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宙
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ちゅう
ふりがな文庫
“
宙
(
ちゅう
)” の例文
というささやき声がして、なにかドアのひらくような音が聞こえ、かばんは、ふわッと
宙
(
ちゅう
)
に浮いて、どっかりと下におろされました。
奇面城の秘密
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
うしろから吹きつける風に
煽
(
あお
)
られて身体ぐるみ
宙
(
ちゅう
)
に浮いたまま、二三歩前へよろけてから、やっと
踏
(
ふ
)
みとどまる
癖
(
くせ
)
がついてしまった。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
おれの位置はいま
滑稽
(
こっけい
)
な
宙
(
ちゅう
)
ぶらりんを描いているが、しかし秋夜の大気をこうしてひとり
占
(
じ
)
めしてみたのは悪い気持でもないと思う。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主人
(
しゅじん
)
は、かごの
中
(
なか
)
から、一ぴきのたいをつまみあげて、
宙
(
ちゅう
)
にぶらさげました。そのたいは、
冷
(
つめ
)
たく、
大
(
おお
)
きかったが、じっとしてはねなかった。
女の魚売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
かと思うと、くるりと
宙
(
ちゅう
)
がえりを打つようにして、象の
背中
(
せなか
)
の三人の少女たちの中へ、すっぽりとのっかってしまいました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
▼ もっと見る
安政
(
あんせい
)
の
末年
(
まつねん
)
、一人の
若武士
(
わかざむらい
)
が品川から
高輪
(
たかなわ
)
の
海端
(
うみばた
)
を通る。夜は
四
(
よ
)
つ過ぎ、
他
(
ほか
)
に人通りは無い。
芝
(
しば
)
の
田町
(
たまち
)
の方から
人魂
(
ひとだま
)
のやうな火が
宙
(
ちゅう
)
を
迷
(
まよ
)
うて来る。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あっちでもこっちでも、警官が
宙
(
ちゅう
)
に
跳
(
は
)
ねとばされています。壁へ叩きつけられて
気絶
(
きぜつ
)
をするもの、ガックリと伸びるものなどあって、形勢は不利です。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「うむ、そりゃあ……そりゃこの
宙
(
ちゅう
)
に
彷徨
(
さまよ
)
っていてな、好きな奴へは乗りうつり、恨みのある奴には取ッつく」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
婆
(
ばばあ
)
がやかましいから急ごう、と云うと、髪をばらりと
振
(
ふ
)
って、私の手をむずと取って
駆出
(
かけだ
)
したんだが、
引立
(
ひった
)
てた
腕
(
うで
)
が
捥
(
も
)
げるように痛む、足も
宙
(
ちゅう
)
で息が
詰
(
つま
)
った。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さいごに、いすがすうっと
宙
(
ちゅう
)
にうかんだ。とみるまに、おかみさんめがけて、すごいいきおいで飛んできた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
そして宮崎さんは黒い洋服をカラなしで着て真暗な部屋にいた為めに青い顔だけが
宙
(
ちゅう
)
に見えたのであった。
怪談
(新字新仮名)
/
平山蘆江
(著)
胸のはりさけるほど無言の絶叫をつづけながら足を
宙
(
ちゅう
)
に左膳の危難に駈けつけて短銃一
挺
(
ちょう
)
の放れわざ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
自分は片足を
宙
(
ちゅう
)
に浮かしたまま、床の奥から黒塗の重箱を取り出して、それを彼女の前へ置いた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこでは、なにもかも、ふしぎな、青い光につつまれているので、それはふかい海の底にいるというよりも、なにか
宙
(
ちゅう
)
に浮いていて、上にも下にも青空をみているようでした。
人魚のひいさま
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
老人
(
ろうじん
)
が
杖
(
つえ
)
を
振
(
ふ
)
ると、二人は
宙
(
ちゅう
)
を
飛
(
と
)
んで、すぐにその高い山の上にきました。王子はそこの
岩
(
いわ
)
の上に立って
眺
(
なが
)
めました。
城
(
しろ
)
や町はもうひとつの
点
(
てん
)
ぐらいにしか見えませんでした。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
