(
まいごう
)
一篇
(
いつぺん
)
の小説を書くばかりで、前のやうに社に
対
(
たい
)
して
密
(
みつ
)
なる
関係
(
くわんけい
)
を持たなかつた、と
云
(
い
)
ふのが
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
小松
(
こまつ
)
だ。
密
(
みつ
)
だ。
混
(
こ
)
んでいる。それから
巨礫
(
きょれき
)
がごろごろしている。うすぐろくて安山岩だ。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その有様に密接すること、同居人が眠食をともにするが如くなるがゆえなり。その相接すること
密
(
みつ
)
に過ぎ、かえって他の全体を見ること能わずして、局処をうかがうに察々たるがゆえなり。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
朝廷
帝
(
てい
)
を
索
(
もと
)
むること
密
(
みつ
)
なれば、帝深く
潜
(
ひそ
)
みて
出
(
い
)
でず。
此
(
この
)
歳
(
とし
)
傅安
(
ふあん
)
朝
(
ちょう
)
に帰る。安の
胡地
(
こち
)
を
歴游
(
れきゆう
)
する数万里、域外に
留
(
とど
)
まる
殆
(
ほとん
)
ど二十年、著す所
西遊勝覧詩
(
せいゆうしょうらんし
)
あり、後の
好事
(
こうず
)
の者の喜び読むところとなる。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いと高くいと暗くいと
密
(
みつ
)
にいとほのかなる
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
五十の少壯誘ひ來て
密
(
みつ
)
に埋伏の陣を布く。
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
くちづけ
密
(
みつ
)
に、ささやきよく語りて
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
平和
(
へいわ
)
の
気温
(
けぬる
)
く
密
(
みつ
)
なる
しやうりの歌
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
かくて、一月、二月、三月——警固おさおさ怠りなく、
厳
(
げん
)
に
密
(
みつ
)
に、
山川草木
(
さんせんそうもく
)
、およそ中国の土にあるものはすべてを動員して来るべきものを待ちうけていた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雨は依然として、
長
(
なが
)
く、
密
(
みつ
)
に、物に
音
(
おと
)
を立てゝ
降
(
ふ
)
つた。
二人
(
ふたり
)
は雨の
為
(
ため
)
に、雨の持ち
来
(
きた
)
す
音
(
おと
)
の
為
(
ため
)
に、
世間
(
せけん
)
から切り離された。同じ
家
(
いへ
)
に住む門野からも婆さんからも切り離された。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
かれは阿波へ来る前まで、ふたりの仲がどれほど
密
(
みつ
)
に深いものかを思ってみて、寝苦しい夜があった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、口でぞんざいに言い放しながら、胸では、何か
密
(
みつ
)
な考えをめぐらしているふう。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あれほど
密
(
みつ
)
に
祁山
(
きざん
)
を出てきたが、彼はもう我の麦を刈らんことを
量
(
はか
)
り知ったか。——さもあらば仲達にも不敗の構えあることであろう。我とて世のつねの気ぐみではそれに打ち勝てまい」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愛情のきずなを
断
(
た
)
って三
密
(
みつ
)
の雲ふかきみ山にかくれてゆかれたのであろう?
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
光圀は、なおも木蔭の
密
(
みつ
)
な林の奥へ、そぞろに足を移していた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朕
(
ちん
)
、大機の
密
(
みつ
)
あり、
直々
(
じきじき
)
、丞相に問わん、即時、成都に
還
(
かえ
)
れ。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“密”の意味
《名詞・形容動詞》
ひそかな様。隠密。
関係が深い様。親密。
ぎっしりと詰まっている様。一定の枠の中に多くのものが集まる様。
きめこまかい様。綿密。
新型コロナウイルスの流行下において、避けるべきとされる「密接」、「密閉」、「密接」のこと。3密。
(出典:Wiktionary)
密
常用漢字
小6
部首:⼧
11画
“密”を含む語句
秘密
密々
密告
密接
密通
内密
密着
祕密
密夫
親密
隠密
密会
密書
密語
密偵
稠密
密林
精密
密集
密貿易
...