間もなく次の電光は、明るくサッサッと
閃
(
ひら
)
めいて、
庭
(
にわ
)
は
幻燈
(
げんとう
)
のように青く
浮
(
うか
)
び、雨の
粒
(
つぶ
)
は
美
(
うつく
)
しい
楕円形
(
だえんけい
)
の粒になって
宙
(
ちゅう
)
に
停
(
とど
)
まり、そしてガドルフのいとしい花は、まっ白にかっと
瞋
(
いか
)
って立ちました。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
声とともにしし王の足が
宙
(
ちゅう
)
にひるがえってばったり地上にたおれた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
自分は、
宙
(
ちゅう
)
にぶらさがったままで力をこめてハンドルをまわした。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
そわそわと心も
宙
(
ちゅう
)
にあるように昂奮していた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
するどい声と共に、彼の体と
刃
(
やいば
)
とが、
宙
(
ちゅう
)
へ閃めいて、伸び上ったと思うと、水面に片羽を切られた燕が一羽、浮いて流れて行った。
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白犬が、地上をはなれて、スーッと、
宙
(
ちゅう
)
にうきあがったのです。巨大な腕につかまれて、上の方へ引きあげられているように見えるのです。
天空の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ファットマンは、その長い強い鼻をぐいと
差
(
さ
)
し
延
(
の
)
べて、新吉のからだをふわりと
宙
(
ちゅう
)
で受け止めてしまったのです。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
服
(
ふく
)
だけが
宙
(
ちゅう
)
に浮かび、そして、まるで
生命
(
せいめい
)
のあるもののように動いて、一枚一枚ぬぎすてられていくのだ。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
だから普通では
猫又
(
ねこまた
)
を見ようが腰を抜かす筈がない。だからそのときは
愕
(
おどろ
)
きましたよ、実に……なぜといってその仔猫がですね、
宙
(
ちゅう
)
にふらふら浮いているじゃないですか、びっくりしましたね
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
老人
(
ろうじん
)
が
杖
(
つえ
)
を
振
(
ふ
)
ると、二人はまた
宙
(
ちゅう
)
を
飛
(
と
)
んでその山の上へ行きました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
再び、
朱総
(
しゅぶさ
)
をしごきざま、
宙
(
ちゅう
)
鳴りして来る
江府
(
こうふ
)
一
番
(
ばん
)
壁辰の十手だ。喬之助は、この場合、血を好まなかった。が、こうなってはもう止むを得ない。
裸身
(
はだか
)
のまま
袂
(
たもと
)
に
潜
(
ひそ
)
ませていた
河内太郎蛇丸
(
かわちたろうじゃまる
)
の短剣だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
フワリと足が大地をはなれたとたんに、かれのからだは
宙
(
ちゅう
)
をかすって、
堤
(
どて
)
の若草を二、三
間
(
げん
)
さきへズデンともんどり打っている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ニコラ博士は、フワフワと、
宙
(
ちゅう
)
にうくように、歩いていきます。やみのなかでも、博士の姿だけは、クッキリと見えるのです。
超人ニコラ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
世にもふしぎな
宙
(
ちゅう
)
に浮く
鉄棒
(
てつぼう
)
を追って、おじさんはステッキでその鉄棒を、たたき落とそうとした。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
新吉は、からだが
宙
(
ちゅう
)
に
浮
(
う
)
かんでいるような気持ちで、テントのまわりを何べんとなくまわり歩きました。と、ある場所にちょっとしたすき間があり、ちらりと中のようすが見えました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
そこで、捕縄の先が、
宙
(
ちゅう
)
をうねって行った途端に、一角は早くも感づいて、
楢
(
なら
)
の茂った
谷間
(
たにあい
)
の崖へ身を躍らしてしまったのだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目かくしをされたかとおもうと、スーッと、からだが、
宙
(
ちゅう
)
にうきました。カニじいさんに、だきあげられたような気持です。
妖星人R
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すこし力を入れたかと、思うと、ふわりと
宙
(
ちゅう
)
へおよがせて
冠桜
(
かんむりざくら
)
の
根瘤
(
ねこぶ
)
のあたりへ、エエッ、ずでーんと
気味
(
きみ
)
よくたたきつけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
シャツのボタンが、ひきちぎれるように、一つ一つはずれてゆき、いちばん下のボタンがはずれたかと思うと、白いシャツがフワッと
宙
(
ちゅう
)
に浮いて、地面におちました。
透明怪人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大きな火ばしらは、音をたてて今、一棟を焼き
仆
(
たお
)
していた。廓内の大樹にもみな火がついて、火の葉、火の
華
(
はな
)
が、
宙
(
ちゅう
)
に咲いた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、テーブルの外までいっても、下へ落ちないで、
宙
(
ちゅう
)
に浮いているではありませんか。
おれは二十面相だ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
たちまち火花、たちまち
剣
(
つるぎ
)
の音、斬りおられた
槍
(
やり
)
は
宙
(
ちゅう
)
にとび、太刀さきに当ったものは、無残なうめきをあげて、たおれた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
スーッと
宙
(
ちゅう
)
にういたかと思うと、何かひどくツルツルした、公園などにあるすべり台のようなものの上に落ち、そのまま、ひじょうな早さで、下のほうへすべっていきました。
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
宙
(
ちゅう
)
は、無数の星だったが、人間の手に
点
(
とも
)
された光といえばそれ一点しか見あたらない。右を見ても山、左を振返っても山、ただ真っ黒な闇の
屏風
(
びょうぶ
)
だった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
腕だけが
宙
(
ちゅう
)
をとんで逃げたとすると、いくらさがしたって、見つかりっこないからね。
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は竹籠の中へもどって
銅鈴
(
すず
)
を鳴らした。スルスルスルスル。えいや、えいや。上へあがるやいな彼はあたりへ向って
黒裸
(
こくら
)
の両手を
宙
(
ちゅう
)
へ振ッて報告した。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あとには、かくばったロボットの首ばかりが、フラフラと、
宙
(
ちゅう
)
に浮いているのです。
探偵少年
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
強右衛門の体は、長篠城の方へ向って、高々と
宙
(
ちゅう
)
に掲げられた。——遠く
竹楯
(
たけたて
)
や土塁の陰には、勝頼以下旗本の面々も来て、
密
(
ひそ
)
かにここを見まもっていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふと見ると、森のおくのほうに、なんだか白く光るものが、
宙
(
ちゅう
)
に浮いていました。
夜光人間
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「かしこまりました」性善坊は、
宙
(
ちゅう
)
をとんで、もう宇治の大橋を
彼方
(
かなた
)
へ越えてしまった女の影を追って行った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただアッケにとられて、
宙
(
ちゅう
)
にただよう白いものを、見つめているばかりでした。
虎の牙
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ただ、さっきよりいくらかましなことは、このいちめんな篠が生えているために、自分も自由に走れないが、追う者も
宙
(
ちゅう
)
を飛ぶわけにはゆかないことです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二少年は、いきなり
宙
(
ちゅう
)
にういて、そのままスーッと下におちていきました。
仮面の恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこに落着いていると、
宙
(
ちゅう
)
を隔てた向うの崖に、まだそこを去らぬお蝶の影がうッすらと見えるのでした。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女の寝まきをきた小林君のからだが、
宙
(
ちゅう
)
におどりました。
妖人ゴング
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
宙
常用漢字
小6
部首:⼧
8画
“宙”を含む語句
宇宙
宇宙塵
宙外
宙天
宙返
宙吊
無宙
後藤宙外
宙乗
宙釣
宙宇
全宇宙
小宇宙
宙飛
宙有
宙空
宙乘
後藤宙外子
超宇宙
逆宙返
...